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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201119960 審決 商標
不服200813097 審決 商標
不服200413365 審決 商標
審判199919966 審決 商標
不服20087368 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X2930
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X2930
管理番号 1264449 
審判番号 不服2011-650108 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-20 
確定日 2012-08-07 
事件の表示 国際登録第1021122号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第29類及び第30類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2009年1月27日にフランス国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)7月21日に立体商標として国際商標登録出願されたものである。
そして、指定商品については、平成22年7月26日付けの手続補正書により、第29類「Dairy products,cheeses and specialty cheese products,butter,cream,dairy based beverages.」及び第30類「Cheese cakes,ice-creams,edible ices,sauces.」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、青く彩色された楕円状の図形を底面とし、側面を白くしてなる円柱状の箱とおぼしき立体的形状からなるものであるところ、該形状は商品の機能・美感をより発揮させるための形状とは関係しない特異な形状とまでは言うことはできず、本願指定商品との関係においては、例えばチーズ、バター等の固形状の乳製品を包装するための容器として採用し得る形状からなると見るのが自然であって、それらの商品の容器として予測しがたいような特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状というよりは、むしろそれらの商品の容器としての機能や美感を効果的に発揮させたりする等の目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものに過ぎないと見るのが相当である。したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、単に商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示したものにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、提出にかかる証拠によっては、本願商標は同法第3条第2項に該当するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標は、別掲のとおり、青く彩色された楕円状の図形を平面とし、白色を側面とする円柱状の立体的形状からなるものであるところ、白色の側面の上部が青色の平面を縁取るようにやや盛り上がって表され、また、その側面は、下部まで同じ大きさで表されているのではなく、最下部において、その側面が二重線となり、二重線の下線部が若干小さく表されていることから、本願商標は、全体として、物を収納するための本体部分に、蓋部分をかぶせた楕円状の包装容器であると容易に理解させるものである。
そして、本願商標の指定商品は、前記第1のとおりであるところ、本願商標の前記形状は、その指定商品との関係においては、例えば、チーズやバター、チーズケーキやアイスクリーム等の固形状又は半固形状の商品を包装するための容器として採択し得る形状からなるものと見るのが自然であって、それらの商品の包装容器として予測しがたいような特異な形状や特別の印象を与えるような装飾的な形状というよりは、むしろそれらの商品の包装容器として機能や美観を効果的に発揮させる等の目的で同種商品が一般的に採択し得る範囲のものにすぎないものとみるのが相当である。
そして、チーズ、チーズケーキ等の商品の包装容器が楕円を平面とする円柱状であることは、以下に示す使用例からも、容易に裏付けられるところである。また、商品の包装容器の平面に色彩を施すことは取引上普通に行われることであって、何ら特異なことではない。
(使用例)
ア 「チーズ専門店(株式会社久田)」のウェブサイトにおいて、「ヴァルフレVALFRAIS」の商品名と共に、商品(チーズ)の包装容器が楕円を平面とする円柱状である画像が掲載されている。(http://www.cheese-oukoku.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=26)
イ 「Cheese on the table」のウェブサイトにおいて、「シャモア ドール」の商品名と共に、商品(チーズ)の包装容器が楕円を平面とする円柱状である画像が掲載されている。(http://www.cheeseclub.co.jp/1contents/date/chamois_dor.html)
ウ 「男の台所」のウェブサイトにおいて、「スプレム デ デュー」の商品名と共に、商品(チーズ)の包装容器が楕円を平面とする円柱状である画像が掲載されている。(http://item.rakuten.co.jp/otokonodaidokoro/ch-se-33-019/)
エ 「清川屋」のウェブサイトにおいて、「オーバルチーズ」の商品名と共に、商品(チーズケーキ)の包装容器が楕円を平面とする円柱状である画像が掲載されている。(http://item.rakuten.co.jp/sakuranbo/ky1224/)
上記実情からすれば、本願指定商品との関係において、この種の商品を包装するための容器等に楕円を平面とする円柱状のものが用いられているものであって、そうとすれば、本願商標は、全体としてその指定商品の包装するための容器の形状を表したにすぎないものであるから、これをその指定商品に使用しても、自他商品を識別するための標識としての機能は、果たし得ないものというのが相当であり、本願商標は、商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人は、「チーズ、バター等の乳製品の包装容器には楕円形でかつ、その長尺方向の両端が尖っているものはなく、本願商標が同種商品の包装容器として採択し得る範囲のではない。」旨主張する。
しかしながら、チーズやチーズケーキ等の商品を包装するための楕円形状の容器が流通していることは前記のとおりであり、また、請求人の主張する楕円形の長尺方向の両端が尖っているとの特徴にしても、それらの商品(チーズ等)の持ち運びや収納を容易する等の包装容器の機能や、また、形状や色彩にわずかながら変化を持たせる等の包装容器の美観をより発揮させるために施されたものと認識させるにとどまり、本願商標は、商品の包装の形状を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、当該形状に特徴をもたせたことにより自他商品の識別機能を発揮するものとは認められない。
また、商標法第3条第1項第3号の商品の品質、形状等を表示する標章とは、商品の品質、形状等を表示する標章として認識され得るものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは、必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号判決参照)から、たとえ、本願商標と同一の形状からなる商品が存在しないとしても、本願商標をその指定商品に使用するときは、商品の形状を表したものと理解させるにすぎないこと前記認定のとおりである。
さらに、請求人は、「本件商標がフランス、英国、イタリア等の諸外国で登録されていることから、本願商標も同様に登録すべきである。」旨主張する。
しかしながら、諸外国における立体商標に関するの自他商品識別性の有無と、我が国のそれとは同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、これに基づく請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、請求人の前記主張は、いずれも採用することができない。
3 商標法第3条第2項該当性について
請求人は、「本願商標が使用された商品は世界各国で販売されており、また、日本でも1998年から販売されている。その結果、わが国の需要者の間でも本願商標が使用された商品が出願人の業務に係るものであるとの認識が定着しており、本願商標は商標法第3条第2項によっても登録されるべきである。」旨主張し、証拠方法として、甲第5号証および甲第6号証を提出しているので、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討する。
ところで、出願に係る商標が、指定商品に係る商品の形状を表示するものとして商標法第3条第1項第3号に該当する場合に、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否かによって決定すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品は、出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
したがって、出願に係る商標が、立体的形状のみからなるものであるのに対し、使用に係る商標が立体的形状と文字、図形等の平面標章との組み合わせにより構成されている場合には、両商標の全体的構成は同一でないことから、出願に係る商標については、使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。また、使用に係る商品が、出願に係る指定商品の一部である場合には、使用に係る商品に指定商品が限定されない限り、出願に係る商標については、使用により識別力を有するに至った商標と認めることができない。
そこで、上記の観点から、本願商標が使用により自他商品識別力を有するに至っているか否かを検討する。
(1)実際に使用している商標および商品
請求人の提出に係る甲第6号証8葉目によれば、楕円を平面とする円柱状の包装容器の青色で着色された平面と白色の側面には、それぞれ、2体のエンジェルが月桂樹とおぼしき図形を左右から手で支えている図形と「CAPRICE des DIEUX」等の欧文字が表されている(以下「使用に係る商標」という。)ものであることから、立体的形状のみからなる本願商標と使用に係る商標とは、その全体的構成において同一とは認められない。また、請求人の使用にかかる商品は、提出された前記の証拠から、使用に係る商標の平面に、フランス語でチーズを意味する「fromage」の文字が表されていることから、チーズと推認し得る(以下「使用に係る商品」という。)ものの、本願商標の指定商品中、チーズ以外の商品に使用している証拠は見当たらない。
(2)使用開始時期、使用期間及び使用地域
請求人は、請求書において「使用に係る商品は日本において1998年から販売されている」旨主張しているが、主張するのみで、わが国における、その使用に係る商品の使用開始時期、使用期間及び使用地域について客観的に裏付ける証拠の提出はない。
(3)使用に係る商品の販売数量
甲第5号証は、「本願商標が使用された商品の世界各国の売上高を示す表」とするものであるが、これには、「JAPON」の項が設けられ、「2005.12」「2006.12」等として、各年の売り上げと思しき数字が記載されているものの、その使用に係る商品を特定する記載は、表の欄外の左上部に「CAPRICE DES DIEUX」と記載されているのみであり、また、記載された数字の単位も不明である。また、甲第6号証は、ヨーロッパにおける売上高を示すものであって日本における売り上げを示すものではない。
そして、甲第5号証及び甲第6号証の他、使用に係る商品の日本における売り上げを立証する証拠の提出はない。
(4)広告宣伝の方法、回数
雑誌、新聞等の広告宣伝を立証する証拠の提出はない。
以上のとおり、請求人が提出した証拠をもってしては、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2012-03-14 
結審通知日 2012-03-16 
審決日 2012-03-28 
国際登録番号 1021122 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X2930)
T 1 8・ 17- Z (X2930)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小出 浩子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 瀬戸 俊晶
田中 亨子
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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