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審決分類 |
審判 査定不服 商品(役務)の混同 取り消して登録 X293031 |
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管理番号 | 1264409 |
審判番号 | 不服2012-12934 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-06 |
確定日 | 2012-10-29 |
事件の表示 | 商願2011- 36651拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第4766195号の防護標章として登録をすべきものとする。 |
理由 |
1 本願標章 本願標章は、「伊右衛門」の漢字を標準文字で表してなり、第29類ないし第33類及び第43類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、登録第4766195号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章として、平成23年5月30日に登録出願されたものである。 その後、指定商品及び指定役務については、当審における同24年7月6日提出の手続補正書により、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,動物性エキス又は植物性エキスを主原料とする液状・粉状・カプセル状・錠剤状又は顆粒状の加工食品」、第30類「氷,調味料,香辛料,コーヒー豆,即席菓子のもと」及び第31類「そば」に補正されたものである。 なお、前記手続補正書により本願から削除された別掲2の指定商品及び指定役務は、本願を原出願とする、商標法第68条第1項において準用する同法第10条第1項の規定による防護標章登録出願として、同24年7月6日に登録出願され(商願2012-054901号)、同24年9月7日に原登録商標の防護標章の指定商品及び指定役務として登録されたものである。 2 原登録商標 原登録商標は、「伊右衛門」の漢字を標準文字で表してなり、平成15年9月11日に登録出願、第30類「茶」並びに第16類、第20類、第21類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年4月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本商標権は、株式会社福寿園(京都府木津川市山城町上狛東作り道11所在)を商標権者とし、サントリー食品インターナショナル株式会社(東京都港区台場二丁目3番3号所在)に、範囲を「地域 日本全国」、「期間 平成26年4月23日まで」及び「内容 茶但し、缶・ペットボトル・紙容器・瓶入りの茶飲料に限る」とする専用使用権の設定がされているものである。 3 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願標章が需要者の間に広く認識された標章であることは認められるが、本願の指定商品・役務中、前記1に記載の補正後の指定商品は、出願人の業務に係る商品『茶飲料』とは販売場所、取り扱い系統等をまったく異にするから、本願標章の著名性を考慮しても、出願人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあるということはできない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 4 当審の判断 原審において、原登録商標が需要者の間に広く認識されていることを認めた上で、前記1に記載の補正後の本願の指定商品(以下、単に「本願の指定商品」という。)は、出願人の業務に係る商品「茶飲料」(原登録商標の指定商品中、第30類「茶」に含まれる。以下同じ。)と混同を生じさせるおそれはない旨判断しているところ、これを踏まえ、本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備するか否かについて、以下検討する。 (1)本願標章と原登録商標との同一性について 前記1及び2のとおり、本願標章は、原登録商標と同一のものである。 また、原登録商標の権利者は、前記2のとおり、請求人(出願人:株式会社福寿園)であり、該商標権は、現に有効に存続しているものである。 (2)原登録商標の周知著名性について 請求人の主張及び請求人から提出された証拠(甲第1号証ないし甲第29号証)によれば、原登録商標は、請求人及びサントリー食品インターナショナル株式会社の業務に係る「茶飲料」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。 (3)混同を生ずるおそれについて ア 「茶飲料」と本願の指定商品との関係について 請求人の主張及び請求人から提出された証拠(甲第11号証、甲第34号証、甲第35号証、甲第37号証及び甲第39号証)によれば、「茶飲料」と本願の指定商品、すなわち、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,動物性エキス又は植物性エキスを主原料とする液状・粉状・カプセル状・錠剤状又は顆粒状の加工食品」、第30類「氷,調味料,香辛料,コーヒー豆,即席菓子のもと」及び第31類「そば」は、ともに食品の範疇に含まれるものであり、かつ、その需要者は、ともに一般的な消費者である。 そうとすれば、「茶飲料」と本願の指定商品とは、その需要者を共通にするものといえる。 また、「茶飲料」は、砂糖等を用いない透明感のある味わいを持つことから嗜好性が比較的弱く、食事との相性が良いうえに、昨今の消費者の健康志向、自然志向に合致するとともに、近年の携帯・保存に適したペットボトルの普及とも相まって、スーパー、百貨店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、自動販売機、インターネット通販等、様々な経路で購入することが可能であって、本願の指定商品とも、その販売経路を共通にすることがあり、特に、スーパー、百貨店等の小売店においては、同じ食品売場において陳列され、販売されているものであって、販売場所を同じくするものである。 そうすると、「茶飲料」と本願の指定商品とは、互いに密接な関連性があるというべきである。 イ 請求人等の業務について 請求人は茶の製造販売を行う者であり、その子会社である宇治の露製茶株式会社を通じて「伊右衛門」ブランドの茶葉、ティーバッグを販売する(甲第5号証、甲第27号証及び甲第28号証)。 また、「ペットボトル入りの茶飲料」等について原登録商標を使用しているサントリーグループの一員であるサントリー食品インターナショナル株式会社は、前記2のとおり、請求人より原登録商標について専用使用権の設定を受けている専用使用権者であるから、請求人と密接な関係を有する者といえる。 そして、サントリー食品インターナショナル株式会社の属するサントリーグループは、サントリーホールディングス株式会社を頂点に、約200社、従業員約25,000人から構成されている巨大グループである。 同グループ企業の事業範囲は、例えば、「清涼飲料・加工食品の製造・販売」、「健康食品・加工食品の製造・販売」、「イタリアワイン・イタリア食材の輸入・販売」、「惣菜・ヒレかつサンド等の製造・販売及びレストラン経営」、「コーヒー豆の焙煎加工及びコーヒー・茶類のエキス製造」、「氷の販売」等、本願の指定商品も含めた食料・飲料を中心に、非常に広範囲にわたるといえる(甲第30号証及び甲第38号証)。 そうすると、本願標章を他人がその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、請求人又は請求人と密接な関連がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。 (4)小括 以上のことからすると、原登録商標は、「茶飲料」について、請求人及びサントリー食品インターナショナル株式会社の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されており、かつ、本願の指定商品と「茶飲料」とは密接な関連性があること、請求人と密接な関係を有する原登録商標の専用使用権者であるサントリー食品インターナショナル株式会社の属するサントリーグループの事業範囲が広いことを踏まえれば、本願標章を他人がその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、その商品が請求人又は請求人と密接な関連がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというのが相当であるから、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備するものと判断すべきである。 (5)まとめ したがって、本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本願の願書記載の指定商品及び指定役務) 第29類 「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,動物性エキス又は植物性エキスを主原料とする液状・粉状・カプセル状・錠剤状又は顆粒状の加工食品」 第30類 「コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと」 第31類 「茶の葉,そば」 第32類 「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」 第33類 「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 第43類 「飲食物の提供」 別掲2(当審における平成24年7月6日提出の手続補正書により本願から削除された指定商品及び指定役務) 第30類 「コーヒー及びココア,菓子及びパン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ」 第31類 「茶の葉」 第32類 「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」 第33類 「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」 第43類 「飲食物の提供」 |
審決日 | 2012-10-16 |
出願番号 | 商願2011-36651(T2011-36651) |
審決分類 |
T
1
8・
82-
WY
(X293031)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 冨澤 武志 |
商標の称呼 | イエモン |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 吉田 親司 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 潮崎 宗 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 石川 義雄 |