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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y10
管理番号 1264404 
審判番号 取消2011-300860 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-09-13 
確定日 2012-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4896194号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4896194号の2商標(以下「本件商標」という。)は、「UNITY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年11月5日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同17年9月22日に設定登録された登録第4896194号商標の商標権の分割に係るものであって、第10類「人工血管」を指定商品として、同18年3月23日に分割移転の登録がなされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成23年10月5日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品である第10類「人工血管」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人がテルモ株式会社(以下「テルモ」という。)によって買収され、テルモの連結子会社となった事実を示すものに過ぎない。本件商標の商標登録原簿に記載された商標権者は、被請求人であり、買収後もテルモに権利が移転された形跡はない。その他にテルモが本件商標について通常使用権を有することを示す証拠は見当たらない。
したがって、乙第1号証ないし乙第3号証は、被請求人またはその専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用していることを示す証拠方法であるとはいえない。
(2)乙第4号証について
ア 本件商標の使用について
乙第4号証において、被請求人が主張する本件商標の使用は、以下の(ア)ないし(エ)の4か所であると見受けられるが、いずれも本件商標の使用とはいえないから、その理由を以下に述べる。
(ア)乙第4号証の第2頁下部の説明文について
乙第4号証の第2頁下部の説明文「MAXIFLO Wrap Ultrathinシリーズ人工血管は、MAXIFLO Wrap Ultrathinとunity構造を付加した外部強化型グラフトで構成されています。」においては、単に「外部強化型グラフト」に「unity構造」が採用されていることを示すのみである。「unity」が英語で「一体性、結合」を意味することは通常の日本人であれば理解できることから、需要者・取引者によって、このグラフトがー体的構成であることが認識される程度であって、「人工血管」の出所を表示するものでないことは明らかである。
(イ)乙第4号証の第3頁の左肩のマーク表示について
乙第4号証の第3頁左肩に示される「unity Construction」の文字(以下「使用商標」という。)は、別掲のとおり、高度に図案化されており、本件商標には見られない赤と青の円形の図形を含むものである。この図形は、他の商標「MAXIFLO」とも組み合わせて用いられ、非常に識別力の高い特徴的な図形である。このマーク表示は、上記特徴的な図形とロゴ化された「unity」の文字、及び小さく表された「Construction」の文字が一体不可分に組合わされて1つのまとまりのあるデザインを構成しており、高い識別力を有している。「UNITY」の標準文字からなる本件商標とは一見して著しく異なり、社会通念上同一であるとは到底いえない。
(ウ)乙第4号証の第4頁のスペック表における表示について
乙第4号証の第2頁の説明文「MAXIFLO Wrap Ultrathinシリーズ人工血管は、MAXIFLO Wrap Ultrathinとunity構造を付加した外部強化型グラフトで構成されています。」と第3頁の上部の説明文「MAXIFLO Wrap UltrathinとMAXIFLO Wrapに外部サポート付きを加えたバージョンを追加しました。」とを見ると、人工血管の商品名称が「MAXIFLO Wrap Ultrathin」及び「MAXIFLO Wrap」であること、及び、それらに「外部サポート付き」と「外部サポートなし」があることがわかる。
乙第4号証の第4頁のスペック表においては、「外部サポート付き」シリーズの人工血管を表現するために、英語で「付き」を表す「With」の語を挟み、さらにこの「外部サポート」が一体型構成であることを説明するために、「一体性、結合」を意味する英単語「Unity」と「構成、構造」を意味する英単語「Construction」とが使用されているものである。したがって、需要者・取引者は単にこの表示を商品の性質・機能を説明している文であると認識するに止まる「Unity construction」の文字は、第2頁下部の説明文と同様、本件商標を人工血管の識別商標として使用したものであるとは認められない。
(エ)乙第4号証の第4頁右下の登録商標表示について
乙第4号証の第4頁右下に見られる「Unityはバスクテックリミテッドの登録商標です。」なる表示についても、被請求人は商標の使用と主張しているように見受けられるが、これは単に「Unity」が被請求人の登録商標である事実の表示にすぎず、本件商標の使用には該当しない。
イ 使用時期について
乙第4号証の第4頁右下には「テルモ株式会社2008年08月」と印字されており、このリーフレットが2008年8月に印刷されたものであることがわかる。被請求人は、このリーフレットが2008年8月頃から現在に至るまで医療機関などに頒布されたとしているが、乙第4号証のみによっては、現在もこのリーフレットが頒布されているかどうかは不明である。
以上により、乙第4号証は、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を取消請求に係る商品「人工血管」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本において使用していることを示すとはいえない。
(3)乙第5号証及び乙第6号証について
ア 本件商標の使用について
乙第5号証及び乙第6号証は商品「バスクテックePTFE人工血管wrapped」の包装容器の写真であると認められ、「Unity」の文字が見られるものの、それらは製品の商標であり、「MAXIFLO+図形」と組合せて印字された「Wrap with Unity Consutruction」、「ePTFE WITH ePTFE WRAP with Unity Consutruction」、または「STANDARD WALL WRAP UNITY」の一部としての表示であり、乙第4号証におけるものと同じく、この人工血管「MAXIFLO」の「ePTFE製の外部サポート」が本体と一体型の構成であることを示すにすぎない。すなわち、製品の性質の説明であって、商品の出所を表す商標的な使用とは認められない。
なお、これらの容器には、「Twillweave,VP1200K,MAXIFLO & Unity are Trademarks of Vascutek Ltd.」などの表示があるが、これらは単に「Unity」が被請求人の登録商標である事実を表示するにすぎず、前述のように、当然のことながら本件商標の使用には該当しない。
イ 使用の時期について
乙第5号証及び乙第6号証に示される包装容器には、製造年月日として2007/10、使用期限として2012/10と印字されているところ、乙第5号証及び乙第6号証のみによっては、この商品がいつ譲渡されたかは不明である。例えば、2007年10月に製造された後、2008年1月に譲渡されたとすれば、本件審判請求の登録前3年以内の使用証拠とはならない。
以上により、乙第5号証及び乙第6号証は、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を取消請求に係る商品「人工血管」について、本件審判請求の登録前3年以内に、日本において使用していることを示すとはいえない。
(4)乙第7号証について
ア 本件商標の使用について
乙第7号証は、被請求人の人工血管には外部サポートがあるものとないものとがあることを示すところ、外部サポートがあるもののうち、補強部が本体と一体になっているものについては一部取り扱いが異なることを説明している。すなわち、「但し補強一体型ePTFE(Unity)人工血管については透析用としても使用できることが実証されています。」、「但し補強一体型ePTFE(Unity)人工血管については補強部分にも穿刺できることが実証されています。」というように、補強?体型ではない人工血管との比較において、その性質の相違を説明するためにのみ用いられているにすぎない。したがって、特定の商品の出所表示として需要者・取引者が認識するものとはいえない。
以上のように、乙第7号証は、被請求人が本件商標を取消請求に係る商品について使用していることを示す証拠とはいえない。
イ 使用の時期について
乙第7号証には制作年月日の記載がないため、乙第7号証がいつ頒布されたものかは不明である。
(5)乙第8号証及び乙第9号証について
被請求人は、乙第8号証及び乙第9号証によって、乙第4号証に掲載された商品(カタログ番号「S5008E」)1個について2011年6月29日に売上が計上されたことが証明されると主張する。
しかしながら、上述のように、カタログ番号「S5008E」の商品に商標が付してあるとは認められないことから、仮に乙第8号証及び乙第9号証によって該当商品の譲渡の事実が証明されるとしても、そのことをもって本件商標の使用の証拠とすることはできない。また、乙第8号証及び乙第9号証では1個の商品のみが「長期貸出」対象となっており、その後医療機関に納品されたとされるところ、その数量からみると試験的に譲渡したものとも思われ、本件審判請求に係る指定商品「人工血管」が継続的に販売されているかは不明である。
なお、乙第8号証及び乙第9号証には、本件商標の表示はなく、取引書類に商標を付して頒布する行為は認められない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)通常使用権者について
被請求人は、人工血管の製造・販売を事業内容とする企業であって、平成14年(2002年)11月にテルモの子会社となり、現在に至るものである(乙第1号証ないし乙第3号証)。そして、テルモは被請求人が製造する人工血管を日本国内に輸入し、販売しているところであり、これにあたっては本件商標を含む被請求人の保有する登録商標について通常使用権を有するものというべきである。
(2)本件商標の使用の証拠
ア 乙第4号証は、テルモが日本国内において発行した商品「人工血管」についてのリーフレットである。そして、乙第4号証はこれが作成された平成20年(2008年)8月ころから現在に至るまで、テルモと取引のある販売代理店及びエンドユーザーである医療機関に頒布されており、そこには本件商標と社会通念上同一と認められる「unity」及び「Unity」等の文字が付されているものである。
イ 乙第5号証は、乙第4号証に記載されているカタログ番号「S5008E」に該当する商品(以下「使用商品」という。)の外箱の写真である。外箱には本件商標と社会通念上同一と認められる「Unity」の文字が付されている。
また、乙第6号証は、使用商品の収納容器の写真である。収納容器には本件商標と社会通念上同一と認められる「UNITY」及び「Unity」の文字が付されている。
さらにまた、乙第7号証は、使用商品に同梱されている取扱説明書である。第36頁ないし第39頁が日本語による取扱説明書であって、第37頁及び第38頁には本件商標と社会通念上同一と認められる「Unity」の文字が付されている。
ウ 乙第4号証に記載されている商品「人工血管」については、予め商品を販売代理店に「預ける(貸し出す)」ビジネス形態をとっており、販売代理店からエンドユーザーである医療機関に納められて初めて売上げとなるものである。
乙第8号証は、テルモが使用商品等を販売代理店である株式会社エムシーの栃木支店に納品する(貸し出す)ことを指示した伝票(長期貸出票)である。これによれば、使用商品は平成23年(2011年)5月6日に出荷されたことがわかる。
そして、乙第9号証は、先に株式会社エムシーの栃木支店に納品された使用商品が自治医科大学附属病院に納められ、売上げがあったことを示す伝票(仕切書控)である。これによれば、平成23年(2011年)6月29日に売上げが計上されたことがわかる。
なお、乙第8号証の「ロット番号」欄と乙第9号証「摘要」欄とが、「001315358」で一致していることは商品の同一性を示すものである。
2 してみれば、本件商標の通常使用権者が、本件商標を商品「人工血管」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用していることは明らかである。
よって、請求人の主張は理由がないものであるから、本件審判請求は、成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出している乙第1号証ないし乙第9号証によれば以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、テルモのウェブページ「プレスリリース2002」であり、乙第2号証は、テルモの2002年11月18日付け「バスクテック社買収に関する手続完了のお知らせ」であるが、これらの証拠によれば「テルモが人工血管のトップメーカー英国バスクテック社(Vascutek Ltd.本社英国グラスゴー)を買収し、子会社とした」旨記載されている。
乙第3号証は、テルモの2012年1月16日印刷日の「海外事業所」のウェブページであるが、これによれば商標権者がテルモの海外事業所として掲載されている。
(2)乙第4号証は、テルモが作成した「MAXIFLO」と題する販売名「バスクテックePTFE人工血管wrapped」のリーフレットであるが、第3頁には、別掲のとおりの構成からなる使用商標が表示され、その右の「Construction」の項には、「MAXIFLO Wrap UltrathinとMAXIFLO Wrapに外部サポート付きを加えたバージョンを追加しました。外部サポートは本体と同じePTFEでできており、吻合の際に外すことはもちろんそのまま吻合することも可能です。」と記載されている。
同じく第4頁の商品一覧には、上部に「※2009年4月1日より、発注の際はコード番号を使用ください。」と記載され、形状欄には、「MAXIFLO Wrap with Unity construction(外部サポート付き)」があり、糸状のものを巻き付けた管の図形とともに、カタログ番号欄に「S5008E」、コード番号欄に「MX-S5008E」等が記載されている。同じく欄外には、「VASCUTEK、バスクテック、MAXIFLO、Unityはバスクテックリミテッドの登録商標です。」と記載されている。
同じく裏表紙には、欄外に「製造販売業者 テルモ株式会社 東京都渋谷区幡ヶ谷2-44-1」「テルモ株式会社 2008年8月」と記載されている。
(3)乙第8号証は、テルモが作成した2012年1月20日付け「長期貸出票」であるが、そこには、出荷日「2011/05/06」、施設「3083012 自治医科大学附属病院 御中」、納品先/名称「(株)エムシー 栃木支店」、住所「栃木県下野市祇園1-16-1」、商品「MX-S5008E S5008E」、ロット番号「001315358」、有効期限「2015/10/31」、数量「1」と記載されている。
(4)乙第9号証は、テルモが作成した2011年6月29日付け「仕切書控」であるが、そこには、御得意先「カ)エムシートチギシテン様」、直送先「カ)エムシートチギシテン/カワチグンミナミカワチチヨウギオン1-16-1」、品名「S5008E」、規格「MX-S5008E」、容量「1コ」、数量「1」、単価「127,575」、摘要「001315358」、備考「ジチイカダイガクフゾクHPサマ/チュウモンNO:0 3083012」、合計「127,575」等が記載されている。
2 前記1において認定した事実及び被請求人の主張を総合してみれば、以下のように判断することができる。
(1)使用者について
テルモの「プレスリリース」(乙2)及び「海外事業所」(乙3)によれば、商標権者は、テルモに係る連結子会社であり、テルモの海外事業所として営業していたことが認められる。
してみれば、両会社は、人工血管の製造・輸入において密接な関係(乙5、乙6)にあるということができ、口頭によるか黙示的であるのかは定かでないとしても、テルモは、商標権者から本件商標の使用を許諾された者、すなわち、本件商標に係る通常使用権者と認めて差し支えないものである。
(2)本件商標の使用について
ア 本件商標について
本件商標は、「UNITY」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「単一(であること)、統一、一致(団結)、共同、結束」等の意味を有する英語(研究社発行「新英和中辞典第6版」)であるから、これより「ユニティー」の称呼及び「単一」程の観念を生ずるものと認められる。
イ 使用商標について
(ア)乙第4号証の「バスクテックePTFE人工血管wrapped」のリーフレット(原物)の第3頁には、使用商標は、別掲のとおり、「unity」の文字(なお、「y」の右肩には○付きの“R”の文字が表示されている。)と「Construction」の文字を2段に表してなるところ、上段の灰色の極太の書体の「unity」の文字は、下段の黒色のゴシック体の「Construction」に比べて圧倒的に大きく表してなるから、「unity」の文字部分が看者の注意を引き、構成上「unity」の文字部分が独立して商品の出所を表す識別標識として使用されていたということができる。
そして、構成中の「n」の右肩と「i」の左肩の間に小さな円形図形を配してなるところ、該円形図形は、子細にみれば左半円を青色で、右半円を赤色で葉脈様の模様を表していることが判別できる程度に、文字部分に比べ極めて小さいから、付記的なものあるいは装飾的なものとして看取されるものである。
してみれば、該円形図形部分は、独立して自他商品の識別標識として認識されるものでもなく、また「i」のドット部分は、変更が加えられて使用されることは一般に行われているところであるから、本件商標の識別性に影響を与えることはないというべきである。
この点に関して、請求人は、使用商標は、本件商標には見られない非常に識別力の高い特徴的な円図形とロゴ化された「unity」の文字及び小さく表された「Construction」の文字が一体不可分に組合わされて1つのまとまりのあるデザインを構成しており、高い識別力を有している旨主張している。
しかしながら、使用商標は、その構成中の円形図形が、付記的で、装飾的な図形であること、その構成中のロゴ化された「unity」の文字と「Construction」の文字が分離して看取されること前記認定のとおりであるが、ロゴ化された「unity」の文字は、「u」と「n」の文字の縦棒を重ね合わせ、「i」のドット部分に小さい円形図形を配した「i」の文字に「t」と「y」の文字を連結してなるとしても、普通に用いられる範囲の変更とみるのが自然である。また、構成中の「Construction」の文字は、「構成、構造」を意味する英語であって、商品の品質(構造)を表示する語として一般に使用されているから、自他商品の識別標識として機能を果たさないか、乏しいものとして認識されるものである。
そうとすれば、使用商標は、その構成中の「unity」の文字部分をもって、自他商品の識別標識として機能を果たすものであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。
さらに、「unity」の末尾の「y」の右肩に付された○付き“R”の表記と第4頁目の欄外に記載された「Unityはバスクテックリミテッドの登録商標です。」を考慮すれば、使用商標は、「unity」の文字部分が商品の出所識別標識として使用されたものと理解される。
(イ)したがって、使用商標は、その構成中の「unity」が自他商品の識別標識として機能するものであるから、これに相応して「ユニティー」の称呼及び「単一」程の観念を生ずるものと認められる。
ウ 本件商標と使用商標について
本件商標と使用商標は、「UNITY」の文字綴りを同じくし、これより生ずる「ユニティー」の称呼及び「単一」の観念を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
(3)本件商標の使用商品、使用時期等について
ア 乙第8号証の「長期貸出票」と乙第9号証の「仕切書控」とは、以下の点において共通にするものである。
ロット番号「001315358」(乙8)と摘要「001315358」(乙9)、商品「MX-S5008E S5008E」(乙8)と品名「S5008E」及び規格「MX-S5008E」(以上、乙9)、施設「3083012 自治医科大附属病院」(乙8)と備考「ジチイカダイガクフゾクHPサマ/チュウモンNO:0 3083012」(乙9)とが記載内容においてほぼ一致するものである。
してみれば、テルモは、平成2011年5月6日に使用商品を(株)エムシー栃木支店に預け、そして、要証期間内の2011年6月29日に使用商品の代金を(株)エムシー栃木支店に請求したことが認められる。
イ テルモが2008年8月に作成したリーフレット(乙4)、2012年1月20日に発行した「長期貸出票」(乙8)及び2011年6月29日発行した「仕切書控」(乙9)は、「S5008E」及び「MX-S5008E」(乙4では「S5008E」をカタログ番号、「MX-S5008E」を「コード番号」と称し、乙第8号証ではこれらをまとめて「商品」と称し、乙第9号証では「S5008E」を「品名」、「MX-S5008E」を「規格」と称している。)を共通にしている。
また、リーフレット(乙4)の第4頁には、「2009年4月1日より、発注の際はコード番号を使用してください。」との記載があり、「長期貸出票」(乙8)及び「仕切書控」(乙9)には、当該コード番号「MX-S5008E」が記載されていることから、当該リーフレットは、取引者、需要者へ頒布され、2008年8月以降2011年6月29日まで使用商品の取引において、有効に使用されていたものと推認される。
ウ 小括
以上のとおりであるから、通常使用権者は、使用商品を掲載したリーフレットに本件商標と社会通念上同一の使用商標を付して、要証期間内である2011年6月29日まで使用商品の広告に使用をしていたものと推認される。
(4)そうとすると、通常使用権者は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用商品の広告において使用をしたものであって、これは、商標法第2条第3項第8号に規定される商標の使用行為ということができる。
(5)してみれば、通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用を請求に係る指定商品について使用をしていたというべきである。
4 まとめ
してみると、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、請求に係る指定商品「人工血管」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(使用商標)(色彩については乙4の第3頁目参照のこと)


審理終結日 2012-05-08 
結審通知日 2012-05-11 
審決日 2012-05-24 
出願番号 商願2004-101111(T2004-101111) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 大橋 良成
田中 亨子
登録日 2005-09-22 
登録番号 商標登録第4896194号の2(T4896194-2) 
商標の称呼 ユニティー 
代理人 竹内 耕三 
代理人 森田 俊雄 
代理人 深見 久郎 
代理人 高田 修治 
代理人 向口 浩二 

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