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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X25 |
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管理番号 | 1264352 |
審判番号 | 不服2012-2341 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-01-18 |
確定日 | 2012-09-18 |
事件の表示 | 商願2011- 14604拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「ガリッ止ソール」の文字を横書きしてなり、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として、平成23年2月16日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4906900号商標(以下「引用商標1」という。)は、「GARIT」の文字を横書きしてなり、平成17年5月13日に登録出願、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,乗馬靴」を指定商品として、同年11月4日に設定登録されているものである。 (2)登録第4943564号商標(以下「引用商標2」という。)は、「GaritSole」の文字を横書きしてなり、平成17年10月17日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同18年4月7日に設定登録されているものである。 なお、これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。 3 当審の判断 (1)本願商標と引用商標2との類否について 本願商標は、前記1のとおり、「ガリッ止ソール」の文字からなるところ、その構成中、「ガリッ」の片仮名は、「堅いものを歯に強く力を入れてかむときの音を表す語。堅い物をこすったり、引っかいたりしたときの音を表す語。」を意味する副詞「がりっ(と)」を看取させるものであり、「止」の漢字は、「とまる。とめる。やめる。」の意味で親しまれる漢字であり、「ソール」の片仮名は、「足・靴などの底。」を意味する語としてそれぞれ理解されるものである(いずれも語意は「大辞泉」株式会社小学館)。 そして、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく一連に書されてなり、該構成文字に相応して生じる「ガリットソール」の称呼も格別冗長というものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。 そうすると、該構成文字は、全体として一種の造語として看取されるものであって、殊更に、その構成中の各々の文字部分を捨象した称呼を生ずるものではなく、また、それをもって取引に資されなければならない特段の事情は見いだすことができない。 してみれば、本願商標は、その構成文字全体から「ガリットソール」の称呼を生ずるものであって、「ガリット」のみの称呼は生じないというべきである。 また、本願商標は、特定の意味合いを有するものではないから、特定の観念は生じないものである。 引用商標2は「GaritSole」の欧文字を横書きしてなり、その構成中「Garit」の文字部分は、特定の意味合いを有する語ではなく、「Sole」の文字部分は、「足の裏。靴底。」程の意味で親しまれる英語であるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく一連に書されてなり、該構成文字に相応して生じる「ガリットソール」の称呼も無理なく自然に称呼し得るものである。 そうとすれば、該文字全体は、一種の造語として看取されるものであって、殊更に、その構成中の各々の文字部分を捨象した称呼を生ずるものではなく、また、それをもって取引に資されなければならない特段の事情は見いだすことができない。 してみれば、引用商標2は、その構成全体から「ガリットソール」の称呼を生ずるものであって、「ガリット」のみの称呼は生じないというべきである。 また、引用商標2は、特定の意味合いを有するものではないから、特定の観念は生じないものである。 そこで、本願商標と引用商標2を比較すると、両者は、外観において相違し、また、観念については、共に造語であり、特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 しかしながら、称呼については、両者は「ガリットソール」の称呼を共通にする称呼上類似する商標である。 してみれば、本願商標と引用商標2は、たとえ、外観において相違しているとしても、観念については比較することができないものであって、その差異はないといえるものである。そして、これらが称呼の同一性を凌駕するものというほどに印象的な違いを有しているともいえず、かつ、両商標に係る取引の実情等において、商品の出所の混同を生ずるおそれはないとみるべき特段の事情が存するものとも認められないことから、互いに称呼を共通にする類似の商標というべきである。 また、本願の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品である。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、「本願商標の最も印象的な『止』の漢字は『シ』『ト・まる』『ト・める』との読みがある。『ト』との呼称はいずれも『ト・まる、ト・める』との送り仮名を必要とし、『止』一文字だけ表記される場合、通常『シ』と読み、『ト』と読む場合は極めて少ない。本願商標を自然に呼称するならば、『止』とは『ガリッ』と合わさることで、地面をガリガリ引っ掻いて止まる観念を生じさせるが、特に発音しない語と考え、『ガリッソール」と称呼する。」旨主張する。 しかしながら、「止まる」「止める」の語は、一般に親しまれている語であることから、これに接する取引者、需要者をして、「止」の文字部分を「ト」と発音することは自然であるというべきであり、また、上記(1)アのとおり、構成中の「ガリッ」の部分は、助詞「と」を続けて「ガリッと」と用いられることが普通であることも考え合わせれば、「止」の文字部分を「ト」と称呼するものというのが相当であるから、該文字を「シ」と称呼し、「ト」と称呼する場合は極めて少ないということはできない。 そして、本願商標を構成する、ほかの文字と同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく一連に書されてなる文字の一つである「止」の文字のみを称呼しないとする特段の事情は認め難いものである。 そうとすれば、本願商標は、その構成文字に相応して「ガリットソール」の称呼を生じるものであるから、請求人の主張を採用することはできない。 イ 請求人は、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された」場合に、商品の出所につき誤認を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきところ、その商標が、外観、観念、称呼等によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、その商品の外観、観念、称呼の類似は、出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、右三点のうち、その一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって、商品の出所に誤認混同を来たすおそれの認め難いものについては、これを類似商標と解すべきではない(昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集二二巻二号399頁)」と説示している最高裁判決を引用して本願商標と引用商標は互いに類似しない商標である旨主張する。 しかしながら、一方で、商標法第4条第1項第11号の適用に関して、「商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。」(東京高裁 平成11年(行ケ)第422号 平成12年6月13日判決言渡)との判示がなされているものである。 そうすると、上記(1)のとおり、本願商標と引用商標2とは、少なくとも称呼を共通にする称呼上類似の商標であるから、当該指定商品について商品の出所の混同のおそれはないとするべき特別の事情が存在すると認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。 そして、請求人の主張を検討するも、本願商標に係る商品について出所混同のおそれはないとするべき特殊な商取引の実情といった特別の事情が存在するとは認められないものであるから、請求人の主張を採用することはできない。 ウ 請求人は、過去の判決例、審決例等を挙げて、本願も同様に判断して商標登録されるべき旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、過去の判決例、審決例等の判断に拘束されることなく、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、本件の事案に即して本願商標と引用商標との対比により、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の判決例、審決例等の判断に拘束されるものではないから、請求人の主張を採用することはできない。 エ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。 (3)まとめ 以上によれば、本願商標が同法第4条第1項第11号に該当するものであるとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであるから、これを取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2012-07-05 |
結審通知日 | 2012-07-13 |
審決日 | 2012-07-24 |
出願番号 | 商願2011-14604(T2011-14604) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(X25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野口 智代、岩本 和雄 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
高橋 謙司 井出 英一郎 |
商標の称呼 | ガリットソール、ガリットメソール、ガリット、ガリットメ |