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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X05
管理番号 1264275 
審判番号 取消2011-301045 
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-11-16 
確定日 2012-09-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第1367706号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1367706号商標の指定商品中の第5類「薬剤」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1367706号商標(以下「本件商標」という。)は、「アビチーム」の片仮名と「AVIZYM」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和40年5月17日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同53年12月22日に設定登録され、その後、平成元年1月27日、同11年1月19日及び同20年12月16日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同21年7月22日に指定商品を第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判の予告登録は、平成23年12月1日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第5類「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁の理由
ア 本件商標の不使用
被請求人は、飼料会社向けに生菌剤(アビチーム AVIZYM)を製造販売する計画を有していることの証拠方法として、野外試験計画書(乙第1号証)を提出している。
被講求人の主張は、現段階では社団法人日本科学飼料協会科学飼料研究センター(以下「日本科学飼料協会」という。)において、野外試験、調査及び製品の比較試験等を行っており、野外試験計画書書類の日本科学飼料協会への交付は、本件商標を付した取引書類の頒布行為(商標法第2条第3項第8号)に当たるし、日本科学飼料協会は、「アビチーム AVIZYM」を商標権者の商品の名称として認識しているというものである。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証は、商標権者の社内資料と認められ、当然のことながら商品売買に関する情報(価格、数量、納期等)は記載されていないから、これが「取引書類」といえるものでないことは明らかである。
また、乙各号証のいずれをみても、(アビチーム AVIZYM)が製造販売予定商品の商標である旨の記載はなく、かえって既存製品「ビオスリー」がかぎ括弧書きで示されているのに対し、(アビチーム AVIZYM)は丸括弧書きで表示されていることから、試験対象生菌剤の仮の名称として使用されているにすぎないものと推察される。
さらに、商標権者は、本件商標を付した商品を製造等していないのであるから、日本科学飼料協会が乙各号証中の(アビチーム AVIZYM)を商品の名称と認識することはあり得ない。
以上のとおり、乙各号証は、本件商標の商品「薬剤」についての使用事実を証明するものではないから、商標権者が本件商標を使用しているとの被請求人の主張は事実に反する。
不使用についての正当な理由の不存在
被請求人は、本件商標の不使用について、商標権者の責めに帰すことができない事情があり、不使用を理由に商標登録を取り消すことが社会通念上商標権者に酷であるような場合に該当するから、本件商標の登録の取消しを免れる旨主張する。
しかしながら、被請求人の主張する理由は、商標権者の内部事情にすぎず、使用できなかったことが真にやむを得ないと認められる特別な事情がある場合に該当しない。
例えば、平成14年(行ケ)第50号、平成14年(行ケ)第67号の審決取消訴訟判決において、東京高等裁判所は、「原告は、まず、企業の内部において商標の使用の準備がされている場合には、商標法第50条2項ただし書き所定の正当理由がある旨主張するが、例えば、商標権者において商標の使用の準備を進めていたにもかかわらず、商標権者の責に帰することのできない特別の事情により現実の使用に至らなかったなどの事実関係が、具体的に主張立証されるのであれば格別、単に商標の使用の準備が進められていたという事実のみから、上記正当理由を認めることはできない。」と判示した。また、平成19年(行ケ)第10227号、平成19年(行ケ)第10228号の審決取消訴訟判決において、知的財産高等裁判所は、「(1)『法所定の正当な理由があること』とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動による事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下『商標権者等』という)。の責めに帰すことができない事由(以下、『不可抗力等の事由』という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務に使用することができなかった場合をいうと解するのが相当である。(2)そして、法所定の正当な理由は、登録商標の不使用を正当化し、当該不使用による商標登録の取消しを免れるための事由であるから、不可抗力等の事由の発生と登録商標の不使用との間には、因果関係が存在することを要するものと解すべきである。」と判示した。
本件商標は、昭和53年に商標権の設定登録を受けたものであること、乙各号証の示す事実は、仮にこれらを本件商標の使用準備をうかがわせる事実としても、すべて商標権者の内部事情あるいは自己都合による事情にすぎず、不可抗力等の事由とはいい難いこと、さらに、当然のことながら、不可抗力等の事由と登録商標の不使用との間の因果関係も存在しないことから、被請求人の主張する事実は、本件商標が不使用であることの正当な理由とはいえないことは明らかである。
また、被請求人は、本件登録が取り消されると今までの開発費等が無駄となり多大な損害が発生すると主張するが、乙各号証から所論の損害発生を裏付ける事情はうかがわれない。
ウ むすび
以上の理由から、各乙号証は、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の日本国内における指定商品「薬剤」についての使用事実を立証するものではないこと、及び、商標権者に本件商標の不使用について正当な理由のないことを確信するものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)使用の事実
ア 商標権者は、飼料会社向けに生菌剤(アビチーム AVIZYM)の製造販売する計画を有している(乙第1号証)。そして、生菌剤が本件商標の指定商品の「薬剤」に該当することは明らかである。
イ 計画書(乙第1号証)にもあるとおり、現段階では、日本科学飼料協会において、野外試験、調査及び製品の比較試験等を行っている。具体的には、生菌剤(アビチーム AVIZYM)を飼料添加した場合の哺乳期子豚の発育、飼料効率及び健康状態等に及ぼす影響を試験している。この中で、「アビチーム AVIZYM」と具体的に記載された、野外試験計画書書類を日本科学飼料協会に交付している。したがって、日本科学飼料協会は、「アビチーム AVIZYM」を商標権者の商品の名称として認識しているといえる。
商標法第2条第3項第8号によると、使用の意義として、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」が挙げられている。上記のような商標権者の日本科学飼料協会に対する野外試験計画書書類の交付は、本件商標を付した取引書類を同協会に頒布するものといえる。したがって、商標法第2条第3項第8号に該当し、商標権者は、本件商標を使用するものである。
(2)商標法第50条第2項ただし書き「正当な理由」の存在
ア 仮に本件商標の使用が商標法第2条第3項の使用に該当しないとしても、本件においては、「正当の理由」があるので、取消しを免れる。
イ 正当な理由の意義
正当な理由とは、「登録商標を使用してないことについて当該商標権者の責めに帰することのできないやむを得ない事情があり、不使用を理由に当該商標登録を取り消すことが、社会通念上商標権者に酷であるような場合」をいうものと解されている(東京高裁平成9年10月16日判決、知財高裁平成17年12月20日判決)。
例えば、「審判請求がされることを知る前から当該登録商標について、具体的な使用計画や準備(例えば、当該商標を商品に付する契約を第三者と締結しているような場合、当該商標を付した商品の広告を作成していたり、その作成を第三者に依頼していたような場合、当該商標を商品に付して使用することの意思決定が明確になされているような場合等)があり、これに基づいて使用をしたものである場合や審判請求前3月以内の使用ではあるが審判請求がされることを知る前から継続して使用しているものである場合」が考えられる(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説[第17版]」1352頁)。
ウ 「責めに帰すことができない」事情の存在
商標権者は、もともと生菌剤に使用するつもりで本件商標を登録し、更新を続けてきた。「アビチーム AVIZYM」と具体的に記載された、野外試験計画書書類等を日本科学飼料協会に交付し、試験等も委託しており、同協会も「アビチーム AVIZYM」を商標権者の商品の名称として認識し、以下の事実がある。
(ア)2011年10月4日付け「東亜薬品工業(株)飼料部」発行の「生菌剤(アビチーム AVIZYM)の野外試験計画」(乙第1号証)
(イ)2011年10月11日付け「東亜薬品工業(株)飼料部」発行の「生菌剤(アビチーム AVIZYM)野外試験調査項目(生産性・細菌検査)」(乙第2号証)
(ウ)2011年11月10日付け日本科学飼料協会の見積書(23科飼協第544-2号)(乙第3号証)
(エ)2011年11月10日付け日本科学飼料協会の見積書(23科飼協第543-3号)(乙第4号証)
生菌剤が実際に商品になるには、試験検査等を繰り返す必要があり、時間がかかるのが通常である。商標権者も、上記のように試験等を重ね、商品化するように努力しており、試験を委託する段階にまで達することになった。
このように、商標権者は、本件商標を付した商品を販売するまで、あと一歩のところまでたどり着いている。
以上から考えると、商標権者が本件商標を使用できなかったことについては、商標権者の「責めに帰すことができない」事情がある。
エ 「社会通念上商標権者に酷であるような場合」に該当する本件商標権者は、健康が腸内の益生菌によってつくられるとの理念の下、益生菌の研究開発を通して、プロバイオティクスの市場を創造し、健康・症状に合わせた様々な商品を製造販売する会社である。今後の状況を勘案しながら商品化に向けて開発を行っており、実際に試験、調査等、販売に向けた具体的な準備をしている。商標権者としては、本件商標を使用しているとの認識であり、万一登録が取り消されると今までの開発費等が無駄になり多大な損害が発生する。
オ 以上より、商標権者には、本件商標を使用しないことについて、正当な理由がある。

4 当審の判断
(1)使用の事実について
ア 商標法第50条第1項による商標登録の取消しの審判の請求があったときは、同条第2項本文は、「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定しているところ、被請求人は、飼料会社向けに生菌剤(アビチーム AVIZYM)の製造販売を計画している旨主張し、乙第1号証ないし乙第4号証を提出する。そこで、以下検討する。
(ア)乙第1号証ないし乙第4号証によれば、商標権者は、2011年(平成23年)10月4日付けで「生菌剤(アビチーム AVIZYM)の野外試験計画」(乙第1号証)を作成し、これに基づき、同月11日付けで「生菌剤(アビチーム AVIZYM)野外試験調査項目(生産性・細菌検査)」(乙第2号証)を作成したこと、そして、上記「生菌剤(アビチーム AVIZYM)の野外試験計画」には、「諸言:新たに飼料会社向けに生菌剤の製造販売事業を開始することとなった。これに対応し生菌剤(アビチーム AVIZYM)のを評価し結果によりわが社で製造販売することとした。同時にわが社製品の『ビオスリー』と生菌剤(アビチーム AVIZYM)との比較試験を行う。」と記載されており、また、「野外試験の概要」の項目には、「試験場所(社)日本科学飼料協会 科学飼料研究センター」と、「試験概要」として、「ブロイラー」について「試験開始 2012年1月20日スタート 3月9日終了。」と、「離乳豚」について「試験開始 2012年1月19日25日スタート 3月25日終了。」と、それぞれ記載され、さらに、「野外試験の費用」の項目には、「ブロイラー 試験委託費 2,698,500円」、「離乳子豚 同 4,002,600円」と記載されていること、一方、日本科学飼料協会が平成23年11月10日付けで商標権者にあてた「飼料への生菌剤(アビチーム AVIZYM)の添加が哺乳子豚の発育等に及ぼす影響について」(乙第3号証)及び「飼料への生菌剤(アビチーム AVIZYM)の添加がブロイラーの発育等に及ぼす影響について」(乙第4号証)の試験に関する見積書には、前者が試験費と消費税との合計が「4,002,600円」と、後者が試験費と消費税との合計が「2,698,500円」と、それぞれ記載されていることを認めることができ、これらから、商標権者は、生菌剤の製造販売を計画していることをうかがうことができる。
しかしながら、被請求人は、上記のとおり、生菌剤の野外試験計画書及び試験を委託された日本科学飼料協会作成に係る試験委託費の見積書を提出するのみで、本件審判の請求の登録(平成23年12月1日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)のいずれかが本件商標を請求に係る指定商品「薬剤」について使用している事実を明らかにする的確な証拠を何ら提出していない。
(イ)上記(ア)に関し、被請求人は、商標権者が日本科学飼料協会に野外試験計画書書類を交付する行為は、本件商標を付した取引書類を同協会に頒布するものであるから、商標法第2条第3項第8号に該当し、商標権者は、本件商標を使用するものである旨主張する。
しかし、商標法第50条の適用上、「商品」とは、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物をいうものと解されるところ(平成12年(行ケ)109号判決参照)、本件において、商品「生菌剤」が市場において商取引の対象として流通に供されていたことを示す証拠はない。また、上記生菌剤が市場において商取引の対象として流通に供されていなかった以上、会社内の内部文書にすぎない生菌剤の野外試験計画書が日本科学飼料協会に交付されたことをもって、現実の具体的な商品の取引に関して作成された取引書類が日本科学飼料協会に頒布されたということもできない。
したがって、生菌剤の野外試験計画書は、商標法第2条第3項第8号にいう「取引書類」に該当しないものであり、本件商標が、商取引の実際において、生菌剤について、商品の出所識別機能を果たすものとして使用されたことを示すものということはできないから、被請求人の上記主張は、前提を欠くものであり、理由がない。
イ 以上によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその請求に係る指定商品について使用していなかったものというべきである。
(2)不使用についての正当な理由について
被請求人は、仮に本件商標の使用が商標法第2条第3項の使用に該当しないとしても、本件商標の不使用につき「正当の理由」があるから、本件商標の登録の取消しを免れる旨主張し、さらに、その「正当の理由」として、商標権者は、もともと生菌剤に使用するつもりで本件商標を登録し、更新を続けてきたところ、生菌剤が実際に商品になるには、試験検査等を繰り返す必要があり、時間がかかるのが通常であり、商標権者も、試験等を重ね、商品化するように努力しており、試験を委託する段階にまで達し、本件商標を付した商品を販売するまで、あと一歩のところまでたどり着いているのであるから、商標権者が本件商標を使用できなかったことについては、商標権者の「責めに帰すことができない」事情がある旨主張する。
しかし、商標法第50条第2項ただし書にいう「正当な理由」とは、その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって工場等が損壊した結果その使用ができなかった場合、時限立法によって一定期間その商標の使用が禁止されたような場合等(工業所有権(産業財産権法)逐条解説〔第18版〕参照)、商標権者等の責に帰すことができない事由が発生したために、商標権者等が登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうものと解されるところ、被請求人は、上記のような特別の事情があり、商標の使用に至らなかった事実関係を具体的に何ら立証しておらず、生菌剤の商品化には、試験検査等を繰り返す必要があり、時間を要するのが通常である旨述べるのみである。しかも、本件商標は、前記1のとおり、今からおよそ30年以上前の昭和53年12月22日に設定登録されたものであって、仮に生菌剤の商品化をするについて、その試験検査等を繰り返す必要があるとしても、約30年以上もの間、試験検査等を繰り返したとは、取引の実情や社会通念に照らしても到底考えることができないばかりか、本件審判の請求の登録日(平成23年12月1日)のわずか1ないし2か月程前に作成された生菌剤の野外試験計画書及び試験を委託された日本科学飼料協会の試験委託費の見積書である乙第1号証ないし乙第4号証以外に、生菌剤の試験検査等を繰り返したと認めることができる具体的な証拠は一切提出されていない。そうすると、上記理由をもって、本件商標の不使用について商標権者の責に帰すことができない事由があったと認めることは到底できない。
また、被請求人は、「社会通念上商標権者に酷であるような場合」に該当する本件商標権者は、今後の状況を勘案しながら商品化に向けて開発を行っており、実際に試験、調査等、販売に向けた具体的な準備をしており、商標権者としては、本件商標を使用しているとの認識であり、万一登録が取り消されると今までの開発費等が無駄になり多大な損害が発生するとも主張する。
しかし、本件においては、商標権者の責めに帰することができないやむを得ない事情があり、不使用を理由に本件商標を取り消すことが社会通念上酷であるような場合に当たらないことは上記のとおりであり、また、被請求人は、商標権者が実際に生菌剤の試験、調査等、販売に向けた具体的な準備をしていると認めるに足りる具体的な証拠は一切提出していないばかりか、それに要した開発費等についても何ら具体的な証拠を提出していない。そして、乙第1号証ないし乙第4号証は、単に生菌剤の野外試験計画書及び試験を委託された日本科学飼料協会の試験委託費の見積書であるから、これらをもって、多大な費用がかかっているものということはできない。
したがって、被請求人による上記主張は、いずれも理由がなく、商標権者が本件商標の使用をしていないことについて、正当な理由があったものと認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「薬剤」について、本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできず、また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第5類「薬剤」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-07-17 
結審通知日 2012-07-19 
審決日 2012-07-31 
出願番号 商願昭40-21963 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X05)
最終処分 成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 1978-12-22 
登録番号 商標登録第1367706号(T1367706) 
商標の称呼 アビチーム、アビ、アビジム、アビザイム 
代理人 岡村 信一 
代理人 資延 由利子 
代理人 庄司 隆 
代理人 曽我 亜紀 
代理人 小林 十四雄 
代理人 大杉 卓也 

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