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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
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管理番号 1263136 
異議申立番号 異議2011-900039 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-02-04 
確定日 2012-09-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5374140号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5374140号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5374140号商標(以下「本件商標」という。)は、「Globe-Trotter」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年7月28日に登録出願、第16類「印刷物」を指定商品として、同年10月25日に登録査定、同年12月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第55号証(枝番号を含む。)及び参考資料1ないし8を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人は、英国のGLOBE-TROTTER SUITCASE LTD(以下「グローブ・トロッター社」という。)を傘下とする企業である。 グローブ・トロッター社は、1897年に創業し、英国はもとより、日本を含む世界中において、旅行用スーツケースのメーカーとして著名であり、そのスーツケースに付した「GLOBE-TROTTER」の文字からなる商標及び該文字を含む別掲のとおりの構成からなる商標(以下、これらを合わせて「GLOBE-TROTTER商標」という。)は、周知・著名である。
したがって、本件商標を旅行用スーツケースと関係の深い商品である旅行用品に関する雑誌やカタログに使用するときは、該商品がグローブ・トロッター社若しくは申立人又は両者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第8号について
「GLOBE-TROTTER」は、日本はもとより、英国及び世界的にも有名なグローブ・トロッター社の著名な略称でもある。
本件商標は、グローブ・トロッター社の著名な略称と同一又は類似するものであって、かつ、グローブ・トロッター社又は申立人の承諾を得ていない。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
グローブ・トロッター社は、英国はもとより、日本及び世界的にも有名な旅行用スーツケースのメーカーであり、そのスーツケースに付したGLOBE-TROTTER商標は、周知・著名である。
本件商標は、GLOBE-TROTTER商標に類似する商標であり、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、グローブ・トロッター社又は申立人の承諾を得ることなく、本件商標を登録出願し登録を受けたものであって、本件商標の指定商品との関係からしても、GLOBE-TROTTER商標の存在を知らなかったとは考えがたく、GLOBE-TROTTER商標に化体した信用を無断で盗用し、不当に利用しようとするものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について登録しようとする行為は、国際商取引、国際信義、ひいては公序良俗に反するものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)「グローブ・トロッター」の略称及びGLOBE-TROTTER商標の著名性について
ア 申立人提出の証拠によれば次のとおり認めることができる。
(ア)グローブ・トロッター社は、1897年に創業した旅行用スーツケース(以下「申立人商品」という場合もある。)の製造・販売を業とする英国の企業であり、2001年11月に、申立人の100%子会社となり、その後、資本比率は変わったが申立人の傘下にある。
(イ)申立人商品は、我が国において、2002年11月10日に発行された「男の一流品大図鑑2003年版」に、「GLOBE-TROTTER」「グローブ・トロッター」の表示と共に紹介され、その後、「世界の一流品大図鑑2003年版」(2003年4月22日発行)、同2006年版(2006年4月22日発行)、同’08?’09年版(2008年4月21日発行)、同’10?’11年版(2010年4月20日発行)においても同様の表示と共に紹介された(甲19-1?4、甲20)
また、グローブ・トロッター社のスーツケース発売の記事が掲載された2007年11月の朝日新聞、日本経済新聞、日経産業新聞、日本繊維新聞、読売新聞を含む本件商標の登録出願前に発行された申立人商品に関する新聞記事には、「英旅行かばん会社のしにせ『グローブ・トロッター』」(甲8)、「英老舗旅行かばんメーカー、グローブ・トロッター」(甲9)、「英国の老舗旅行かばんメーカー、グローブ・トロッターが・・・」(甲10)「英国の老舗、グローブ・トロッター社が・・・」(甲11)、「イギリスの老舗旅行かばんブランド『グローブ・トロッター』」(甲12)、「ブランド名 グローブ・トロッター」(甲13)、「100年以上の歴史を誇るグローブ・トロッターが創業当時から使う・・・」(甲14)、「英国のスーツケースメーカー『グローブ・トロッター』」(甲15)、「英国の老舗かばんブランド『グローブ・トロッター』」(甲16)、「英国の高級旅行カバンブランド『グローブ・トロッター』」(甲17)、「スーツケース作りなら英国の老舗(しにせ)グローブ・トロッター\グローブ・トロッターのスーツケースは1897年創業以来、軽くて堅固と評判だ。」(甲18)の記載がある。
さらに、2008年3月から2010年9月頃にかけて発行されたサンデー毎日、SEVENSEAS、家庭画報、MEN’S Precious、サライ、VOGUE、uomo、THE NIKKEI MAGAZINE、mono、LEON、Grazia、FUDGE、REAL DESIGN、Beginなどのファッション誌あるいは情報誌等において、申立人商品が掲載され、申立人商品及びグローブ・トロッター社について、「英国伝統のクラシックなトラベルケースとして日本でも有名な“グローブ・トロッター”は、1897年に創業された100年以上の歴史を誇る老舗のブランド。」などと紹介され、宣伝広告されている(甲21?甲40)。
(ウ)申立人商品は、本件商標の登録出願前から、英国を中心とした外国で発行された雑誌に、GLOBE-TROTTER商標と共に掲載された(甲46?甲55)。
イ 前記アによれば、GLOBE-TROTTER商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前から、我が国における旅行用スーツケースの取引者、需要者の間で広く認識されていたと認められるものである。
しかしながら、「GLOBE-TROTTER」及び「グローブ・トロッター」は、申立人に係るブランドを紹介するものとしての使用は多くあるものの、グローブ・トロッター社の略称として広く使用されていることを認めるにたる証拠は見いだせないものであるから、提出された証拠によっては、本件商標の登録出願時に、申立人の略称を表すものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 前記(1)のとおり、GLOBE-TROTTER商標は、申立人の商品を表示する商標として、本件商標の登録出願前から、我が国の旅行用スーツケースの取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
イ 本件商標は、前記第1のとおり、「Globe-Trotter」の文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「グローブトロッター」の称呼及び「世界各国を旅行する人」の意味合い(観念)を生じるものである。
一方、グローブ・トロッター社がその業務に係る旅行用スーツケースについて使用するGLOBE-TROTTER商標も、その構成(中の)文字に相応して、「グローブトロッター」の称呼及び「世界各国を旅行する人」の意味合い(観念)を生じるものである。
してみると、本件商標とGLOBE-TROTTER商標とは、その綴り文字を同じくし、「グローブトロッター」の称呼及び「世界各国を旅行する人」の意味合いを共通にする、互いに類似する商標というべきである。
ウ しかしながら、本件商標は、上記1のとおり第16類「印刷物」を指定商品とするものであり、その指定商品中には、GLOBE-TROTTER商標が使用される「旅行用スーツケース」と同一又は類似の商品は存在しない。
エ そうすると、本件商標が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国の旅行用スーツケースの取引者、需要者の間に広く認識されているGLOBE-TROTTER商標と類似する商標であるとしても、本件指定商品「印刷物」は、GLOBE-TROTTER商標が使用される商品「旅行用スーツケース」とは、非類似の商品であるといわなければならない。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 前記(1)のとおり、GLOBE-TROTTER商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願前から、我が国の旅行用スーツケースの取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、また、前記(2)のとおり、本件商標は、GLOBE-TROTTER商標と類似する商標である。
イ しかしながら、本件指定商品「印刷物」と商品「旅行用スーツケース」とは、商品の用途、原材料及び品質などが異なるばかりか、商品の生産者、流通経路、販売場所なども全く異なるものである。
ウ そうすると、本件指定商品「印刷物」と「旅行用スーツケース」とは、関連性の極めて薄いものというべきであり、加えて、「Globe-Trotter」の文字(語)が「世界各国を旅行する人」の意味を有する一般的な語であること、及び本件商標の登録出願前にGLOBE-TROTTER商標が使用されている商品が「旅行用スーツケース」に限られていることを併せ考慮すれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人商品に使用されるGLOBE-TROTTER商標及びグローブ・トロッター社を想起又は連想することはないと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、本件商標権者がこれを本件指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして該商品がグローブ・トロッター社若しくは申立人又は両者と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
なお、申立人は、旅行用品に関する雑誌やカタログが旅行用スーツケースと特に関係の深い商品であるとして、本件商標をその指定商品に使用するときは、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある旨主張している。
しかしながら、雑誌やカタログが掲載する商品は多種多様にわたるものであるから、その商品に関する雑誌やカタログがあること、あるいはその商品が雑誌やカタログに取り上げられるものであることをもって直ちに関係の深い商品であるということはできない。また、旅行用品に関する雑誌やカタログと旅行用スーツケースが、「旅行用」という括りにおいては同じものであるとしても、当該雑誌やカタログと旅行用スーツケースとでは、生産者、販売場所、その使用目的、使用方法を全く異にするものであり、これらの商品が特に関係の深い商品であるということはできない。したがって、かかる申立人の主張は採用することができない。
エ 以上のとおりであるから、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(4)商標法第4条第1項第8号について
「GLOBE-TROTTER」は、前記(1)イのとおり、グローブ・トロッター社の著名な略称とは認められないものであるから、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第8号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(5)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
前記(1)認定のとおり、GLOBE-TROTTER商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前から、我が国における旅行用スーツケースの取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、また、前記(2)イのとおり、本件商標は、GLOBE-TROTTER商標と類似する商標であるとしても、本件商標を構成する「Globe-Trotter」の語が「世界各国を旅行する人」の意味を有する一般的な語であり、誰もが商標として採択する可能性が低いものとはいえないこと、本件指定商品が、申立人商品との関連性が極めて薄い商品であることを併せ考慮すれば、本件商標権者が、GLOBE-TROTTER商標に化体した信用を無断で盗用し、同商標が有する出所識別表示機能を希釈化させたり、不正の利益を得る目的など不正の目的で使用をするものとも、また、本件商標の登録出願の経緯に、国際商取引、国際信義、公序良俗に反するものであるなど、著しく社会的妥当性を欠くものであるとも認めることができないというのが相当である。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲





別掲(GLOBE-TROTTER商標)
1


2



異議決定日 2012-08-30 
出願番号 商願2010-59258(T2010-59258) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (X16)
T 1 651・ 271- Y (X16)
T 1 651・ 25- Y (X16)
T 1 651・ 22- Y (X16)
T 1 651・ 222- Y (X16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅沼 結香子鈴木 斎 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2010-12-03 
登録番号 商標登録第5374140号(T5374140) 
権利者 株式会社ダイヤモンド・ビッグ社
商標の称呼 グローブトロッター、グローブ、トロッター 
代理人 古関 宏 
代理人 小原 英一 

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