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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない X182528
審判 全部無効 観念類似 無効としない X182528
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X182528
管理番号 1263087 
審判番号 無効2011-890076 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-09-02 
確定日 2012-09-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5383146号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5383146号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成22年1月19日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具」を指定商品として、同年12月22日に登録査定され、同23年1月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録第4868106号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成16年11月18日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を指定商品として、同17年6月3日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
2 登録第4310905号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RHYTHM」の文字を標準文字で表してなり、平成10年6月10日に登録出願、第9類「測定機械器具,写真機械器具,光学機械器具,眼鏡」、第14類「貴金属製の花瓶・水盤・宝石箱,貴金属製のがま口及び財布,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」及び第26類「ボタン類,衣服用き章(貴金属製のものを除く),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く),衣服用バックル,衣服用ブローチ,腕止め,帯留め,ボンネットピン(貴金属製のものを除く),ワッペン,腕章,頭飾品,造花(「造花」の花輪を除く)」を指定商品として、同11年9月3日に設定登録され、その後、指定商品については、商標登録の一部取消し審判により、第14類「貴金属製のがま口及び財布」及び第26類「腕止め」についての登録を取り消す旨の審決がされ、その審判の確定登録が平成23年9月26日にされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 登録第5252660号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Rhythm」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月20日に登録出願、第10類「歩行補助器,その他の医療用機械器具」及び第28類「歩行運動用補助器具,その他の運動用具」を指定商品として、同年7月31日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
4 登録第4894428号商標(以下「引用商標4」という。)は、「rhythm」の文字を書してなり、平成17年3月7日に登録出願、第25類「履物,乗馬靴」を指定商品として、同年9月16日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
以下、引用商標1ないし4をまとめていうときは「引用各商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第74号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 理由
本件商標は、引用各商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当するから、その登録は無効とされるべきである。
2 本件商標と引用各商標との類否について
(1)指定商品の同一・類似性
ア 本件商標の指定商品中第18類に係る商品について
本件商標の指定商品中第18類「かばん類,袋物」は、引用商標2に係る商品第14類「貴金属製のがま口及び財布」と、生産・販売部門、用途、需要者層等が一致し、類似群コード「21C01」が共通するから、互いに類似する。
イ 本件商標の指定商品中第25類に係る商品について
本件商標の指定商品中第25類のうち、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット」は、引用商標1に係る商品「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット」と、生産・販売部門、用途、需要者層等が一致し、類似群コード「17A01、17A02、17A04、17A07」が共通するから、互いに類似する。
また、本件商標の指定商品中第25類のうち、「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標2に係る商品第26類「腕止め」と用途、需要者層等が一致し、類似群コード「21A01」が共通するから、互いに類似する。
さらに、本件指定商品のうち、「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」は、引用商標3に係る商品、第28類「歩行運動用補助器具,その他の運動用具」、及び、引用商標4に係る商品「乗馬靴」とは、生産・販売部門、用途、需要者等が一致し、類似群コード「24C01、24C02」が共通するから、互いに類似する。
ウ 本件商標の指定商品中第28類に係る商品について
本件商標の指定商品中第28類のうち、「運動用具」は、引用商標3に係る商品第28類「歩行運動用補助器具,運動用具」と、生産・販売部門、用途、需要者層等が一致し、類似群コード「24C01」が共通するから、互いに類似する。
(2)商標の類似性
ア 外観上の類似性
(ア)本件商標と引用各商標の外観を比較すると、本件商標は、やや丸みを帯びたフォントで表された欧文字「RHYTHM」を、「RHY」及び「THM」の二つに分離し、その間に、それぞれ約1文字分のスペースを空けて十字又は四つの頂点を有する星と思しき記号(以下、単に「+記号」という。)を表してなるのに対して、引用各商標は、引用商標1が欧文字「Rhythm」を毛筆体で横書きに表すとともに該文字の「R」の左側にデフォルメした太陽の図形を表してなり、引用商標2は欧文字「RHYTHM」を標準文字で表してなり、引用商標3は欧文字「Rhythm」を標準文字で表してなり、引用商標4は欧文字「rhythm」を表してなるものである。
本件商標及び引用各商標は、大文字・小文字の別はあれど、いずれも「R」、「H」、「Y」、「T」、「H」、「M」という6文字の欧文字からなる点で共通し、当該文字列は、後述のとおり、我が国において極めて広く馴染みのあると語として知られている英単語「RHYTHM(リズム)」を表している。
本件商標の構成においては、この「RHYTHM」の語を「RHY」と「THM」の二つに分断するかのごとく「+記号」がその構成の中心に配置されているが、当該「+記号」を介しているとしても、欧文字部分が一般的に親しまれ馴染みのある「RHYTHM」を表しているとの理解を妨げるまでに二つの文字要素を分断しているということは決してできない。
また、本件商標を構成する文字部分は、同書同大で軽重の差なく該構成の左右にバランスよく配置されていることから、これに接する需要者等は、何の困難もなく、この文字列が、「R」、「H」、「Y」、「T」、「H」、「M」の順序で表されていることを把握する。
(イ)簡易・迅速が最も尊ばれる今日の取引においては、商標に対する注意は瞬時に払われることは想像に難くない。そのような状況においても、看者は一見して、本件商標が英単語「RHYTHM」を表していると把握、認識することができると考えるのが相当であり、また「+記号」の存在が、かかる認識を妨げるということも決してあり得ないから、本件商標と引用各商標は、外観上、極めて近似した印象を与え、これを時・場所を異にして離隔的に観察した場合には、需要者等はこれらが付された商品の出所について誤認混同するおそれがあるから、両商標は、外観上類似する。
イ 称呼上の類似性
(ア)本件商標は、上述したとおり、欧文字「RHYTHM」と「+記号」とを結合した構成からなるところ、該「RHYTHM」の文字は、「周期的な動き。進行の調子。律動。」等の意味合い(広辞苑第六版 甲第11号証)、あるいは単に「リズム」との意味合いを持ち、数多くの辞書、用語辞典に掲載され、日本でも極めて広く知られている英単語である(甲第12号証ないし甲第17号証)。
(イ)本件商標は、上記意味合いを有する英単語「RHYTHM」を二等分するように「+記号」が挿入された態様からなるものであり、「RHY」及び「THM」と「+記号」とは、一文字分のスペースが空けられているが、該文字要素は、何れも同書同大で軽重の差なくバランスよく左右に配置されており、その二つの文字列を結合する飾り文字のごとく「+記号」が、本件商標の中心に配置されていることから、これに接する需要者等は、無理なく英単語「RHYTHM」を表していると認識することができる。
また、上述のとおり、「RHYTHM」の語及びその意味合いは相当程度需要者等に浸透しているから、「R」、「H」、「Y」、「T」、「H」、「M」の順に表される文字列中に「+記号」が挿入されたからといって、本件商標が「リズム」と称呼されることを妨げられると考えるべき特段の事情は存在しない。
(ウ)近時、商標の有する広告宣伝機能に着目して、商品の広告、宣伝等において商標の文字表現に様々なデザインを施し、あるいは文字態様に変化を加えたレタリング技法が広く採択されていることは事実であり、他方、そのような広告、宣伝等に接する取引者、需要者も、該図案化した部分が文字を表したものと認識、把握している実情にあることを認めるにやぶさかではない。例えば、平成11年審判第35640号、不服2002-1445、不服2003-183、不服2009-17987、平成11年審判第1885号、不服2000-2422、不服2004-4969、不服2005-19586などがあり、これらの審決例は、いずれも図案化された要素を含む構成文字全体から、既成語ないし既知の語が理解され、または自然な称呼が生ずるという判断の下、その図案化された要素を含む構成全体から特定の称呼、観念が生ずると認定したものである(甲第18号証ないし甲第25号証)。
このような認定がなされるのは、一般に前後に明瞭な欧文字が表示されている場合には、これに接する看者は、先ず、前後の文字を含めた文字全体を読もう(称呼しよう)とするものであり、かつ、それらの文字よりなる単語(文字列)が想起されるとき、又は存在するとき等は、なおのことこのような思考過程を踏むと考えるのがごく自然だからである。
他方、需要者等は、新しい語ないし不知の語に接した場合には、自らの記憶にある何れかの語との共通性を見出そうとし、その記憶に基づいて当該新しい語又は不知の語の称呼、観念等を理解しようとする傾向にある。
そうすると、一部に図案化された要素を含む商標について、当該図案化された要素を含めた文字列から既成語ないし既知の語を把握、認識できないものの、当該図案化された要素を除いた文字列から既知の、特定の語を理解できるのであれば、需要者等は、当該図案化された要素を除いた文字列を契機として数ある商品群の中から自らが欲する特定の商品を選択し、当該文字列から生ずる称呼、観念等を以って取引に当たるとするのが相当である。
(エ)本件商標については、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであり、「+記号」の部分から特定の称呼、観念が生ずるとは考えられない。
仮に、当該「+記号」が「+(プラス)を表示するものと認識されたとしても、何れかの欧文字に代替する文字として用いられることは通常考えられないし、「+記号」を含んだ本件商標の構成全体から特定の観念を生じさせないことも明らかであるから、「+記号」を常に文字列と一体視すべき事情は一切存在しない。
かかる状況の下、平均的な注意力を有する需要者等が、本件商標を見て、広く一般に知られている「リズム;律動」との称呼、観念を把握、理解しない可能性は皆無といって過言ではなく、「+記号」を含んだ構成全体から、ある特定の称呼が生じ、需要者等は、その称呼を以って取引に当たると考えること自体、実際の取引の実情から乖離した極めて非現実的かつ不自然な物の見方であり、全く現実の取引に即さないことは火を見るよりも明らかである。
なお、万が一にも、本件商標中の「+記号」が他の文字と一体と認識される場合があったとしても、「一個の商標から二個以上の称呼、観念を生ずることがあるのは、経験則の教えるところであり」(最判昭和38年12月5日、甲第26号証)、このことが本件商標から「リズム」という称呼が生ずることを否定することにはならず、上述のとおり、我が国の需要者等は本件商標を、第一次的には「リズム」と称呼すると考えるのが相当である。
(オ)ある文字列からなる商標について図形的要素(図案化された記号、文字)が含まれている場合、当該図形的要素が特定の文字を代替して用いられていると容易に理解できるのであれば、当該図形的要素を含む構成全体から一連の称呼が生ずることを認めるにやぶさかではないが、当該図形的要素が特定の文字に代替するものとして用いられているのではなく、当該図形的要素を除いた文字列がある成語を構成することが容易に把握、認識できる場合には、当該図形的要素を除いた文字列から生ずる称呼、観念を以って取引に資されることは、取引の経験則上明らかであって、審決例、決定例が示すところである(甲第27号証ないし甲第31号証)。
(カ)以上からすれば、本件商標から、「RHY」及び「THM」の文字列に相応して、「リズム」との称呼が生ずることは、火を見るよりも明らかなことであって、これに疑念を挟む余地はない。
他方、引用各商標からも「リズム」との称呼が生ずるのであるから、本件商標と引用各商標は、「リズム」という称呼が生ずる点で共通することは明らかであって、両商標は、称呼上同一の商標である。
ウ 観念上の類似性
本件商標については、上述のとおり、「+記号」の部分が前後の「RHY」及び「THM」を連結させるための飾り文字として理解されるから、文字列「RHYTHM」に相応して、「周期的な動き。進行の調子。律動。」程度の意味合いをもって把握、認識されるものである。
他方、引用各商標についても、何れも「RHYTHM(Rhythm)」の文字列からなるから、同様に「周期的な動き。進行の調子。律動。」程度の意味合いが生ずる。
してみれば、本件商標及び引用各商標は、観念においても共通することは明らかであるから、本件商標とこれらの商標は、観念上も同一の商標である。
(3)取引の実情
ア 引用各商標は、請求人がオーストラリアをベースとし、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダを中心に世界的に展開する、サーフウェアその他のサーフィン関連製品のブランドである。
我が国においても、請求人は、代理店株式会社マニューバーラインを通じてRhythmブランドを展開し、その極めて優れたデザイン性から、我が国においても熱狂的な人気を誇っており、我が国のサーフィン関連製品を取り扱う販売店でも当該ブランド製品が度々取り扱われ、そのウェブサイトで紹介されている(甲第32号証ないし甲第41号証)。
イ また、当該ブランド製品は、サーフィン・スケートボード・スノーボードなどのボードカルチャーと、ストリートカジュアル・セレクト系のファッションを中心に構成されたビジネス展示会「INTERSTYLE2010」(2010年9月1日、2日にパシフィコ横浜で開催)及び「INTERSYTLE FEBRUARY2011」(2011年2月15日から15日にパシフィコ横浜で開催)に出展された(甲第42号証及び甲第43号証)。なお、請求人の「Rhythm」ブランド製品は、2010年1月から同年12月の間に1240万円の売上を計上している。
これらの事実からも、本件指定商品等に含まれるサーフウェアないしサーフアパレル製品の分野において、我が国でも、請求人の「rhythm」ブランドが、需要者等の間で広く認識されているといえる。
ウ かかる状況の下、請求人が展開するブランドと同一の称呼、観念が生ずる本件商標が付された商品が市場に流通した場合、需要者をして、その出所について誤認混同を生じさせることは明らかであり、これを放置すると、請求人の業務上の信用が害されるばかりでなく、需要者の利益も損なわれることとなりかねない。
(4)請求人の「Rhythm」関連商標の外国における登録状況
請求人は、全世界的に、自らの「リズムブランド」を展開しており、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、中国、EU、ニュージーランド、ドイツ等の各国において、多数の商標登録を行っている(甲第44号証ないし甲第59号証)。
このように、請求人は、世界各国において自らの「Rhythm」商標を登録し、当該ブランドを展開している。その結果、これらの国においても、Rhythmブランドは、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く知られるに至っている。
(5)小括
以上のように、本件商標は、外観・称呼・観念のいずれにおいても、引用各商標と共通点を有する類似の商標であり、本件指定商品等の取引実情にかんがみると、引用各商標との間で誤認混同が生ずるおそれが高い商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかであるから、その登録は無効とされるべきである。
4 弁駁の理由
(1)本件審判請求について請求人に法的利害関係がないとする主張への反論
ア 被請求人は、引用商標2ないし4は請求人の所有に係る商標ではなく、これに基づく本件審判請求については、請求人に法的利害関係がない旨主張する。
しかしながら、以下に述べるとおり、被請求人の主張は失当である。
イ 請求人は、商願2010-35915及び商願2010-38018(以下これらに係る商標を「請求人商標」という。)の出願人である(甲第60号証及び甲第61号証)。
請求人商標に係る出願に対しては、本件商標並びに引用商標2ないし4他に類似することを理由に拒絶理由が通知されている(甲第62号証及び甲第63号証)。
請求人が、請求人商標の登録を得、これに係る商標権を安定して維持するためには、請求人商標と類似すると考えられる本件商標登録を無効とし、その商標権を消滅させる必要がある。
よって、請求人は、引用商標2ないし4に基づいて本件商標登録を無効にするために審判請求を行うことについて、法的利害関係を有する。
なお、出願人は、引用商標3を譲り受けることについて、その名義人との間で合意し、現在、移転登録申請に必要な書類を手配中である(甲第64号証)。
ウ 以上より、引用商標2ないし4に基づいて本件審判を請求することに関し、請求人が法的利害関係を有することは明らかである。
(2)本件審判請求は権利濫用であるとする主張への反論
ア 被請求人は、「請求人は当該引用商標2には使用実績がなく、何ら保護すべき客体(業務上の信用)が存在していないこと、従ってまた出所混同のおそれがないことを十分に知りながら、既に消滅している他人の商標を引用して本件審判を請求しているのであって(中略)、引用商標2に基づく本件審判請求は権利濫用である。」旨主張する。
しかしながら、以下に述べるとおり、上記被請求人の主張は失当である。
イ 商標法は、商標登録が第46条所定の無効事由に該当するときは、過誤による商標登録を存続させておくことは本来権利として存在することができないものについて排他独占的な権利の行使を認める結果となるので妥当でないとの趣旨から、そのような商標登録を無効にすることについて請求することができる旨規定している(商標法第46条第1項)。
そして、本件商標は、後述のとおり、「リズム;律動」との称呼・観念が自然に生ずる点で、引用商標2に類似しており、本件指定商品中「かばん類,袋物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」は、引用商標2に係る「貴金属製のがま口,腕止め」と類似する。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、無効事由が存在する(商標法第46条第1項第1号)。
ウ 被請求人は、請求人が引用商標2に対して不使用取消審判を請求し、取消審決を得たことを受け、引用商標2には使用実績がないから業務上の信用が化体しておらず、請求人がかかる事実を認識しながら本件審判請求を行うことは、信義誠実の原則に反し、権利濫用として認められない、と主張する。
しかしながら、上述のとおり、請求人は、請求人商標について登録を受けるべく商標登録出願を行ったところ、本件商標及び引用商標2他を引用する拒絶理由が通知されたため、請求人商標の登録を受けるべく、商標法所定の手続をとったのであって、これを権利濫用と指摘されるいわれはない。
エ いずれにせよ、引用商標2は、商標権者等が所定の使用事実の立証をしなかったことから、その登録取消審決がなされ、該審判請求の予告登録日を限度として、その商標権は消滅したものとみなされるのであるから、引用商標2は、本件商標の査定時には、なお有効に存続していたのであって、これに類似する本件商標が、当時商標法第4条第1項第11号に該当していたことは明らかである。
そして、請求人が、請求人商標について登録を受け、かつ、これを安定した権利として永年維持するためには、引用商標2に係る登録を取り消し、かつ、本件商標の登録を無効にする必要があったのであるから、本件審判請求が権利濫用に当たらないことは明らかである。
(3)本件商標と引用各商標とを非類似とする主張への反論
ア 被請求人は、引用商標1は、「太陽を直感せしめる図形と独特の筆記体から成る欧文字『Rhythm』とを一体的に結合した商標」であり、「引用商標1からは商取引上『タイヨウジルシリズム』、『タイヨウリズム』あるいは『サンリズム』なる称呼が生じるのが自然」であって、「『太陽の周期的な動き』の如き意味合いが生じるのが自然」である旨主張する。
しかしながら、引用商標1は、図形部分と欧文字「R」の一部がわずかに重なって表されているに過ぎず、被請求人の上記主張の如く、該図形と欧文字部分から一体不可分の称呼、観念が生ずるとは決して言えない。むしろ、その構成態様より、図形と文字という別個の要素の組み合わせからなるものと看取されるとするのが相当である。
そして、簡易迅速が最も尊ばれる実際の取引の場面では、需要者が、極めて馴染みのある「Rhythm」の文字部分を真っ先に記憶に止め、以降その記憶を頼りに取引に当たることは想像に難くない。してみれば、引用商標1中、「Rhythm」の文字部分が独立して商品の出所識別標識として認識、把握されるというべきであり、引用商標1からは、その文字部分に相応して「リズム」の称呼及び「リズム;律動」の観念が生ずるものである。
これに加えて、請求人の取扱いに係る製品には、該図形部分と欧文字部分が分離して表示されていたり、また該製品が「リズム」又は「Rhythm」などの表記を以って紹介されていたり等の取引の実情が認められる。さらに、該図形部分と欧文字部分に観念的な結びつきがあるとも言い難く、両者が常に一体不可分のものとしてのみ認識し把握されるべき特段の事情も見出し難い(甲第32号証ないし甲第43号証)。
これら事情を考慮すれば、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、「Rhythm」部分が独立して商品の出所識別標識として認識、把握されるというべきであるから、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資されるとするのが相当である。
したがって、引用商標1からは、被請求人が主張する「タイヨウジルシリズム」等の称呼及び「太陽の周期的な動き」の如き意味合いが生ずることはなく、商標構成中の「Rhythm」部分に相応して、「リズム」の称呼及び「リズム;律動」の観念が生ずる。
このことは、無効2010-890090に係る審決からも明らかである(甲第65号証)。
イ また、引用商標2ないし4は、それぞれ欧文字「RHYTYM」、「Rhythm」を標準文字で表してなるものであり、これらの商標からも、引用商標2同様、「リズム;律動」の称呼、観念が生ずる。
ウ 本件商標については、被請求人は、「『RHY』の欧文字部と、『THM』の欧文字部との間に『+記号』が明確に介在表示されて」おり、「本件商標から生じる称呼としては、『アールエッチワイプラスティーエッチエム』あるいは『リッププラススム』であり、少なくとも『+記号』を無視した単なる『リズム』の称呼が生じることはあり得ず、自ずと本件商標から特定の意味合いが生じることはない。」旨主張する。
しかしながら、すでに述べたとおり、本件商標について、「RHY」と「THM」の文字との間に「+記号」を介しているとしても、該記号が、本件商標を構成する欧文字部分か一般的に親しまれ馴染みのある「RHYTHM」の語を表しているとの理解を妨げるまでに二つの文字要素を分断しているということはできず、簡易・迅速を尊ぶ取引慣行に鑑みれば、看者は一見して、本件商標が平易な英単語の「RHYTHM」を表すと認識・把握すると考えるのが相当である。これを態々、上記主張の如く「アールエッチワイプラスティーエッチエム」や「リッププラススム」のように極めて冗長な音を以って称呼すると考えるのは、あまりにも不自然であり、簡易・迅速を尊ぶ取引慣行に逆行するものである。
これに加えて、被請求人は、自身が運営するホームページ掲載の製品カタログにおいて、「リズムアンドバランス」というブランド名の下、本件商標を付した製品(被服等)を取り扱っていた事実が確認されている(甲第66号証)。そして、該製品カタログには、「リズムアンドバランス」のブランドコンセプトについて、「新緑のゴルフシーンに、躍(リズム)と衝(バランス)が融合したニューゴルフスタイルがティーアップする。魅せるスタイルで攻める、動けるスタイルで攻める。ファッションコンシャスとアスリートの理想のバランスを叶えた『RHY+THM』リズムアンドバランス。プレーを快適にする機能にクリエイティブなセンスを+したウェアが、鮮やかなデビューを飾る。」との記載がある(甲第66号証)。その他、該ブランドを紹介するウェブサイトでは、「リズムアンドバランス」の名称を以って、本件商標が付された被請求人取り扱い製品や、該製品を販売する店舗にて、店内のディスプレイに本件商標を付した様子を撮影した写真が掲載されている(甲第67号証及び甲第68号証)。また、被請求人は、該製品カタログを掲載した自社ホームページURLとして「rhythm-b.jp」を使用している(甲第66号証)。
これら事情をかんがみれば、被請求人は、「R」「H」「Y」「+記号」「T」「H」「M」の順に表される標章につき、「アールエッチワイプラスティーエッチエム」や「リッププラススム」というブランドではなく、「リズム」の語を認識・把握させるブランド展開を意識して、被請求人製品を市場に流通させる意図を有していたことは明白である。
このような被請求人の使用意図、さらには現実の取引において、本件商標の近傍に表記された、視覚上自然と目に入る、「rhythm」や「RHYTHM」、「リズム」の語が頻繁に使用されている事実から(甲第66号証ないし甲第74号証)、本件商標に接する需要者等が、たとえその中央に「RHYTHM」を分断する記号が配されていたとしても、本件商標から馴染みのある「RHYTHM」の語を連想・想起することは想像に難くない。
被請求人は、「+記号」を含んだ本件商標の構成全体から、「アールエッチワイプラスティーエッチエム」や「リッププラススム」といった称呼が生じると主張するが、実際の取引において、「RHYTHM」の語を表していると何の困難もなく理解することができる本件商標を、態々そのような極めて不自然な称呼を以って取引に当たると考えるのは、取引の実情から乖離した極めて非現実的かつ不自然な物の見方であり、全く現実の取引に即さないことは明らかである。
したがって、本件商標からは、「リズム」の称呼及び「リズム;律動」の観念のみが自然に生ずる。
エ 以上より、本件商標及び引用商標1ないし4からは、「リズム」の称呼及び「リズム;律動」の観念が生じ、称呼及び観念において共通する。よって、本件商標と引用商標1ないし4は、互いに類似する商標である。
(4)「総合的全体的考察による対比」についての反論
被請求人は、「本件商標と引用商標1ないし4は外観において顕著な差異を有し(中略)、本件登録商標から『リズム』なる称呼が生じる場合があるとしても(中略)全体として商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標と云わざるをえない」と主張し、かかる主張を証左する事件として判決及び審決例を挙げている(知財高裁平成23年(行ケ)第10040号、知財高裁平成21年(行ケ)第10404号、知財高裁平成22年(行ケ)第10339号、知財高裁平成22年(行ケ)第10102号、不服2007-9325、不服2007-20972、不服2007-4896、不服2006-65037、不服2007-29405、及び不服2007-16801)。
これに対し、本件商標及び引用各商標の文字部分は、いずれも「R」、「H」、「Y」、「T」、「H」、「M」という6文字の欧文字が順序を同じくして表されている点で共通し、その外観も特段特徴的なデザインは施されていない。よって、看者は一見して、馴染みのある英単語「RHYTHM」を表していると容易に把握するのであって、称呼及び観念のみならず、外観上も極めて近似した印象を与えるものである。
よって、上記審判決例は、本件とは明らかに事案を異にし、同列に論ずることは決してできない。
(5)被請求人は、甲第30号証ないし甲第41号証(審決注:「甲第32号証ないし甲第43号証」の誤記と認める。)で表される請求人の使用に係る商標は、引用商標1と異なるものであり、請求人による引用商標1の使用事実は存在しない旨主張する。しかしながら、すでに述べたとおり、これらの書証は、請求人の展開する「Rhythm」ブランドが「リズム」の称呼及び観念を以って周知となっており、我が国でも需要者等の間で広く認識されていることを示すものであって、上記被請求人の主張には理由がない。
(6)被請求人は、請求人による引用商標1の外国における登録は存在しない旨主張するが、上記同様に、外国における登録例は、請求人の展開する「Rhythm」ブランドが、全世界的に展開されている事実を以って、我が国でも需要者等の間で、請求人の業務に係る商品として広く認識されていることを証明するものである。
(7)結語
以上より、本件商標は、引用各商標と類似するから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかであり、その商標登録は無効である。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 本件審判請求について請求人に法的利害関係がないこと
引用商標2ないし4は、何れも請求人の所有ではなく、他人の所有に係る登録商標である。
したがって、引用商標2ないし4に基づく本件審判請求については、請求人に法的利害関係は認められず、自ずと本件商標の指定商品「かばん類,袋物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,運動用具」について、本件審判請求が成立たないことは明らかである。
2 本件審判請求は権利濫用であること
請求人は、引用商標2に対し自ら不使用取消審判を請求し、平成23年7月23日付けで第14類の「貴金属製のがま口及び財布」及び第26類の「腕止め」について、登録取消審決を受けている(乙第1号証)。
すなわち、請求人は当該引用商標2には使用実績がなく、何ら保護すべき客体(業務上の信用)が存在していないこと、また出所混同のおそれがないことを十分に知りながら、既に消滅している他人の商標を引用して本件審判を請求しているものであって、正に信義誠実の原則に反するものである。
したがって、引用商標2に基づく本件審判請求は権利濫用であり、自ずと本件商標の指定商品「かばん類,袋物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」について、本件審判請求が成り立たないことは明らかである。
3 本件商標と引用各商標は非類似であること
(1)引用商標1との対比
ア 引用商標1は、別掲(2)のとおりデフォルメした太陽の図形を表示すると共に、その右側に「Rhythm」を独特の筆記体にて一体的に表示して構成されるものである。
すなわち、引用商標1は、太陽を直感せしめる図形と独特の筆記体から成る欧文字「Rhythm」とを一体的に結合した商標として、太陽のイメージを含め、その全体が取引者・需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えているものであり、かかる引用商標1の商標構成に徴すれば、当該太陽の図形を無視し、殊更欧文字の部分だけを抽出して外観の類否判断をすることができないことは極めて当然のことである。
したがって、別掲(1)の構成からなる本件商標と引用商標1の外観上の相違は極めて顕著で、何人においても一目瞭然であり、自ずと両商標は外観上明らかに非類似の商標である。
イ また、引用商標1は前述のごとく、その商標構成上、太陽の図形を無視することができないので、引用商標1からは商取引上「タイヨウジルシリズム」、「タイヨウリズム」あるいは「サンリズム」なる称呼が生じるのが自然であり、「リズム」なる称呼は仮に生じる場合があるとしても極く稀といわざるを得ない。
これに対し、本件商標は、「RHY」の欧文字部と、「THM」の欧文字部との間にスペースを空けて「+記号」が明確に介在表示されているのであるから、当該「+記号」を無視することはできない。
してみれば、本件商標から生じる称呼としては、「アールエッチワイプラスティーエッチエム」あるいは「リィプラススム」であり、少なくとも「+記号」を無視した単なる「リズム」の称呼が生じることはあり得ない。
しかるとき、本件商標の当該称呼「アールエッチワイプラスティーエッチエム」、「リィプラススム」と、引用商標1の称呼「タイヨウジルシリズム」、「タイヨウリズム」、「サンリズム」、(あるいは「リズム」)が彼此明確に区別聴取し得ることは極めて明らかであり、自ずと両商標は称呼上非類似の商標である。
ウ また、引用商標1は前述のごとく、その商標構成上、太陽の図形を無視することができないので、引用商標1からは「太陽の周期的な動き」のごとき意味合いが生じるのが自然である。
これに対し、本件商標は、「RHY」の欧文字部と、「THM」の欧文字部との間にスペースを空けると共に、「+記号」が介在し、当該「RHY」の欧文字部と、当該「THM」の欧文字部が明確に分断されている以上、当該分断表示と「+記号」の存在を無視し、取引者・需要者が本件商標を「RHYTHM」と認識することはあり得ず、自ずと本件商標から特定の意味合いが生じることはない。
したがって、本件商標と引用商標1については、そもそも観念において類否を判断することはできない。
エ 以上のとおり、本件商標と引用商標1は、全体として出所混同のおそれはなく、明らかに非類似の商標である。
(3)引用商標2ないし4との対比
ア 引用商標2は、欧文字「RHYTHM」を標準文字で表してなる。
引用商標3は、欧文字「Rhythm」を標準文字で表してなる。
引用商標4は、欧文字「rhythm」を標準文字で表してなる。
イ これに対し、本件商標は前述のごとく、「RHY」の欧文字部と、「THM」の欧文字部との間にスペースを空けて「+記号」が明確に表示構成されている。すなわち、本件商標は、引用商標2ないし4のごとく、単に欧文字をワンワード的に一連に左横書して構成されるものではなく、「RHY」の欧文字部と「THM」の欧文字部が明確に分断され、かつ当該欧文字部間に「+記号」が明確に介在しているものである。
したがって、本件商標と上記の引用商標2ないし4の外観上の相違は極めて顕著で、何人においても一目瞭然であり、自ずと両商標は外観上明らかに非類似の商標である。
ウ また、引用商標2ないし4から「リズム」なる称呼が生じることは、上記の各商標構成に徴し挿疑の余地はない。
これに対し、本件商標から生じる称呼は、前述のとおり「アールエッチワイプラスティーエッチエム」あるいは「リィプラススム」である。
しかるとき、本件商標の当該称呼「アールエッチワイプラスティーエッチエム」、「リィプラススム」と、引用商標2ないし4の称呼「リズム」が彼此明確に区別聴取し得ることは極めて明らかであり、自ずと両商標は称呼上非類似の商標である。
エ また、引用商標2ないし4から「周期的な動き」等の意味合いが生じることは、上記の各商標構成に徴し明らかである。
これに対し、本件商標は、前述のとおり、特定の意味合いが生じることはない。
したがって、本件商標と引用商標2ないし4については、そもそも観念において類否を判断することはできない。
オ 以上のとおり、本件商標と引用商標2ないし4は、全体として出所混同のおそれはなく、明らかに非類似の商標である。
(4)総合的全体的考察による対比
上述のごとく、本件商標と引用各商標は、外観において顕著な差異を有し、取引者・需要者に与える印象・記憶が全く相違している事実に徴すれば、本件商標の指定商品がファッション性に富む商品で、需要者が特に念入りに商品を吟味・識別する商品であることとも相まって、仮に百歩を譲り、本件商標から「リズム」なる称呼が生じる場合があるとしても、全体として商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標といわざるを得ない。特に、引用商標2は前述のごとく、不使用取消審判により既に消滅しており、そもそも出所混同のおそれがないことは極めて明らかである。
ちなみに、この総合的全体的考察により出所混同のおそれのない非類似の商標と認定することは、知財高裁平成23年(行ケ)第10040号、知財高裁平成21年(行ケ)第10404号、知財高裁平成22年(行ケ)第10339号、知財高裁平成22年(行ケ)第10102号、不服2007-9325、不服2007-20972、不服2007-4896、不服2006-65037、不服2007-29405、及び不服2007-16801のごとき判・審決例によっても支持されると共に、最高裁判所「氷山事件」昭和43年2月27日判決の趣旨にも合致するものである。
4 請求人による商標の使用
請求人は、甲第32号証ないし甲第43号証を提出しているが、当該甲各号証に表されている商標が、請求人の所有に係る引用商標1ではなく、また商標的使用にも当たらないことは極めて明らかである。
したがって、請求人による引用商標1の使用事実すら存在しない、といわざるを得ない。
5 請求人による外国における登録商標
請求人は、甲第44号証ないし甲第59号証を提出しているが、甲第56号証(ニュージーランド)を除き、他は何れも請求人の所有に係る引用商標1について登録を受けたものではない。
したがって、請求人による引用商標1の外国における登録例は実質的に存在しない、といわざるを得ない。
6 まとめ
以上のとおり、請求人に本件審判請求についての法的利害関係がないと共に、本件審判請求は権利濫用であり、また、本件商標と引用商標1ないし引用商標4は非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当せず、その商標登録に何ら無効理由は存在しないものである。

第5 当審の判断
1 利害関係及び権利濫用にかかる主張について
被請求人は、引用商標2ないし4が請求人の所有する商標でないことを理由に、請求人に法的利害関係は認められないとし、該引用商標の指定商品とのみ類似する本件商標の商品について、本件審判請求が成立しない旨主張しているが、無効の理由として引用する商標の商標権が請求人に帰属していなくても、それは請求人が本件審判請求について法律上正当な理由を有することを否定する理由とはならない。
また、請求人の提出に係る甲第60号証(商願2010-35915の書誌情報)、甲第61号証(商願2010-38018の書誌情報)、甲第62号証(商願2010-35915の拒絶理由通知書)、甲第63号証(商願2010-38018の拒絶理由通知書)及び職権における調査によれば、請求人は、いずれも「Rhythm Holding Limited」の文字を横書きしてなる商標を、それぞれ第25類と第35類に登録出願(商願2010-35915及び商願2010-38018)したところ、該登録出願は、いずれも拒絶理由(商標法第4条第1項第11号)の引用商標として本件商標が引用され、未だ、審査に継続している事実が認められる。
そうしてみると、請求人の登録出願(商願2010-35915及び商願2010-38018)は、本件商標の存在をもって、拒絶され得る状態にあるから、請求人は本件無効審判請求をするについて利害関係を有するものというのが相当である。
さらに、被請求人は、請求人が本件商標と引用商標2との関係において主張する引用商標2の指定商品中の第14類「貴金属製のがま口及び財布」及び第26類「腕止め」について既に取り消されていることから、引用商標2に基づく本件審判請求は、権利濫用であると主張しているが、本件商標の登録査定時には、当該商品が指定商品中に存在したことは明らかであるから、引用商標2に基づく本件審判請求は、権利濫用ということはできない。
したがって、請求人は、本件審判請求を行うことについて利害関係を有するものであり、また、引用商標2に基づく本件審判請求は、権利濫用ということはできないから、以下、本案に入って審理する。
2 本件商標と引用各商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、「RHY」の欧文字と「THM」の欧文字の間に間隔を空けて「+記号」を配してなるものである。
そして、本件商標は、左右の各3文字からなる「RHY」と「THM」の間に左右に1文字分の空白をもって「+記号」を表してなるものであるから、外観上も「RHY」と「THM」の文字とが明らかに分離して認識されるものであり、また、中間の「+記号」は、「加えること。足すこと。」(プラス)等を意味する記号として一般に使用されているものであるから、構成全体として「『RHY』と『THM』を足したもの」というような意味合いを看取させるものである。
そうとすると、本件商標は、構成全体をもって一体のものとして認識され、把握されるとみるのが自然であり、他にその構成中の「+記号」の部分を捨象して認識、把握しなければならないとする格別の理由は見当たらない。
してみれば、本件商標は、「アールエッチワイプラスティーエッチエム」の一連の称呼のみを生じ、「『RHY』と『THM』を足したもの」というような意味合い(観念)を生ずるというのが相当である。
(2)引用各商標について
引用商標1は、別掲(2)のとおり、ややデサイン化した筆記体風の「Rhythm」の欧文字の語頭の左上部に黒丸から太さの異なる放射状の線を円形に配した小さな円形状の幾何図形を配したものであり、文字部分は明らかに「Rhythm」の欧文字を表したものといえるものである。
そうすると、引用商標1は、その図形部分よりは格別の称呼、観念は生じないものの、「Rhythm」の文字から、「リズム」の称呼及び「リズム」の観念を生じるものと認められる。
また、引用商標2は、「RHYTHM」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標3は、「Rhythm」の欧文字を標準文字で表してなり、引用商標4は、「rhythm」の欧文字を書してなるものであるから、いずれもその構成文字から「リズム」の称呼及び「リズム」の観念を生じるものと認められる。
(3)本件商標と引用各商標との対比
本件商標及び引用各商標の構成は、前記のとおりであるから、本件商標は、引用各商標とは、外観上いずれも顕著な差異を有するものであり、明らかに区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる「アールエッチワイプラスティエッチエム」の称呼と引用各商標からそれぞれ生ずる「リズム」の称呼とは、その音数及び構成音において明らかに差異を有するものであるから、相紛れるおそれはない。
さらに、前記のとおり、本件商標は「『RHY』と『THM』を足したもの」というような意味合い(観念)を生じるのに対し、引用商標は「リズム」の観念を生ずるものであるから、観念上も相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
3 請求人の主張に対し
請求人は、「RHYTHM」が、我が国において極めて広く知られている英単語であること、取引の実際においては、商標に対する注意は瞬時に払われるものであり、そのような状況において、看者は一見して、本件商標が上記英単語を表してなると把握、認識することなどから、本件商標の構成中に「+記号」があるからといって、「RHYTHM」の英単語を妨げるものではない、旨主張している。
しかしながら、本件商標は、その構成中の「+記号」が前述のとおり、「足すこと。」等を意味する記号として極めて親しまれているものであり、外観上も顕著に表してなることから、「+記号」部分が捨象して認識されるものではなく、その構成中の「RHY」及び「THM」の各文字をもって一つの語を表したものとして認識されるとはいうことができない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品が引用各商標の指定商品と同一又は類似する商品であることは認められるとしても、引用各商標とは同一又は類似する商標ではないから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標



(2)引用商標1



審理終結日 2012-04-06 
結審通知日 2012-04-10 
審決日 2012-04-23 
出願番号 商願2010-2983(T2010-2983) 
審決分類 T 1 11・ 261- Y (X182528)
T 1 11・ 262- Y (X182528)
T 1 11・ 263- Y (X182528)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-01-14 
登録番号 商標登録第5383146号(T5383146) 
商標の称呼 アアルエッチワイプラステイエッチエム、アアルエイチワイプラステイエイチエム、アアルエッチワイテイエッチエム、アアルエイチワイテイエイチエム、アアルエッチワイ、アアルエイチワイ、テイエッチエム、テイエイチエム、リズム 
代理人 城山 康文 
代理人 村田 正樹 
代理人 高野 登志雄 
代理人 中嶋 俊夫 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 山本 博人 
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所 
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