• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
管理番号 1263033 
審判番号 不服2011-16840 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-05 
確定日 2012-08-30 
事件の表示 商願2010- 67647拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ラメラ」の片仮名及び「LAMELLAR」の欧文字を上下二段に書してなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤」を指定商品として、平成22年8月27日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『LAMELLAR』の欧文字と、その表音である『ラメラ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、『lamellar』の語は、『薄膜』等の意味を有し、指定商品の分野においては、皮膚内部の細胞間脂質の層状構造を意味する『ラメラ構造(ラメラ液晶構造)』を指称するものとして使用されており、このラメラ構造(ラメラ液晶構造)を有する、或いはラメラ構造を構成する為の成分を配合した商品が製造、販売されている実情にあるから、これを本願の指定商品中『ラメラ構造を有する、或いはラメラ構造を構成するための成分を配合した商品』に使用しても、これに接する取引者、需要者にして、単に商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、以下の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知した内容は、次のとおりである。
1 本願商標は、「ラメラ」の片仮名及び「LAMELLAR」の欧文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「LAMELLAR」の文字は、「薄板状の、薄膜の、薄層の」等(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」1510頁)を意味し、また、その表音と認められる上段の「ラメラ」の文字は、以下のインターネット及び新聞記事情報によると、本願指定商品中「化粧品」との関係において、「皮膚の角質の間にある保水維持機能」のことであって、「皮膚の角質層と同じ構造を有する保湿成分」を「ラメラ成分」と表示し、当該「ラメラ成分」が配合された化粧品が販売されている事実がある。
(1)インターネット情報(なお、下線は当合議体で付したもの。)
ア 「SHE’S整形外科スキンケアクリニック」のサイト内「she’s ニュース」の項に、「ZEROIDは、皮膚の角質層と同じ構造のラメラをお肌に提供している生態形保湿剤で、お肌の重要な成分がすべて配合されている優れものだ。刺激が少なく作られていているので、アレルギーなどの心配もなく、安全なクリームです。」の記載。
(http://www.shesps.jp/02news/01_view.asp?idx=4685=1_type==1)
イ 「4mens」のサイト内「ビーバンジョア セラミドプランエッセンス 30ml」の項に、「■保湿効果/セラミドナノエマルジョンが角質内に浸入し、セラミドが水分を包含するようにして角質間にラメラを形成し保湿します。」の記載。
(http://4mens.hs.shopserve.jp/SHOP/VJ006.html)
ウ 「君島十和子さんよりファッション、ヘア、メイクを学ぶ」のサイト内「フェリーチェ トワコ コスメ ダマスクローズ ラメラオイル 2本セット」の項に、「ラメラ構造の保湿成分、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)を配合。/ラメラ構造とは、水分と油分がミルフィーユのように重なることで、 水分が蒸発しにくいのがポイントです。ラメラがラップのように肌表面をカバーし、しっとりとしたお肌を保ちます。」の記載。
(http://serebu-kimizimatowako.doorblog.jp/archives/4103409.html)
エ 「おすすめのコーセー美容液」のサイト内「コーセーの美容液を紹介しています。」の項に、「ライスステロールとラメラ成分を贅沢に配合した、肌なじみのよいエッセンス。 艶やかでハリ感のある肌が実感できます。」の記載。
(http://ihe6803825.sitemix.jp/4087402060.html)
オ 「真美清&Hinakoコスメショップ」のサイト内「話題沸騰中のオールインワン"真美清ラメラジェル"」の項に、「ラメラ成分とは?/お肌にとって重要な役割を担っているコレステロール中の成分(ジェル中の蛍光色に光る成分)で、外部の刺激からお肌を守ったり、保湿にも重要な成分です。」の記載。
(http://item.rakuten.co.jp/shinbisei-hinako/sc004/)
カ 「【COSME DECORTE コスメデコルテ】」のサイト内「商品説明」の項に、「フェイスラインの肌まで、すっきりとしなやかに。/内側から高まるようなリフト感を堪能する美容液。/ライフステロール(エモリエント)とラメラ成分(保湿)を贅沢に配合。/みずみずしいタッチから、徐々に肌に同化するように心地よく密着してゆく全顔用美容液です。」の記載。
(http://item.rakuten.co.jp/flamingohip/fh1351/)
キ 「真美清ラメラジェル」のサイト内「気になるアンチエイジングにはこれ!」の項に、「パールのようにキラキラしているラメラ成分を配合したリッチなジェル。このラメラ成分こそが、エイジングコントロールに大きく役立っているのです。」の記載。
(http://www.truthone.jp/ramerajel_2/)
ク 「敏感肌クリームの第一歩はスキンケア」のサイト内「敏感肌クリーム」の項に、「・・・また、敏感肌クリームからはラメラ成分を配合したエッセンスも登場しています。/ラメラとは肌の角質の間にある保水維持機能のことです。/ですからラメラ成分が配合されている敏感肌クリームの基礎化粧品を使えば、肌の水分を保持することができるでしょう。」の記載。
(http://binkanhadac.blog105.fc2.com/blog-entry-282.html)
ケ 「veritacafe」のサイト内「GUEST&ME blog」の項に、「・・・注目すべきは、肌の表面にある保湿構造"ラメラ"を形成し、しっとりとした潤いをもたらすジェル&クリーム『エアリー・スキン・ジェル』、『パーフェクト・リッチ・セラム』。ラメラ液晶構造(ラメラ・エマルジョン)を形成し、顔の壊れたラメラをすばやく修復。肌の上に非常に薄いバリアを形成し、大切な水分や有効成分を長時間しっかりと保護してくれる。」の記載。
(http://www2.veritacafe.com/cgi-bin/mt401/mt-search.cgi?tag=%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%A1&IncludeBlogs=2&IncludeBlogs=1)
(2)新聞記事情報(なお、下線は当合議体で付したもの。)
ア 2011年3月25日 化学工業日報 16頁
「化粧品原料 エイチ・ホルスタイン東京支店(企画記事)」の見出しのもと、「エイチ・ホルスタイン東京支店は、ドイツやスイスなどからエビデンスある化粧品原料の供給と技術提案中心に、事業活動に拍車をかける。・・・さらに細胞間脂質を補うラメラ構造仕立てのクリーム製剤も上市しており、CITEでの展示を計画している。」の記事。
イ 2011年6月30日 化学工業日報 10頁
「東洋新薬、界面活性剤不要の美容ジェル開発、感触と安定性両立」の見出しのもと、「ODM(開発設計・生産受託)メーカーの東洋新薬は、界面活性剤が不要の三相乳化技術を応用の新感覚美容ジェル『クリームインジェル』を開発した。・・・ジェルを構成するエモリエント成分は皮膚のバリア機能を担う細胞間脂質の構造に似たラメラ構造をしていることも特徴の1つ。」の記事。
ウ 2010年6月16日 化学工業日報 1頁
「富士フイルム、新規セラミド開発、粒径20ナノメートルで高濃度分散」の見出しのもと、「・・・同社が開発に成功したヒト型セラミドは、原料ソースとして酵母菌を用いた。セラミドのなかで主要な役割を果たす肌中の成分と同じセラミド3と同6で構成しているので、親和性が高くラメラ構造の形成に有用とみられる特徴がある。・・・セラミドは、肌のなかの角質層の細胞同士の間にある細胞間脂質を構成する成分。肌にハリを与え、美肌を保つのに重要な働きを持つ。ラメラ構造と呼ばれる脂質と水溶性成分が折り重なる構造を形成し、ヒトの肌では複数の種類が知られている。」の記事。
エ 2009年7月10日 化学工業日報 9頁
「ISPジャパン、新化粧品原料発売、肌のハリを物理的に付与」の見出しのもと、「・・・新商品の商品名は『シュベルリフト』。西地中海沿岸が原産のコルクガシ樹皮から抽出したエキスをジプロピレングコール(DPG)に溶解している。/同エキスに含まれる主成分は加水分解スベリン。芳香族と脂肪族化合物が互いに結合した架橋共重合体ポリマーで、疎水性・親水性・疎水性のラメラ構造を持つ。・・・」の記事。
2 以上のとおり、「ラメラ」の文字は、「皮膚の角質層と同じ構造の保湿成分」を表すものとして、本願の指定商品中、皮膚の角質層と同じ構造の保湿成分を有するクリーム、美容液等の化粧品に、普通に使用されているということができる。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
前記第3の証拠調べ通知に対する、請求人の意見は、要旨以下のとおりである。
1 証拠調べ通知書の1(1)及び(2)の使用例は、いずれも比較的近年に使用された始めたものが多く、これらの使用例はここ数年(おそらく2?3年)の現象である。
2 請求人は、証拠調べ通知書の1(1)及び(2)の使用例より以前から、「ラメラモード(LAMELLAR MODE)」「ラメラベール(LAMELLAR VEIL)」「インシストラメラ(INSIST LAMELLAR)」といった「LAMELLAR Series」の商品を需要者に提供し続けてきた実績を有しており、本願商標に接した取引者及び需要者は、当該商品が請求人又はその関連企業の取り扱う「LAMELLAR Series」の1ブランドであると容易に認識し得ると推認される。
3 したがって、請求人が、前記「ラメラモード(LAMELLAR MODE)」「ラメラベール(LAMELLAR VEIL)」「インシストラメラ(INSIST LAMELLAR)」といった商品とは別に、新たに本願商標を販売等しても、取引者及び需要者は、当該文字を目印として充分に自他の商品を識別し得ると解される。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「ラメラ」の片仮名及び「LAMELLAR」の欧文字を上下二段に書してなるところ、その構成中「LAMELLAR」の文字は、「薄板状の、薄膜の、薄層の」等(小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」1510頁)を意味し、また、その表音と認められる上段の「ラメラ」の文字は、前記第3の証拠調べ通知書をもって通知したインターネット及び新聞記事情報によると、「皮膚の角質の間にある保水維持機能」のことであって、本願指定商品中「化粧品」との関係においては、「皮膚の角質層と同じ構造を有する保湿成分」を「ラメラ成分」と表示し、当該「ラメラ成分」が配合されたクリーム、美容液等の化粧品が広く一般に販売されている実情にある。
そうとすると、本願商標は、その指定商品中「ラメラ成分が配合された化粧品」に使用するときは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ラメラ成分が配合された化粧品」以外の化粧品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は、「証拠調べ通知書の1(1)及び(2)の使用例より以前から、『ラメラモード(LAMELLAR MODE)』『ラメラベール(LAMELLAR VEIL)』『インシストラメラ(INSIST LAMELLAR)』といった『LAMELLAR Series』の商品を需要者に提供し続けてきた実績を有しており、本願商標に接した取引者及び需要者は、当該商品が請求人又はその関連企業の取り扱う『LAMELLAR Series』の1ブランドであると容易に認識する。」旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係における、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるものであるから、請求人又はその関連企業の取り扱う「ラメラモード(LAMELLAR MODE)」、「ラメラベール(LAMELLAR VEIL)」等の使用実績又は商標登録の存在をもって、前記判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の前記主張は採用することができない。
3 結論
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-07-02 
結審通知日 2012-07-03 
審決日 2012-07-19 
出願番号 商願2010-67647(T2010-67647) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X03)
T 1 8・ 272- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中束 としえ 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 大橋 良成
田中 亨子
商標の称呼 ラメラ、ラメラー 
代理人 辻本 一義 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ