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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X07
管理番号 1262979 
審判番号 不服2011-20010 
総通号数 154 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-15 
確定日 2012-08-23 
事件の表示 商願2010- 17849拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第1類、第3類、第4類、第5類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第16類、第17類、第20類、第21類、第24類、第25類、第29類、第30類、第31類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年3月9日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同年8月26日受付け及び当審における同23年9月15日受付けの手続補正書により、第7類「家庭用電気掃除機用紙パック,家庭用電気掃除機用不織布製パック,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第3037094号(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年8月18日に登録出願、第19類「強化プラスチック製可搬式簡易シャワ?ボックス,強化プラスチック製可搬式硬貨作動式簡易シャワ?ボックス」を指定商品として、同7年4月28日に設定登録され、同17年6月14日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第3227451号(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年8月18日に登録出願、第7類「家庭用電気洗濯機」を指定商品として、同8年11月29日に設定登録され、同18年11月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標1との類否について
本願の指定商品は、前記1のとおり補正された結果、引用商標1の指定商品と同一又は類似の商品は、すべて削除されたものである。
その結果、本願の指定商品は、引用商標1の指定商品と類似しない商品になったと認められる。
(2)本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、オレンジ色で角が丸められた菱形様図形の中央に「N」の欧文字を白抜きで大書し、その左側に「iD」の欧文字をやや小さめに白抜きで書してなるところ、該文字部分についてみるに、「N」の文字は、他の文字と比して大きく書され、「i」の文字も若干のデザインが施されてはいるものの、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、容易に「NiD」の一連の文字として認識されるものであるから、その構成文字に相応して、「エヌアイディー」、「ニド」又は「ニッド」の称呼を生ずるものである。また、「NiD」の文字は、特定の意味合いを有する成語ではないから、特定の観念は生じないものである。
他方、引用商標2は、別掲2のとおりの構成よりなり、黒塗りの四角形の中に「NiD」の欧文字を白抜きで書してなるものである。
そして、その構成中、「NiD」の文字部分についてみるに、「i」及び「D」の文字は、多少のデザイン化が施されているものの、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、容易に「NiD」の一連の文字として認識されるものであるから、その構成文字に相応して、「エヌアイディー」、「ニド」又は「ニッド」の称呼を生ずるものである。また、該語は、特定の意味合いを有する成語ではないから、特定の観念は生じないものである。
してみれば、本願商標と引用商標2とは、外観において相違するとしても、その構成文字を共通にするものであり、また、観念において共に特定の観念が生じないため、両者を比較することができないものであるとしても、称呼においては、「エヌアイディー」、「ニド」又は「ニッド」の称呼を共通にする称呼上類似の商標といい得るものであり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品と認められるものである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右3点のうちその1において類似するものでも、他の2点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについてはこれを類似商標と解すべきではない。・・・なんら市場では出所混同の事実が生じていないことを取引の実情として考慮する必要がある。」旨主張する。
しかしながら、一方で、商標法第4条第1項第11号の適用に関して、「商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。」(東京高裁 平成11年(行ケ)第422号 平成12年6月13日判決言渡)との判示がなされているものである。
そうすると、上記(2)のとおり、本願商標と引用商標2とは、少なくとも称呼を共通にする称呼上類似の商標であるから、当該指定商品について商品の出所の混同のおそれはないとするべき特別の事情が存在すると認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあるといわなければならない。
そして、請求人の主張によるも、本願商標に係る商品について出所混同のおそれはないとするべき特別の事情が存在するとは認められない。
また、たとえ請求人の主張する事案においては、現時点で「なんら市場では出所混同の事実が生じていない」ことがあるとしても、本願商標と引用商標2とは互いに類似する商標であることからすれば、将来においてまで、市場で商品の出所の混同が生じないとまではいうことができない。
そうとすれば、請求人の主張を採用することはできない。
イ 請求人は、「本願商標は、請求人の社名である『株式会社ニッド』に由来するため、『ニッド』の称呼を生じるものであり、引用商標2は、引用商標権者の社名である『株式会社ニド』に由来するため、『ニド』の称呼を生ずるとし、促音の有無という差異を有するため、両者は非類似である。」旨主張する。
しかしながら、仮に本願商標と引用商標2が、互いの社名に由来するものであるとしても、商標の類否は、客観的な観察によってなされるべきものであるから、出願人が本願商標を採択した意図や由来についてまで斟酌しなくてはならないとする特段の理由はない。
そうすると、前記(2)で述べたとおり、両商標は、その構成文字を同じくするものであることから、該構成文字より生ずる「エヌアイディー」、「ニド」又は「ニッド」の称呼を共通にする称呼上類似の商標と判断するのが相当であって、該構成文字より生ずる称呼のうち異なるものを対比させることを前提とする請求人の主張を採用することはできない。
ウ 請求人は、過去の登録例、審決例等を挙げて、本願も同様に判断して商標登録されるべき旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、過去の登録例、審決例等の判断に拘束されることなく、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、本件の事案に即して本願商標と引用商標との対比により、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の登録例、審決例等の判断に拘束されるものではないから、請求人の主張を採用することはできない。
エ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
(4)むすび
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲 別掲1(本願商標)


(色彩については原本参照。)

別掲2(引用商標1及び2)




審理終結日 2012-06-20 
結審通知日 2012-06-26 
審決日 2012-07-09 
出願番号 商願2010-17849(T2010-17849) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 半田 正人保坂 金彦 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
高橋 謙司
商標の称呼 ニド、ニッド、エヌアイデイ 
代理人 大西 育子 
代理人 安原 正義 

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