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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X33
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X33
管理番号 1261653 
異議申立番号 異議2011-900341 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-09-15 
確定日 2012-07-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5419961号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5419961号商標の指定商品中「洋酒,果実酒」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5419961号商標(以下「本件商標」という。)は、「紅マドンナ」の文字を標準文字で表示してなり、平成23年1月21日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年6月17日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)に示すとおりである。
(1)登録第1306025号商標は、「MADONNA」及び「マドンナ」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和48年9月27日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、昭和52年10月20日に設定登録され、昭和63年1月22日、平成9年8月19日及び同19年9月25の3回に亘って商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、その後、指定商品については、平成20年4月30日に、第33類「ぶどう酒,スパークリングワイン」に書換登録がなされたものである。
(2)登録第4089069号商標は、別掲(1)に示す構成からなり、平成7年1月13日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成9年12月5日に設定登録され、その後、平成19年11月27日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4512346号商標は、別掲(2)に示す構成からなり、平成12年10月2日に登録出願、第33類「ドイツ産のスパークリングワイン,ドイツ産のスパークリングワインを主成分とする酒」を指定商品として、平成13年10月5日に設定登録されたものである。
(4)登録第4512347号商標は、別掲(3)に示す構成からなり、平成12年10月2日に登録出願、第33類「ドイツ産のぶどう酒,ドイツ産のぶどう酒を主成分とする酒」を指定商品として、平成13年10月5日に設定登録されたものである。
以下、これらを併せて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は、本件商標の登録は、第33類の全指定商品について取り消されるべきである旨申立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第97号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と称呼、観念において類似する商標であり、また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標は、引用商標と類似関係にある。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている「MADONNA/マドンナ」商標(以下「申立人商標」という。)と相紛らわしい「マドンナ」を含むものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所が申立人あるいはその関係者であるかの如く出所について混同するおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人商標に化体した信用や名声を希釈化して申立人に損害を加えるか、申立人商標の信用や名声にただ乗りして不正の利益を得る目的で使用するものである。
(4)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その構成中に「紅」の文字を有するものである。
したがって、本件商標は、指定商品やその原材料が「紅色」であるかの如く、商品の品質につき誤認を生ずるおそれがある。

4 本件商標に対する取消理由
当審において、平成24年4月12日付けで、商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標
本件商標は、「紅マドンナ」の文字よりなるところ、該文字は漢字と片仮名という文字の種類を異にするものであるから、「紅」と「マドンナ」の2語よりなるものと容易に認識されるものである。
そして、構成中の「紅」の文字は、申立人提出の証拠によれば、ワイン等の業界において、例えば、「特撰紅ぶどう酒」(甲10)、「濃紅ワイン/通常の赤ワインの3倍濃い紅色をしている」(甲11)、「紅ワイン」(甲15)、「薄紅色のお酒」(甲16)、「鮮やかな紅色のリキュール」(甲18)などのように、商品の色彩表示として使用されている事情もうかがえるものであるから、自他商品識別力は、必ずしも強いとはいえない。
これに対し、構成中の「マドンナ」の文字については、申立人提出の甲第43号証ないし甲第97号証によれば、以下の事実が認められる。
1908年に、申立人製造に係るワインについて、「MADONNA」商標の使用が開始、日本においても、当該ワインが輸入販売元であるサントリーを介して1972年発売開始され、その後、昭和51年(1976年)発行の「新版・世界の銘酒」に、「リープフラウミルヒ“マドンナ”は、ファンケルンベルク社の白ワインのなかでとくに名高く、ラインワインの逸品としてワイン党にひろく親しまれている。」(甲44)、1994年2月28日付けの紹介記事に、「代表ブランド『マドンナ』は、日本の輸入No.1の販売量を誇っている。」(甲45)、2007年1月31日付けの紹介記事に、「リープフラウ マドンナ/・・・日本で一番人気の高いドイツワインです。」(甲49)、2007年4月9日付けの紹介記事に、「ドイツワイン(マドンナ)/世界中、ドイツワインといえばマドンナ!人気No1・・」(甲50)、2008年3月27日付けの紹介記事に、「『マドンナ』は、・・・日本でも1972年の発売以来、輸入白ワインの定番として幅広く愛飲されている・・」(甲51)、2006年発行の雑誌「Hanako」に、「ドイツの聖母教会で誕生して100年以上、多くの人に愛されてきたワイン〈マドンナ〉日本でも1972年の発売以来,根強い人気を誇っています。」(甲57)の記載など、各種ウェブサイト及び雑誌において、「マドンナ」「MADONNA」などの文字と共に、引用商標の主要部である「MADONNA」の文字を含むラベル(これらを以下、「使用商標」という。)が貼付されたワインボトルの写真等が紹介され、また、ネット上で通信販売されていること(甲78ないし97)が認められる。
以上の事実からすれば、使用商標は、「マドンナ」あるいは「MADONNA」と称され、申立人がワインについて、継続して使用した結果、申立人に係るドイツワインの商標として、少なくとも、我が国のワイン愛好家などを含む「洋酒、果実酒」の需要者の間においては、相当知られるに至ったものと認められる。
上記した取引の実情に照らしてみれば、上記使用商標と同一の文字からなる本件商標中の「マドンナ」の文字は、上記「紅」の文字に比べ、強い自他商品識別力があるということができる。
そうしてみると、本件商標は、「紅」と「マドンナ」の文字とでは、識別力について明らかに軽重の差が認められることから、強い印象を受ける「マドンナ」の文字部分のみをもって取引に資することも少なからずあるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体から生ずる「ベニマドンナ」及び「クレナイマドンナ」の称呼のほか、「マドンナ」の文字部分に相応して、「マドンナ」の称呼を生じ、ドイツワインの商標である「MADONNAブランド」程の観念が生ずるといえる。
(イ)引用商標
引用商標は、上記したとおりの構成からなるところ、いずれも、その構成にあって、「MADONNA」あるいは「マドンナ」の文字部分がその主要部として認識されるところ、上記したとおり、該文字は、申立人に係るドイツワインの商標として、少なくとも、我が国のワイン愛好家などを含む「洋酒、果実酒」の需要者の間においては、相当知られるに至ったものと認められる。
そうとすると、引用商標は、その構成中「MADONNA」あるいは「マドンナ」の文字部分に相応して、「マドンナ」の称呼を生じ、ドイツワインの商標である「MADONNAブランド」程の観念が生ずるといえる。
(ウ)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標とは、外観において相違するところがあるとしても、両商標は、上記したとおり、「マドンナ」の称呼及びドイツワインの商標である「MADONNAブランド」の観念を共通にするものであるから、これら商標が同一又は類似する商品「洋酒、果実酒」に使用された場合には、同一の事業主の取扱に係る商品であるかの如く誤認混同されるおそれがあるというのが相当であるから、本件商標は引用商標に類似する商標と判断されるものである。
そして、本件商標の指定商品中「洋酒,果実酒」は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
(2)まとめ
したがって、本件商標は、その指定商品中「洋酒,果実酒」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見
前記4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

6 当審の判断
本件商標についてした前記4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、「洋酒,果実酒」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものとする。
そして、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その登録を取り消す理由がないから、同第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)登録第4089069号商標


(2)登録第4512346号商標

(色彩については原本参照)

(3)登録第4512347号商標

(色彩については原本参照)

異議決定日 2012-06-08 
出願番号 商願2011-3649(T2011-3649) 
審決分類 T 1 651・ 262- ZC (X33)
T 1 651・ 263- ZC (X33)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 目黒 潤 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2011-06-17 
登録番号 商標登録第5419961号(T5419961) 
権利者 オエノンホールディングス株式会社
商標の称呼 ベニマドンナ、クレナイマドンナ、マドンナ 
代理人 鈴木 薫 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 

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