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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない Y1641
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y1641
管理番号 1261589 
審判番号 無効2011-890059 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-07-06 
確定日 2012-08-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4968049号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4968049号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成18年1月11日に登録出願、第16類及び第41類に属する別掲(2)のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年5月25日に登録査定がされ、同年7月7日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第16類「文房具類,印刷物」及び第41類「美容の教授,理容の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格認定試験及びその模擬試験の実施,資格検定試験に関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,セミナー・教育研修・講座・人材開発のテキストの制作,書籍の制作」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)及び参考甲第1号証ないし参考甲第6号証を提出した。
1 請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用する登録第4665084号商標(以下「引用商標」という。)は、「HABIA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成14年7月15日に登録出願、第16類「文房具類,印刷物」、第35類「職業のあっせん」、第41類「国家資格取得講座における教授,電子出版物の提供,美容の教授,書籍の制作」、第44類「美容,理容,栄養の指導,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」及び第45類「ファッション情報の提供,衣服の貸与,装身具の貸与」を指定商品及び指定役務として、同15年4月18日に設定登録されたものである。
2 請求人の主張の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、その構成から「HABIA EAST」の読みを「ハビアイースト」と記載したものと考えられるところ、前半部分の「ハビア」、「HABIA」は造語であって、辞書には記載のない語である(甲第2号証ないし甲第4号証(以下、括弧内において「甲2?4」のように省略して記載する。))一方、後半部分の「イースト」、「EAST」には「東、東方、東部地方」等の意味がある(甲5)。そして、「ハビア」と「イースト」、「HABIA」と「EAST」が一体となって特定の語義・観念を想起するものとして一般的に知られているものではなく、商標全体として「ハビアの東」、「ハビアの東部地方」といった程度の意味をもつ語であるといえる。
ところで、いわゆる商品等表示において、同一グループに属する会社の商号として、ハウスマークと地域・方角名を組み合わせたものを使用する例や同一グループに属する会社が使用する商標として、ハウスマークと地域・方角名を組み合わせたものを使用する例が多く見られる。例えば、「NTT 東日本(NTT EAST)」と「NTT 西日本(NTT WEST)」(甲6)、 「JR 東日本(JR EAST)」と「JR 西日本(JR WEST)」(甲7)、 「NEXCO 東日本」と「NEXCO 西日本」(甲8)、「東武バスウエスト株式会社」と「東武バスイースト株式会社」(甲9)、「ウェッジ・イースト株式会社」と「ウェッジ・ウエスト株式会社」(甲10)、「株式会社ヌマニウ・イースト」と「株式会社ヌマニウ・ウエスト」(甲11)、「日本コカコーラ株式会社」と「日本コカコーラウエスト株式会社」(甲12)等である。
以上の例からも明らかなとおり、他に識別力のある語と共に使用する地域や方角名は、単に商品や役務の提供地域を示すために用いられるのであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、当該機能が極めて弱いものである。
そして、これらの事情を勘案すれば、本件商標から「ハビアイースト」という一連の称呼が生じるとしても、本件商標において出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのは造語である「ハビア」、「HABIA」であるというべきである。本件商標に接する需要者・取引者は、「イースト」は単に商品や役務の提供地域を示す語と理解し、この顕著な識別力を有する「ハビア」、「HABIA」から生じる「ハビア」の称呼のみをもって取引に当たる場面も多いというのが相当である。
(イ)被請求人は、欧文字「EAST」からなる商標が登録されていることを挙げ、「EAST」の欧文字の識別力を主張するが、たとえ「EAST」からなる商標の登録例があるとしても、他の文字と組み合わされた場合に「EAST」の欧文字の識別力に疑問が生じることに影響はない。これは、一般に識別力が極めて弱い「PINK」、「BLUE」、「ブラック/BLACK」等の色彩を表す語のみからなる商標が登録されていることから明白である(甲20の1?7)。
(ウ)一方、引用商標から生じる称呼は、「ハビア」であり、造語であるため、特別な語義・観念を想起するものではない。
(エ)本件商標と引用商標の関係
本件商標から生じる称呼「ハビア」と引用商標から生じる称呼「ハビア」とは同一であり、外観についても、両者は、「HABIA」部分を共通にする。また、「ハビア」、「HABIA」は、造語であるため観念については比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標は、互いに類似するものであることは明らかである。
また、本件商標の指定商品第16類「文房具類,印刷物」は、引用商標の指定商品第16類「文房具類,印刷物」と同一であり、本件商標の指定役務第41類「美容の教授,理容の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格認定試験及びその模擬試験の実施,資格検定試験に関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,セミナー・教育研修・講座・人材開発のテキストの制作,書籍の制作」は、引用商標の指定役務第41類「国家資格取得講座における教授,電子出版物の提供,美容の教授,書籍の制作」と同一又は類似であることは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標に係る指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品又は役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人の使用する商標「HABIA」について
商標「HABIA」は、書籍「サロン・マネジメント」に付されて使用され、長年使用されている。当該書籍は、請求人である学校法人メイ・ウシヤマ学園の理事長が監修し、同学校法人が運営するハリウッド美容専門学校(現ハリウッドビューティ専門学校)講師が翻訳したものであり、2002年1月30日に第1刷を発行して以来、2005年12月14日には第6刷が発行され、2010年3月31日までに第9刷が発行され、現在まで継続的に販売されている(甲14・15・21)。
また、同様に、請求人の運営するハリウッド・ホスピタリティ研究所が監修し、同学校法人が運営するハリウッド美容専門学校(現ハリウッドビューティ専門学校)講師が翻訳した書籍「サロンレセプショニスト・ガイドブック」にも商標「HABIA」が使用されている。当該書籍は、2003年10月22日に第1刷を発行して以来、2006年3月31日には第3刷が発行され、現在まで継続的に販売されている(甲16・17)。
これらの書籍は、美容サロンの経営方法、美容サロンの人材育成方法等を内容としたもので、現在も請求人が運営する学校(ハリウッドビューティ専門学校、ハリウッド大学院大学)の講義において参考書として使用されている(甲18)。また、ハリウッドビューティ専門学校のホームページ上でも「HABIA」が使用されている(甲19)。
したがって、請求人の使用する商標「HABIA」は、本件商標の登録出願前には、少なくとも美容ビジネス関係者間において、相当程度知られていたと認めるのが相当である。
被請求人は、第41類の役務との関係において、引用商標が需要者等に広く認識されていることを立証する証拠の提出はないことを理由に、出所の混同を惹起するような周知性を引用商標が有しているとは考えられない旨主張するが、書籍及び美容の教授とその他の第41類の役務との関わりの深さ等を考え合わせれば、当該役務の提供は、少なくとも請求人と組織的又は経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務の提供と誤認され、出所の混同を生ずる蓋然性が極めて高いのである。さらに、請求人が運営する学校では、単に理容や美容の技術を教授するのみでなく、店舗のマネージメント等に関する講義をも行っており、その関係範囲は極めて広く、多方向的な知識を教授しているのである。これは、請求人の学校で参考書として使用される書籍「サロン・マネジメント」の目次から理解できる(甲22)。
(イ)本件商標について
前述のとおり、本件商標からは「ハビア」の称呼を生ずるものであるが、万一、「ハビアイースト」の称呼のみを生じ、それが引用商標と非類似であるとしても、本件商標に請求人の創造標章である「HABIA」を含んでいることは看過できることではない。
この点に関し、被請求人は、答弁書において、云々述べているが、請求人の商標「HABIA」は、請求人が設立した「HAIR AND BEAUTY INSTITUTE ASSOCIATION」の各語の頭文字を並べて請求人が創造した商標である。
本件商標が書籍や美容の教授と関わりの深い前記した商品や役務について使用されれば、これに接する取引者・需要者は、請求人の業務に係る商品・役務又は請求人と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品・役務であると誤認し、出所について混同する蓋然性が極めて高いからである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
そして、前述したとおり、いわゆる商品等表示において、同一グループに属する会社の商号として、ハウスマークと地域・方角名を組み合わせたものを使用する例や同一グループに属する会社が使用する商標として、ハウスマークと地域・方角名を祖み合わせたものを使用する例が多くあり、当該事実は、「HABIA」を含む本件商標が出所混同を生じる可能性が高いことを示すものである。また同時に、当該事実は、「HABIA」が周知・著名に至らない商標であるとしても、出所混同を生じる可能性が十分にあることを示すものである。
すなわち、同一又は類似の商品・役務について、「HABIA」商標と本件商標が使用された場合、請求人の使用する商標「HABIA」自体を知らない取引者・需要者であっても、経験則的に経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品・役務であるとの出所混同が生じる蓋然性が極めて高い。
したがって、「HABIA」が周知・著名に至らない商標であるとしても、本件商標は、登録出願時より商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、登録されるべきではない。
(3)むすび
以上の理由から、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙同第5号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標中の「イースト/EAST」の語については、請求人提出の甲第5号証にも記載されているように、「東、東方、東部地域」との意味を有する言葉として良く知られている。しかし、「イースト/EAST」から看取される意味は、あくまで前記意味合いに止まり、何らかの商品・役務との関係で商品・役務の内容を普通に表すような語句では決してない。登録例をみても、欧文字「EAST」からなる商標が多数登録になっており、その識別性が問題なく認められている事実からしても容易に首肯できるところである(乙1の1?6)。
請求人は、同一グループに属する会社の商号(又はその略称)として、ハウスマークと地域・方角を組み合わせたものを使用する例を挙げている。しかし、「NTT東日本」と「NTT西日本」あるいは「JR東日本」と「JR西日本」等を我々はごく自然に別法人と認識するように、いずれもそれ全体を商号と捉えて現に区別している実情にあるから、需要者等における出所標識としても、それぞれ問題なく識別機能を果たしているとみるのが相当であり、そもそも、請求人が挙げた例は、商号の採択において、そのような事例も散見されるといった程度のことであるから、これを商標に敷えんして論じるべきものではない。
本件商標は、一連の片仮名「ハビアイースト」と欧文字「HABIA EAST」を二段に併記してなり、その構成において軽重の差はなく、一気一連に称呼し得るごく短い音数の商標である。わずかに、欧文字「A」と「E」の間に間隔を有しているが、英文表記において単語間を区切る自然な1文字分のスペースと把握できるため、その一連性を何ら損なうものではない。かかる一連性の強い構成態様をも考慮すれば、本件商標は、あくまで一体不可分の商標と評価するのが適当であり、「イースト/EAST」の有無に伴う称呼、外観及び観念の相違は大きいものであり、引用商標とは類似しないものである。
登録状況をみても、相互に類似の商品又は役務を含みながら、いずれも非類似と扱われて登録されている商標が数多く併存している(乙2の1?22)。
以上のとおり、本件商標は、一体不可分の商標であり、引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は失当である。
(2)商標法第4条1項第15号について
請求人は、「HABIA」の使用事例として、自らが監修した「サロン・マネジメント」及び「サロンレセプショニスト・ガイドブック」という2冊の書籍を挙げている。甲第14号証及び甲第16号証の当該書籍の裏表紙と思しき部分に、「HABIA」の文字を含む標章の表示がみられるが、その構成態様に鑑みて、「HABIA」の文字のみが他の文字や図形から独立した識別標識になっているのか疑問である。さらに、裏表紙に付された標章が何を意味するものなのか、その書籍の奥付部分などにも全く説明がないため不明であって、その標章が書籍について何を識別しているのか客観的に理解できず、商標としての実質的な機能を有しているものとは思えない。
さらに、それら書籍の発行部数、売上実績、広告実績、需要者等に対する認知度など、請求人の使用する商標が我が国の需要者等に広く認識されていることを立証する資料の提出は一切ない。
よって、わずか2冊の書籍に付された程度の事情をもって、請求人が使用する商標が「相当程度知られていた」とは認められない。
また、甲第19号証は、請求人が運営するハリウッドビューティー専門学校のウェブサイトであり、リンクバナーを張っているとみられる同サイトの下部に、「HABIA」の文字が表示されている。しかし、この「HABIA」がいかなる商品・役務について使用され、いかなる請求人業務を表象するものなのか、請求人から一切説明がない。本答弁書提出日時点で、被請求人が同サイトにアクセスして「HABIA」のバナーをクリックしても、リンクが切れており、何も表示されない。
よって、そもそも、その使用自体が疑わしいものといわざるを得ず、請求人の使用する商標が識別機能を発揮する形で使用されているなどとはおよそいい得るものではない。
さらに、第41類の役務との関係においても、請求人の使用する商標が需要者等に広く認識されていることを立証するような証拠の提出は一切ない。
したがって、我が国の需要者において、出所の混同を惹起するような周知性を請求人の商標が有しているなどとは到底考えられない。
本件商標と請求人の使用する商標の非類似性については、上述したとおりであり、加えて、請求人の使用する商標の周知性が認められないことにも鑑みれば、本件商標との間で出所の混同を生じるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとの請求人の主張も失当である。
(3)「HABIA」が請求人の創造商標であるとの主張について
請求人は、「HABIA」が請求人の創造商標である旨主張しているが、看過できない主張であるので付言する。
そもそも、被請求人である「ハビア(HABIA)」とは、1997年に、それまで英国に存在していた複数の団体を統合して発足した理・美容関係の職業資格認定を行っている英国政府認可法人であり、発足当時は「Hair and Beauty Industry Authority」を正式名称としていたものの、2001年頃には、それらの頭文字をとって「HABIA」と自称しており、業界一般に認知されていた(乙3)。現在は「HABIA」を正式名称にしている。
そして、かかる英国政府認可法人「HABIA」による理・美容師の優れた教育及び職業資格認定システムは、「HABIA」とライセンス契約を交わした外国の団体や教育機関等により、欧米諸国をはじめとして、日本、中国、インドなどに導入されており、広く海外でも知られるに至っている(乙3)。
日本への導入に関しては、引用商標の出願前からライセンス交渉が開始され、2002年7月10日には契約締結に向けた一定の合意がなされている(乙4)。そして、かかる合意内容をその当事者である「Shoichiro Kuruhara(久留原昌一郎)氏」及び「Shiro Sekine(関根士郎)氏」から聞きつけた請求人は、その後、請求人自らとの契約締結をもくろんで、被請求人である「HABIA」と交渉を行う傍ら、日本において当該商標が出願・登録されていないことを奇貨として、おそらくはその交渉を有利に進めるべく「HABIA」に無断で、引用商標の出願を2002年7月15日に行っている。なお、請求人との交渉の結果、被請求人「HABIA」は、請求人との間でライセンス契約を締結するには至らなかった。
以上のことから、英国をはじめ諸外国で知られていた「HABIA」について、長年に亘り、理・美容業界に携わっている請求人が不知であったとは考え難いところであり、また、上述した契約締結(引用商標出願)前後における経緯に鑑みても、英国「HABIA」を知らなかったはずはなく、「請求人の創造商標である」との主張は明らかに失当である。
ちなみに、請求人は、別件「NVQ」(登録第4725182号)なる商標も所有しているが(乙5)、これは、被請求人「HABIA」が認定を行っている重要な職業資格の一つであり(乙3)、引用商標「HABIA」同様、請求人により勝手に権利取得されて、被請求人による業務が不正に害されており、その対応に苦慮している実情にある。
(4)結語
以上のとおり、請求人の主張はいずれも失当であり、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであることを理由とする本件審判の請求は、成り立たないものである。

第4 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであることを理由に、同法第46条第1項の規定に基づく商標登録の無効の審判を請求している。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、「ハビアイースト」の片仮名と「HABIA EAST」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ、これを構成する「ハビア」と「イースト」の片仮名は、一連一体に表されており、また、「HABIA」と「EAST」の欧文字も、両語の間に間隔を有してはいるが、それは英文表記において単語間を区切る自然な1文字分のスペースと把握できるものであって、いずれか一方を強調するような構成態様ではなく、同じ書体、同じ大きさの文字をもって、外観上まとまりよく一体的に表されているといえるものであり、これらより生ずると認められる「ハビアイースト」の称呼も語呂良く一気一連に称呼し得るものである。そして、たとえ構成中の「EAST」又は「イースト」の語が「東、東方、東部地方」の意味を有する英語又は外来語であるとしても、かかる構成においては、特定の商品の品質や役務の質あるいは提供地域等を具体的に表示するものとして理解し得るものともいい難いところであるから、むしろ、その構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識し理解されるものとみるのが自然であり、「ハビア」及び「HABIA」の文字部分のみが分離・抽出され、取引に資されるとみるべき格別の事情は見いだせない。
そうとすれば、本件商標を構成する「ハビアイースト」及び「HABIA EAST」の各文字は、それぞれの構成文字が分離されることなく一体不可分のものとして把握され、該各構成文字全体に相応して「ハビアイースト」の称呼のみを生ずるものであり、全体として特定の意味合い(観念)を生ずることのない造語を表したものとみるのが相当である。
(2)引用商標について
他方、引用商標は、前記第2のとおり、「HABIA」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、該構成文字に相応して、「ハビア」の称呼を生ずるものと認められ、特定の意味合い(観念)を生ずることのない造語と認められるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標から生ずる「ハビアイースト」の称呼と引用商標から生ずる「ハビア」の称呼とを比較するに、両者は、「ハビア」の音部分を共通にするとしても、「イースト」の音の有無という音構成上の明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するも、その音構成の差異により、称呼上十分に区別し得るものである。
そして、上記したとおり、本件商標及び引用商標は、いずれも造語よりなるものと認められるから、観念については比較すべくもないものであり、また、両者の欧文字部分のみを比較したとしても、前記した構成からみれば、外観においても十分に区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
請求人は、引用商標の著名性を立証するものとして甲第14号証ないし甲第19号証、甲第21号証及び甲第22号証を提出している。
(ア)上記甲各号証について
甲第14号証は、株式会社同友館発行に係る書籍の表紙、背表紙、裏表紙及び奥付の写しであり、表紙には、題号として「サロン・マネジメント/Salon Management」とあり、「マーク・D・フォーレー著/監修・山中祥(「ネ」の偏部分は「示」である。以下同じ。)弘/訳・小林勝」の記載がある。また、裏表紙には、「世界的に著名なサロンコンサルタント マーク・D・フォーレーが日本の読者に初めて贈るサロンマネジメントのアメリカにおけるベストセラーの待望の日本語完訳!!サロン経営と人生の成功に必要なすべてが網羅されている決定版テキスト!!」等の記載があり、最下部には、細線からなる横長楕円輪郭内に「HABIA/HAIR AND BEAUTY/INSTITUTE ASSOCIATION/JAPAN」の各文字が4段に配された標章が表示されている。そして、奥付には、第1刷が2002年1月30日に発行されており、2010年3月31日には、その第9刷が発行されていたことが記載されている。
甲第15号証は、上記書籍が「Amazon.co.jp」を通じて、インターネット上で販売されている事実を示す2011年7月6日打出しの資料であり、その記載内容からみれば、該打出し日においても該書籍が販売されていた事実を認めることができる。
甲第16号証は、株式会社同友館発行に係る書籍の表紙、背表紙、裏表紙及び奥付の写しであり、表紙には、題号として「サロン/レセプショニスト/ガイドブック/SALON RECEPTIONIST GUIDE BOOK/ジュディ・ヴェンチュラ著/監修 ハリウッド・ホスピタリティ研究所/訳 小林勝」等の記載がある。また、裏表紙には、この書籍には「サロンレセプショニストを目指す人のためのマニュアル」が網羅されている旨の紹介文が記載されており、最下部には、細線からなる横長楕円輪郭内に「HABIA/HAIR AND BEAUTY/INSTITUTE ASSOCIATION/JAPAN」の各文字が4段に配された標章が表示されている。そして、奥付には、第1刷が2003年10月22日に発行されており、2006年3月31日には、その第3刷が発行されていたことが記載されている。
甲第17号証は、上記書籍が「オンライン書店ビーケーワン」において販売されている事実を示す2011年7月6日打出しの資料であり、その記載内容からみれば、該打出し日においても該書籍が販売されていた事実を認めることができる。
甲第18号証は、学校法人メイ・ウシヤマ学園/ハリウッド大学院大学のホームページであり(2011年7月6日打出し)、教員紹介の欄には、山中祥弘(「サロン・マネジメント」の監修者)や小林勝(「サロン・マネジメント」及び「サロンレセプショニストガイドブック」の翻訳者)等の教授が紹介されている。
甲第19号証は、学校法人メイ・ウシヤマ学園/ハリウッドビューテイ専門学校のホームページであり(2011年7月6日打出し)、リンクバナーを張っているものとみられる同サイトの下部に、黒塗りの横長楕円形内に「HABIA」の文字を白抜きに表した標章等が表示されている。
(イ)引用商標の著名性の有無について
上記において認定した事実によれば、株式会社同友館発行に係る書籍「サロン・マネジメント/Salon Management」(甲14)や同社発行に係る書籍「サロン/レセプショニスト/ガイドブック/SALON RECEPTIONIST GUIDE BOOK」(甲16)の裏表紙の最下部に、「HAIR AND BEAUTY/INSTITUTE ASSOCIATION/JAPAN」の頭文字をとった略称として、これらの文字の上段に「HABIA」の文字からなる引用商標が表示されていることを認めることができる。
しかしながら、該「HABIA」の文字部分をもって引用商標を表示したものであるとしても、上記したような状態で表されている引用商標が請求人の業務に係るいかなる商品あるいは役務の出所を表示しているのか明らかではない。このことは、甲第19号証のリンクバナーに表示されている「HABIA」の標章についても同様である。そして、それら書籍の発行部数や売上実績を示す資料も提出されておらず、ハリウッドビューテイ専門学校における引用商標についての広告実績などを示す資料も提出されていない。
そうとすれば、請求人の提出に係る2冊の書籍(甲14・16)及び学校法人メイ・ウシヤマ学園/ハリウッドビューテイ専門学校のホームページ(甲19)のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、引用商標が請求人の業務に係る「印刷物」等の商品や「美容の教授、理容の教授」等の役務を表示する商標として、我が国における美容ビジネスに関わる関係者の間において広く知られていたものと認めることはできない。
(2)出所混同のおそれの有無について
上記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、引用商標は、本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る「印刷物」等の商品や「美容の教授、理容の教授」等の役務を表示する商標として、この種商品の取引者・需要者や役務の提供者・需要者の間において広く認識されていたものとは認められない。
してみれば、被請求人が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品又は役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものということはできない。
3 請求人の主な主張について
(1)請求人は、同一グループに属する会社の商号や商標として、ハウスマークと地域・方角名を組み合わせたものを使用する例を挙げて(甲6?12)、識別力のある語と共に使用される地域や方角名は、単に商品や役務の提供地域を示すために用いられるのであって、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないか極めて弱いものである旨、また、そのような使用例が多く見られる事実から、本件商標と引用商標とは、経験則的に経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品・役務であるとの出所混同が生じる蓋然性が極めて高い旨主張している。
しかしながら、「イースト/EAST」の語は、「東、東方、東部地域」等の意味を表す語として知られてはいるが、商品の品質あるいは役務の質等を具体的に表しているものとはいえず、商品の品質や役務の質等を表す語として一般的に用いられているものともいえない。
また、請求人が挙げている「NTT 東日本(NTT EAST)」と「NTT 西日本(NTT WEST)」や「JR 東日本(JR EAST)」と「JR 西日本(JR WEST)」等の事例は、会社の商号(略称)や商標として一定程度知られていることから、これらの事例に接した需要者は、それらの各企業や商標が同一グループに属する企業あるいはその商標であることを理解・認識するとはいえるが、そうであるからといって、これらの事例から、直ちに一般論として、ある商号(商標)とその商号(商標)に地域・方角名とを一体的に組み合わせた標章(商標)との間において、商品や役務の出所について混同を生ずるものとはいい難い。
出所の混同を生ずるか否かは、あくまでも、それぞれの商標(標章)が有する個別具体的な取引の実情に即して判断されるものというべきである。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(2)請求人は、本件商標に請求人の創造標章である「HABIA」を含んでいることは看過できない旨主張している。
しかしながら、被請求人の主張によれば、被請求人は、「Hair and Beauty Industry Authority」の名称のもとに理・美容関係の職業資格認定を行う法人として1997年に発足した英国政府認可法人であり、2001年頃に、その名称の頭文字をとって、「HABIA」を正式名称として採択したものであり、被請求人による理・美容師の教育及び職業資格認定システムは、被請求人とライセンス契約を交わした外国の団体や教育機関などにより、欧米諸国をはじめとして、日本、中国、インドなどに導入されていたことが認められる(乙3)。
そしてまた、乙第4号証によれば、引用商標の出願前から、我が国の関係者との間でライセンス交渉が開始されており、2002年7月10日には契約締結に向けた一定の合意がなされていたことが推認される。
そうとすれば、請求人が被請求人の業務に係る理・美容師の教育及び職業資格認定システムについて、被請求人とライセンス契約の交渉を行っていたか否かは定かではないとしても、少なくとも、上記した事情からみれば、同様の役務を提供している請求人が被請求人の名称である「HABIA」を全く知らなかったものとは考え難く、「HABIA」の標章が請求人の創造に係る標章である旨の請求人の主張は採用できない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品・指定役務中、第16類「文房具類,印刷物」及び第41類「美容の教授,理容の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格認定試験及びその模擬試験の実施,資格検定試験に関する情報の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,セミナー・教育研修・講座・人材開発のテキストの制作,書籍の制作」についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)本件商標に係る指定商品及び指定役務
第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」
第41類「美容の教授,理容の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格認定試験及びその模擬試験の実施,資格検定試験に関する情報の提供,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,セミナー・教育研修・講座・人材開発のテキストの制作,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」

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審理終結日 2012-05-15 
結審通知日 2012-05-18 
審決日 2012-06-28 
出願番号 商願2006-1236(T2006-1236) 
審決分類 T 1 12・ 271- Y (Y1641)
T 1 12・ 262- Y (Y1641)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 加園 英明石塚 利恵 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2006-07-07 
登録番号 商標登録第4968049号(T4968049) 
商標の称呼 ハビアイースト、ハビア、イースト 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 岡野 光男 
代理人 浅村 皓 
代理人 森 正澄 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 一色国際特許業務法人 
代理人 前川 砂織 
代理人 浅村 肇 
代理人 土屋 良弘 
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