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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41
審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X41
管理番号 1261575 
審判番号 無効2011-890109 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-12-13 
確定日 2012-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5414009号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5414009号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5414009号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成22年8月9日に登録出願、第41類「電子出版物の提供,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),おもちゃの貸与,書画の貸与」を指定役務として、平成23年5月27日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第69号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標の登録は、後記2及び3のとおり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項に基づき、無効とされるべきである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)請求人の引用する登録商標
(審決注:下線は、本件商標の指定役務と同一又は類似の役務と判断した指定役務について付した。)
ア 登録第4361612号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成11年1月22日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組等の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組等の制作のために使用されるものの操作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,絵画の貸与」を指定役務として、平成12年2月10日に設定登録され、その後、平成22年1月26日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
イ 登録第5073279号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成19年1月9日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、平成19年8月24日に設定登録されたものである。
ウ 登録第5234739号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成20年10月16日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」を指定役務として、平成21年5月29日に設定登録されたものである。
エ 登録第5297816号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成21年8月4日に登録出願、第41類「美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作」を指定役務として、平成22年1月29日に設定登録されたものである。
オ 登録第5297817号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成21年8月4日に登録出願、第41類「楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、平成22年1月29日に設定登録されたものである。
カ 登録第5334692号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成22年2月2日に登録出願、第41類「書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、平成22年7月2日に設定登録されたものである。
キ 登録第4160824号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成9年4月1日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,研究用教材に関する情報の提供及びその仲介,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),ゴルフの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,絵画の貸与」を指定役務として、平成10年6月26日に設定登録され、その後、平成20年6月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(2)本件商標と引用商標1?7とが類似する理由
ア 本件商標の称呼及び観念について
(ア)本件商標は、左端に頭頂部の髪と思しき部分が尖り、パッチリとした大きな目をした幼児の頭部を描いた図形(以下「本件図形」という。)を配し、その右側に、「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字と小さく表した「ローズオニールキューピー」の文字を二段に横書きしてなるものであり、本件図形と文字部分とが不可分に結合されているとはいえないから、本件図形のみが独立して自他役務の識別機能を果たし得るものである。このような図形及び文字から構成される商標にあっては、図形部分のみが独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるとすることは、過去の審決及び判決で確認されている(甲9?甲13)。
以上から、本件図形は、文字部分から独立して自他役務識別標識として機能し得るものであり、これより独立した称呼及び観念が生じると考えるのが相当である。
(イ)本件図形は、米国人ローズ・オニールがキューピーのイラストを20世紀初頭に発表して以来、我が国でも周知になったキューピー人形とその特徴を共通にするものである。
ローズ・オニールの発表以来、我が国を含む世界中で、キューピーのイラストを立体化したキューピー人形が製作されて人気を博し、我が国では、1930年代ころにセルロイド製のキューピー人形が製造され広く流布した事実がある。請求人は、「キューピー」及び「キューピー人形」を商標としてマヨネーズ等の商品に使用し盛大に宣伝広告した結果、これらの商標は全国的に著名となった。その後、請求人は商号をキューピー株式会社とした。
現在では、キューピー人形は、頭頂部が尖った目のパッチリと大きい裸体の幼児の人形として我が国において広く認識されるに至っている。
(ウ)上記のとおり、キューピー人形は、我が国で周知性を獲得していること、及び、本件図形はそのような周知なキューピー人形とその特徴を共通にすることから、本件商標に接する取引者又は需要者は、本件図形を「キューピー」と認識することは明らかである。
したがって、本件商標からは、「キューピー」の略称を生じるとともに、頭の先の髪と思しき部分が尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児又はその人形である「キューピー」の観念を生じる。
ちなみに、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の有する(a)登録第4948210号商標、(b)登録第4746886号商標、(c)登録第4861901号商標は、いずれも本件図形と同一の図形からなる商標であるところ、(a)については、審決取消訴訟(平成20年(行ケ)第10139号:甲14)の判決において、(b)については、審決取消訴訟(平成22年(行ケ)第10093号及び平成22年(行ケ)第10103号:甲15)の判決において、(c)については、無効審判(無効2010-890040:甲16)の審決において、いずれの登録商標からも「キューピー」の称呼及び観念が生じると認定した。また、本件商標権者の出願に係る商願2008-88551は、本件図形と同一の図形からなる商標であるところ、この出願に対して、被請求人(審決注:「請求人」の誤記と認める。)の登録商標等が多数引用された拒絶理由通知書が発せられ、本件商標権者は当該出願を取り下げた(甲17)。
なお、本件図形がローズ・オニールのイラストのそれと近似していること及び本件商標には「ローズオニール」「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字も含まれるが、この点に関し、甲第14号証の判決は、「『ローズ・オニールが創作したオリジナルのキューピー』とそれ以外の『キューピー』とが截然と区別して認知されていたとまでは到底認めることができない。」と認定し、甲第15号証の判決も、「ローズ・オニールが我が国においてキューピーの作者として広く知られているとは到底いえなかったことや原告によるローズ・オニールの顕彰活動の開始から本件商標出願まで約10年しか経過していないことに加えて、本件商標に接した極めて多数の者がこれを『キューピー』と回答し、本件商標から連想する商品として、多数の者が被告主たる商品であるマヨネーズを挙げていることを考え併せると、訴外会社が本件商標を使用していたとしても、本件商標についても『顔のキューピー』又は『ローズ・オニール・キューピー』といった特定の称呼及び観念が生ずるとまでは認め難い。」と認定した。したがって、本件図形からは、「ローズ・オニールの創作したオリジナルのキューピー」や「ローズ・オニール・キューピー」等の称呼及び観念しか生じないと考えるよりも、単なる「キューピー」の称呼及び観念が生じると考えるのが自然である。
(エ)請求人は、上記主張を裏付けるために、甲第18号証のアンケート(以下「甲18アンケート」という。)及び甲第21号証のアンケート(以下「甲21アンケート」という。)について述べる。これらのアンケートは、株式会社電通リサーチに依頼したものであって、その内容は、本件図形と同一の図形よりなる登録第4948210号商標(以下「本件図形と同一図形」という。)を提示し、「この絵をご覧下さい。あなたは、この絵を何の絵だと思われましたか。どのようなことでも良いので自由にお知らせ下さい。(問1)」、「この絵をご覧になって思い浮かべる商品が何かありましたら、どのようなものでも結構ですので、ご自由にお知らせ下さい。(問2)」という質問に回答させるものであり、複数回答が可能である。
a.甲18アンケートについて
甲18アンケートの対象範囲は、全国であり、地域・性別・年代が偏らないような人口構成に準ずる割付けをし、食品業界・調査業界の勤務者を除く15歳から59歳の男女1000人であり、インターネットを通じて2008年5月9日から同11日の間に行われた。
なお、甲18アンケートは、選択肢を設けずに自然想起による回答を求めるものであり、また、次の質問に移ってから前の回答に戻れない等、回答者に先入観を与えないように配慮したものである。さらに、集められた回答から、短時間回答・不自然な長時間回答者を排除した。よって、甲18アンケートの結果は、信頼性が高いものといえる。
このような方法で行われた甲18アンケートの結果は、問1に対しては「キューピー(人形)」とする回答が全体で61.6%と高い割合を示した。また、問2に対しては、「マヨネーズ」の商品を思い浮かべるとする回答の割合が全体で65.9%にも及んだ。
なお、甲18アンケートにおける複数回答の傾向を分析した結果(甲19、甲20)、問1に対して「キューピー(人形)」と回答した対象者が複数回答したものは、最も多いものでも「赤ちゃん、子供」であるが、その割合は「キューピー(人形)」と回答した対象者の5.7%にすぎないものであった。また、「キューピー」「キューピー株式会社のマーク」「キューピーマヨネーズのマーク」「マヨネーズに使われているマーク」と、キューピーと関連がある回答の合計の割合は、他の回答との重複を除いても少なくとも63.4%にも及んだ。問2に対しては、「マヨネーズ」と回答した対象者の平均反応数が1.15となっており、「マヨネーズ」と回答した対象者の多くが「マヨネーズ」とのみ回答していることが分かる。
また、「マヨネーズ」「ドレッシング」「パスタソース」「ベビーフード」「介護食」という請求人の取扱いに係る商品の回答の合計割合は、他の回答との重複を除いても少なくとも58.9%であった。
b.甲21アンケートについて
甲21アンケートは、訪問面接により行った(マーク内容想起篇)もので、その対象範囲は、首都圏(東京30Km圏)であり、性別・年代が偏らないような人口構成に準ずる割付けをしており、第1段階で調査地点を無作為に抽出し、第2段階で抽出された地点の対象者を無作為に抽出する方法(エリアサンプリング)により、15歳から59歳の男女630人であり、2008年5月15日から同25日の間に行われた。
なお、甲21アンケートは、甲18アンケートと同様に、選択肢を設けずに自然想起による回答を求めるものであり、回答者に先入観を与えないよう、かつ、オムニバス・サーベイ(複数社の調査テーマを同一実施で相乗りさせて行う調査形式)で行うことにより、対象者が質問の目的に気付くことがないように配慮したものである。また、甲21アンケートは、オムニバス・サーベイの中でも最初に質問するようにしたため、他の質問の影響を受けることは考えにくい。以上から、甲21アンケートの結果も信頼性が高いものといえる。
このような方法で行われたアンケート結果は、問1に対しては「キューピー(人形)」とする回答が全体で73.5%と非常に高い割合を示した。問2に対しては、請求人の主力商品である「マヨネーズ」を思い浮かべるとする回答の割合が全体で72.7%にも及んだ。
なお、甲21アンケートにおける複数回答の傾向を分析した結果(甲20)、問1に対して「キューピー」「キューピー株式会社のマーク」「キューピーマヨネーズのマーク」「マヨネーズに使われているマーク」という、キューピーと関連がある回答の合計の割合は、他の回答との重複を除いても少なくとも69.1%にも及んだ。問2に対しては、「マヨネーズ」「ドレッシング」「パスタソース」「ベビーフード」「介護食」という請求人の取扱いに係る商品の回答の合計の割合は、他の回答との重複を除いても少なくとも60.7%であった。
c.このように、本件図形と同一図形についてのアンケート結果からも、一般需要者の多くは、本件図形から「キューピー(人形)」及び請求人の取扱いに係る商品又は請求人を思い浮かべるといい得るものである。
したがって、本件商標は、「キューピー」の称呼及び観念が生じるものである。
イ 引用商標1?7の称呼及び観念について
(ア)引用商標1は、上段に「キューピー」の文字を横書きし、中段に頭頂部と思しき部分が尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児の人形を模した図形を有し、下段には「KEWPIE」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念が生じる。
(イ)引用商標2は、上段に「キューピー」の文字を横書きし、下段に頭頂部と思しき部分か尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児の人形を模した図形を有してなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念が生じる。
(ウ)引用商標3?6は、上段に「KEWPIE」の文字を横書きし、中段に頭頂部と思しき部分が尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児の人形を模した図形を有し、下段に「キューピー」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念が生じる。
(エ)引用商標7は、頭頂部と思しき部分が尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児の人形を模した立体的形状からなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念が生じる。
(オ)以上のように、引用商標1?7のいずれからも、「キューピー」の称呼及び観念が生じる。
ウ してみると、本件商標と引用商標1?7は、称呼及び観念を同一とする類似の商標である。
さらに、本件商標は、引用商標1?7の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人の引用する登録商標
ア 登録第595694号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、昭和35年5月31日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和37年8月24日に設定登録され、その後、昭和48年1月12日、昭和57年10月26日、平成5年1月28日及び平成14年5月21日の4回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成15年7月23日に、指定商品を第30類「調味料,香辛料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
イ 登録第832283号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲(7)のとおりの構成よりなり、昭和41年8月11日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和44年9月24日に設定登録され、その後、昭和55年6月27日、平成1年11月21日、平成11年10月19日及び平成21年4月21日の4回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成21年6月17日に、指定商品を第30類「調味料,香辛料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)本件商標と引用商標8及び9との類似について
本件商標は、前記2(2)アのとおり、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
他方、引用商標8は、頭頂部と思しき部分が尖り、目がパッチリと大きい裸体の幼児の人形(いわゆる「キューピー人形」)を模した図形からなるものであるから、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。また、引用商標9は、「キューピー」の文字を横書きしてなるものであるから、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
したがって、本件商標と引用商標8及び9とは、「キューピー」の同一の称呼及び観念を有する類似の商標である。
(3)引用商標8及び9の著名性について
ア 請求人は、大正8年に設立された会社であり、大正14年に我が国初の国産マヨネーズの製造を開始し、これに「キューピー」の文字及び「キューピー人形」よりなる商標を付して発売し今日に至るまで、商標の書体、態様に多少の変更を加えつつも、一貫してこの商標を使用し続けてきた(甲24)。そして、戦後の国民の食生活の変化に伴い、洋食に合うマヨネーズが爆発的に売れるようになったことにより、「キューピー」「キューピー人形」の商標は、日本全国に知れ渡るに至ったものであり、請求人は、「キューピー」「キューピー人形」の商標を付したマヨネーズが全国的なシェアを持つに至ったことから、昭和32年に社名を「キューピー株式会社」に変更し、以来、今日までその社名を使用し続けてきた。
請求人の多種にわたる商品が全国的規模で売れたことから、本件商標出願前には、「キューピー」といえば、直ちにマヨネーズをはじめとする請求人の商品あるいは請求人を指称するほどに広く知られるに至ったものである。
請求人の取扱い商品は多種にわたり、そのうちの、例えば、ソース類缶詰、マヨネーズ類、液状ドレッシング類、レトルトパスタソース類、レトルトスープ類、ベビーフードの日本国内における請求人の年度別シェア及び順位は、甲第25号証及び甲第26号証に示すとおり、いずれも高いものである。
また、「キューピー」は、食品関連商品についてのみならず、商品分野を限定しない企業全般を対象とした第三者によるアンケートにおいて、第1位(3回)、第2位(1回)、第4位(1回)と非常に高い評価結果を得ており(甲27?甲34)、このことは、上記事実を裏付けるものでもある。
したがって、「キューピー」は、企業ブランドとしても需要者から極めて高い評価を得ているものであり、食品分野の枠を超えた著名性を獲得している。
イ 引用商標8及び9は、著名商標であるが故に、防護標章の登録が認められている(甲22、甲23)。
さらに、引用商標8及びこれと「KEWPIE」の文字からなる商標は、「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN」に日本の著名商標として掲載されている(甲37、甲38)。
ウ 請求人は、それぞれ外観が異なる多種多様な「キューピー人形」よりなる商標を所有し、これらの登録商標は、請求人により指定商品について使用され、取引者・需要者に知られているものである(甲39?甲50)。
エ 請求人は、「キューピー人形」の頭部のみの態様の商標を本件商標の出願日前から現在まで継続して使用している(甲51?甲69)。
オ 前記2(2)ア(エ)のとおり、甲18アンケートでは、問1に対して61.6%もの回答者が「キューピー(人形)」と回答し、問2に対しては「マヨネーズ」との回答の割合が65.9%にものぼった。また、甲21アンケートでは、問1に対して「キューピー(人形)」との回答の割合が73.5%であり、問2に対しては「マヨネーズ」とする回答が72.7%と高い割合を示した。
すなわち、上記アンケートからは、本件図形と同一図形を絵として見た場合には「キューピー(人形)の絵」と認識し、同図形を商品との関連で見た場合には「マヨネーズ」を想起する取引者又は需要者が非常に多いことがわかる。そして、商品「マヨネーズ」について「キューピー(人形)」のマークの使用者が請求人以外にいないことを考えると、上記アンケート結果から、本件図形と同一図形を見た需要者の多くは請求人を想起することは容易に推測できる。
(4)以上のことから、本件商標がその指定役務に使用された場合には、該役務が請求人又は請求人の関連会社の業務に係る役務であるかのように混同を生じることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第58号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、米国の美術家の故ローズ・オニールの創作したキューピーのイラストに基づく顔及び羽の図形(本件図形)を左端に配し、その右上部に「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字を等間隔に配し、該文字の下に、本件図形側から左詰めで「ローズオニールキューピー」の文字を等間隔に配してなるものである。
そして、本件商標からは、ローズ・オニールの創作したキューピーのイラスト及び文字部分に相応して、「ローズオニールキューピー」の称呼及び「ローズ・オニール・キューピー」「ローズ・オニールのキューピー」の観念が生ずる。
(2)引用商標1?7
引用商標1?6は、幼児の全身のイラストの図形と「キューピー」「KEWPIE」の文字の一方又は双方からなり、引用商標7は、当該全身のイラストを立体化したものである。
(3)商標の類否
ア 外観
本件商標の外観は、前記(1)のとおりである。
引用商標1?7の外観は、前記(2)のとおりである。引用商標1?6については、特に、(a)本件図形は幼児の顔のみからなるが、引用商標1?6は幼児の全身からなること、(b)表示される文字列が本件商標では「ROSEO’NEILLKEWPIE」「ローズオニールキューピー」が二段で表示されるが、引用商標1?6は「KEWPIE」若しくは「キューピー」のいずれか一方又は両方が離れて表示されること、(c)本件商標は、本件図形よりも文字部分が強く支配的な印象を与えるが、引用商標1?6は、図形部分が強く支配的な印象を与え、文字部分の印象が弱い。引用商標7は、幼児の全身からなる立体商標であり、幼児の顔のみからなる本件商標とは、一見して相違することは明らかである。
したがって、本件商標と引用商標1?7とは、構成、図形部分及び文字部分の外観が顕著に相違し、両者は、取引者及び需要者に、極めて異なる印象、記憶を及ぼすから、混同を生じない。
イ 称呼
本件商標の称呼は、前記(1)のとおり、「ローズオニールキューピー」である。
引用商標1?6は、「キューピー」の文字部分があるから、「キューピー」の称呼が生ずる。引用商標7は、一般にキューピー人形と呼ばれる立体の一種であるから、「キューピー」の称呼が生ずる。
したがって、本件商標と引用商標1?7とは、称呼が著しく相違する。
ウ 観念
本件商標の観念は、前記(1)のとおり、「ローズ・オニール・キューピー」又は「ローズ・オニールのキューピー」である。
引用商標1?6からは、「キューピー」の称呼から、「キューピー」の観念が生ずる。また、引用商標7からは、「キューピー人形」の観念が生ずる。
したがって、本件商標と引用商標1?7とは、観念が著しく相違する。
(4)請求人の主張に対する反論
ア 請求人の主張が判例違背であること
請求人は、「図形及び文字から構成される商標にあっては、図形部分のみが独立して自他商品・役務の識別標識機能を果たし得るものであるとすることは、過去の審決及び判決で確認されている。」と述べ、本件商標は、本件図形と文字部分とが不可分に結合されているとはいえないから、図形部分のみが独立して自他役務の識別機能を果たし得るものであって、本件商標と引用商標1?7は、「キューピー」の称呼及び観念において類似する旨主張する。
しかし、判例は、「複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較してその商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである。」と判示する(昭和38年12月5日第一小法廷判決「リラ寶塚事件」、平成5年9月10日第二小法廷判決「SEIKO EYE事件」、平成20年9月8日第二小法廷判決等「つつみのおひなっこや事件」)。
本件商標は、前記(1)のとおり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標であるが、本件図形だけが強く支配的な印象を与えるものではない。しかも、文字部分から出所識別標識として「ローズオニールキューピー」の称呼及び観念が生ずるものであるから、請求人主張のように、本件図形だけを抽出し、これを他人の商標と比較してその商標そのものの類否を判断することは許されない。
イ 請求人の指摘する裁判例・審決例について
図形と文字から構成される結合商標類否判断に関し、請求人が挙げる判決・審決例は、いずれも図形部分が取引者・需要者に対して商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められる結合商標に関するものであり、しかも、対比される2の商標中の図形部分が酷似しているため、その他の構成部分から生じる称呼、観念等を凌駕し、両商標が類似していると判断されたものである。
しかし、本件図形は、前記アのとおり、支配的な印象を与えない。むしろ、それ以外の文字部分から「ローズオニールキューピー」の称呼及び「ローズ・オニール・キューピー」「ローズ・オニールのキューピー」の観念を生じるものである。
したがって、本件商標と引用商標1?7の類否を判断するにあたって、請求人が挙げるこれらの例は参考とならない。
結合商標について分離観察をしない例
図形と文字からなる結合商標について、結合商標の構成部分の一部が強く支配的な印象を与えないか、それ以外の部分から称呼及び観念を生じることによって分離観察をしない判決・審決例も通常にみられる(乙1?乙5)。このうち、平成10年異議第90775号(乙3)は、結合商標中の図形部分は強く支配的な印象を与えるものでなく、それ以外の部分から称呼及び観念を生じることによって、全体観察により非類似と判断された。
エ 本件商標について過去の事件が参考にならないこと
請求人は、商標登録第4948210号につき平成20年(行ケ)第10139号(甲14)において、商標登録第4746886号につき平成22年(行ケ)第10093号及び平成22年(行ケ)第10103号(甲15)において、商標登録第4861901号につき無効2010-890040号(甲16)において、「キューピー」の称呼及び観念が生じると認定されたと述べる。
しかし、これら登録商標は、いずれも図形部分のみからなる商標であって、文字部分が存在しないから、図形から生ずる称呼及び観念により、類似性が判断されたものである。他方、本件商標は、図形及び文字からなる結合商標であり、これらの登録商標とは構成を異にするものであるから、請求人の挙げる上記事件の判断は、本件商標に対する判断に及ばない。
なお、請求人は、本件商標権者は、同人が出願した商願2008-88551号を取り下げたと述べるが、商標登録出願の手続を継続するか否かは、出願人の意思の問題であり、類否に関する判断がなされたわけではない。したがって、当該事件も、本件商標の類否判断にあたって無関係である。
(5)特許庁の判断
ア 本件商標権者の登録商標
本件商標権者は、既に「ローズオニールキューピー」の称呼及び観念を生じる商標について、先願の「キューピー」の称呼及び観念が生じ、指定商品ないし指定役務を同じくするか類似群コードを同じくする商標の存在にもかかわらず、登録を得ている(乙6の1?25)。当該事実は、本件商標から生ずる称呼及び観念と引用商標1?7の称呼及び観念とが類似しないことの証左である。
イ 第三者の登録商標
加えて、「キューピー」の称呼又は観念を生じる先願の登録商標が既に存在したにもかかわらず、本件商標権者だけでなく、第三者も、「キューピー」の称呼及び観念を含む登録商標であって、かつ、当該先願の登録商標と指定商品又は指定役務を同じくするか、その指定商品又は指定役務と類似群コードを同じくする商標登録を有している(乙7の1?49)。
ウ したがって、特許庁は、「キューピー」と「○○キューピー」との間には、称呼及び観念の類似性はないと判断し、これらの商標の登録を認めている。
(6)以上述べたように、本件図形のみを分離して引用商標1?7と類否判断をすることは許されず、本件商標と引用商標1?7とを全体観察した場合、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、同一性ないし類似性は認められない。
(7)取引の実情
ア 判例
最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決(氷山印事件)は、商標の類否について、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」、「商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない。」と判断している。
イ 本件商標の使用状況・態様
本件商標権者及び同人が代表取締役を務める株式会社ローズオニールキューピー・インターナショナル(以下「ローズオニールキューピー社」という。)は、本件商標を、ローズ・オニールの創作したキューピー人形等の展覧会並びに当該人形等を展示する店舗及び博物館を広告する広報誌に使用することにより、その指定役務に使用している(乙8)。
本件商標権者、ローズオニールキューピー社及びその前身であるローズオニールキューピージャパンは、10年以上にわたり、「ROSEO’NEILLKEWPIE」の商標を人形等多数の商品に用い、直接又はライセンス商品として販売し(乙9?乙12)、出版物の制作(乙8、乙13)やアニメーション制作の参加を行っている(乙14)。また、ローズ・オニールの創作したキューピー等につき展示・展覧会を行っている(乙8、乙12、乙13、乙15、乙16)。
さらに、本件商標権者は、キューピーがローズ・オニールの著作であることを知って以来、その事実を世の中に訴え続け(乙12、乙13)、その取引の過程において、本件商標権者の商品又は役務がローズ・オニールの創作したオリジナルのキューピーに基づくものであり、請求人の「キューピー」とは出所が異なることを明示している(乙8?乙13、乙16等)。
ウ 引用商標の使用状況・態様
請求人の取扱い商品はマヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野あるいはこれに密接に関連する分野の商品であって、引用商標1?7をその指定役務に使用していない。また、請求人が、引用商標1?7の指定役務(第41類)の分野に参入して、業として当該役務を提供する可能性を考慮するのは不自然である。実際、請求人の有価証券報告書(第98期)には、このような役務を業とする実績もなく計画すら明らかにされていない(乙17)。したがって、請求人が今後、引用商標1?7を業としてその指定役務を提供する目的で使用するとも考えられない。
エ 本件商標の登録の経緯
ローズ・オニールが初めてキューピーのイラストを雑誌に掲載して発表したのは1909年である。2008年に、米国において、キューピー作品をはじめとする絵画が再評価され、視覚芸術賞を獲得した(乙18?乙21)。ローズ・オニールのキューピー作品は、物語性がある絵本であり、ローズ・オニールは、絵本の中で登場するキューピーにキャラクター設定を行った上で、キューピー作品を何作も残しており(乙22?乙24)、このキューピー作品によって一躍有名となった。その後、キューピー作品をもとにキューピー・キャラクターを立体化したキューピー人形を創作した(乙25?乙27)。ローズ・オニールの創作したキューピーは、大正時代に日本に伝わり大ブームとなった(乙18、乙19)。
このように「キューピー」は、そもそもローズ・オニールが創作したキューピー人形をはじめとするキャラクターを識別する標識である。
本件商標権者は、我が国においてローズ・オニールの創作したキューピーの著作権が失効するまで、当該著作物の著作権者であった(乙28)。また、本件商標権者は、ローズ・オニールの財産を相続したローズ・オニール遺産財団から、「ROSEO’NEILL」をあらゆる商品やサービスの商標として登録出願する権限を与えられており(乙29?乙31)、本件商標及び前記(5)アの商標を出願し、登録を受けた。
オ 引用商標の登録の経緯
前記エのとおり、ローズ・オニールの創作したキューピーは、キューピー・ブームを生じたため、キューピーの人気にただ乗りして、これを商標登録したり、商品開発したりする者がでてきた。請求人が、ローズ・オニールの創作したキャラクターや名称に便乗して商標登録した経緯は、乙第19号証に示すとおりである。引用商標1?9が、キューピーの人気にただ乗りして、商標登録されたものであることについては、請求人を原告とする東京高等裁判所平成15年(行ケ)第103号審決取消請求事件の判決でも、「原告A(被請求人注:請求人)の引用商標1及び2(被請求人注:引用商標8及び9)は、いずれも大正14年ころから使用され、昭和35年あるいは同41年に出願され、その後登録されたものであり(被請求人注:甲22、甲23)、原告Aがその使用を継続してきたことにより、マヨネーズ、ドレッシング、その他の加工食品の分野においては、その取引者、需要者に広く知られた商標となったことは前記のとおりである。しかし、上記のとおり、『キューピー人形』及びその愛称の『キューピー』は、戦前はもちろん、戦後も、日本人に広く知られ、親しまれていたものであり、原告Aが、古くから一般に広く知られ、親しまれているこの『キューピー人形』の人気や普及性に着目し、引用商標1及び2を商標としてマヨネーズ、ドレッシング、その他の加工食品に採択し、その使用を継続してきたものであることは、否定することができない。」と判断した(乙34)。
このように、引用商標1?7は、キューピーブームに便乗して登録されたものであるから、仮に、請求人が、引用商標1?7をその指定役務に使用するとしても、商標の由来は本件商標権者の商標の由来と異なるものであり、本件商標権者のようにわざわざローズ・オニールのキューピーであると明示することは考えられない。
カ 以上より、本件商標が使用される状況及び態様並びに引用商標が使用されていないことに鑑みると、取引者・需要者において、本件商標と引用商標とを混同するおそれは生じない。
(8)アンケートに対する反論
ア アンケート問1(甲18?甲21)について
アンケートの対象となった図形は、まさにローズ・オニールの創作した「キューピー」である。したがって、回答者は、著作物又はキャラクターとしての「キューピー」を想起しているにすぎない。一般に、「『キューピー人形』及び『キューピー』の語が被告A(被請求人注:請求人)らとのみ関連づけられるものとして一般に広く知られている、ということは到底できない」(平成15年(行ケ)第192号判決:乙35)から、取引者や需要者が、ある図形を「キューピー」と認識したからといって、直ちに「キューピー株式会社」を思い浮かべるとの請求人の主張は、著しい論理の飛躍である。
甲18アンケートでは、本件図形と同一図形について、「キューピーマヨネーズのマーク」と回答した者はわずか5.8%、「キューピー株式会社のマーク」と回答した者はわずか2.1%に止まる。甲21アンケートでは、本件図形と同一図形について、「キューピーマヨネーズのマーク」と回答した者はわずか5.9%、「キューピー株式会社のマーク」と認識した人は全体のわずか1.1%に止まる。
さらに、甲18アンケート及び同アンケートの追加分析(甲19)によると、本件図形部分と同一図形を「キューピー」と回答した者は、全体の61.6%であるところ、そのうち「キューピーマヨネーズのマーク」をも想起した人は0%であり、「キューピー株式会社のマーク」をも想起した人はわずか0.3%である(甲19 Q1マーク連想)。また、甲21アンケートによると、本件図形と同一図形を「キューピー」と回答した者は、全体の73.5%であるところ、そのうち「キューピーマヨネーズのマーク」をも想起した人はわずか0.6%であり、「キューピー株式会社のマーク」をも想起した人は0%である(甲21 Q1マーク連想)。
したがって、上記アンケートによれば、取引者・需要者が、本件図形と同一図形を請求人と関連付けることはないし、また、本件図形と同一図形は、たとえ「キューピー」の称呼が生じても、外観に基づいて、引用商標1?9を含め請求人のイメージとは、取引者・需要者に厳密に識別され、現実に混同を生じておらず、そのおそれもない。さらに「キューピー株式会社のマーク」と回答した者が極めて稀であることからすると、本件図形から、いわゆる広義の混同も生じ得ない。
そのうえ、本件商標は、「ROSEO’NEILLKEWPIE」及び「ローズオニールキューピー」の各文字部分を有し、本件図形が支配的な印象を与えることはない結果、当該文字部分に基づく称呼及び観念を生ずるから、引用商標1?9を含め請求人のイメージヘの連想が妨げられ、取引者・需要者において混同を生ずるおそれはない。
イ アンケート問2(甲18ないし甲21)について
請求人は、アンケート問2の結果から、本件図形と同一図形から商品「マヨネーズ」を想起した人が多いと主張する。
問2では、回答者の65.9%(甲18)又は72.7%(甲21)が、本件図形と同一図形を見て思い浮かべる商品について「マヨネーズ」と回答したとされている。しかし、この回答結果は誘導によって得られたものであり、信用性はない。すなわち、甲18及び甲21アンケートでは、問1回答後、問2を回答する形式となっている。問1で「キューピー」と回答した者は、思い浮かべる商品を問われた場合、本件商標に用いられているイラストではなく、自身の回答から「キューピーマヨネーズ」という商品を連想してしまったにすぎない。
さらに「キューピー」の回答から、本件商標ないし引用商標の指定役務を想起した者はいない。
ウ 請求人は、アンケートの結果を理由に、「本件図形からは、単なる『キューピー』の称呼及び観念が生じると考えるのが自然である。」旨主張する。
しかし、請求人の主張は、本件商標が結合商標であるにもかかわらず、文字部分の存在を意図的に無視するものであり、妥当でない。
(9)まとめ
以上より、本件商標と引用商標1?7とは、外観、称呼及び観念において類似せず、かつ、取引の実情を考慮しても、取引者・需要者に混同を生じないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標8及び9の類似性
本件商標は、前記1(1)のとおり、結合商標であるからその一部のみを分離して、引用商標8及び9との類否を判断することは許されないのであり、前記1における類否判断と同様に、本件商標と引用商標8及び9とは類似しない。
(2)引用商標8及び9の周知・著名性の範囲
乙第35号証、乙第34号証及び乙第3号証に示す判決等が述べるとおり、引用商標8及び9が広く認識されている取引分野は、マヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野又はこれと密接に関連する分野にとどまる。
したがって、マヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野又はこれと密接に関連する分野以外において、引用商標8及び9が周知・著名性を有していると認めることはできない。
(3)引用商標の独創性
引用商標8及び9は、前述のとおり、「キューピー」の流行に便乗して商標登録されたものであり、独創性がない。また、キューピーが日本人に広く親しまれているものであり、必ずしも、請求人の出所を表示するものといえない(乙35)。
さらに、新言海(乙36)には、キューピーは、「キューピッドを滑稽化した子供の裸体姿の人形」をさす名称及び概念であると定義され、キューピーは、キューピー人形の特徴を持つキャラクター一般の名称として説明されている。また、広辞苑第6版やその他の辞書(乙37?乙40)には、ローズ・オニールの作品をオリジナルとすることが明記されている。そして、前記1(7)イのとおり、本件商標権者は、キューピーがローズ・オニールの著作であることを世の中に訴え続け、その結果、キューピーがローズ・オニールの作品であること、請求人その他「キューピー」を含む商標を無断で商標登録した者がローズ・オニールの創作したオリジナルのキューピーと何ら関係がないことも認知されるようになった(乙13)。現在では、我が国において、上記著作権の保護期間が消滅し、キューピー作品はパブリック・ドメインとなったため、これまで以上に、多数の者が「キューピー」のキャラクターと「キューピー」の名称を利用して、独自の商品を販売するようになり(乙41)、「キューピー」を用いた商標は複数存在する(乙42?乙58)。
したがって、今や「キューピー」は、ローズ・オニールの創作したキャラクターや人形だけでなく、これに類似する同様の形状を有するキャラクターや人形一般を指す称呼及び観念となった(乙35)。
以上により、「キューピー」は、類似のキャラクター一般を指す包括的な観念として用いられているのであり、引用商標8及び9の商品の範囲を超えて、請求人とのみ結びつくものではない。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との関連性
本件商標は、第41類に属する役務を指定役務とするものであるのに対し、引用商標8及び9は、「調味料,香辛料」を指定商品とするものであるから、これらは、社会通念上、同一営業主により製造若しくは販売又は提供されると考えられない著しく異なる商品・役務であり、何らかの関連性を見出すことは困難である。
(5)商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定役務は、上記のとおり、第41類に属する役務を指定役務とするものであるところ、本件商標権者は、百貨店等において人形等の展覧会を開催している(乙8、乙12、乙13、乙16)。
他方、引用商標8及び9の指定商品は「調味料,香辛料」であるから、主要な取引者及び需要者は、食品商社、食品工業の事業者、食品流通業者及びレストラン等食品関連産業の事業者並びにスーパーマーケット等で日用品を購入する消費者であると考えられる。
したがって、本件商標権者の提供する役務の提供場所と請求人の販売する商品の流通経路とは全く異なり、取引者及び需要者の共通性はない。
(6)本件商標権者の便乗利用でないこと
前記1(7)エのとおり、本件商標権者は、我が国におけるローズ・オニールの創作したキューピーの著作権者であった(乙28)。そして、本件商標権者は、ローズ・オニール遺産財団から、「ROSEO’NEILL」をあらゆる商品やサービスの商標として登録出願する権限を与えられている(乙29?乙31)。
また、前記1(7)イのとおり、本件商標権者、ローズオニールキューピー社及び該会社の前身であるローズオニールキューピージャパンは、10年以上にわたり、「ROSEO’NEILLKEWPIE」及び「ROSEO’NEILLKEWPIE」とイラストの組み合わせを用いた商標をキューピー人形等、多数の商品に用い販売し(乙9?乙12)、出版物の制作(乙8、乙13)、人形等の展示(乙13、乙15、乙16)を業としてきた。
したがって、本件商標権者は、請求人の商標に便乗して本件商標を登録し又は利用したものではない。
(7)希釈化が生じないこと
前述のとおり、我が国において、キューピー及びキューピー人形のモチーフは、社会全般に広く親しまれており、様々な場面で利用されている。さらに、キューピーをモチーフとする請求人以外の商標も多数存在し、現実に使用されている。
したがって、本件商標権者による本件商標の使用をもって、請求人の引用商標8及び9の商標が希釈化されることはない。
(8)請求人の主張に対する反論
ア 引用商標8及び9の著名性について
請求人は、「『キューピー』といえば、直ちにマヨネーズをはじめとする請求人の商品あるいは請求人を指称するほどに広く知られるに至ったものである。」と主張するが、前記2(2)のとおり、引用商標8及び9の著名性は、マヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野又はこれと密接に関連する分野にとどまる。
なお、請求人の挙げる企業ブランド知覚指数・消費者版(甲27?甲31)は、調査対象とされた企業の中から、調査会社の独自の調査によって得られた指数を企業ブランド知覚指数と称して順位付けしたものであるから、この結果をもって、引用商標8及び9がマヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野又はこれと密接に関連する分野以外の商品・役務において周知・著名性を獲得したか否かの判断をすることはできない。また、請求人の挙げる食の安心・安全ブランド調査(甲32?甲34)は、食品分野において安全性の観点からブランド力を評価するものとみられる。したがって、この結果をもって、引用商標8及び9がマヨネーズ、ドレッシングその他の加工食品の分野又はこれと密接に関連する分野以外の商品・役務において周知・著名性を獲得したか否かの判断をすることはできない。
イ 請求人の多様な登録商標及び「キューピー人形」の頭部のみの商標について
請求人が挙げた各登録商標(甲39?甲50)及び「キューピー人形」の頭部のみの商標(甲51?甲69)は、引用商標8及び9とは構成が明らかに異なり、かつ、それ自体では周知・著名性がない。したがって、これらは第4条第1項第15号の適用の根拠とならない。
ウ アンケートについて
請求人は、アンケートに基づいて、「本件商標がその指定役務について使用された場合には、請求人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのような混同を需要者に与える可能性は非常に高い。」という。
しかし、前記1(8)のとおり、本件図形と同一図形について「キューピー株式会社のマーク」と回答した者は、極めて少なく、取引者又は需要者が、本件図形と同一図形を「キューピー株式会社のマーク」と想起するおそれはない。
したがって、本件商標がその指定役務について使用された場合に、当該役務が請求人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのような混同を需要者に与えることはあり得ない。まして、本件商標は、構成中の文字部分より称呼及び観念を生ずるから、引用商標8及び9を含め請求人のイメージヘの連想が妨げられる。
請求人の主張は、本件商標中の文字部分の存在を意図的に無視するものであり、妥当でない。加えて、問2(甲18?甲21)は、前述のとおり、誘導によって得られたものであり、信用性はない。
(9)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号には該当しない。
3 むすび
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも該当しないから、商標法第46条第1項の無効理由は存在しない。

第4 当審の判断
1 前提となる事実
証拠(括弧内に記載された甲号証又は乙号証。なお、枝番を有するもので、枝番のすべてを引用する場合は、枝番の記載を省略する。)によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)キューピーの語の由来等について
ア 「キューピー(KEWPIE)」の語の由来は、米国の女流画家であったローズ・オニール(1902年7月にウィルソン姓の男性と結婚、後離婚:乙18)が、1909年に、米国の婦人雑誌「レディース・ホーム・ジャーナル」の12月号に発表した挿絵のキャラクターに「キューピー」と名付けたことに始まる。ローズ・オニールは、その後も、キューピーに様々なキャラクター設定を行い絵本を制作し、ローズ・オニールの描く様々なキャラクターをもつキューピーは、いずれも「特徴的なトップノット(とんがった巻き毛)、片方に寄せた大きな瞳、ぷっくり愛らしい体型」(乙12)をしている。1913年には、絵本に描かれたキューピーが人形(キューピー人形)としてドイツで製造され、米国で発売されると爆発的なセンセーションを巻き起こした。日本には、1915年(大正4年)ころに、キューピーが登場し、その後、セルロイド製などのキューピー人形が製造され、一大ブームを引き起こした(以上乙12、乙13、乙18、乙19)。さらに、日本で製造されたキューピー人形は、米国やその他の外国に輸出された(乙15)。
イ 「キューピー(Kewpie)」の語に関し、新言海(昭和34年2月20日、株式会社日本書院発行:乙36)には、「キューピッドを滑稽化した子供の裸体姿の人形。」と記載され、広辞苑第6版(2008年(平成20年)1月11日、株式会社岩波書店発行:乙37)には、「オニール(Rose O’Neill)のキューピッドの絵を模したセルロイド製のおもちゃ。頭の先がとがり、目の大きい裸体の人形。1910年代にアメリカで発売。商標名。」と、コンサイスカタカナ語辞典第3版(2005年(平成17年)1月20日、株式会社三省堂発行:乙38)には、「キューピッドをかたどった人形。目は丸く大きく、頭はとがっている。・・1912年米国の女性画家ローズ・オニールが詩の挿絵として描いたものが原形」と、広辞林第六版(1983年(昭和58年)10月1日、株式会社三省堂発行:乙39)には、「キューピッドをかたどった人形の商品名。裸で、目は丸く大きく、頭はとがっている。・・1912年、米国の女流画家ローズ=ウィルソンが詩のさし絵として描いたものが原形。」と、「外来語の語源 角川小辞典26」(昭和54年6月30日、角川書店発行:乙40)には、「ローマ神話のキューピッドを戯画化した人形。裸体で頭と目が大きく、頭の先にとがった頭髪がある。背中に小さな翼のあるものもある。1912年、米国の女流画家ウィルソンが婦人雑誌『ウーマンズ・ホーム・コンパニオン』のためのさし絵として描いたもの。翌13年にはキューピーを商標とするセルロイド人形が売り出され、日本にも輸入されて流行した。」と、それぞれ記載されている。
ウ 我が国において、キューピーを題材としたローズ・オニール著作の、「キューピーたちの小さなおはなし」と題する絵本が1999年(平成11年)7月に株式会社フルーベル館より出版され、同じく「キューピー村物語」と題する絵本が平成9年7月7日に、「愛の天使」と題する絵本が平成9年11月19日に、いずれも株式会社クレスト社より出版された(乙22?乙24)。
エ 本件商標権者は、1996年(平成8年)に、ローズオニールキューピー社の前身であるローズオニールキューピージャパンを設立し(ローズオニールキューピー企業情報:乙13)、上記ウの絵本の監修を行うなど、ローズ・オニールの顕彰活動を行い、1998年(平成10年)5月1日には、ローズ・オニール遺産財団法定代理人であるデイビット・オニールとの間で、ローズ・オニールの創作したキューピー作品の日本における著作権及びキューピー作品に関連する日本法に基づくすべての権利についての売買契約を締結した(乙26?乙31)。本件商標権者は、上記著作権取得後も、現在に至るまで、ローズ・オニールの顕彰活動を続け(ローズオニールキューピー企業情報:乙13)、「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字を含む商標等多数の商標(本件商標を含む。)の登録を得ている(乙6)。
さらに、本件商標権者が代表取締役を務めるローズオニールキューピー社は、2009年(平成21年)12月10日から同年同月24日にかけて、「誕生100年 ローズオニール/キューピー展」を東京の松屋銀座店で開催し、その後、同展示会を、2010年(平成20年)3月に名古屋松坂屋本店で、同年8月に宇都宮美術館で、同年11月に京都美術館「えき」で、2011年(平成23年)4月9日から5月8日にかけて宮崎県の「みやざきアートセンター」で、同年5月18日から同年同月30日にかけて大丸札幌店で、それぞれ開催した(乙8、乙13、乙16)ほか、キューピーの特徴を備えたキャラクターグッズ等を、「ローズオニール キューピー公式ショップ」、「ローズオニールキューピー」、「RoseO’Neill Kewpie」、「キューピー人形誕生100年祭」、「100年記念グッズ」、「ローズオニールキューピー誕生100周年記念」などの文字や本件商標を表示して販売する(乙9、乙10、乙12、乙13)など、「ローズオニールキューピー誕生100周年」に関する展示会や商品の販売を行っている。
(2)請求人による「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる商標の登録ないし使用等
ア 請求人は、1919年(大正8年)に、食品工業株式会社として設立され、各種食品の製造販売を開始し、1925年(大正14年)に、マヨネーズの販売を開始した(甲24)。請求人は、日本でキューピー人形が大流行したことを受けて、「頭の先にとがった頭髪があり、背中には小さな翼のある目の大きい裸体の人形」といった特徴を備えた「キューピー人形」の図形を中央に配し、その上部に「KEWPIE」の文字を、また、下部に「キューピー」の文字を、それぞれ横書きしてなる商標を、「醤油、ソース、ケチャップ、酢類一切」を指定商品として大正11年4月1日に登録出願し、当該登録出願に係る商標は、大正11年10月27日に、登録第147269号商標として設定登録された(乙33)。請求人が、上記商標を採択し登録を得た経緯については、「キューピー物語」(昭和59年3月5日、株式会社講談社発行:乙19)の「CMに生きぬくキューピーたち」の項目において、「・・ちょうどキューピー人形が、日本でも人気急上昇の時期であった。食品工業株式会社(現・キューピー株式会社)の実質的な創業者であり、かねてからマヨネーズの製造販売をしたいと考えていた中島董一郎氏は、・・ブランドには是非『キューピー』を使いたいと思った。アメリカからやってきて、人気ももちろんだが、キューピーは愛と幸せを運ぶといわれ、マヨネーズを売り出すのにイメージ的にピッタリで最高だと思われたのだ。・・中島社長は、・・マヨネーズの部類に『キューピー』を登録した。大正11年の商標公告には、『醤油・ソース・ケチャップ・酢類一切』として『KEWPIE』と、近頃の同社のマークのキューピーよりも若干細身のマークが登録されているのは面白い。」と記載されている。
そして、請求人は、上記商標の商標登録を得て以来現在に至るまで、一貫して「キューピー人形」の図形をマヨネーズをはじめとする請求人の業務に係る商品の広告等に使用しており、昭和32年には商号を「キューピー株式会社」に改めたほか、「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる商標を多数登録し、これらを使用している(甲24、甲40?甲69)。
イ 「酒類食品産業の生産・販売シェア」の平成17年度版(甲25)及び同平成19年度版(甲26)によれば、請求人の業務に係る商品であるマヨネーズ、液状ドレッシングの平成14年度から平成16年度までの販売シェアは業界1位であり、ソース類缶詰の平成11年度から平成16年度までの販売シェアも業界1位であったこと、また、パスタソースの平成15年度及び平成16年度までの販売シェアは業界2位であり、スープ類の同時期の販売シェアは業界3位であったこと、さらに、ベビーフードの平成11年度から平成18年度までの販売シェアは業界2位であったこと、などを認めることができ、また、請求人は、商品分野を限定しない企業全般を対象とした「企業ブランド調査」(2003年?2007年にかけて発行された新聞に掲載されたもの:甲27?甲31)、「食の安全・安心ブランド調査」(2004年?2006年にかけて発行された新聞に掲載されたもの:甲32?甲34)において高い評価を得たこと、などを認めることができる。
(3)本件商標権者及び請求人以外の者による「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる商標の登録ないし使用
請求人のほかにも、株式会社日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)が商品及び役務の区分第36類に(乙42、乙45、乙50、乙52、乙53)、牛乳石鹸共進社株式会社(旧共進社油脂工業株式会社)が旧商品区分第4類等に(乙43、乙44、乙46、乙48、乙49、乙54)、開東株式会社が商品及び役務の区分第25類に(乙47)、株式会社興銀情報開発センター(現みずほ情報総研株式会社)が商品及び役務の区分第38類に(乙51)、株式会社田村駒商店が旧々商品区分第29類に(乙55)、それぞれ「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる商標の登録を有している又は有していた。また、上記企業以外にも、ホームページ、カタログ、情報誌、取引書類、衣服等の図柄などに「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる文字を表示して使用している企業が複数存在する(乙41)。
(4)その他
請求人が行った甲18アンケート及び甲21アンケートの結果によれば、本件図形と同一図形に接した回答者の約68%が、これを「キューピー(人形)」と回答し、約69%がこれより思い浮かべる商品として、「マヨネーズ」と回答したこと(甲18アンケート及び甲21アンケートの平均値)、一方で、本件図形と同一図形に接した回答者のうち、「キューピーマヨネーズのマーク」又は「キューピー株式会社のマーク」と回答した者は極めて少なかったこと、などを認めることができる(甲18?甲21)。
(5)前記(1)?(4)によれば、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」は、1900年代初頭に、米国の女流画家であるローズ・オニールによって創作された語ないし人形であり、我が国においても大正期に米国から流入しはじめ、戦前戦後を通じて、一般の人々の間に深く浸透し、親しまれてきたものであって、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が日本に流入し、一大ブームを巻き起こした大正期や戦前戦後においては、キューピー人形の人気が先行し、その創作者がだれであるかについては、一般の人々はいうまでもなく、様々な業界においても、詳細には知られていなかったものと推認することができる。それ故に、我が国において、請求人ほか、前記(3)のとおりの企業が、「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる商標を採択し、商標登録を得ていたのみならず、その他複数の企業が「キューピー人形」の図形や「キューピー」の称呼を生ずる文字を表示して様々な商品や媒体を通して使用していたということができる。また、甲18アンケート及び甲21アンケートの結果によれば、本件図形と同一図形について、「キューピー」と回答した者は、6?7割の高さに達することを併せ考慮すれば、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」は、我が国においては、大正期から戦前戦後を通して、「キューピッドの絵を模したセルロイド製のおもちゃ(人形)」の意味を有する一般的な語として、広く認識されてきたものとみるのが相当である。
一方で、広辞苑等の辞書類には、「キューピー」に関し、ローズ・オニールによって創作された人形である旨の記載が認められるものの、その掲載数は、提出された辞書のうち、わずか2件であり、他のものは、キューピーの作者が記載されていないものや記載があっても離婚前のウィルソン姓で記載されており、辞書類の掲載をとってみても、必ずしも「キューピー」の語ないし「キューピー人形」とローズ・オニールとが関連づけられているものとはいえない。また、平成9年には、我が国でキューピーを題材としたローズ・オニール著作の絵本が出版されたが、その数はわずかに3冊のみである。さらに、本件商標権者は、平成10年に、ローズ・オニールの創作したキューピー作品の日本における著作権及びキューピー作品に関連する日本法に基づくすべての権利についてを買い取り、その後も、本件商標権者は、ローズ・オニールが「キューピー」の創作者であることについての顕彰活動を続け、特に、本件商標権者が代表取締役を務めるローズオニールキューピー社は、平成21年12月ころから平成23年5月ころにかけて、「誕生100年ローズ・オニール/キューピー展」を東京都、名古屋市、宇都宮市、京都市、宮崎市、札幌市の各有名百貨店等で開催したり、「ローズオニールキューピー誕生100周年」に関する商品の販売をしていたこと、などを認めることができるが、これらの活動は、本件商標の登録出願日(平成22年8月9日)のわずか8、9か月前であるか、又は、本件商標の登録出願後のものと認められる。
以上を総合すると、本件商標の登録出願日(平成22年8月9日)及び登録査定日(平成23年3月25日)の時点においても、我が国の一般の需要者の間には、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が「ローズ・オニール/RoseO’Neill」の創作に係るもの、との認識の程度は決して高いものとみることはできず、上記のとおり、「キューピッドの絵を模したセルロイド製のおもちゃ(人形)」の意味を有する一般的な語としての認識を超えて、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が「ローズ・オニール/RoseO’Neill」の創作に係るものとして広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号について
前記1で認定した事実を前提として、本件商標と引用商標1?7の類否について検討する。
(1)本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、図形と文字とを組み合わせた構成よりなるものであるところ、左に配された本件図形は、頭頂部の髪と思しき部分が尖り、広い額の下には、パッチリとした大きな目があり、また、背中には、翼と思しき小さな羽根がある幼児の頭部を描いた図形であって、これらの特徴から、我が国において、大正期から国民の間に親しまれていた「キューピー人形」の頭部を表したものと直ちに理解されるものといえる(甲18アンケート及び甲21アンケートの結果からも、本件図形と同一図形について、その回答者の約68%(甲18アンケート及び甲21アンケートの平均値)が「キューピー(人形)」と回答したことからも、そのように解することができる。)。また、本件図形の右には、本件図形の約6倍の幅をもって、やや太字で表した「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字を横書きしてなり、その下に、該欧文字部分の読みを特定したものと理解される「ローズオニールキューピー」の文字を横書きしてなるものであるところ、該片仮名文字部分は、上段の欧文字部分の約2分の1の幅・高さをもって、細字で表してなるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字部分が文字の太さ・大きさからみて、商標中、大きな比重を占めるものであることは否定し得ないが、そうであるとしても、本件図形の存在が全く無視されるとか、文字部分に付随したものであるということはできない。すなわち、本件図形は、上記のとおり、大正期から国民の間に広く親しまれていた「キューピー人形」の頭部を表したものと直ちに理解されるものであり、「キューピー人形」の周知性からみて、本件商標に接する需要者は、本件図形に強く印象付けられるといえる。さらに、前記1(5)認定のとおり、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が「ローズ・オニール/RoseO’Neill」の創作に係るものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないから、本件図形と、「ROSEO’NEILLKEWPIE」の文字部分及びその読みを特定したものと理解される「ローズオニールキューピー」の文字部分とは、観念上密接に関連づけられて認識されるものではない。
そうすると、本件商標に接する需要者は、本件図形と文字部分とを常に一体のものとしてのみ把握するものとはいえず、本件図形又は文字部分より生ずるそれぞれの称呼及び観念のみをもって、役務の取引に当たるとみるのが相当であるところ、文字部分より生ずると認められる「ローズオニールキューピー」の称呼はやや冗長である上に、「ROSEO’NEILL/ローズオニール」の語がさほど親しまれたものでないのに対し、本件図形は、我が国の国民の間に広く親しまれた「キューピー人形」の頭部を表したものと直ちに理解されるものであるから、本件図形を捉えて、これより生ずると認められる「キューピー」の称呼及び観念をもって、役務の取引に当たる場合がむしろ多いとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成中の文字部分より「ローズオニールキューピー」の称呼が生ずることがあるとしても、第一義的には、本件図形に相応した「キューピー」の称呼及び観念が生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標1?7
ア 引用商標1は、別掲(2)のとおり、「頭の先に尖った頭髪があり、背中には小さな翼のある目の大きい裸体の人形」といった特徴を備えた「キューピー人形」の図形を中央に大きく表し、その上部に「キューピー」の文字を、また、下部に「KEWPIE」の文字を、それぞれ横書きしてなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
イ 引用商標2は、別掲(3)のとおり、「頭の先に尖った頭髪があり、背中には小さな翼のある目の大きい裸体の人形」といった特徴を備えた「キューピー人形」の図形を大きく表し、その上部に「キューピー」の文字を横書きしてなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
ウ 引用商標3?6は、別掲(4)のとおり、「頭の先に尖った頭髪があり、背中には小さな翼のある目の大きい裸体の人形」といった特徴を備えた「キューピー人形」の図形を中央に大きく表し、その上部に「KEWPIE」の文字を、また、下部に「キューピー」の文字を、それぞれ横書きしてなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
エ 引用商標7は、別掲(5)のとおり、「頭の先に尖った頭髪があり、背中には小さな翼のある目の大きい裸体の人形」といった特徴を備えた「キューピー人形」の立体的形状よりなるものであるから、その構成に相応して、「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標1?7との対比
本件商標と引用商標1?7は、それぞれ前記(1)及び(2)のとおりであるから、外観上明らかに区別し得る差異を有するものであるとしても、いずれも「キューピー」の称呼及び観念を生ずるものであるから、称呼及び観念を同じくする類似の商標というべきである。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との対比
本件商標及び引用商標1?7の指定役務は、前記第1及び第2 2(1)のとおりであるところ、本件商標の「電子出版物の提供」は、引用商標1の「図書及び記録の供覧,図書の貸与」、引用商標2の「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与」、引用商標3の「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」、引用商標5の「図書の貸与」と同一又は類似の役務である。
本件商標の「美術品の展示」は、引用商標1、引用商標2、引用商標4、引用商標7の「美術品の展示」と同一の役務である。
本件商標の「書籍の制作」は、引用商標2及び引用商標4の「書籍の制作」と同一の役務である。
本件商標の「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」は、引用商標1、引用商標2、引用商標4、引用商標7の「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」とは同一の役務である。
本件商標の「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」は、引用商標1、引用商標2、引用商標6、引用商標7の「教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」とは同一の役務である。
本件商標の「おもちゃの貸与」は、引用商標1、引用商標2、引用商標5の「おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊技用器具の貸与」と同一又は類似の役務である。
本件商標の「書画の貸与」は、引用商標1の「絵画の貸与」、引用商標2引用商標6の「書画の貸与」、引用商標7の「絵画の貸与」と同一又は類似の役務である。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと認める。
(6)商標法第4条第1項第11号に関する被請求人の主張について
ア 被請求人は、本件図形を分離抽出することは、最高裁の判例に違背するものであって、本件商標からは、ローズ・オニールの創作したキューピーのイラスト及び文字部分に相応して、「ローズオニールキューピー」の称呼及び「ローズ・オニール・キューピー」「ローズ・オニールのキューピー」の観念が生ずる旨主張する。
しかし、前記1(5)認定のとおり、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が「ローズ・オニール/RoseO’Neill」の創作に係るものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、本件商標に接する需要者は、広く親しまれた「キューピー人形」の頭部を表したものと直ちに理解される本件図形を捉えて、これより生ずる称呼及び観念をもって、役務の取引に当たる場合が多いというべきである。したがって、本件図形は、本件商標にあって、需要者に強く支配的な印象を与える部分ということができるから、上記被請求人の主張は理由がない。その他、本件商標より「ローズオニールキューピー」の称呼及び「ローズ・オニール・キューピー」、「ローズ・オニールのキューピー」の観念のみが生ずるとする被請求人の主張は、いずれも理由がなく採用することができない。
イ 被請求人は、本件商標権者は、先願の「キューピー」の称呼及び観念が生ずる登録商標が存在しているにもかかわらず、「ローズオニールキューピー」の称呼及び観念を生ずる商標を先願の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について登録を得ているし、同様に、第三者も「キューピー」の称呼及び観念を含む登録商標を有しており、このことは、本件商標から生ずる「ローズオニールキューピー」の称呼及び「ローズ・オニール・キューピー」「ローズ・オニールのキューピー」の観念と引用商標1?7より生ずる「キューピー」の称呼及び観念とが類似しないことを示すものである旨主張する。
しかし、被請求人の有する登録商標(乙6)のうち、本件商標と構成を同じくする商標は存在しないばかりか、被請求人の上記主張は、本件商標より「キューピー」の称呼及び観念が生じないことを前提とするものであるから、被請求人の主張は、前提において誤りがあるというべきである。したがって、上記に関する被請求人の主張は理由がない。
ウ 被請求人は、本件商標権者、ローズオニールキューピー社及びその前身であるローズオニールキューピージャパンは、10年以上にわたり、「ROSEO’NEILLKEWPIE」の商標を人形等多数の商品に用いて販売したり、その他、出版物の制作やアニメーション制作の参加、ローズ・オニールの創作したキューピー等の展示・展覧会を行っており、請求人の「キューピー」とは出所が異なることを明示しているから、需要者は、本件商標と引用商標1?7とを混同するおそれはない旨主張し、乙第8号証ないし乙第16号証を提出する。
ローズオニールキューピー社の前身であるローズオニールキューピージャパンが1996年(平成8年)に設立され、本件商標権者らは、ローズ・オニールが「キューピー」の創作者であることについての顕彰活動を行い、2003年(平成15年)にローズオニールキューピー社が設立された以降も引き続き同顕彰活動を行ってきたことは認められる(乙13)ものの、乙第8号証ないし乙第16号証の多くのものは、「ローズオニールキューピー誕生100周年記念」に関するものであり、前記認定のとおり、その活動は、本件商標の登録出願日(平成22年8月9日)のわずか8、9か月前であるか、又は、本件商標の登録出願後のものと認められる。そうすると、前記認定のとおり、「キューピー」の語ないし「キューピー人形」が「ローズ・オニール/RoseO’Neill」の創作に係るものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないから、本件商標に接する需要者は、本件図形と文字部分とを関連づけて把握するというより、我が国において広く親しまれた「キューピー人形」の頭部を表したものと直ちに理解される本件図形に着目して、これより生ずる「キューピー」の称呼及び観念をもって、役務の取引に当たる場合が多いというべきである。したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用した場合は、引用商標を使用した役務との間に出所の誤認、混同を生ずるおそれがあるというべきであるから、上記被請求人の主張は理由がない。
エ 被請求人は、引用商標1?7をその指定役務に使用していないし、また、請求人が今後、引用商標1?7を業としてその指定役務を提供する目的で使用するとも考えられないから、需要者が本件商標と引用商標1?7とを混同するおそれはない旨主張する。
しかし、商標法第4条第1項第11号にいう先願の「他人の登録商標」は、後願の同一又は類似商標の出願時(査定時)において、現に有効に存在しているものであれば足り、現実に使用されていることを必要とするものではない。仮に、現実の使用の有無を取引の実情として考慮するとしても、その使用の蓋然性が否定できない以上、類似の商標を同一又は類似の商品に使用した場合に商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは否定できず、商標法第4条第1項第11号該当性を否定することはできないというべきである(平成17年(行ケ)第10418号)。本件において、引用商標1?7の使用の蓋然性を否定する事情を認めるに足りる証拠はないから、上記被請求人の主張は理由がない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、その余の請求の理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


(4)引用商標3?6


(5)引用商標7(立体商標)






(6)引用商標8


(7)引用商標9


審理終結日 2012-06-04 
結審通知日 2012-06-07 
審決日 2012-06-20 
出願番号 商願2010-65961(T2010-65961) 
審決分類 T 1 11・ 272- Z (X41)
T 1 11・ 263- Z (X41)
T 1 11・ 262- Z (X41)
最終処分 成立 
前審関与審査官 箕輪 秀人中村 拓哉 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 前山 るり子
豊瀬 京太郎
登録日 2011-05-27 
登録番号 商標登録第5414009号(T5414009) 
商標の称呼 ローズオニールキューピー、ローズオニール、キューピー、ローズ、オニール 
代理人 宮嶋 学 
代理人 柏 延之 
代理人 高田 泰彦 
代理人 山本 隆司 
代理人 宮城 和浩 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 井奈波 朋子 
代理人 塩谷 信 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 中川 拓 
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