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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0942
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0942
管理番号 1261566 
審判番号 不服2011-24147 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-08 
確定日 2012-08-02 
事件の表示 商願2010- 14679拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成22年2月26日に登録出願され、指定商品及び指定役務については、同年9月27日付け手続補正書により、第9類「コンピュータプログラム(記録されたもの又はダウンロード可能なもの),コンピュータプリンタの環境設定用及び制御用プログラム,電子計算機用プログラム,電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションサービスプロバイダーによるソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの貸与,電気に関する試験又は研究,計測器の貸与」に補正されているものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『帳票クラウド』の文字を、『クラウド』の文字部分を青色を基調にした色彩をもって多少デザイン化しているとはいえ、未だ普通に用いられる方法で表示する域を脱しない程度に書してなるところ、その構成中の『帳票』の文字部分は、『帳簿や伝票の総称』を表すものであり、『クラウド』の文字部分は、コンピュータ関連の分野においては、『クラウドコンピューティング(サービスを受ける側から見ると、サーバーの構成や場所、システムの構造などを気にしなくても、必要なサービスを必要なときに必要な分だけ利用できるネットワークの形態)』の略称として使用されているものであることから、本願商標全体からは、『帳票に関するクラウド型のネットワーク形態』程の意味合いが容易に認識されるというのが相当であり、『帳票に関するクラウド型のネットワーク形態』が、コンピュータ関連分野において行われている。してみれば、出願人が、本願商標をその指定商品・指定役務中『帳票に関するクラウドコンピューティング用のコンピュータプログラム』、『帳票に関するクラウドコンピューティング用の電子計算機用プログラムの提供』等の商品・役務に使用しても、これに接する需要者等は、単に商品の品質・役務の質を表示したにすぎないものとして認識するに止まるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質・役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。』旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲の構成のとおり、黒色の「帳票」の文字と青色を基調に上下にグラデーションしている「クラウド」の文字を同じ大きさ、等間隔で表してなるものである。
そして、「帳票」は、「帳簿や伝票の総称」(広辞苑第6版)を意味する語として一般に使用されているものである。
ところで、IT(情報技術)分野においては、「インターネット上にあるハードウェア、ソフトウェア、データなどのリソースを、ユーザーがそのリソースがどこに存在するかを意識することなく使える環境や利用形態」を「クラウドコンピューティング」といい、「クラウドコンピューティングの形態によって提供されるサービスの総称。」を「クラウドサービス」といい(以上、現代用語の基礎知識2011)、上記「クラウドコンピューティング」又は「クラウドサービス」は、「クラウド」と略称する場合も少なからずある。
そして、帳票の管理がクラウド(サービス)で行われていることは、原審の拒絶理由通知で挙げたインターネット及び新聞情報のほか、例えば、以下のインターネット情報からも明らかである。
ア 株式会社インタームーブのウェブサイトによれば、同社が「帳票クラウドサービスのOPROARTSとの連携、コールセンタークラウドサービスのCT-e1/SaaSとの連携の支援もご提供して」いる旨の記載がある(http://www.intermove.co.jp/service/salesforce/index.html)。
イ 株式会社アスキー・メディアワークスの「週アス PLUS」と題するウェブサイトの2011年12月29日付けの「2012年こそ効率よく貯金したいっ!スマホ必携の家計簿アプリ」の見出しの記事に「PC連動のクラウド帳簿 ネット家計簿サイト『ココマネ』の公式アプリ。スマホから入力した内容はPCと自動同期できる。出費の入力は出先で、集計データはPCでと、賢く使い分けたい。」の記載がある(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/070/70670/)。
ウ 株式会社日立製作所の「帳票スクエア クラウド帳票サービス」のウェブサイトに「さまざまな業務システムと連携するクラウド帳票サービス」と記載し、説明がされている(http://chohyosquare.hitachi.jp/portal/)。
エ キヤノン株式会社のウェブサイトに「クラウド型帳票印刷サービス」として「帳票サービス」と「印刷サービス」についてその紹介がされている(http://cweb.canon.jp/software/reporting/for-sfdc/index.html)。
オ TechTargetジャパンホワイトペーパーダウンロードセンターのウェブサイトの2010年5月10日公開の製品情報のページに「プレインセーラーズ・ドットコム株式会社 クラウド帳票サービス?コスト削減に直結する帳票の『作り方・使い方』?」の記事にクラウド帳票サービスの作り方が紹介されている(http://wp.techtarget.itmedia.co.jp/contents/?cid=2813)。
カ ASP・SaaSナビのウェブサイトの2011年8月16日付けの記事に日本オプロ株式会社が、セールスフォース・ドットコムが提供するSalesforce CRM・Force.comユーザー向けにクラウド帳票サービス「OPROARTS Live」を2011年10月1日の発売予定である旨の記載がある(http://www.asp-navi.jp/news/082011/salesforce_crmforcecomoproarts.html)。また、上記サービスについて、「安い!速い!スマフォ対応!セルフサービス型帳票クラウド『OPROARTS』」と紹介する記載がある(https://sfdc.smktg.jp/public/application/add/34)。
キ トレンドマイクロ株式会社のウェブサイトの同社の帳票クラウドサービス「ePromo」についての記載がある(http://jp.trendmicro.com/jp/solutions/enterprise/case/ctc/index.html)。
以上によれば、本願商標の「帳票クラウド」の文字は、「帳票」の文字と「クラウドサービス」の略語である「クラウド」の文字よりなるものであるから、「帳票に関するクラウドサービス」の意味合いを認識させるにすぎない。
そして、本願商標の態様は、別掲のとおり、ゴシック体風の「帳票クラウド」の文字を「帳票」を黒塗りに、「クラウド」を下部部分がやや濃い色にした青色を基調としたグラデーションで表してなるものであるが、提供する商品やサービスの名称(商標)を色彩を施すなどして表すことは普通に行われているところであり、本願商標の上記態様も普通に用いられる方法で表示されたものというべきである。
そうとすると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、「帳票に関するクラウドサービス」に係る商品及び役務に使用するときは、その商品の品質及び役務の質を表示するにすぎず、前記以外の指定商品及び指定役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
(2)請求人の主張について
請求人は、「帳票」は「帳簿」と「伝票」の総称として理解されるが、「クラウド」は世人になじみの薄いものであるから、一般世人は「帳票クラウド」から直ちに特定の意味合いを看取しないものであり、コンピュータサービスの専門家であれば、その内容を想起し得るとしても、一般取引者・需要者にとっては、その具体的な内容を直ちに、かつ、正確に把握し得ない、また、本願商標は、「クラウド」の文字部分のみが青色で着色され、かつ色調がグラデーションを看取させている点に特色があり、また「帳票」という、日常的に使用されていない文字が強い印象を看取させる語頭部に配置され、「クラウド」の文字もまた、日常的に使用されていないものであり、かつ、「帳票」なる文字と「クラウド」の文字とは熟語のような密接不可分の文字関係を具有するものでないこと等を総合判断すれば、本願商標は、文字全体の複合の仕方においても普通に用いられているものといえないと解され、「帳票」の文字と「クラウド」の文字は、その語義において熟語のごとく密接不可分の文字でないから、本願商標「帳票クラウド」より特定の語義を直ちに認識させるものではないとみるべきである旨主張し、さらに、請求人は、「帳票+コンピュータサービス名、コンピュータ関連語若しくは一般に親しまれている技術用語」の結合商標や「クラウド」の文字との結合商標の登録例を挙げ、本願商標は極めて漠然とした意味合いを想起させるにすぎない文字からなるものであるか、その観念表示力が酷薄であるかのいずれかであって、本願商標をその指定商品等に使用しても出所識別が可能な商標である旨主張している。
しかしながら、帳票(の管理)がクラウドサービスの対象となり得ることは、容易に考えられることである。そして、「クラウド」の語については、例えば、「CRMをクラウドで実現する」「クラウドという仕組み」(以上、前記(1)アのウェブサイト)、「手軽で低コストなクラウドが支えます。」「安心・安全なクラウド」(以上、前記(1)ウのウェブサイト)などの使用例のほか、「クラウドでパッケージ製品をサーバごと提供」「クラウドの利点を生かして」(審判請求書添付の参考資料3の1の6)などのように「クラウドサービス」の略として普通に使用されているものであり、加えて、「帳票に関するクラウドサービス」に係る本願指定商品及び指定役務の需要者は、企業等であって、事務等の効率化が重要視され、事務処理に係るクラウドサービスに対して注意を払っているものといえるから、上記インターネット情報等を踏まえてみるならば、「帳票クラウド」の文字は、取引者はもちろん、本願指定商品及び指定役務の需要者において、前記意味合いを認識させるものというべきである。そして、本願商標の態様は、前記のとおり、「普通に用いられる方法で表示」したものといえるから、本願商標が、自他商品(役務)の識別標識としての機能を発揮するものとまでは認めることはできない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(色彩は原本参照)


審理終結日 2012-05-30 
結審通知日 2012-06-05 
審決日 2012-06-20 
出願番号 商願2010-14679(T2010-14679) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0942)
T 1 8・ 272- Z (X0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 美加鈴木 斎原田 信彦大房 真弓 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 豊瀬 京太郎
堀内 仁子
商標の称呼 チョーヒョークラウド、チョーヒョー、クラウド 
代理人 特許業務法人 英知国際特許事務所 

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