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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1261557 
審判番号 取消2011-300709 
総通号数 153 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-07-26 
確定日 2012-07-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4206837号の1商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4206837号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「JUST DO IT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年7月28日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同10年10月30日に設定登録、その後、同20年6月26日に、指定商品中「洋服(イブニングドレス,学生服,子供服,作業服,ジャケット,ス-ツ,スカ-ト,ズボン,スモック,礼服を除く。),セ-タ-類,ワイシャツ類(開きんシャツ,カフス,カラ-,ブラウス,ワイシャツを除く。),寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲ-トル,毛皮製スト-ル,ショ-ル,スカ-フ,足袋,足袋カバ-,手袋,布製幼児用おしめ,ネッカチ-フ,マフラ-,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガ-タ-,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」について分割移転されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証のスーツの写真は、写真に撮影日が示されているように、本件審判請求の予告登録(平成23年8月4日)後の2011年(平成23年)9月5日に撮影されたものである。本件商標が表示された布ラベル及び商品タグを付した商品が、審判請求登録前3年の間に存在し、販売されていたことは、この写真単独では証明されていない。
乙第2号証の製品番号分類一覧表については、製品番号の付け方が乙第1号証の商品タグの番号と一致していたとしても、何ら本件商標の使用を証明するものではない。
乙第6号証及び乙第10号証の発注書、乙第7号証及び乙第11号証の加工指示書には本件商標の表示があるが、真正なものであることは原本を確認しないと不明である。
(2)本件商標の使用の数量も、コナカ向けの2種類のスーツが少量製造されているだけであり、全国的に権利が及ぶ商標権を維持するのに十分な取引及び数量とはいえない。
(3)請求人は、自身の著名なコーポレートスローガンである「JUST DO IT.」(甲第1号証)と同一性ある本件商標について、ナイキ社と全く関係のない被請求人により商標権が取得されたことを憂慮してきたものである。本件商標の使用事実が確認された場合には、本件商標の使用によりナイキ社の著名スローガンの希釈化を危惧するものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、次に述べるように、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者である被請求人により、審判請求に係る指定商品に対して使用している。
1 本件商標の使用事実について
(1)被請求人は、1931年に愛知県内において創業後、同県内に本店及び物流センターを置き、スーツ、ジャケット等の紳士服類の製造、販売を行うアパレルメーカーである(乙第14号証)。
(2)乙第1号証-1ないし5は被請求人が製造した紳士用スーツの上衣(以下「第1スーツ」という。)を、また乙第1号証-6ないし10は同じく別の紳士用スーツの上衣(以下「第2スーツ」という。)を、被請求人が2011年9月5日に撮影した写真である。
(3)第1スーツについて
ア 乙第1号証-1、3ないし5の写真から明らかなように、本件商標「JUST DO IT」と社会通念上同一と認められる商標が第1スーツの左胸内ポケットの下方、左腕の袖及び衿吊に付されている。また、乙第1号証-2の写真は、第1スーツの内ポケットに縫い付けられた商品タグであり、ロットナンバー「LOT PS1-11-2」、製品番号(以下「品番」という。)「NO 1665411-B」、衣服の型「90Y4」、モデル番号「A177」、製造工場の番号「13」、「MADE IN CHINA」の表示がある。さらに、乙第1号証-4の写真は、商品タグであり、「NO 1665411 COL.B」の表示がある。なお、第1スーツ(第2スーツも同様。)は、下衣(パンツ)との上下セットのスーツとして製造・販売されているが、下衣自体には本件商標を付していないため、下衣についての写真、説明は省略する。
イ 乙第2号証は、製品番号分類一覧表の写しであるところ、品番は、左端から1桁目が大分類、2桁目が中分類(季節等)、3桁目ないし5桁目が品番コード、6桁目が年季分類(西暦の下1桁)、7桁目がアイテム分類、8桁目のアルファベットは色番となっている。
そのため、製品番号分類一覧表によれば、第1のスーツは「プロパー扱い(ジャストオリジナルのスーツ)、S/S(春夏)物、2011年用商品、CP(スーツ)、紺系、品番コード654」で特定される商品であることが判る。
ウ 乙第1号証-3の写真は、第1スーツの内ポケットに縫い付けられた商品タグの裏面であり、「毛」、「ポリエステル」といった材料表示の他、「全日本紳士服産業協議会」及び連絡先電話番号「052-211-2131」の表示と共に「5-400」の数字が記載されている。当該数字は、「全日本紳士服産業協議会」において登録された被請求人の登録番号である。
エ 乙第3号証は、全日本紳士服産業協議会組織図及び登録番号表示例の写しである。乙第3号証によれば、全日本紳士服産業協議会は、名古屋、岐阜、大阪それぞれの支部に分かれ、名古屋支部においては「名古屋メンズアパレル工業組合」なる組織が存在する。「名古屋メンズアパレル工業組合」に属する各メーカーに対しては、乙第3号証にあるように、材料表示、「全日本紳士服産業協議会」の表示、自己の登録番号の表示とともに、電話番号「052-211-2131」を表示することが規定されている。
乙第4号証は、名古屋メンズアパレル工業組合(名古屋メンズアパレル製造卸協同組合)の組合員名簿(平成19年4月1日現在)の一部写しであり、登録番号「5-0400」には、「ジャスト株式会社」の記載がある。
乙第5号証は、全日本紳士服産業協議会の名古屋メンズアパレル工業組合に属する品質表示者番号一覧表(2004年8月現在)の写しであり、被請求人ジャスト株式会社に対し登録番号「5-0400」が付与されている。
オ 乙第6号証は、被請求人の得意先の一つである株式会社コナカ(乙第15号証。以下「(株)コナカ」という。)から被請求人に対してファクシミリ送信された発注書の写しである。該発注書は、2010年11月6日に送信され、その中には「2011年SS物」、メーカー品番「1665411-B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品が含まれている。この商品についてのメーカー品番、体型、号数は、第1スーツにかかるものと完全に一致する。さらに、乙第6号証における「ブランド」欄や「備考」欄には、「JUST DO IT」と記載されており、当該発注書による商品に本件商標を使用する旨の指示があったことが判る。
カ 乙第7号証は、乙第6号証の発注書を受けて被請求人が作成した加工指図書である。当該加工指図書は、その発行日が2010年11月25日であり、センター納期11/02/18、店着2011/02/25と記載され、2011年春夏物を示す「2011S/S」、管理番号「PS1-11-2」、モデル番号「A177」といった記載の他、当該加工指図書が製造を指図する多数の商品の中には、品番「1665411-B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品が含まれている。この商品についての品番、体型、号数は、第1スーツにかかるものと完全に一致する。さらに、乙第7号証における「ネーム類」欄には、「上前 JUST DO IT」、「袖 JUST DO IT」、「其他 JUST DO IT衿吊」と記載されており、商品の上前(左胸裏地の意)、袖、衿吊に本件商標を付す旨の指図があったことが判る。
キ 乙第8号証は、2011年3月4日付けで(株)コナカにより被請求人に対して発行された納品書(センター入荷伝票)のメーカー控えの写しである。該納品書によれば、メーカー品番「1665411B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品(本件商標を使用した第1スーツ)55着を含む複数の商品が、被請求人から(株)コナカヘ納品されたことが判る。
乙第9号証は、2011年3月4日付けで被請求人により(株)コナカに対して発行された、納品書(控)の写しである。被請求人は、乙第8号証の納品書(センター入荷伝票)を受けたその日に、乙第9号証の納品書を商品出荷とともに発行した。該納品書(控)によれば、メーカー品番「1665411B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品(第1スーツ)55着を含む複数の商品が、被請求人から(株)コナカヘ納品されたことが判る。
(4)第2スーツについて
ア 乙第1号証-6、9及び10の各写真から明らかなように、本件商標「JUST DO IT」と社会通念上同一と認められる商標が、第2スーツの左胸内ポケットの下方、左腕の袖及び衿吊に付されている。また、乙第1号証-7の写真は、第2スーツの内ポケットに縫い付けられた商品タグであり、ロットナンバー「LOT DW9-13」、品番「NO 1116491-B」、衣服の型「90Y4」、モデル番号「B180」、製造工場の番号「78」、「MADE IN MYANMAR」の表示がある。さらに、乙第1号証-9の写真は、商品タグであり、「NO 1116491 COL.B」の表示がある。この第2スーツの品番「NO 1116491-B」は、製品番号分類一覧表(乙第2号証)によれば、「プロパー扱い(ジャストオリジナルのスーツ)、A/W(秋冬)物、2009年商品、CP(スーツ)、紺系、品番コード164」で特定される商品であることが判る。
イ 乙第1号証-8は、第2スーツの上記内ポケットに縫い付けられた商品タグの裏面であり、第1のスーツの商品タグと同様に、「全日本紳士服産業協議会」及び連絡先電話番号「052-211-2131」と共に被請求人の登録番号「5-400」が表示されている。
ウ 乙第10号証は、(株)コナカから被請求人に対して手渡された発注書の写しであり、メーカー品番、ブランド、体型等の項目で特定される商品が多数発注されており、その中には、メーカー品番「1116491-B」、体型「YA」、号数「4」で特定される商品が含まれている。この商品についてのメーカー品番、体型、号数のうち、品番および号数は第2スーツにかかるものと完全に一致する。また、体型「YA」は、商談において担当者が慣習上「Y」及び“やや細身”を意味する「YA」の両方を含む記号として記入することも多い。さらに、乙第10号証における「ブランド」欄や「備考」欄には、「JUST DO IT」と記載されており、当該発注書による商品に本件商標を使用する旨の指示があったことが判る。
エ 乙第11号証は、乙第10号証の発注書を受けて被請求人が作成した加工指図書である。当該加工指図書は、発効日2009年3月18日であり、それには、センター納期09/09/10、店着2009/09/20、2009年秋冬物を示す「2009A/W」、管理番号「DW9-13」、モデル番号「B180」、製造区分「MADE IN MYANMAR」等が指図されている。また、当該加工指図書が製造を指図する多数の商品の中には、品番「1116491-B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品が含まれている。この商品についての品番、体型、号数は、第2スーツにかかるものと完全に一致する。さらに、乙第11号証の2ページ目における「ネーム類」欄には、「上前 JUST DO IT」、「袖 JUST DO IT」、「其他 JUST DO IT 衿吊」と記載されており、商品の上前、袖、衿吊に本件商標を付す旨の指図があったことが判る。
オ 乙第12号証は、2009年10月5日付けで被請求人に対してファクシミリ送信された、納品書(センター入荷伝票)のメーカー控えの写しである。該納品書によれば、メーカー品番「1116491B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品(本件商標を使用した第2スーツ)35着を含む複数の商品が、被請求人から(株)コナカヘ納品されたことが判る。
乙第13号証は、2009年10月6日付けで被請求人により(株)コナカに対して発行された、納品書(控)の写しである。該納品書によれば、メーカー品番「1116491B」、体型「Y」、号数「4」で特定される商品(第2スーツ)35着を含む複数の商品が、被請求人から(株)コナカヘ納品されたことが判る。
2 まとめ
以上のとおり、本件審判請求の予告登録前3年以内であって、かつ、駆け込み使用に該当しない期間に、被請求人が、指定商品(スーツ)に本件商標を付した状態とし、これを他社に販売していたことは明白である。
したがって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば次のとおりである。
(1)乙第1号証-1ないし4は、紳士用スーツの上衣及びそれに付された商品タグの写真であり、いずれの写真にも「2011.09.05」の表示がある。
ア 乙第1号証-1は、スーツの上衣の前見頃の左側を開いた状態の写真であり、当該上衣の衿吊及び左胸内ポケット下方部分に「JUST DO IT」と表示されたタグが縫い付けられ、左袖には、「IT」の文字は確認できないものの「JUST DO IT」と表示されたと思われるタグが縫い付けられている。
また、スーツの上衣の左胸内ポケット内には、商品タグが縫い付けられ、そこには小さい文字ながらも「LOT PS1-11-2」「90 74 165」「90Y4」の記載が確認できる。
イ 乙第1号証-2は、商品タグの写真であり、当該商品タグには、上段から「LOT PS1-11-2」「NO 1665411-B」「胸囲90 胴囲74 身長165」「90Y4」「モデル A177」「工場 13」「MADE IN CHINA」の記載がある。
ウ 乙第1号証-3は、商品タグの写真であり、当該商品タグには、上段から「全日本紳士服産業協議会」などの記載がある。
また、当該商品タグの下方には「JUST DO IT」と表示されたタグが縫い付けられている。
エ 乙第1号証-4は、ビニール袋に納められた商品タグの写真であり、当該商品タグには、上段から「#NO 1665411 COL.B」「モデル A*77」「KN CP S2B センター 0タ*ク」「SIZE 胸囲90 胴囲74 身長165」「90Y4」の記載がある。
また、当該商品タグの上方に「JUST DO IT」の表示がある。
(2)乙第6号証は、発注書であり、当該発注書2枚目の左上には「株式会社コナカ」、その下段に「2011年SS物」、中央上に「メーカー名/ジャスト」、右上に「記入日/2010.8.28」と記載され、表には、品名欄に「上下」、メーカー品番欄に「1665411-B」、体型欄に「Y」、ブランド欄に「JUST DO IT」、サイズ・数量欄に「4/S 84」等と(又はその旨)記載されている。
さらに、当該発注書の右端に「10-11-06」「送信元-コナカショウヒンホンブ」とファクシミリの送信記録の表示がある。
(3)乙第7号証は、加工指図書(加工所用別紙)であり、当該加工指図書の左上に「2011S/S」、管理番号欄に「PS1-11-2」、モデル番号欄に「A177」、その下段に「KN CP S2B センター 0タック」と記載され、中央上に「JUST CO.,LTD」、その下段の製造区分欄に「中国製」、右上には、指図発行日欄に「10/11/25」、センター納期欄に「11/02/18」、店着欄に「2011/02/25」と記載され、また、型紙番号欄には「上衣」と「パンツ」についての記載がある。
さらに、当該加工指図書の表には、品番 色欄に「1665411-B」、体型欄に「Y」、4欄に「87」、ネーム類欄に「上前 JUST DO IT(JNN102)」「袖 JUST DO IT(JNN102)」「其他 JUST DO IT衿吊(JNN101)」「上衣下札 JUST DO IT」等と記載されている。
(4)乙第8号証は、納品書(センター入荷伝票)であり、当該納品書の左上の伝票発行日欄に「2011/03/04」、センター着日欄に「2011/03/04」、取引先欄に「ジャスト(株)」、到着センター欄に「佐川GL コナカ物流センター」と記載され、表のNo.1ないし5には、部門欄に「メンズ」、大分類欄に「スーツ」、メーカー品番欄に「1665411B」、体型Yについて、サイズ3は「点数7、単価6,000、金額42,000」、サイズ4は「点数55、単価6,000、金額330,000」、サイズ5は「点数68、単価6,000、金額408,000」、サイズ6は「点数59、単価6,000、金額354,000」、サイズ7は「点数23、単価6,000、金額138,000」の旨記載されている。
そして、上記金額の合計は、1,272,000円である。
(5)乙第9号証は、被請求人からの株式会社コナカ/佐川G北関東あての納品書(控)である。当該納品書(控)の中央上部には「11年03月04日納」の記載があり、表には、品名「KN CP S2B センター 0」、品番「1665411/A177」、色「B」、型「Y」について、号数3は数量7、号数4は数量55、号数5は数量68、号数6は数量59、号数7は数量23である旨、及び数量欄に「212」、単価欄に「6000」及び金額欄に「1272000」と記載されている。
2 判断
(1)上記1及び被請求人の主張を総合すれば、次のとおり認めることができる。
ア 乙第1号証-1のスーツの上衣に縫い付けられた商品タグの記載態様と乙第1号証-2の商品タグの記載態様とが一致するものと認められ、「LOT PS1-11-2」、「90 74 165」及び「90Y4」の記載が一致し、乙第1号証-3の商品タグの背景の上衣とそこに「JUST DO IT」のタグが縫い付けられていること、さらに乙第1号証-2の商品タグの「NO 1665411-B」「胸囲90 胴囲74 身長165」「90Y4」の記載と、乙第1号証-4の商品タグの「♯NO 1665411」「COL.B」「SIZE 胸囲90 胴囲74 身長165」「90Y4」の記載とが一致すると認められることから、乙第1号証-1ないし4の写真は、同一の商品について撮影されたものとみるのが自然である。
以下、乙第1号証-1ないし4のスーツ(の上衣)を「使用商品」という。
イ 乙第6号証の発注書に記載されたメーカー品番「1665411-B」、体型「Y」、乙第7号証の加工指図書に記載された品番/色「1665411-B」、体型「Y」、乙第8号証の納品書に記載されたメーカー品番「1665411B」、体型「Y」及び乙第9号証の納品書(控)に記載された品番「1665411」、色「B」、型「Y」が一致し、乙第6号証ないし乙第9号証のいずれにもサイズ「4」の数量が記載されていることが認められる。
そして、乙第6号証ないし乙第9号証の日付、発行日、あて先などの記載内容及び被請求人の主張をあわせみれば、商標権者(被請求人)であるジャスト株式会社は、株式会社コナカからの発注を受け、2010年(平成22年)11月25日に品番(及び色)「1665411-B」、体型「Y」、サイズ「4」の商品(以下「製造商品」という。)の製造を中国の現地製造工場「大連利○」(○は「馬」偏に「華」の文字。)に加工指図し、株式会社コナカの納品指示を受け、2011年(平成23年)3月4日に製造商品55着を株式会社コナカ「佐川GL コナカ物流センター(佐川グローバルロジスティクス株式会社 北関東支店)」に納品したものと推認することができる。
ウ また、乙第1号証-1の使用商品の衿吊、左胸内ポケットの下方及び左袖にそれぞれ縫い付けられたタグの「JUST DO IT」の表示(以下、まとめて「使用商標」という。)、乙第1号証-2及び4の使用商品の商品タグの「LOT PS1-11-2」「NO 1665411-B」「90Y4」「モデル A177」「MADE IN CHINA」「KN CP S2B センター 0タ*ク」の記載と製造商品の品番(及び色)「1665411-B」、体型「Y」、サイズ「4」、乙第6号証の発注書のブランド「JUST DO IT」、乙第7号証の管理番号「PS1-11-2」、モデル番号「A177」、「KN CP S2B センター 0タック」、製造区分「中国製」、ネーム類「上前 JUST DO IT(JNN102)」「袖 JUST DO IT(JNN102)」「其他 JUST DO IT衿吊(JNN101)」「上衣下札 JUST DO IT」とが一致すると認められるから、使用商品と製造商品は同一のものと判断するのが相当である。
エ 上記アないしウからすると、商標権者は、株式会社コナカからの発注を受け、平成23年2月頃にスーツを製造するとともにこれに使用商標を付し(商標法第2条第3項第1号)、かつ、当該使用商標を付したスーツ(使用商品)を同年3月4日に株式会社コナカに納品(引き渡し)した(商標法第2条第3項第2号)ものということができる。
(2)上記(1)エのスーツに本件商標を付した時期「平成23年2月頃」及び使用商品の納品日「平成23年3月4日」は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内である。
(3)本件商標と使用商標はいずれも「JUST DO IT」の文字からなるものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(4)本件審判の請求に係る指定商品(分割後の指定商品)中には「スーツ」が含まれており、使用商品も「スーツ」であるから、使用商品「スーツ」は、本件審判の請求に係る指定商品中に含まれる商品である。
(5)そうとすれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内においてその請求に係る指定商品中「スーツ」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたというべきである。
なお、請求人は取引先が株式会社コナカのみであること、数量が少量であること、乙第1号証のスーツの写真は撮影日が予告登録後であること、及び乙第6号証及び第7号証は真正なものであることは原本を確認しないと不明であるとして、被請求人提出の証拠では立証が不十分であり、さらなる証拠の提出を求める旨主張している。
しかしながら、商標法第50条第1項の規定による商標登録の取消しの審判が請求された場合、被請求人は請求に係るいずれかの指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明すれば足りる(同条第2項)のであるから、取引先が1社であることや数量が少量であることは、上記判断に影響するものではない。
また、乙第1号証の写真の撮影日が予告登録後であるとしても、被請求人提出の証拠及び同人の主張を総合してみれば、上記のとおり判断するのが相当である。
さらに、被請求人提出の証拠及び主張には疑義を有する理由はみあたらず、請求人もその理由を明らかにしていない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品中「スーツ」について本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-03-06 
結審通知日 2012-03-12 
審決日 2012-03-23 
出願番号 商願平9-143149 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 良成深沢 美沙子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 大島 康浩
小畑 恵一
登録日 1998-10-30 
登録番号 商標登録第4206837号の1(T4206837-1) 
商標の称呼 ジャストドゥーイット 
代理人 西村 雅子 
代理人 横井 俊之 
代理人 宮永 栄 
代理人 田畑 浩美 

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