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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X16 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X16 |
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管理番号 | 1261538 |
審判番号 | 不服2011-12020 |
総通号数 | 153 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-06-07 |
確定日 | 2012-07-26 |
事件の表示 | 商願2010-46629拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「新・潤いティシュー」の文字を書してなり、第16類「ティッシュペーパー」を指定商品として、平成22年6月11日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、『新しいもの』を表すものとして一般に使用されている『新』の文字と『水気を帯びたティッシュペーパー』の意を認識される『潤いティシュー』の文字を普通に用いられる方法で『新・潤いティシュー』と書してなるから、これをその指定商品中、『新しい保湿成分を配合したティッシュペーパー』に使用するときは、単に商品の品質について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における審尋 請求人に対し、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、平成24年2月14日付けで通知した審尋の要旨は、別掲のとおりである。 4 審尋に対する請求人の回答 請求人は、「本願商標は、一連一体に『新・潤いティシュー』と表示してなる構成よりなり、これに接する取引者・需要者はこれが請求人採択に係る造語と理解するのが自然である。加えて、刊行物等提出書等の刊行物によっては、本願商標とその構成を同じくする『新・潤いティシュー』の語が一般に使用されている事実は示されておらず、本願指定商品を扱う当業界においても、一般に使用されている例は存しない。」旨述べている。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について 本願商標は、前記1において示したように、「新・潤いティシュー」の文字を書してなるところ、構成中の「新」の語は「あたらしいこと。あたらしくすること。」(広辞苑)の意味を、「うるおい」の語は「水気を帯びること。しめり。」(広辞苑)の意味を、それぞれ有するものであり、「ティシュー」の語は本願指定商品である「ティッシュペーパー」を表すものである。 ところで、請求人は、前記4の回答書において、「本願商標とその構成を同じくする『新・潤いティシュー』の語が一般に使用されている事実は示されておらず、本願指定商品を扱う業界においても、一般に使用されている例は存しない。」旨述べているところ、当該商標が商品の品質を表すものであるか否かの判断に当たっては、その語の意味合い及び指定商品を取り扱う業界における取引の実情等よりみて、その語を当該商品に表示した場合における、取引者、需要者の理解、認識の度合いをもって、その語が品質を表示するものであるか否かを判断すべきものである。 してみれば、たとえ、実際の商取引において「新・潤いティシュー」の語が一般に使用されていないとしても、当審において行った前記3の審尋により示した使用事実によれば、市場においては、商品「保湿成分を配合したティッシュペーパー」について、「うるおいティッシュ」、「潤いティッシュ」の文字が使用されている実情が認められることからすると、本願商標に接する取引者、需要者は、これが「新しい、保湿成分を配合したティッシュペーパー」であることを認識するものといい得るものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。 そうとすると、本願商標は、構成全体として「新しい、保湿成分を配合したティッシュペーパー」程の意味合いを容易に想起させるものであり、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に、商品の品質等を認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、かつ、本願商標を前記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 (2)商標法第3条第2項について 請求人は、「本願商標は、請求人による使用及びテレビCMを含めた強力、且つ、広汎に亘る宣伝広告活動の結果、取引者、需要者に請求人の業務に係る商品であると現実に認識されている商標である。」旨述べ、その根拠となる証拠として、当審において甲第28号証ないし同第410号証を提出している。 そこで、本願商標が該要件を具備するに至っているか否かについて検討するに、請求人が当審において提出した各証拠の内容のいずれによっても、「新・潤いティシュー」の文字自体が単独で自他商品の識別標識として使用されている事実を見いだすことができないから、これらをもって、本願商標が、使用の結果、取引者、需要者において請求人の業務に係る商品であることを表示する商標として広く認識されるに至ったものとは認められない。 なお、請求人は、「いわゆるハウスマークや商品の統一ブランド等を併記することは、本願指定商品を取り扱う業界において普通に用いられる商標の使用態様であり、商品パッケージ等において、一つの商標のみが表示されることは稀で、複数の商標が表示される場合が多いものと考えられることから、使用に係る商標が、本願商標『新・潤いティシュー』以外の文字も併せて使用されていることにより、出願に係る商標と同一であるとは認められないとする判断は誤りである。」旨述べている。 しかしながら、商標法第3条第2項の適用を受け、使用により識別力を有するに至った商標として登録を認められるのは、使用に係る商標が出願に係る商標と同一であることを要し、出願に係る商標と類似のものを含まないと解すべきところ(平成18年(行ケ)第10054号 知的財産高等裁判所平成18年6月12日言渡 参照)、請求人の使用に係る商標には、「大王製紙株式会社」、「エリエール」、「+Water」、「プラス ウォーター」等、本願商標以外の文字も併せて使用されており、「新・潤いティシュー」の文字のみからなる本願商標と同一であるということはできない(甲第28号証ないし同第31号証、同第343号証、同第349号証ないし同第380号証、同第382号証ないし同第393号証、同第399号証、同第405号証及び同第407号証)。 また、請求人から提出された証拠によれば、本願商標の使用開始は、2010年9月のCM発表会からであり、本件審決時までに継続して使用したとしても、わずかに1年9か月足らずにすぎない。 さらに、請求人から提出された「ティシューペーパー販売実績データ(ティシュー全体:2010年10月?2011年6月)」(甲第345号証)、「ティシューペーパー販売実績データ(高級・保湿ティシュー:2010年10月?2011年6月)」(甲第346号証)及び「ティシューペーパー販売実績データ(保湿ティシュー:2011年7月?2012年3月)」(甲第409号証)によれば、本願商標を付した商品の販売金額は、2010年10月?2012年3月で、5箱セット(約36億円)、1箱(約3.8億円)、ポケットティシュ(約2億円)、3箱セット(約0.1億円)であり、5箱セットについては、ティシュー全体で8位(2010年10月?2011年6月)、高級・保湿ティシューで1位(2010年10月?2011年6月)、保湿ティシューで1位(2011年7月?2012年3月)ではあるところ、上述のとおり、請求人の使用に係る商標には、「エリエール」、「+Water」等、本願商標以外の文字も併せて使用されており、「新・潤いティシュー」の文字のみからなる本願商標の使用ということはできない。 そうすると、その使用に係る商標は出願に係る商標とは同一のものではなく、本願商標が使用された結果、審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。 (3)請求人のその他の主張について 請求人は、過去の登録例を挙示して、本願商標もこれと同様に登録されて然るべきものである旨述べている。 しかしながら、請求人が主張する登録例は、商標の具体的構成や指定商品において本願商標とは事案を異にするものであり、しかも、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、その登録例に拘束されるべき理由はない。 したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。 (4)むすび 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 平成24年2月14日付け審尋の要旨 1 商品「ティッシュペーパー」に関する、「潤い」「うるおい」の文字の使用事実について 請求人は、平成23年7月20日受付けの手続補正書(方式)における、「本願商標が登録されるべき理由」において、甲第1号証ないし同第27号証をもとに、本願商標はこれに接する取引者・需要者に全体で一連一体の造語と理解されるものであり、本願指定商品との関係で自他商品識別力を発揮する商標である旨、また、本願指定商品を扱う業界において、「潤いティシュー」の語が一般に使用されている事実が存しない旨主張する。 しかしながら、本願に係る指定商品を取り扱う業界においては、「保湿成分を配合したティッシュペーパー」を表す語として、「潤い」又は「うるおい」の文字が使用されている実情が、以下のとおり認められるところである。 (1)平成23年11月3日付けで提出された刊行物等提出書における刊行物中の記載について ア 刊行物2において、「フレッシュ株式会社が製造するティッシュペーパー包装箱を撮影した写真」1ないし3頁に、「しっとり、潤いティッシュ。/ピュアパルプ&保湿成分配合」の記載がある。 イ 刊行物5において、「王子ネピア株式会社「nepia『鼻セレブ』シリーズ」のウェブサイト」1頁に、「新・ダブル保湿のうるおいティッシュ・・・ダブル保湿とは、『ソルビット』と『天然グリセリン』の2つの保湿成分のこと。・・・天然由来スクワランは、お肌の皮脂成分として元来含まれている、うるおい成分です。・・・」の記載がある。 ウ 刊行物6において、「爽快ドラッグ「ネピア アンパンマン鼻セレブテイシュ」のウェブサイト」1頁に、「ダブル保湿のうるおいティッシュ/詳細情報・・・やわらか特別仕様のうるおいティッシュ。・・・従来からの『ダブル保湿』に加え、『天然由来スクワラン』と『ベビーオイル』を配合しました。・・・」の記載がある。 エ 刊行物8において、「楽天市場「キャラ☆ポケ堂」のウェブサイト」1頁に、「赤鼻対策、うるおい保湿ティッシュ(200組400枚)/保湿ペーパー・・・」の記載が、同刊行物2頁に、「風邪、花粉症の赤鼻対策に、うるおい&保湿ティッシュ。/保湿ペーパー・・・」の記載がある。 オ 刊行物9において、「グリーンコンシューマーのお店のウェブサイト」に、「肌へのやさしさ365日 新定番うるおいティシュ/花束ライトローションティシュ/・・・経済的な保湿ティシュです。/花粉症・風邪・鼻炎・化粧用に最適な保湿成分配合で、・・・」の記載がある。 カ 刊行物10において、「エコモコ(株式会社服部)「ビューティ・コスメ関連グッズ」のウェブサイト」1頁に、「ピュアシェリー10W(うるおいティッシュ)10枚入り/空気中の水分をやわらかく取り込んだ、保湿成分配合で柔らかくお肌にやさしいティッシュです。・・・」の記載がある。 キ 刊行物11において、「エコモコ(株式会社服部)「ボックスティッシュ」のウェブサイト」1頁に、「アロエエキス配合/アロエ保湿ローションティッシュ100W・・・/アロエ保湿うるおいティッシュ」の記載がある。 ク 刊行物1において、「河野製紙株式会社が製造するティッシュペーパー包装箱を撮影した写真」3頁に、「うるおい保湿/・・・保湿成分配合ティシュ。/・・・うるおい保湿があります。」の記載がある。 ケ 刊行物4において、「丸富製紙株式会社が製造するティッシュペーパー包装箱を撮影した写真」3頁に、「保湿成分をたっぷり配合。しっとりやわらかなローションティシュです。/極上のうるおい仕上げで、お肌に負担のかかる花粉症・鼻炎・風邪に最適です。」の記載がある。 コ 刊行物12において、「イトーヨーカドーのネットスーパー アイワイネット『ヘルス&ビュティー』のウェブサイト」1頁に、「抗菌保湿ティシュ/うるおい成分を配合したお肌にやさしいティシュ・・・」の記載がある。 サ 刊行物13において、「河野製紙株式会社『保湿ティシュの技術』のウェブサイト」に、「『保湿ティッシュ』は驚くほど柔らかでなめらかな肌触りのティッシュです。高品質な河野製紙の紙に、保湿成分(うるおい成分となめらか成分)を配合し、肌にすっと添うようなソフトな感触にしました。・・・」の記載がある。 (2)商願2010-046630に関する平成23年10月14日付けで提出された刊行物等提出書における刊行物中の記載について 刊行物2において、「株式会社クレシアの『クレシア アロエローションティシュー Chiffon Veil』の商品カタログ」1頁に、「”うるおい”のある新しいティシュー」の記載がある。 (3)ウェブサイトにおける記載について 「堀商店」のウェブサイトにおいて、「ポケットティッシュ 保湿ミニティッシュ6P プリンセス&ラプンツェル」の項に、「・・・しっとりと柔らかい保湿成分がたっぷりのペーパーを使用した、子供のデリケートなお鼻に最適な、うるおい保湿のティッシュです。」の記載がある(http://f01-142.242.145.203.fs-user.net/detail.php?code=230012&category=%E5%AD%90%E4%BE%9B%E7%94%9F%E6%B4%BB%E9%9B%91%E8%B2%A8)。 2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について 本願商標は、「新・潤いティシュー」の文字を書してなるところ、構成中の「新」の語は「あたらしいこと。あたらしくすること。」(広辞苑)の意味を、「うるおい」の語は「水気を帯びること。しめり。」(広辞苑)の意味を、それぞれ有するものであり、「ティシュー」の語は本願指定商品である「ティッシュペーパー」を表すものである。 そして、前記1において示したように、本願指定商品との関係において、「潤い(うるおい)」の語は、「保湿成分を配合した商品」ほどの意味合いで使用されており、また、「潤い(うるおい)ティシュー(ティッシュペーパー)」の語は、「保湿成分を配合したティッシュペーパー」ほどの意味合いで使用されている実情がある。 そうとすると、本願商標は、構成全体として「新しい、保湿成分を配合したティッシュペーパー」程の意味合いを容易に想起させるものであり、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に、商品の品質等を認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、かつ、本願商標を前記商品以外の商品について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 3 商標法第3条第2項について 請求人は、平成23年7月20日受付けの手続補正書(方式)における、「【本願商標が登録されるべき理由】」において、請求人は本願商標をその指定商品「ティッシュペーパー」について実際に使用しており、請求人による使用及び強力、且つ広汎に亘る宣伝広告活動の結果、取引者、需要者に請求人の業務に係る商品であると現実に認識されている商標であり、実際に自他商品識別機能を発揮している商標である旨主張し、証拠方法として、甲第28号証ないし同第410号証を提出している。 ところで、商標法第3条第2項を適用し、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一であることを要するものというべきである。 そこで、請求人の提出した証拠により使用に係る商標についてみるに、その具体的な使用態様を確認できるのは、甲第28号証ないし同第31号証、同第343号証、同第349号証ないし同第380号証、同第382号証ないし同第393号証、同第399号証、同第405号証及び同第407号証であるところ、これらには、「大王製紙株式会社」、「エリエール」、「+Water」、「プラス ウォーター」等、本願商標「新・潤いティシュー」以外の文字も併せて使用されており、使用に係る商標が出願に係る商標と同一であるとは認められない。 そうすると、その使用に係る商標は出願に係る商標とは同一のものではないから、結局、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。 |
審理終結日 | 2012-05-28 |
結審通知日 | 2012-05-29 |
審決日 | 2012-06-11 |
出願番号 | 商願2010-46629(T2010-46629) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X16)
T 1 8・ 272- Z (X16) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
小林 正和 前山 るり子 |
商標の称呼 | シンウルオイティシュー、ウルオイティシュー、ウルオイ |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 和田 光子 |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 岸田 正行 |