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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1259860 
審判番号 取消2010-300448 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-04-21 
確定日 2012-07-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第1702370号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1702370号商標(以下「本件商標」という。)は,「MAX」の欧文字を横書きしてなり,昭和55年8月25日に登録出願され,第29類「コーヒー,その他本類に属する商品」を指定商品として,同59年7月25日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,さらに,平成17年3月9日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。
なお,本件審判請求の登録は,平成22年5月17日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は,「本件商標の指定商品中の第32類『清涼飲料,果実飲料』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第8号証を提出した(なお,弁駁書における甲第1号証ないし6号証は,請求書における符号と一部重複するので,当審において甲第3号証ないし8号証に改めた。)。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「第32類 清涼飲料,果実飲料」について,継続して3年以上日本国内において使用した事実がないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁ばく
乙第3号証及び乙第8号証に示されている商品(以下「本件商品」という。)が第32類「清涼飲料」に含まれる商品であるとの請求人の主張は,誤りであり,本件商品は,「清涼飲料,果実飲料」の概念に含まれるものではない。したがって,本件商標は,本審判により取り消されるべきである。
(1)本件商品について
被請求人が提出した証拠によると,本件商品は,カップ式自動販売機で飲料を製造するために使用される粉末である。
そして,当該飲料は,カップ式自動販売機において,「GEORGIA MAX COFFEE」ないし「マックスコーヒー」の名称で販売されている(乙4ないし乙6)。また,当該飲料のラベル(フレーバーカード)には,黄色地に,「GEORGIA MAX COFFEE」の名称が黒字で記載されている他,「MAX COFFEE」の文字を上下から挟むようにして黒い波状の模様が描かれている(乙5,乙6)。
他方,日本コカ・コーラ株式会社(以下「日本コカ・コーラ」という。)は,「GEORGIA MAX COFFEE」ないし「マックスコーヒー」の名称を,缶入りのコーヒー飲料にも使用している(乙7,乙11)。当該缶入り飲料がコーヒー飲料であることは,缶自体に「コーヒー飲料」の表示があることや,日本コカ・コーラのウェブサイト(乙11)において,当該缶入り飲料が「コーヒー飲料」の項目内で紹介されていることからも明らかである。
また,当該缶には,黄色地に,「GEORGIA MAX COFFEE」の名称が黒字で記載されている他,「MAX COFFEE」の文字を上下から挟むようにして黒い波状の模様が描かれている(乙7,乙11)。
このように,「GEORGIA MAX COFFEE」ないし「マックスコーヒー」の名称は,本件商品を使用した飲料と,缶入りのコーヒー飲料の両方に使用されており,また,前者のラべルのデザインと,後者の缶のデザインには,類似したものが使用されている。
そして,日本コカ・コーラが,同一の商品名や類似するデザインを,全く内容が異なる商品に使用することは通常考えられないことから,前記のカップ式自動販売機で販売されている商品が,缶入りコーヒー飲料と同一のもの,すなわち「コーヒー飲料」であることは明らかである。
したがって,本件商品は,より正確には,「カップ式自動販売機でコーヒー飲料を製造するために使用される粉末」というべきである。
(2)本件商品は第30類に含まれる商品であること
本件商品は,カップ式自動販売機でコーヒー飲料を製造するために使用される粉末である。
ところで,「商品・サービス国際分類表【国際分類第8版】類見出し及び注釈(商品)」(甲3)によれば,「コーヒー飲料」は,第30類に含まれる商品であって,第32類からは明示的に除外されている。また,「コーヒー飲料製造用のコーヒーエキス」が第30類の指定商品の記載として認められた登録例(甲4)が存在するところ,本件商品は「エキス」ではないものの,コーヒー飲料の製造に使用される素材という点では,「コーヒー飲料製造用のコーヒーエキス」と共通している。これらの事情を考慮すると,コーヒー飲料を製造するために使用される粉末が,第30類に含まれる商品であることは明らかである。
このように,本件商品は,第30類に含まれる商品であるから,本件商品が第32類「清涼飲料,果実飲料」に含まれると解する余地は無い。
(3)本件商品の品名について
本件商品の品名は,前述のとおり,「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」である(乙8)。これは,食品衛生法上,本件商品のような,コーヒー飲料を製造するために使用される粉末が,「粉末清涼飲料」の分類に属することによるものであると解される。
すなわち,消費者庁の通達である「食品衛生法に基づく表示について」(平成21年9月17日消食表第8号)(甲5)の別添1は,「名称の表示」について,「食品及び添加物の名称については,その内容を的確に表現し,かつ,社会通念上すでに一般化したものを記載すること。なお,その主なものは,別表2に例示する。」と定め,同別表2は,大分類「粉末清涼飲料」,中分類「粉末清涼飲料」の中に,小分類「粉末清涼飲料,粉末ジュース,インスタントジュース,インスタントコーヒー,インスタント紅茶,インスタントココア,粉末炭酸飲料」が含まれる旨を定めている。この分類によれば,本件商品のようなコーヒー飲料を製造するために使用される粉末もまた,「粉末清涼飲料」の分類に属する食品であるとされているのであり,本件商品における品名の表示もこのような通達に沿ったものであると解される。
しかしながら,食品衛生法上,本件商品のような,コーヒー飲料を製造するために使用される粉末が「粉末清涼飲料」の分類に属すると解されていることは,商標法上の商品・役務の分類においても,かかる商品が「清涼飲料」に含まれると解さなくてはならないということを,何ら意味するものではない。
そもそも,商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものである(第1条)。これに対し,食品衛生法は,「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより,飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し,もって国民の健康の保護を図ることを目的とする」ものである(第1条)。このように,両法の目的が全く異なることを考慮すれば,食品衛生法上の食品の分類と,商標法上の商品・役務の分類を,同様に解さなくてはならない必然性は無い(甲6)。
また,前述のとおり,食品衛生法上の食品の分類においては,「インスタントコーヒー」は「粉末清涼飲料」に分類される食品であるのに対し,商標法上の商品・役務の分類においては,「インスタントコーヒー」は第30類に含まれる商品であり(甲7),これが第32類「清涼飲料」に含まれると解する余地は無い。
したがって,本件商品の品名表示において,食品衛生法上の分類にしたがって「粉末清涼飲料」の表示がなされていることは,本件商品が商標法上の「清涼飲料」に含まれるということを,何ら意味するものではない。
(4)本件商品は「飲料製造用調製品」に含まれる商品ではないこと
被請求人は,本件商品は,第32類「飲料製造用調製品」に含まれる商品であると主張するが,その根拠として述べるところは,本件商品は「飲料」の製造に用いられるものであるから「飲料製造用調製品」であるという程度に留まる。
しかしながら,前述のとおり,全ての「飲料」が第32類に含まれる訳ではなく,「コーヒー飲料」は,第32類から明示的に除外されている。そうであるにもかかわらず,第32類に含まれない「コーヒー飲料」の製造に用いられるものが第32類に含まれる「飲料製造用調製品」に該当するというのは,余りにも無理のある主張であるといわざるを得ない。
そもそも,「飲料製造用調製品」に付与されている類似群コードは,28A02,29C01,32F04,31D01の4個であるところ,これらの類似群コードはそれぞれ,第32類に属する商品である「ビール」「清涼飲料,果実飲料」「飲料用野菜ジュース」「乳清飲料」に付与されているものでもある。このことからも明らかであるとおり,「飲料製造用調製品」は,「第32類に含まれる飲料」の製造用の調製品を意味するものであり,「第32類に含まれない飲料」の製造用の調製品をも包含するものではない。
したがって,コーヒー飲料の製造に使用される粉末である本件商品は,「飲料製造用調製品」に含まれない。
(5)その他の被請求人の主張について
被請求人は,「コーヒーシロップ」や「コーヒー入り清涼飲料」が「清涼飲料」に含まれるとも主張するが,このことは,ありとあらゆるコーヒー風味の飲料が「清涼飲料」に含まれることを意味しない。「コーヒー入り清涼飲料」と「コーヒー飲料」は別個の概念であり(両者は,「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」に基づき,コーヒー分の含有率により区別されている,甲8)。前述のとおり,「コーヒー飲料」は「清涼飲料」には含まれないのである。
(6)結論
以上のとおり,本件商品は「清涼飲料」ではなく,被請求人は,それ以外に本件商標が「清涼飲料,果実飲料」について使用されていた旨を何ら主張・立証していないから,本件商標は,速やかに取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は,商標権者の通常使用権者である日本コカ・コ-ラにより,審判請求の登録前3年以内に日本国内において,審判請求にかかる指定商品中「清涼飲料」について使用されているものである。
すなわち,日本コカ・コーラは,再使用権者であるボトラー社の利根コカ・コーラボトリング株式会社を通じてカップ式自動販売機に用いられる飲料製造用粉末清涼飲料(本件商品)の販売を継続的に行っており,粉末清涼飲料に本件商標を使用している。
(1)本件商品の使用状況
ア 乙第3号証は,本件商品の正面側の写真であるが,中央部に大きな文字で「MAX」の文字が表されている。そして,その上部にやや小さい文字で「GEORGIA」の文字と登録商標であることを示すために慣習的に用いられている小さな円で囲まれたRの文字が表され,下部に「COFFEE」の文字がやや小さい文字にて表されている。また,同様に,乙第4号証ないし乙第6号証に表示された商品についても「MAX」の文字が使用されている。このように,本件商標は,本件商品の包装,及び本件商品を使用した飲料を販売するカップ式自動販売機において使用されている。
イ 本件商品の正面側の写真である乙第3号証の下部には日本コカ・コーラが販売者であることが示されており,本件商品の包装の背面側の写真である乙第8号証を参照すると,「販売者」の欄に「日本コカ・コーラ株式会社SC」と表示されている。このように,本件商品は日本コカ・コーラが主体となって販売されていることが明らかである。
ウ 乙第9号証及び乙第10号証は,日本コカ・コーラ宛の請求明細書である。これによって,本件商品は,日本コカ・コーラや利根コカ・コーラボトリング株式会社等により製造・販売等がなされていることが明らかであり,カップ式自動販売機によって本件商品を用いた飲料が販売されている事実が容易に理解されるものである。
(2)本件商標と使用商標との同一性
本件商品において使用されている「MAX」の文字は,独立して自他商品等識別機能を果すといえるものである。そして,該「MAX」の文字は,本件商標と社会通念上同一と認められるものである。
(3)本件商品と「第32類清涼飲料,果実飲料」との同一性
本件商品の背面側の「品名」の欄には,「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」と表示されており,注意書きには,「このパウダーは,The Coca Cola Companyより承認された機械装置に対してのみ使用を認められております。」と表示されている。また,本件商品の包装の正面側の最下部には「業務用」と表示されている。このことから明らかなように,本件商品は,カップ式自動販売機に使用される業務用の粉末清涼飲料であって,国際分類第9版によると,第32類「飲料製造用調製品」に該当するものと解される。次に,「商品及び役務区分解説[国際分類第9版対応]特許庁商標課編」によると,「シロップその他の飲料製造用調製品」が第32類に属する旨の記載があり,「シロップ」が「飲料製造用調製品」の一例として示されている。また,「清涼飲料」の【解釈】の欄においては,「この概念にはa炭酸を含むもの,bシロップ(「はちみつ」を除く。),c鉱泉水(ミネラルウォーター)が含まれる。」旨記載されており,「シロップ」が「清涼飲料」に含まれることが示されている。すると,「清涼飲料」に含まれる「bシロップ(「はちみつ」を除く。)」は「飲料製造用調製品」の一例であり,「飲料製造用調製品」についても同様に「清涼飲料」に含まれるものと解される。これについては,実際の審査において,「シロップ」に限らず「飲料製造用調製品」について「清涼飲料」と同一の区分(第32類)に分類され,同一の類似群コード(29C01)等が付与されていることからも明らかである(乙12)。
さらに,「果実飲料」の【解釈】の欄においては「粉末化したものもこの概念に属する。」と記されていることからすると,粉末の清涼飲料についても同様に「清涼飲料」に含まれるものと考えられるところ,実際の審査において,「粉末清涼飲料」に関する商品は「清涼飲料」と同一の区分(第32類)に分類され,同一の類似群コード(29C01)が付与されている(乙13)。
加えて,「類似商品・役務審査基準〔国際分類第9版対応〕特許庁商標課編」によると,「清涼飲料」の概念に含まれる商品として「コーヒーシロップ」が例示されている。また,審査実務上「コーヒー風味の清涼飲料」については,「清涼飲料」と同一の区分(第32類)と類似群コード(29C01)が付与されている(乙14)。このように32類「清涼飲料」は,コーヒーの風味を有するものを含む概念である。
そうすると,本件商品は,「飲料製造用調製品」に属する商品であり,「飲料製造用調製品」は「清涼飲料」に含まれる商品であるから,本件商品と審判請求にかかる指定商品とは同一性を有するものと解すべきである。
(4)結論
以上のとおり,本件商標は,審判請求の登録前3年以内に日本国内において,審判請求にかかる指定商品中「清涼飲料」について使用されているものである。

第4 当審における審尋
平成23年8月8日で審理終結通知を送付したところ,被請求人から,「本件商品に含まれるコーヒー成分の量は極少量であり,ほとんどの成分がコーヒー成分以外で構成されているから,本件商品は,『コーヒー入り清涼飲料』に属する『飲料製造用調整品』である。また,被請求人は,本件商品のコーヒー成分の分量等に関する資料を提出する用意がある。」旨記載した上申書が提出されたため,当合議体は,審理を再開し,以下の審尋書を送付し,当事者双方から意見を求めた。
審尋書(要旨)
(1)請求人は,平成23年8月19日付け上申書に意見があれば述べられたい。
(2)被請求人は,本件商品のコーヒー成分の分量等に関する資料を提出されたい。また,追加の意見があれば述べられたい。

第5 審尋に対する回答
1 被請求人からの回答及び上申
(1)請求人は,本件商品は「カップ式自動販売機でコーヒー飲料を製造するために使用される粉末である」旨主張するが,たとえ同一商標が付されている同種の商品であっても,商品の包装形態や販売方法に応じて,原料の調整や製法の変更が適宜行われることは通常である。そのため,本件商品に使用されている商標と同一の商標が付された缶入りコーヒーが仮に商標法上「コーヒー飲料」に該当するものであったとしても,カップ式自動販売機で販売される本件商品を希釈して作られた商品が「コーヒー飲料」に該当することを示す根拠にはならない。
そして,本件商品は,練乳等の甘味料を主原料とした飲料であり,強い甘味を特徴とする商品であり,また,のどが乾いたとき等の飲用に適する清涼感ある飲料としての用途を有するものであるから,このような商品の性質・用途からすれば,本件商品は「清涼飲料」の範疇に属する商品であると解することが自然である。
(2)本件商品のコーヒー成分の含有量に関する株式会社住化分析センターによる分析によれば,本件商品を茶色粉末(コーヒー成分)と白色粉末(その他成分)に選別した結果,試料0.2129g中,茶色粉末量0.0216g,白色粉末量0.1913gであり,これを含有率で表すと茶色粉末10.15%,白色粉末89.85%であるとの結果が得られた(乙15)。
当該分析結果からすると,本件商品中に占めるコーヒー成分の割合は,10.15%であるといえる。
請求人の主張からすると,第30類のコーヒー飲料を製造するために使用される粉末は第30類に属し,コーヒー入り清涼飲料など第32類に含まれる飲料を製造するための粉末は第32類に属するということになる。
また,請求人は,「コーヒー入り清涼飲料」と「コーヒー飲料」は,「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」においてコーヒー分の含有率によって区別されている旨主張する。そうであれば,ある商品が「コーヒー飲料」か「コーヒー入り清涼飲料」のいずれに属するかについては,「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」におけるコーヒー分の含有率によって判断すべきこととなる。
これを本件商品についてみると,以下のとおりである。
「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」によると,「内容量100g中にコーヒー生豆換算で2.5グラム以上5グラム未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの」は,「コーヒー飲料」であり,「内容量100グラム中にコーヒー生豆換算で1グラム以上2.5グラム未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの」は,「コーヒー入り清涼飲料」である。また,本件商品はインスタントコーヒーを用いた商品であるため,「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約施行規則」に定められたコーヒー生豆換算の基準である「インスタントコーヒーを使用するときは3.0倍」の規定が適用されることとなる(乙16)。
本件商品中に占めるコーヒー成分の含有率は,上記の通り10.15%である。
本件商品を使用して飲料を製造する場合の標準使用量は水1カップ(140ml)に対して8.7gであるから(乙8の「標準使用量」参照),水1ml=1gとすると,当該飲料における本件商品の使用割合は,100(8.7÷148.7)=約5.85%である。
すると,本件商品を使用して製造された飲料100g中のコーヒー成分量は,100×0.0585×0.1015=約0.59gである。この値にインスタントコーヒーに関するコーヒー生豆換算の基準である3.0を乗ずると,1.77gとなる。
以上より,本件商品を使用して製造された飲料は,「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」上において,コーヒー生豆換算で100g中1.77gのコーヒー分を含むものであるから,「コーヒー入り清涼飲料」に該当することとなる。
したがって,上記請求人の主張に基づくと,本件商品は「コーヒー入り清涼飲料」を製造するための粉末であるから,「コーヒー入り清涼飲料」の属する第32類に該当することとなる。
このように,たとえ請求人の主張に従ったとしても,本件商品は,第32類「コーヒー入り清涼飲料」に属するものである。
2 前記審尋に対し,請求人からの回答はなかった。

第5 当審の判断
1 乙第各号証及び被請求人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)通常使用権者について
乙第2号証の商標登録原簿の記載によれば,本件商標権について,平成18年10月4日に,通常使用権者を日本コカ・コーラとし,その範囲(内容)を本件商標に係る全指定商品とする通常使用権の設定登録がなされていることが認められる。
(2)使用商標,本件商品及び使用期間について
ア 乙第3号証は,黄色地からなる本件商品の包装袋の正面の写真であり,これには,「GEORGIA(「Oの文字はデザイン化されている。」以下同じ)」,「MAX」及び「COFFEE」の各文字が黒色で大きく表され,その下に,「練乳入り」,「販売者 日本コカ・コーラ株式会社」,「業務用」などの黒色の文字及び「マックスコーヒー」の黒地に白抜きの文字が表示がされている。
乙第8号証は,黄色地からなる本件商品の包装袋の裏面の写真であり,その左側に,品名「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」,原材料名「砂糖,脱脂粉乳,インスタントコーヒー・・・」,賞味期限「右下に記載」,販売者「日本コカ・コーラ株式会社」などと記載され,右側に,包装袋の正面に表示されていたものと同じ態様の「GEORGIA/MAX/COFFEE」,「練乳入り」「マックスコーヒー」の文字が表示され,その下に,●製品特長,●標準使用量,●使用上の注意の各表題についての説明書きに続き,「●このパウダーは,The CocaCola Companyより承認された機械装置に対してのみ使用を認められております。」,「2010.07.06/SC」と記載されている。
乙第4号証は,カップ式自動販売機の写真であり,その向かって左端の上段と下段に,「MAX」と「COFFEE」の黒色の文字が表示された黄色地のカップが配置されている。また,乙第5号証と乙第6号証は,乙第4号証のカップ式自動販売機に用いられる製品のラベルと推認されるところ,黄色地からなるそれぞれのラベルに「MAX」と「COFFEE」の文字が黒字で表示されている。
イ 以上の乙第8号証の包装袋の裏面の品名「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」の表示及び「このパウダーは,The CocaCola Companyより承認された機械装置に対してのみ使用を認められております。」との記載のほか,乙第3号証と乙第8号証の包装袋と,乙第4号証ないし乙第6号証のカップ又はラベルの態様やこれらに表示された文字などを対比すれば,乙第3号証及び乙第8号証に表示された使用商品は,乙第4号証の自動販売機において販売される飲料を製造するための粉末と認められる。
そして,本件商品の包装袋の正面及び裏面に表示された「MAX」の文字は,他の文字に比して大きく顕著に表されていることから,独立して自他商品識別機能を有するものであって,本件商標と書体をほぼ同一とする社会通念上同一と認められる商標ということができる。
また,その商品の賞味期限として「2010.07.06/SC」と記載されているところ,これは,本件の審判請求の登録(平成22年5月17日)後の日付であるが,その登録日との差は2月足らずであり,その商品が審判請求の日前3年以内に製造されたものであろうことを容易に推認することができる。
(3)以上のとおり,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者である日本コカ・コーラが自動販売機において販売される飲料を製造するための粉末(本件商品)の包装袋に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して使用していたことを認めることができる。
2 本件商品が第32類「清涼飲料」に属する商品であるか否かについて
本件の争点は,本件商品(カップ式自動販売機に用いられる飲料製造用の粉末)が「清涼飲料」に含まれる商品であるか否かであるから,以下,本件商品の帰属について検討する。
(1)本件商品は,前記のとおり「飲料製造用の粉末」であるから,飲料を製造するためのものであることは明らかである。
そして,商標法施行規則第6条において規定する商標法施行令第1条別表(以下「商標法施行令別表」という。)の第32類には,「二 清涼飲料」として,「アイソトニック飲料」などの商品と共に「コーヒーシロップ」,「清涼飲料のもと」が例示され,商品・サービス国際分類表【第9版】(特許庁商標課編)(以下「国際分類表」という。)の第32類の類見出しには,「シロップその他の飲料製造用調製品」の記載がある。
また,本件商品には,消費者庁の通達である「食品衛生法に基づく表示について(平成21年9月17日消食表第8号)の別添1,別表2「食品及び添加物の名称の例示」(甲5)に基づいた表示と解される「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」との品名が表示されている。
なお,同別表2には,大分類,中分類,小分類にそれぞれ「粉末清涼飲料」の記載があることから,本件商品の「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」が大分類,中分類,小分類のいずれの「粉末清涼飲料」を指すのか直ちには判断しかねるが,小分類に「粉末清涼飲料」と同列で「粉末ジュース,インスタントジュース,インスタントコーヒー,インスタント紅茶,インスタントココア,粉末炭酸飲料」が表示されていることから,(コーヒーミックス)と括弧書きされた粉末清涼飲料が,商標法施行令別表第30類に例示された「コーヒー」の範ちゅうに入るものと解される「インスタントコーヒー」ではないことは明らかである。
そうすると,本件商品は,「粉末清涼飲料(コーヒーミックス)」の品名,「飲料製造用」との用途,「粉末」である商品の状態などの側面からみると,商標法施行令別表第32類に例示された「清涼飲料のもと」又は「コーヒーシロップ」及び国際分類表第32類見出しに記載された「シロップその他の飲料製造用調製品」に相当する商品ということができる。
しかしながら,国際分類表第32類の見出し注釈には,「この類には,特に,次の商品を含まない。」として,「コーヒー飲料」が例示され,同第30類の見出し注釈には,「この類には,特に,次の商品を含む。」として,「コーヒー飲料」が例示されていることからすると,本件商品が「コーヒー飲料」を製造するための粉末であれば,第32類ではなく,第30類に属するものということになる。
(2)そこで,本件商品が「コーヒー飲料」を製造するための粉末であるか否かについて更に検討する。
ア 乙第16号証の「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」(以下,「公正競争規約」という。)の第2条第1項には,「コーヒー飲料等とは」として,「コーヒー飲料」と「コーヒー入り清涼飲料」がコーヒー生豆換算の含有量により区別して定義されている。
そして,これによると「コーヒー飲料」とは,「内容量100g中にコーヒー生豆換算で2.5グラム以上5グラム未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの」であり,「コーヒー入り清涼飲料」とは,「内容量100グラム中にコーヒー生豆換算で1グラム以上2.5グラム未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの」とされている。
また,公正競争規約の施行規則第1条には,「第2条第1項に規定するコーヒー生豆換算は,次に掲げる基準により算出する。」として,「(2)インスタントコーヒーを使用するときは3.0倍」の記載がある。
イ 乙第15号証は,被請求人が本件商品の粉末コーヒー成分の分析を依頼した株式会社住化分析センターによる「分析・試験報告書」であるが,これには,本件商品の茶色粉末(コーヒー成分)量の含有率として10.15%とある。
そして,その分析結果をもとに,本件商品を使用して飲料を製造した場合の標準使用量(水1カップ140mlに対して8.7g)(乙8)と前記の施行規則で規定するインスタントコーヒーの換算基準(3.0倍)を当てはめて算出した結果,本件商品を使用した飲料のコーヒー成分は,100g中にコーヒー生豆換算で1.77gであることが認められる。
そうすると,本件商品を使用して製造された飲料は,公正競争規約で定義するコーヒー生豆換算の含有量からすれば,「コーヒー飲料」ではなく「コーヒー入り清涼飲料」に該当することとなる。
(3)以上のとおり,本件商品は,その品名,用途,商品の状態などからみて,商標法施行令別表第32類に例示された「清涼飲料のもと」又は「コーヒーシロップ」及び国際分類表第32類見出しに記載された「シロップその他の飲料製造用調製品」に相当する商品といえること,また,本件商品を使用して製造された飲料は,そのコーヒー生豆換算の含有量からすると,公正競争規約において定義される「コーヒー飲料」でなく「コーヒー入り清涼飲料」であることからすれば,本件商品は,被請求人の主張するとおり,「コーヒー入り清涼飲料を製造するための粉末」,すなわち,「コーヒー入り清涼飲料製造用の粉末」であって,第32類「清涼飲料」の範ちゅうに入る商品とみるのが相当である。
3 請求人の主張について
請求人は,「本件商品に表示された品名は,食品衛生法上の分類に基づいた表示であって,商標法に基づいたものではない。両法の目的は全く異なるものであり,食品衛生法上の分類にしたがって「粉末清涼飲料」の表示がなされていることは,本件商品が商標法上の「清涼飲料」に含まれるということを何ら意味するものではない。また,国際分類表において「コーヒー飲料」は,第32類から明示的に除外されていることから,第32類に含まれない「コーヒー飲料」の製造に用いられるものが第32類に含まれる「飲料製造用調製品」に該当するというのは,無理のある主張である」旨主張する。 しかしながら,本件商品の品名である「粉末清涼飲料」が食品衛生法上の食品の分類に基づいた表示であるとしても,前記のとおり,本件商品は,コーヒー成分の含有量からすれば,コーヒー入り清涼飲料を製造するための粉末といえるものである。また,国際分類表第32類の見出し注釈において「コーヒー飲料」が明示的に除外されているとしても,商標法施行令別表の第32類に「コーヒーシロップ」が例示されていることからすれば,コーヒー成分が含まれる商品の全てが第30類に属するものとはいえず,本件商品を第32類の「清涼飲料」の範ちゅうに入る商品とみることに誤りはない。
また,請求人は,「日本コカ・コーラが本件商品と同一の商品名で商品ラべルのデザインも類似した缶コーヒーを『コーヒー飲料』として販売していることから,本件商品も缶入りコーヒー飲料と同一のもの,すなわち『コーヒー飲料』であることは明らかである」旨主張する。
しかしながら,本件商品に使用されている商標と同一の商標が付された缶入りコーヒーが仮に「コーヒー飲料」に該当するものであったとしても,前記のとおり,本件商品はコーヒー成分の含有量からみて,「コーヒー入り清涼飲料製造用の粉末」とみるのが相当である。
したがって,請求人の主張はいずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「清涼飲料」の範ちゅうに入る「コーヒー入り清涼飲料製造用の粉末」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明した。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-01-19 
結審通知日 2012-01-24 
審決日 2012-02-28 
出願番号 商願昭55-68788 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (130)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田中 亨子
鈴木 修
登録日 1984-07-25 
登録番号 商標登録第1702370号(T1702370) 
商標の称呼 マックス、エムエイエックス 
代理人 神田 正義 
代理人 窪田 英一郎 
代理人 高田 伸一 
代理人 藤本 英介 
代理人 宮尾 明茂 
代理人 馬場 信幸 
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