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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X03
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない X03
審判 全部無効 観念類似 無効としない X03
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X03
管理番号 1259767 
審判番号 無効2011-890057 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-06-30 
確定日 2012-06-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5393316号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5393316号商標(以下「本件商標」という。)は、「マジカルビーズ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年11月12日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,芳香剤(身体用のものを除く。),その他の香料類」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、同23年2月7日に登録査定、同年同月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要旨
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。
〈請求の理由〉
1 無効事由について
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項に基づき無効とされるべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標
請求人が商標法第4条第1項第11号の無効理由に引用する登録商標は、次のアないしウ(以下まとめては「引用各商標」という。)であり、該各商標権は、現に有効に存続しているものである。
ア 登録第5338746号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成21年11月5日に登録出願、第3類「洗濯用洗剤,洗剤,せっけん類,しみ抜き剤,洗濯用漂白剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用蛍光増白剤(家庭用のものに限る。),洗濯用剤」を指定商品として、同22年7月16日に設定登録されたものである。
イ 登録第5381047号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成21年7月8日に登録出願、第3類「柔軟剤入り洗剤」を指定商品として、同23年1月7日に設定登録されたものである。
ウ 登録第5393921号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成22年11月2日に登録出願、第3類「芳香剤,家庭用香料」及び第5類「織物用消臭剤,織物用防臭剤,室内装飾品用防臭剤,カーペット用防臭剤,空気清浄剤,室内用防臭剤,室内用消臭剤」を指定商品として、同23年2月25日に設定登録されたものである。
(2)本件商標と引用各商標が類似する理由
ア 本件商標の観念について
本件商標は、上記第1のとおり「マジカルビーズ」の片仮名を標準文字で表してなるものである。そして「マジカル」の語は、英単語「magical」を片仮名で表記したものであって、これも我が国需要者には親しまれた英単語であり、「魔術的な、不思議な、魔法の」等の意味を有するものである(甲5)。
そうすると、本件商標からは「魔法のビーズ」等の観念が生じるものである。
イ 引用各商標の観念について
(ア)引用商標1は、別掲(1)のとおり、その左上部には「香りが続く」、「マジックビーズ」の文字が二段に横書きされているが、このうち「香りが続く」の文字は、その指定商品との関係で識別力がないことは明らかであり「マジックビーズ」の文字が独立して認識される。
そして、「マジックビーズ」の語は、英単語「magic」及び「beads」を片仮名で表したものを結合してなり、そのいずれの語も日本語化しているといっても良いほどに我が国の需要者に親しまれている英単語であって、「magic」の語は形容詞として使用される場合は「魔法の、魔術に使う、不思議な、魅力的な」等の意味を有し(甲5)、また「bead(s)」の語は「ビーズ、玉、しずく」等の意味を有する(甲6)。
そうすると、引用商標1からは「魔法のビーズ」の観念が生じるものである。
(イ)引用商標2は、別掲(2)のとおり、その右上部には「はじける」、「マジックビーズで」、「香り長続き」の文字が三段に横書きされているが、このうちの「マジックビーズ」の文字は、他の文字に比べて一際大きく、また異なる色彩で表示されているため「マジックビーズ」の文字が独立して認識される。
そうすると、引用商標2からも「魔法のビーズ」の観念が生じるものである。
(ウ)引用商標3は、別掲(3)のとおり、その上部には「New!!」、「マジックビーズの」、「香り新体験!!」の文字が三段に横書きされているが、このうちの「New!!」及び「香り新体験!!」の文字は、その指定商品との関係で識別力がないことは明らかであり、また、当該文字部分の中段では「マジックビーズ」の部分が大きく、「の」の部分が小さく表示されていることから、「マジックビーズ」の文字が独立して認識される。
そうすると、引用商標3からも「魔法のビーズ」の観念が生じるものである。
以上のように、引用各商標のいずれからも「魔法のビーズ」の観念が生じるものである。
ウ 小括
上記のとおり、本件商標からは「魔法のビーズ」の観念が生じ、引用各商標からも「魔法のビーズ」の観念が生じることから、両商標は、少なくとも互いにその観念を同一とする類似商標であるといえる。
さらに、本件商標は、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、その指定商品に使用されると、取引者又は需要者において、引用各商標との間で出所の混同を生じることは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し登録を受けることができない商標である。
3 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標「マジックビーズ」の使用について
ア 請求人は、商標「マジックビーズ」(以下、引用各商標構成中の「マジックビーズ」を含めて「使用商標」ということがある。)を付した商品「洗濯用柔軟剤」を平成22年7月2日に発表し、同年8月20日から日本全国で発売して以来、現在まで継続して大々的に製造・販売している(甲9)。
「マジックビーズ」は、「洗濯から数日たった服をきているときも、いつも良い香りに包まれたい」という消費者の要望に応えるために、請求人が独自に開発した、洗濯からある程度時間が経過した場合でも柔軟剤の香りを持続させるための新技術の名称であり、画期的な新テクノロジーの名称といえる。
なお、新技術の名称とはいっても「マジックビーズ」の語は、第3類及び第5類の商品分野において、特定の品質等を示すものとして取引市場において一般的に認識されている事実は一切ないため、使用商標が「洗濯用柔軟剤」との関連において自他商品識別標識として充分に機能するものである。
イ 使用商標が付された「洗濯用柔軟剤」に関するキャンペーンについて
使用商標が付された「洗濯用柔軟剤」は、平成22年8月の全国発売開始から順調に売上を伸ばし、発売開始から本件商標出願前の平成22年10月までの売上は、平成22年8月に約8億5千万円、同年9月に約4億7千7百万円、及び同年10月に約4億7千7百万円にものぼっている。
また、請求人は、当該商品の店頭キャンペーンを大々的に展開した(甲10ないし甲19)。
当該店頭キャンペーンは、本件商標の出願日前に、全国618店舗で行われ、販売員による「マジックビーズを体験して頂けます!」等の声かけによって、合計約2万5千人が請求人の前記新テクノロジーによる香りを体感した(甲20)。
そして、請求人は、2010年9月4日から同年9月21日にかけて、当該商品が使用されたシュシュ(髪飾り)を香りのサンプルとしてカフェやレストラン等の店舗内で置くことにより需要者に配布したが、そのサンプルを置く台やサンプルの台紙にも商標「マジックビーズ」が使用された(甲21、甲22)。なお、前記サンプルを置く台は4,000個配布され、サンプルの台紙は全国で8万個配布された(甲23)。
ウ 使用商標が使用された「洗濯用柔軟剤」の宣伝・広告媒体への露出について
請求人製品「洗濯用柔軟剤」は、発売開始から各種媒体において大々的に宣伝され、多数の雑誌等に広告・記事が掲載された(甲24及び甲25)。
例えば、雑誌「Mart」9月号において、当該「洗濯用柔軟剤」が当たる懸賞が企画・広告され、「マジックビーズ」に関する説明も掲載された(甲24)。当該懸賞の応募の締め切りが2010年8月16日となっていることから、当該懸賞広告は本件商標の出願日前に行われたことは明らかである。
また、同じ雑誌における請求人製品「洗濯用柔軟剤」の記事だが、ここでも「マジックビーズ」に関する説明が掲載されている(甲25)。
さらに、請求人は、使用商標を強調した「洗濯用柔軟剤」の複数種類のテレビコマーシャルを発売開始から全国で継続して放映している(甲26ないし甲28)。
また、請求人は、東京地区及び大阪地区における前記テレビコマーシャルの放映番組名及び各番組の世帯GRP(世帯延べ視聴率)の一覧(甲30及び甲31)によると、請求人の前記テレビコマーシャルの世帯GRPは、東京地区では合計1,798であり、大阪地区では合計1,896となっているため、理論上、東京では全世帯が平均約18回、大阪では約19回程度、請求人の前記テレビコマーシャルを視聴したことになる。
エ 以上の事実によれば、商標「マジックビーズ」は、本件商標の出願及び登録時点においても、請求人製品「洗濯用柔軟剤」との関連で使用される商標として、我が国において周知、著名となっていたことは明らかである。
(2)本件商標と使用商標の類否について
上記2のとおり、本件商標からは「魔法のビーズ」の観念が生じ、また、使用商標からも「魔法のビーズ」の観念が生じるものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、同一の観念を生じる類似商標といえるものである。
また、本件商標の指定商品は、使用商標が使用される請求人製品「洗濯用柔軟剤」と同一又は類似の関係にある。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当し登録を受けることができない商標である。
4 商標法第4条第1項第15号について
使用商標が、本件商標の出願時及び登録時に我が国において請求人の業務に係る商品を表示するものとして著名性を獲得していたこと、また、本件商標と使用商標が、観念を同一にする類似商標であることは、上記3のとおりである。
そして、本件商標の指定商品には、請求人製品「洗濯用柔軟剤」も包含されており、これら商品は、いわゆるドラッグストアや百貨店・スーパーマーケットの日用品売場等で販売されることが多いものであって、その同一店舗内の極めて近い棚に陳列されて販売されている現状がある。
このような取引実情に鑑みれば、本件商標が使用された被請求人の商品に接した取引者及び需要者をして、請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれもあるというべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し登録を受けることができない商標である。

第3 被請求人の主張の要旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
〈答弁の理由〉
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用各商標中の「マジックビーズ」の自他商品識別性について
ア 引用商標1は、その左上方には「香りが続く」、「マジックビーズ」のフレーズがやや斜めに二段書きされており、そして、商標の中央部に「レノア」、「Happiness(ハピネス)」の文字が顕著に表示され、下部には「ラグジュアリーフローラル」及び「贅沢な香り長続き」と横書きされている。
さらに、新商品「新レノアハピネス」の新発売のニュースリリースには、「香りの新テクノロジー『マジックビーズ』を配合し」と記載されており、「マジックビーズ」が配合物の名称であること、そして製品名が「レノアハピネス」であることを明記している(甲9)。
そして、甲第10号証ないし甲第22号証は、いずれも製品「レノアハピネス」に関する証拠であって、その証拠中にも「マジックビーズ新配合」あるいは「新配合マジックビーズの秘密」のフレーズが記載されており、「マジックビーズ」が配合物の名称であることを明記し、また、甲第20号証の第4頁にも「レノアハピネスの新成分『マジックビーズ』を体感していただけます!」と記載され「マジックビーズ」を成分名として説明している。
そうすると、「マジックビーズ」に関するフレーズは、製品名「レノアハピネス」の左肩に位置して記載されているもので、看者にとって印象が薄く、単なる説明的記載に止まるものであるから、該語からは自他商品識別機能が生じないとみるのが自然である。
イ 引用商標2は、その右上方には「はじける」、「マジックビーズで」、「香り長続き」のフレーズが斜体文字にて3行に記載されており、中央に大きく「ボールド」と記載されている。
そして、「マジックビーズ」に関するフレーズは、格助詞「で」の存在により前後の語句がかかわり合い全体が「マジックビーズで香り長続き」と一連の語句になっている。しかも緑色の円状の背景を有してまとまりよく3行が記載されている。
してみると、上記アと同様に「マジックビーズ」に関するフレーズは、上方に配置されていることと相俟って、看者にとって印象が薄く、単なる説明的記載に止まるもので、自他商品識別機能は有しないものと解せられる。
ウ 引用商標3は、その上半分の位置に「マジックビーズの」、「香り新体験!!」のフレーズがやや右上がりに二段書きにて記載されている。このフレーズにおいても、上記イと同様に「マジックビーズ」の後に格助詞「の」が付いており、全体が一連一体となったフレーズとなっている。このフレーズは、商品を説明する記述的記載としか解せられないものであって、自他商品の識別機能を有しないものとみるべきである。
そうすると、引用商標3は、全体としての特異な図形が商標としての識別機能を果たすことになり、万一、文字部分が商標だと判断するとしても、それは全体が一連不可分な語として判断すべきで、格助詞「の」を伴っている「マジックビーズ」の語のみが抽出されるべき理由は存しない。
エ 小括
そうしてみると、引用商標1は、「レノアハピネス」、引用商標2は、「ボールド」、そして、引用商標3は、「マジックビーズの香り新体験」の語句あるいは全体図形が自他商品の識別性を有する部分である。
したがって、これらからは、請求人が主張するように「魔法のビーズ」の観念は生じないから、本件商標と引用各商標とは、観念を同一とするとの請求人の主張は理由がない。
(2)「ビーズ」の語について
引用各商標の構成中の及び使用商標の「マジックビーズ」と、本件商標「マジカルビーズ」の語とに共通する後半部分「ビーズ」の語は、英語「BEADS」の表音を表わしたものと認められ「手芸・服飾用のガラスの飾り玉、玉、管、輪状などの形で、糸を通す穴がある。」を意味する語として日本語化している(乙2)。
また、本件商標の指定商品「芳香剤」との関係で、商標「緑茶ビーズ」について、新聞報道記事を引用し「芳香・消臭剤を取り扱う業界においては、『ビーズ状消臭剤』や『ビーズタイプ』の如く、商品の形状を表す語として普通に採択使用されているというのが実情である。」旨判示した審決(乙3)、「ビーズ状の芳香剤」や「芳香剤等を含有させた発泡又は無発泡のセルロースビーズ」との指定商品の記載がある登録例、及びウェブサイト(乙4)に、セルロースビーズに香り成分を包埋加工した「香りビーズ」が掲載されている。
してみると、「ビーズ」の語は、芳香・消臭剤、せっけん類等に使用しても、商品の形状を表す語として理解、認識されるものにすぎず、自他商品の識別標識として認識し得ないものというべきである。
(3)「マジックビーズ」と「マジカルビーズ」の対比について
引用各商標の構成中、「マジックビーズ」の語を含むフレーズ全体が自他識別機能がなく商標とはならないことは、上記(1)のとおりであるが、ここでは、仮に「マジックビーズ」の語のみが商標として認められる場合を想定して、本件商標との類否を検討しておく。
ア 両商標の後半部分の「ビーズ」の語は、上記(2)とおり、芳香・消臭剤等との関係で商品の形状を表す語として自他識別性の弱い語であるから、両商標は前半部分が強い印象を与える語となる。
そこで、その前半部分の「マジック」と「マジカル」の語を称呼において対比すると、両者はわずか4音中半分の2音も相違し、しかも、引用各商標「マジック」には、語尾音の前に促音を有するところから、語尾音が強く響き、両者は全体の語韻語調が大きく相違し称呼上区別し得るものである。
イ 次に、観念において対比するに、「マジック」、「マジカル」及び「ビーズ」の語はそれぞれ日本においては普通に使用されている語で、外来語化している語と解せられる。
してみると、これらの語はいちいち日本語の意味に置き換えて意味合いを特定して使用されることがない。
例えば、「マジック アイ」「マジック インキ」「マジック ガラス」「マジック テープ」等の外来語が日本で通用しており(乙5)、その名詞同士が結合している用語例であり、いちいち日本語の意味に訳して通用しているものではない。
これと同様に使用商標も、いちいちその意味を特定することなく通用する語であるから、両商標は、観念において対比して両者を区別すべき語ではない。
もし、両者の意味合いを特定するとしても、日本語化している「マジック(magic)」からは「魔法、魔術、奇術、手品」の意味(甲5)、そして「マジカル(magical)」からは「魔法のような、不思議な」等の意味合い(甲6)が認められるから、「マジックビーズ」は「魔法のビーズ」であり、これに対して「マジカルビーズ」からは「魔法のようなビーズ」の意味合いが生じ、一方から他方を容易に想起、連想させるものとはいえないから、両者は観念において別異のものとして認識され、十分に区別し得るものである。
ウ また、外観において相違することは言うまでもないから、引用各商標を「マジックビーズ」と仮定した場合であっても、本件商標とは外観、称呼及び観念いずれの点においても類似しない。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)上記1のとおり、本件商標と使用商標とは類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号にも該当しないものである。
(2)請求人は、使用商標の使用証拠を提出しているので、その証拠を精査しておく。
ア 甲第9号証は、請求人発行のニュースリリースであって客観性が無く、主張する平成22年7月2日の発表日及び同年8月20日の発売日は信憑性がない。
さらに、請求書の第7頁で売上金額を記載しているが証拠が無く根拠が無い。
また、甲第10号証ないし甲第22号証は、使用商標が付された請求人製品のキャンペーンに使用した広告用具とのことであるが、実際に使用されたものか、あるいはどのような態様で、何処で、何時、使用されたのかも不明である。
さらに、広告されている製品は「レノアハピネス」であり、その具体的な商品(洗浄剤)も不明であって、そこに表れる「マジックビーズ」の文字は「マジックビーズ新配合」として用いられており、記述的なもので製品名として使用されていない。
そして、甲第23号証は、2010年9月28日付け「レノア シュシュサンプリング第二弾(9/4?9/20)設置報告書」であるが、何処から何処に対する報告書なのか、おそらく社内的なものと推測され客観性が無く、その日付とともに証拠能力が認められない。また、何の製品に対する証拠かも不明である。
イ 甲第24号証ないし甲第31号証は、雑誌、TVのCMとのことであるが、いずれも発行者、発行日が明確でなく、さらには広告対象の製品は「レノアハピネス」であり、「マジックビーズ」に関するものではない。
ウ 以上のように、上記の甲各号証は、いずれも証拠能力が無く、また、使用商標に対する証拠でもない。そして、請求人の主張によれば、使用商標を付した商品は、平成22年7月2日発表、同年8月20日発売とのことであるに対して(甲9)、本件商標の出願日は平成22年11月12日であって、商品発表とされる日が主張のとおりだとしても、その出願日との間の期間は、わずか3か月と10日という短期間である。
そうすると、提出された甲各号証は、使用商標に対する証拠とは断言できず、かつ非常に短期間の使用証拠をもってしては、使用商標の周知・著名を立証することはできない。
3 商標法第4号第1項第15号について
上記のとおり、使用商標は、著名でなく、本件商標とも類似するものでもないから、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「マジカルビーズ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、各構成文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく表されてなるから、一体的なものとして認識されるばかりでなく、これより生ずる「マジカルビーズ」の称呼も一連に称呼し得るものである。
そして、その構成前半の「マジカル」の文字は、「不思議なさま。魔法のようなさま。」の意味を有し、また、後半の「ビーズ」の文字は「室内装飾・婦人服飾・手芸品などに用いる、糸通し孔のついた小さな飾り玉。」等の意味を有する語(以上、いずれも「広辞苑第六版」)として、共に平易な語であるから、本件商標からは、「不思議なビーズ、魔法のようなビーズ」程の意味合いを生じるものである。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「マジカルビーズ」の称呼並びに「不思議なビーズ」及び「魔法のようなビーズ」程の観念を生ずるものとみるのが自然である。
(2)引用各商標について
引用各商標は、別掲(1)ないし(3)のとおり、商品に表示するラベル又は商品のパッケージの表面を表したものと容易に認識し得るところ、引用商標1の構成中の「レノア」、「Happiness」及び「ハピネス」が、また、引用商標2の構成中の「ボールド」の文字が、構成中央に顕著に表示されているものである。
そして、引用商標1は、その左上方部に二段書きされた「香りが続くマジックビーズ」の文字が、また、引用商標2は、その右上方部に三段書きされた「はじけるマジックビーズで香り長続き」の文字が、一体的に配置され、また、引用商標3も、その上半分の位置に二段書きされた「マジックビーズの香り新体験!!」の文字が、一体的に配置され、全体として、引用各商標の指定商品中、香りを特徴の一つとするような商品に使用された場合、当該商品のキャッチフレーズないし特色を端的に示すものと理解されるとみるのが自然である。
そうとすれば、引用各商標は、その構成中の「マジックビーズ」の文字が看者の注意を引き、商品の出所識別標識として取引に資されるものといい難いものである。
仮に、「マジックビーズ」の文字に着目され、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資された場合、引用各商標からは、該文字に相応して「マジックビーズ」の称呼を生ずるものであり、また、その構成前半の「マジック」の文字が「魔法。魔術。魔力。手品。」等の意味を有し、また後半の「ビーズ」の文字は、上記(1)のとおり、「室内装飾・婦人服飾・手芸品などに用いる、糸通し孔のついた小さな飾り玉。」等の意味を有する語(以上、いずれも「広辞苑第六版」)として、共に平易な語であるから、「魔法のビーズ」程の意味合いを有するものである。
してみれば、引用各商標からは、「マジックビーズ」の称呼及び「魔法のビーズ」の観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用各商標の「マジックビーズ」の類否
ア 外観について
本件商標と引用各商標との構成文字を比較すると、さほど長い文字構成ともいえないこととも相俟って、通常の注意力をもってすれば、構成中の「(マジ)カル」と「(マジ)ック」の外観(綴り)を見誤ることはないものというべきである。
イ 観念について
本件商標は、「不思議なビーズ」及び「魔法のようなビーズ」程の観念を生ずるのに対して、引用各商標は、「魔法のビーズ」の観念を生ずるものであるから、両者は明らかに区別し得る差異を有するものである。
ウ 称呼について
本件商標から生ずる「マジカルビーズ」の称呼と引用各商標から生ずる「マジックビーズ」の称呼とを比較すると、両者は、中間音において「(マジ)カル」と「(マジ)ック」の音に相違があり、前者は、語頭音「マジ」に続く「カル」及び「ビーズ」の音が全て平坦に抑揚なく称呼されるのに対し、後者は、語頭音「マジ」に続き促音「ッ」を有することで、「ジ」の音が強く発音されることから、「マジッ(ク)」と「ビーズ」の音との間に段落が生じるように称呼されるものである。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その構成音数若しくは音構成の相違が中間音といえども、共に冗長とはいえない音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、それぞれ一連に称呼するも、両者は称呼上十分に区別できるものである。
エ 小括
そうすると、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念において相違するから、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
その他、請求人の主張及び提出された証拠(甲各号証)によっては、上記認定を覆すことはできず、他に本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由も見出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
(1)使用商標の周知、著名性について
請求人は、甲第9号証ないし甲第31号証を提出し、使用商標を付した「洗濯用柔軟剤(レノアハピネス)」のキャンペーンを大々的に展開しており、使用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時点においても、当該商品との関連で使用される商標であることを前提として、我が国において周知・著名となっていた旨主張している。
確かに、請求人は、「レノアハピネス」が2010年8月下旬に発売されるとのニュースリリースを発表したこと、当該商品が、雑誌「Mart」に2回掲載されたこと及び2010年8月10日から同年10月26日までに、TVコマーシャルが放映されたことは認められる。
ところで、請求人が、使用商標が周知、著名であるとして主張するのは、請求人製品について使用する引用商標1の構成中に含まれる使用商標である「マジックビーズ」の文字であるが、使用商標の使用態様はそのほとんどが引用商標1を表示したラベルを洗濯用柔軟剤の包装容器に貼付して使用していることが認められるところ、使用商標は、前記のとおり、看者の注意を引き、商品の出所識別標識として取引に資されるものとは言い難いものである。
また、前記の雑誌にしても、主として、使用商標が「レノアハピネス」などの請求人製品の商品名と共に表示された商品パッケージとして掲載されているにすぎず、その雑誌も1誌と少なく、また掲載回数も2回と少ないこと、テレビCMについても、わずか2か月半の間に、「レノアハピネス」などの請求人製品の商品名と共に、使用商標を含む「マジックビーズ新配合」の字幕や「(新配合)マジックビーズが弾けて香る」のわずか1秒程度のナレーションが入ったコマーシャルが放映されたにすぎないものである。
さらに、使用商標が付された広告用具を請求人製品のキャンペーンに使用したと主張するも、原稿と思しき体裁からなり、実際に使用されたものか、あるいはどのような態様で、どこで、いつ使用されたのかも不明であり、さらにまた、これらの使用状況は、いずれもが本件商標の出願日のわずか2、3か月前にされたものである。
そうとすると、これらの使用状況は、使用商標が、商品の出所識別標識として、すなわち、商標として単独で需要者の間において広く認識されていたことを立証するに足るものではない。
したがって、請求人の提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商標が請求人の業務に係る商品(請求人製品)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、かつ、著名性を獲得していたものということもできない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
上記1(3)のとおり、本件商標と使用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない別異の商標であり、また上記2(1)のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時で、請求人製品「洗濯用柔軟剤」に係る商標として、需要者の間に広く認識されている商標とはいえないものである。
また、両商標が混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものとはいえない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)引用商標1


(2)引用商標2(色彩については原本参照)


(3)引用商標3


審理終結日 2011-12-27 
結審通知日 2012-01-04 
審決日 2012-02-13 
出願番号 商願2010-88566(T2010-88566) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (X03)
T 1 11・ 262- Y (X03)
T 1 11・ 263- Y (X03)
T 1 11・ 25- Y (X03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
鈴木 修
登録日 2011-02-25 
登録番号 商標登録第5393316号(T5393316) 
商標の称呼 マジカルビーズ 
代理人 塩谷 信 
代理人 宮嶋 学 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 松田 次郎 
代理人 宮城 和浩 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 高田 泰彦 
代理人 松田 省躬 
代理人 黒瀬 雅志 
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