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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X10
管理番号 1258404 
異議申立番号 異議2011-900280 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-08-05 
確定日 2012-06-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5408914号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5408914号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5408914号商標(以下「本件商標」という。)は、「Zero Therm」の欧文字と「ゼロサーム」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成22年7月28日に登録出願、第10類「医療用機械器具」及び第44類「美容,理容,医業」を指定商品及び指定役務として、同23年3月28日に登録査定、同年4月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下、「引用商標」という。)は、「Zero Therm」の欧文字を横書きしてなり、「ヒト血液から抽出した血漿を加温しゲル化する装置」(以下「当該装置」という。)なる商品に使用しているものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品、指定役務中、第10類の全指定商品「医療用機械器具」について、商標法第4条第1項第7号に該当し、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
(1)引用商標等に関して
引用商標とハングル文字を併記した商標出願は、大韓民国において、2010(平成22)年10月26日に出願、2011年2月15日付で出願公告されている(甲8)。また、日本においては、「Zero Therm」の商標で平成23年1月21日付で出願中(甲9)であるが、本件商標を引用した拒絶理由通知書が発せられている。
(2)本件商標と引用商標等の対比について
本件商標と引用商標は、「Zero Therm」の欧文字が共通し、実質的に同一商標であるといえる。そして、引用商標が使用されている「当該装置」は、本件商標に係る指定商品「医療用機械器具」に含まれることも明らかである。
(3)本件商標の登録出願の経緯について
本件商標権者の代表取締役から申立人に宛てた2010年2月17日付け電子メール(甲10)によれば、本件商標権者から申立人に対して、「当該装置」を日本国に輸入し、販売したい旨の商談が持ちかけられていることが明らかである。
その後、同年3月25日付で、本件商標権者の担当者から申立人に発せられた電子メール(甲11)によれば、本件商標権者は、申立人から3台の「当該装置」を購入し、そのうちの2台は、2名の日本人医師(両者ともクリニック院長)宛に直接送付するよう依頼している。
したがって、本件商標権者が申立人に発注した「当該装置」は、これらのクリニックで使用されていたことがうかがえる。
ところが、その後の同年10月25日付本件商標権者の担当者から申立人宛て電子メール(甲14)によれば、本件商標権者は、もはや申立人との商取引継続に消極的になっており、申立人に代えて、新たに大韓民国の「Z社」と「K社」との商談を検討している旨が述べられており、その後、本件商標権者と申立人間の取引関係は断絶した。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、
ア その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激もしくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合
イ 当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合
ウ 他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合
エ 特定の国もしくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合
オ 当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合
等が含まれる。
しかるに、上述した経緯のとおり、本件商標権者は、遅くとも申立人に接触した翌月の2010年3月ころより申立人から購入した「当該装置」を日本国内に輸入、販売していたにもかかわらず、その後の事情から申立人との取引を一方的に中止し、他の大韓民国企業との取引に変更するという過程において、申立人に先んじて無断で本件商標の登録出願をしたものである。
本件商標権者は、そのウェブサイト等において、申立人と無関係な「Z社」製品が正規品であり、それ以外は模造品である旨を広報し、需要者に注意喚起している(甲16)のみならず、申立人がやむなく日本国内における輸入販売代理を依頼した「K社」に対して本件商標に基づく商標権侵害警告を行ったこと(甲17)からすれば、本件商標権者は明らかに、最初に取引をした「当該装置」の排除を企図していることがうかがわれる。
したがって、本件商標権者の求めに応じて同会社を代理店として日本国内に輸入され、販売されるようになっていた「当該装置」の商標「Zero Therm」と同一名称からなる本件商標を、申立人との取引関係を自ら断絶した本件商標権者に登録させることは、申立人の日本国内への進出を不当に阻むのみならず、本件商標権者のみが日本国内における商品販売を独占せんとする不正な目的を助長するものであり、国際信義に照らして、到底認められるものではない。
(5)むすび
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号が規制対象とする前記(4)オの「当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」に該当することは明白であるから、同号の規定に違反してなされたものである。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との比較について
両商標は、前記1及び2に示したとおりの構成よりなるところ、両商標の差異は、本件商標における下段の「ゼロサーム」の片仮名の有無に止まるものであって、しかもその下段の「ゼロサーム」の片仮名は、上段の「Zero Therm」の欧文字の読みを特定したものと認められることから、両商標は、類似の商標と認められる。
また、本件商標における指定商品、第10類「医療機械器具」は、引用商標が付された商品、「ヒト血液から抽出した血漿を加温しゲル化する装置」を包含すること、明らかである。
(2)商標法第4条第1項第7号について
申立人は、同人と取引関係にあった本件商標権者が、本件商標出願後に自ら申立人との取引関係を断絶するとともに「当該装置」の日本国内への輸入を妨害していることからすれば、本件商標の登録出願の経緯には社会的妥当性を欠き、その登録を認めることは商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当し、商標法第4条第1項第7号に該当する旨、主張している。
ところで、商標法第4条第1項第7号に係る判例(知財高裁平成19年(行ケ)第10391号「コンマー\CONMER事件」)によれば、以下の如く判示している。
「法4条1項7号は・・・商標登録を受けるべきでない者からされた登録出願についても,商標保護を目的とする商標法の精神にもとり,商品流通社会の秩序を害し,公の秩序又は善良な風俗に反することになるから,そのような者から出願された商標について,登録による権利を付与しないことを目的として適用される例がなくはない・・・。確かに,例えば,外国等で周知著名となった商標等について,その商標の付された商品の主体とはおよそ関係のない第三者が,日本において,無断で商標登録をしたような場合・・・その出願経緯等の事情いかんによっては,社会通念に照らして著しく妥当性を欠き,国家・社会の利益,すなわち公益を害すると評価し得る場合が全く存在しないとはいえない。しかし,商標法は,出願人からされた商標登録出願について,当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに,類型を分けて,商標登録を受けることができない要件を,法4条各号で個別的具体的に定めているから,このことに照らすならば,当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては,特段の事情がない限り,当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。すなわち,商標法は,商標登録を受けることができない商標について,同項8号で・・・同項10号で・・・同項15号で・・・同項19号で・・・と規定している。商標法のこのような構造を前提とするならば,少なくとも,これらの条項(上記の法4条1項8号,10号,15号,19号)の該当性の有無と密接不可分とされる事情については,専ら,当該条項の該当性の有無によって判断すべきであるといえる。また,当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して,先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や,国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた法4条1項19号の趣旨に照らすならば,それらの趣旨から離れて,法4条1項7号の『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ』を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである。そして,特段の事情があるか否かの判断に当たっても,出願人と,本来商標登録を受けるべきと主張する者(例えば,出願された商標と同一の商標を既に外国で使用している外国法人など)との関係を検討して,例えば,本来商標登録を受けるべきであると主張する者が,自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っていたような場合や,契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず,適切な措置を怠っていたような場合・・・は,出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合にまで,『公の秩序や善良な風俗を害する』特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。」
(3)上記判決を踏まえ、以下、本件商標が商標法第4条第1項第7号の該当性について検討する。
本件商標権者から、申立人に送付された2010年2月17日付け及び同年3月25日付けメール(甲10び甲11)によれば、本件商標権者は、2010年2月頃から、申立人と接触を開始しており、少なくとも同年3月には、本件商標権者は、申立人から「ZeroTherm」なる「当該装置」を3台購入し、そのうちの2台を2名の日本人医師(両者ともクリニック院長:甲12及び甲13)宛に直接送付するよう、申立人に依頼していることが認められる。
しかしながら、申立人と本件商標権者間の紛争は、(ア)当事者間における契約や交渉等によって解決、調整が図られるべき事項であり、一般国民に影響を与える公益とは関係のない事項であること、(イ)本件のような私人間の紛争については、商標法第4条第1項第19号が規定する要件への該当性の有無によって判断されるべきであること等を総合勘案すると、本件商標は、その登録査定時において、特定の国もしくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合や、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合には該当するものとは認めがたいことから、商標法第4条第1項第7号に規定する「公の秩序又は善良な風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものとは解することができない。
本件については、前記判例でも説示しているように、先願主義の下において、申立人は、本件商標権者との接触開始の段階(2010年2月頃)で、我が国に商標登録出願をする事が十分に可能であったにもかかわらず、それをしなかったものであり、我が国に実際に出願した時期は、本件商標権者との接触開始の約1年近く後の2011年1月21日であることからすれば、「当該装置」を我が国に輸出しているにもかかわらず、申立人がその出願を怠ったものといわざるを得ない。
(4)申立人の主張について
申立人は、甲第16号証及び甲第17号証を示し、「本件商標権者は、そのウェブサイト等において、申立人と無関係な「Z社」製品が正規品であり、それ以外は模造品である旨を広報し、需要者に注意喚起しているのみならず、申立人がやむなく日本国内における輸入販売代理を依頼した「K社」に対して本件商標に基づく商標権侵害警告を行ったことからすれば、本件商標権者は明らかに、最初に取引をした「当該装置」の排除を企図していることが窺われる。」と主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第7号における判断時期は、登録査定時(本件商標にあっては、平成23年3月28日)であることからすれば、甲第17号証は、明らかに本件商標の登録査定時以降の平成23年6月17日のものであり、また、甲第16号証は、本件商標権者のネット情報であるところ、上段の11/08/30及び11/08/29の各表示は、その出力日(2011(平成23)年8月30日又は29日)と推定でき、少なくとも当該日における情報であることは確認できるとしても、これら情報が、実際に掲載された時期が本件商標の登録査定時以前であることが確認できないことから、これも採用することができない。
もっとも、これらが仮に本件商標の登録査定時前の情報であったとしても、本件のような事情における私人間の紛争にあっては、上記判断が左右されるには、至らないものと認められる。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-05-31 
出願番号 商願2010-62922(T2010-62922) 
審決分類 T 1 652・ 22- Y (X10)
最終処分 維持 
前審関与審査官 高橋 幸志 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2011-04-28 
登録番号 商標登録第5408914号(T5408914) 
権利者 株式会社イリョーキ
商標の称呼 ゼロサーム、ゼロ、サーム 
代理人 森 寿夫 
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