• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 109
管理番号 1258343 
審判番号 取消2011-300223 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-03-01 
確定日 2012-06-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第2059440号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2059440号商標(以下「本件商標」という。)は、「EDEN」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年10月30日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同63年7月22日に設定登録され、平成10年8月18日及び同20年2月12日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その後、指定商品については、同20年7月30日に第9類「電気通信機械器具」ほか、第7類、第9類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
また、本件審判請求の予告登録は、平成23年3月18日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具」の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具」について、3年以上、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていない。
したがって、本件商標は、その不使用を理由とする取消しを免れないものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、商標「EDEN」を「遠隔測定制御機械器具」について使用していると主張し、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番を含む。但し、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。以下同じ。)を提出している。しかしながら、これらの証拠によっても、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に使用されていた事実は証明されておらず、その登録は、取り消されるべきである。
ア 乙第1号証について
(ア)乙第1号証の3には、その1頁目に、「ニイガタディーゼル発電監視装置」の見出しの下「シンプルな機器構成」との記載に続き、「CRTユニット+フィールドユニット/遠方の事務所では、CRTユニットで監視および帳票出力/現場の巡視時には、フィールドユニットについている液晶でデータをチェック(液晶表示機はオプション)」と記載され、さらに、その4頁目に「CRTユニット」の構成機器として、「演算装置本体+17インチCRT+データプリンタ+アラームプリンタ+UPS」との記載、「フィールドユニット」の構成機器として、「データ変換装置(+液晶表示機)」との記載がある。
しかして「CRTユニット」は、「演算装置本体」すなわち演算を処理・実行するコンピュータの主要部分、「CRT(モニタ)」、「データプリンタ」、「アラームプリンタ」及び「UPS(無停電電源装置)」で構成されるものであり、これらは何れも「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品と考えられる。
(イ)また、「データ変換装置」及び、オプションで販売される「液晶表示器」からなる「フィールドユニット」についても、「データ変換装置」は、例えば発電棟に設置されたセンサにより計測されたデータを、CRTユニット(ないし、これに組み込まれているソフトウェア)により処理するために適切なデータ形式を変換するものと考えられるので、該商品も、「電子応用機械器具」の範疇に属すべき商品と考えられる。
(ウ)そして、「液晶表示器」については、乙第1号証より、「EDENシステム」(または、「EDENシステム」のフィールドユニット部)を購入した顧客が、その選択によって、同システム(又はそのフィールドユニット部)と共に購入できるものである。そうすると、EDENシステムにオプションで用いられる「液晶表示器」についても、専ら「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属するEDENシステムに用いられる専用品であるから、他の構成機器同様、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属するものと考えるのが相当である。
(エ)さらに、乙第1号証の3の右側各図には、それぞれの右上部分に「NIIGATA/EDENシステム」との表示がされている。これは、EDENシステムのCRTユニットにおいてシステムを運用するためのソフトウェアが稼働中に、CRT画面上に表示されるものと推測されるから、当該表示の使用は「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき発電装置の監視用のコンピュータハードウェアの使用であると考えるのが相当である。
(オ)してみれば、乙第1号証によっては、被請求人は、本件商標の「電気通信機械器具」についての使用が立証されていない。
イ 乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証は、月刊誌「クリーンエネルギー2008年8月号(vol.17 No. 8)に掲載された「ニイガタ集中監視システム NESTY」の広告記事である。
(ア)乙第2号証の2の19頁右段6行目から9行目にかけての「…常用としては初の自社開発ガスタービンによるコージェネレーションシステムを納入する際に、遠隔監視システム(NESTY)を開発し実用に供することとなった。」との記載、同20頁左段6行目から8行目にかけての「いずれのシステムもプラント側の監視システムとして当社の機関監視システム『EDEN』をベースとして構築している」との記載から、被請求人が提供する遠隔監視システムには「NESTY」との商標が用いられていることが理解できる。
(イ)他方、商標「EDEN」は、乙第2号証の2の19頁下方に示された図1から明らかなとおり、商標権者の遠隔集中監視システム(NESTY)を構成する製品ではなく、該遠隔集中監視システムと一般電話回線又はインターネットを介して接続されるプラント、すなわち発電機関に設置されているプラント監視システムの名称として使用されているものである。
乙第2号証では、プラント監視システムの内容は明らかにされていないが、被請求人の答弁、及び証拠方法から、「EDEN PLIIシステム」又は「EDEN PLIIIシステム」を指すと推測され、これらシステムは、発電装置の監視に用いるコンピュータハードウェア(電子計算機)及びその周辺機器並びにソフトウェアに該当する商品であって、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品と考えるのが相当である。
(ウ)また、乙第3号証についても、乙第2号証と同様に「NESTY-2G」又は「NESTY-3G」という遠隔集中監視システムに関する広告記事であり、ここでも「EDEN」はプラント監視システムの名称として使用されている。
同プラント監視システムは、「EDEN PLIIシステム」又は「EDEN PLIIIシステム」に該当すると考えられることは上述のとおりであり、これは「電気通信機械器具」の範疇に属すべき商品ではなく、発電装置の監視に用いるコンピュータハードウェア(電子計算機)及びその周辺機器並びにソフトウェアに該当する商品であって、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品と考えるのが相当である。
(エ)してみれば、乙第2号証及び乙第3号証によっても、本件商標の「電気通信機械器具」についての使用が立証されていないことは明らかである。
ウ 乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証は、シャープ株式会社第2工場宛の「EDEN PLIIIシステムによる機関監視装置仕様書」、また、乙第5号証は、東海ゴム工業株式会社小牧製作所宛の「EDEN PLIIIシステムによる機関監視装置仕様書」であるが、両仕様書のA-1頁の「1-2 システム構成」によると、前者のシステムは「フィールドユニット」、「NESTY通信ユニット」及び「モニタユニット」という三つのユニット、後者のシステムは「フィールドユニット」及び「NESTY通信ユニット」という二つのユニットにより、それぞれ構成されていると説明されている。
(ア)「フィールドユニット」は、「発電装置本体および周辺関連機器に取り付けられた各種センサからの信号情報を収集し、演算処理を行う」機能を発揮するのであるから、当該ユニットは、センサから収集したデータ(信号情報)を演算処理するためのデータ処理装置ないし電子計算機、すなわち「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品と考えるのが相当である。
(イ)「モニタユニット」は、「パソコン、LCD、キーボード、マウス、プリンタ、UPS、警報用スピーカー、搭載用ラック」等で構成され「フィールドユニットから通信ケーブルを介して送られてくる各種計測データをディスプレイ表示、プリンタヘ印刷出力するほか、必要に応じてオペレーターが既入力設定値の変更などを行う」ために用いるものであり、また「モニタユニットには装置のハード部品として、パソコンを使用していますが、内部のソフトは弊社オリジナルの専用監視プログラムで構成されています。」(乙4のA-1頁「注意事項」及びB-3頁3行目から4行目)との記載から、フィールドユニットから送信された各種データを管理、処理、表示等を行うコンピュータハードウェア(電子計算機)及びソフトウェアで構成されているのは明らかであり、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品である。
(ウ)「NESTY通信ユニット」は、「インターネットを介して、商標権者のNESTYセンターヘ接続するための専用通信ユニット」であり、「フィールドユニットが収集した発電装置運転情報やイベント情報を商標権者のNESTYセンターヘ送信」する機能を発揮するものである。そして「第二章 仕様定義 2-1 システム構成のバリエーション」に表された図から理解できるとおり、この通信ユニットは、商標権者の「EDEN PLIIIシステム」を構成する他のユニット(「フィールドユニット」ないし「モニタユニット」)と共に(選択で)販売されるものであり、専ら「EDENシステム」に用いられるものと考えられる。
してみれば「EDENシステム」を構成する「モニタユニット」及び「フィールドユニット」は、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべきことは上述のとおりであるから、専らそれらの商品と共に用いる「NESTY通信ユニット」もまた、発電装置の監視用電子計算機の周辺機器として「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すべき商品であると考えられる。
(エ)そもそも「EDENシステム」の機能ないし用途を見るに、プラントに設置された発電装置及びその関連周辺機器の運転状態を監視するために、そこに設置されたセンサ等を通じて得られた信号情報をフィールドユニットにおいて演算処理を行い、その処理された各種データを、モニタユニットを構成するコンピュータハードウェア及びソフトウェアを通じて処理、編集し、また周辺機器に出力することを主たる機能ないし用途とするシステムであり、これは、コンピュータハードウェア及びソフトウェアの機能ないし用途そのものと考えられる。
被請求人は、「EDENシステム」が「遠隔測定監視制御装置」に該当すると主張するが、上述のとおり、「EDENシステム」は、発電装置及び関連周辺機器の運転状態を監視する為に用いるコンピュータハードウェア及びソフトウェアの範疇に属する商品であり、遠隔監視は「EDENシステム」とは別のシステムである「NESTY集中管理システム」によって行われていることは、乙第2号証及び乙第3号証、並びに被請求人のウェブサイト(甲3)の記載からも明らかであるから、「EDENシステム」は、あくまでも「電子応用機械器具及びその部品」に属すべき商品であり、「電気通信機械器具」には属さない。
そうすると、乙第4号証及び乙第5号証によっても、本件商標の「電気通信機械器具」についての使用が立証されていないことは明らかである。
エ その他
請求人が、2010年10月に株式会社ニッチョーに委託し行った本件商標の使用調査(甲4)では、「物品としてのCRTユニットと、制御ソフトウェアを一体化したシステムで、このシステムの総体をEDEN PLIII SYSTEM(システム)と呼んでいる」(4頁)ことが判明している。また、当該システムは、前提として、「発電用に新潟原動機(株)製のエンジンを受注した顧客(各種の生産工場)の為だけに、当該エンジンを使った発電装置を監視するシステムとして開発された。物品部分のCRTユニットと内包された制御ソフトウェアが一体となったシステムで、それぞれを独立させることはできず、物品、ソフトウェアの双方を単品としては販売できない」(6頁)ことが明らかになっている。
かかる事実からも、被請求人において「EDENシステム」は、発電装置を監視するための、CRTユニット(コンピュータハードウェア)及び制御ソフトウェアにより構成されるシステムであると位置づけていると容易に理解できる。
(3)むすび
以上のように、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、「電気通信機械器具」に使用されていた事実は証明されておらず、かつ、不使用についても正当理由が存在することは明らかにされてないから、本件商標は、その不使用を理由とする登録の取消を免れないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
〈答弁の理由〉
本件商標は、商標権者が、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、その取消請求にかかる指定商品「電気通信機械器具」について、その使用をしている。
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証は、商標権者のインターネット上のホームページの抜粋を印刷したものであって、その内の乙第1号証の3は、商標権者製品の広告に係る「製品紹介>監視装置」とするウェブページであり、その当該商品「ニイガタディーゼル発電監視装置」の下部に「【EDEN PLIISYSTEM】」と表記されている。また、その下部の中央に「ニイガタEDENシステムは長年ディーゼルエンジンによるコ・ジェネシステムの運転監視を行ってきました。…EDEN PLIIとしてバージョンアップし、…」と表記されている。さらに、乙第1号証の3中の右側の各図の右肩には、「EDENシステム」と表記されている。
そして、これらの「EDEN」の表記は、本件商標と同一であり、商標権者による本件商標の使用を証明するものである。
イ また、当該商品「ディーゼル発電監視装置」は、上記した「…長年ディーゼルエンジンによるコ・ジェネシステムの運転監視を行ってきました。…」、及び同4頁の「システム系統図」及び同5頁の「寸法図」の記載からも、ディーゼルエンジンを遠隔測定して制御する商品「遠隔測定制御機械器具」の範疇であり、商品「電気通信機械器具」に属することは明らかである。
ウ さらに、乙第1号証の1のフロントページには「平成23年3月17日」付けの挨拶文が掲載されており、また、乙第1号証の2の「会社案内」とするウェブページの「更新情報」には「2003/02/03」に開設されて以来「2010/10/14」まで度々更新されているが、上記「製品紹介>監視装置」のウェブページ(乙1の3)については、更新されておらず、今日に至るまで3年以上、継続して使用していたものである。
エ 以上のように、本件商標は、その商品「電気通信機械器具」に属する「遠隔測定制御機械器具」について、商標権者に係る商品の広告に付して、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において継続して使用をしているものである。
(2)乙第2号証及び乙第3号証について
ア 乙第2号証は、専門月刊誌「クリーンエネルギー2008年8月号(Vol.17 No.8)」であって、これに「ニイガタ集中監視システム NESTY」と題して紹介した広告記事中に、上記商品「遠隔測定制御機械器具」に係る商標として、本件商標を付して使用している。
そして、記事本文の19頁下段ブロック図の5箇所には、本件商標が付して使用されている。さらに、同20頁左段の7行目ないし9行目には、「…当社の機関監視システム『EDEN』をベースとして構築している。/EDENで検出した異常は、…」と、本件商標が使用されている。
イ 乙第3号証は、専門誌「コージェネレーション2008年SPRING/SUMMER号(Vol.23 No.1)」であって、これに「新潟原動機株式会社の遠隔監視によるコージェネレーションシステム保守支援システム」と題して紹介した広告記事中に、上記商品「遠隔測定制御機械器具」に係る商標として、本件商標を付して使用している。
そして、記事本文の104頁のブロック図及び同103頁右段の9行目ないし11行目には、上記専門月刊誌と同様な記事が掲載され、本件商標が使用されている。
ウ 上記商品「遠隔測定制御機械器具」の内容については、乙第2号証及び乙第3号証の記事本文中に具体的詳細に示されている。
エ 乙第2号証及び乙第3号証の記事本文が広告記事であることについては、その末尾の「…お客様の安心、満足を得られる支援システムとして…」との記載、及び「筆者紹介」の記載からも明らかであって、その発行日から今日に至るまで継続して頒布され、本件商標についての広告機能をはたしている。
(3)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証は、いずれも「EDEN PLIIIシステムによる/機関監視装置 仕様書」と題する商標権者の商品「遠隔測定制御機械器具」に関する取引書類である。
ア 乙第4号証の発行日は、その表紙の下欄に初版として示されているとおり「2008年5月15日」、また、乙第5号証の発行日は、その表紙の下欄に日付として示されているとおり「2009年3月16日」であり、これらの日付けの表示から、各仕様書はいずれも本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において頒布されたことがわかる。
イ そして、各仕様書の表紙には、本件商標が付されており、その本文のA-1頁には「第一章 一般事項」の「1-1 一般」に「本書は弊社製ガスエンジンを用いた発電装置及び関連周辺機器の運転状態監視用として設計された『EDEN PLIII 監視装置』について、納入仕様を明記します。」として、本件商標が使用されている。
さらに、乙第4号証及び乙第5号証の本文中にも本件商標が使用されており、本件商標が使用される商標権者の本件商品「遠隔測定制御機械器具」についても具体的詳細に、その内容が示されている。
(4)乙第6号証及び乙第7号証
ア 乙第6号証は、平成15年(2003年)11月24日付け「週間 水産新聞」であり、その下欄の商標権者の広告には、乙第1号証に係る商標権者ホームページのURLが記載されており、これにより当該ホームページの上記日付けから答弁書提出日に至るまで、インターネット上に公開されていたことが立証される。
イ 乙第7号証は、乙第1号証に係る商標権者ホームページの作成責任者による証明書類であり、2003年2月3日から今日に至るまで、インターネット上に公開されていたことが証明されている。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標権者が「電気通信機械器具」に属する「遠隔測定制御機械器具」について、商品の広告に付し(乙1ないし乙3)、又は、取引書類に付し(乙4、乙5)て、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、継続して使用をしているものである。
よって、請求人の主張は成り立たず、本件商標の登録は維持されるべきである。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証
乙第1号証の3は、商標権者「新潟原動機株式会社」のウェブページ「ニイガタディーゼル発電監視装置」(写し)であるが、「EDEN PLII システム」の項には「ニイガタEDENシステムは長年ディーゼルエンジンによるコ・ジェネシステムの運転監視…」との記載がある(1枚目)。
その下の「●シンプルな機器構成」の項には、「CRTユニット+フィールドユニット/遠方の事務所では、CRTユニットで監視および帳票出力…」との記載、その下段の青線で囲まれた中に「CRTユニット:演算装置本体+17インチCRT+データプリンタ+アラームプリンタ+UPS フィールドユニット:データ変換装置(+液晶表示機)」との記載がある。
そして、同4頁のシステム系統図には、「監視室」と「発電棟」とに分けて記載されている。「監視室」には、「CRTユニット」があり、これを構成する「ユニット本体」を介して、「発電棟」にある「フィールドユニット」と同軸ケーブルで接続されている。
同5頁「CRTユニット 機能一覧」の項には、「計測データCRT表示機能」と「計測データ印刷機能」が、また、前者には、「グラフィック表示機能」(排気温度棒グラフ表示、コージェネプラント系統図表示、電力系統図表示など)、「システム状態表示機能」(警報表示)などが、後者には「帳票印刷機能」を有することが掲載されている。
同「寸法図」の項には、「CRTユニット本体には弊社オリジナルパソコンを使用していますが、監視装置として内部加工しているので汎用パソコンとしての使用はできません。」との記載がある。
(2)乙第2号証及び乙第3号証について
ア 乙第2号証は、平成20年8月10日発行の月刊誌「クリーンエネルギー」(2008年8月号)の表紙(写し)及び「ニイガタ集中監視システム NESTY」を表題とする記事(写し)であるところ、乙第2号証の2の19頁下段の商標権者の遠隔集中監視システム(NESTY)の全体図(図1)には、「プラント監視システム/(EDEN)」(2個)と「センターシステム/(NESTY-2G)」が「一般電話回線」を介し、また、「プラント監視システム/(インターネット対応EDEN)」(3個)と「センターシステム/(NESTY-3G)」が「インターネット」を介して接続され、かつ、モバイル端末と接続されていることが示されている。
そして、同20頁本文左段には「…いずれのシステムもプラント側の監視システムとして当社の機関監視システム『EDEN』をベースとして構築している。/EDENで検出した異常は、NESTY-2Gでは電話回線により、NESTY-3Gではインターネット常時接続回線により、集中監視センターに直ちに送信され…」との記載がある。
イ 乙第3号証は、平成20年3月31日に発行された専門誌「コージェネレーション」(2008年SPRING/SUMMER)の表紙(写し)及び「新潟原動機株式会社の遠隔監視によるコージェネレーションシステム保守支援システム」を表題とする記事(写し)であるところ、乙第3号証の2「ニイガタ遠隔集中監視システム全体図」(図-1、104頁)は、乙第2号証の2の図1(19頁)と同じ全体図が掲載されており、また、乙第3号証の103頁及び乙第2号証の20頁には、「…EDENで検出した異常は、NESTY-2Gでは電話回線により、NESTY-3Gではインターネット常時接続回線により、集中監視センタに直ちに送信され、一元管理される。」の記載がある。
(3)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証の商標権者の作成に係る平成20年(2008年)5月15日付け及び平成21年(2009年)3月16日付け「EDEN PLIIIシステムによる/機関監視装置 仕様書」(写し)には、以下の記載がある。
ア A-1頁の「第一章 一般事項」の「1-1 一般」の項には、「本書は弊社製ガスエンジンを用いた発電装置及び関連周辺機器の運転状態監視用として設計された『EDEN PLIII 監視装置』について、納入仕様を明記します。」との記載。
イ 同「1-2 システム構成」の項には、「大別すると次の三つのユニットから構成されています。/1.フィールドユニット/発電装置本体および周辺関連機器に取り付けられた各種センサからの信号情報を収集し、演算処理を行い、モニタユニットあるいは外部監視装置へ送信します。…/2.NESTY通信ユニット/インターネットを介して、弊社NESTYセンターヘ接続するための専用通信ユニットです。フィールドユニットが収集した発電装置運転情報やイベント情報を弊社NESTYセンターヘ送信します。…/3.モニタユニット/フィールドユニットから通信ケーブルを介して送られてくる各種計測データをディスプレイ表示、プリンタヘ印刷出力するほか、必要に応じてオペレーターが既入力設定値の変更などを行います。…」との記載ほか、「注意事項:モニターユニットには装置のハード部品として、パソコンを使用していますが、内部のソフトは弊社オリジナルの専用監視プログラムで構成されています。従って、汎用パソコンとしての機能…」との記載。
また、乙第5号証の仕様書には、大別すると次の二つのユニットから構成されるとして、「(1)フィールドユニット/…各種センサからの信号情報を収集し、演算処理を行い、お客様監視装置(DCS)へ送信します。…」及び「(2)NESTY通信ユニット/…」との記載。
ウ 乙第4号証のA-2頁の「(1)システム構成図」には、「客先殿監視室」内に「EDEN用OA机」の記載と「発電基盤室」内に「EDEN用MELSECNET/H(光)」との記載がある。また、「客先殿監視室」は、「ONU」を介して「ニイガタ集中監視センタ」と接続していることが図示されている。
エ 乙第4号証のC-1頁の「第三章 モニタユニット機能詳細」の表題で「3-2.モニタユニット機能一覧」には、「計測データ画面表示機能」と「計測データ印刷機能」を、また、前者には、「グラフィック表示機能」(排気温度棒グラフ表示、コージェネプラント系統表示、電力系統図表示など)、「システム状態表示機能」(警報表示)などを、後者には「帳票印刷機能」を有することが掲載れている。
オ 乙第5号証のA-2頁の「システム構成図・機関1?2台の場合」には、「監視装置」は、「電気室」の「共通制御盤(CCP)」にある「EDEN/フィールドユニット」と接続され、「EDEN/フィールドユニット」は、ガスエンジン制御盤(ECP)にある「制御PLC」と接続し、「制御PLC」は、「発電装置」及び「周辺機器」に接続されていることが図示されている。
また、「共通制御盤(CCP)」は、インターネットを介して「ニイガタ集中監視センタ」と接続されていることが図示されている。
2 上記1において認定した事実によれば、商標法第50条第2項で規定する被請求人による要証事項について、次のように判断できる。
(1)使用者、使用商品及び使用時期について
「ニイガタディーゼル発電監視装置/【EDEN PLIISYSTEM】」の見出しのウェブページは、商標権者のウェブサイトに係るもの(乙1の3)として、2003年2月3日から2010年10月14日までの間に掲載されていたものであること(乙1の2)、また、業界誌「クリーンエネルギー2008年8月号」の「集中監視システム NESTY」に関する記事及び「コージェネレーションセンタ2008年春/夏号」の「新潟原動機株式会社の遠隔監視によるコージェネレーションシステム保守支援システム」の「集中監視システム NESTY」に関する記事「プラント監視システム」中には、「EDEN」の記載があり、いずれも商標権者によるものであること(乙2の2、乙3の2)、また、ガスエンジン発電装置における「EDEN PLIIIシステムによる/機関監視装置 仕様書」(平成21年5月15日付け)は、商標権者が顧客の依頼で作成した仕様書(取引書類)と認められること(乙4、乙5)から、使用者は商標権者と認められる。
してみれば、商標権者は、ディーゼル発電監視装置(以下「使用商品1」という。)、ガスエンジン発電監視装置(以下「使用商品2」といい、使用商品1及び2を併せて「使用商品」という。)を製造販売していることが認められる。
そして、上記商標権者のウェブページの掲載期間(2003年2月3日から2010年10月14日)、業界誌の発行日(平成20年3月31日及び同年8月10日)及び仕様書の作成日(承認日、平成20年5月15日及び同21年3月16日)は、いずれも本件審判請求の登録(平成23年3月18日)前3年以内のものと認められる。
(2)本件商標の使用について
本件商標は、上記第1のとおり、「EDEN」の欧文字を横書きしてなるところ、ウェブページでの使用商品1の使用に係る表示は「EDEN PLIISYSTEM」(乙1の3、以下「使用商標1」という。)」であり、また、取引書類の仕様書での使用商品2の使用に係る表示は「EDEN PLIIIシステム」(以下「使用商標2」という。)(乙4及び乙5、使用商標1及び2をまとめて「使用商標」という。)とするものである。
しかして、使用商標の構成文字中の「PLII」や「PLIII」は、商品の規格、品番を表す欧文字2字の1類型である「PL」の文字とシステムの改訂回数(バージョン)などを表すローマ数字1字との組み合わせであること、また、その構成中の「SYSTEM(システム)」は、複数の機器(例えば、使用商品におけるフィールドユニット、モニタユニット、通信ユニット等)を系統化し所定の機能を発揮するための装置であることを、認識させるものであるから、いずれも自他商品の識別標識として機能する部分とはいえない。
そうとすれば、使用商標の構成中「EDEN」の文字部分が、商品の識別標識として機能するものであるから、該文字に相応して「エデン」の称呼及び「エデンの園」の観念を生ずるものである。
してみれば、使用商標は、本件商標と「EDEN」の文字綴りを同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標の使用と認められるものである。
(3)使用商品の帰属について
使用商品であるディーゼル発電監視装置(乙1)ないしガスエンジン発電監視装置(乙2ないし乙5)は、商標権者が製造、販売するディーゼルやガスエンジンを用いた発電装置本体の運転状況を監視するために使用するものである。
そして、使用商品を構成するEDENシステムは、その発電装置の周辺機器に取り付けられた各種センサから得られた発電状況の情報を回線と通じて収集し、これを専用のコンピュータシステムを用いて演算処理し、その得られた結果(計測データ)をモニタユニットにグラフィック表示したり、帳票印刷するための専用の機器から構成される遠隔監視装置と認められる。
また、EDENシステムで得られた発電装置の発電状況の情報は、通信回線を介して外部監視装置(NESTYセンター)で集中して遠隔監視することができる。
してみると、使用商品は、ディーゼルやガスエンジンによる発電装置の運転状況を、通信回線を用いて遠隔監視することを主たる機能、用途とするものであることが認められる。
そうとすれば、使用商品は、ディーゼルやガスエンジンによる発電装置の遠隔監視装置であるから、これと機能、用途を同じくする、商標法施行規則別表の第9類「電気通信機械器具」の下位概念に例示される「遠隔測定制御機械器具」の範ちゅうに属する商品というのが相当である。
(4)小括
そうすると、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一といえる使用商標を上記使用商品とともに商標権者のウェブページに掲載した行為、雑誌に掲載した行為及び仕様書に掲載行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に当たるということができる。そして、上記ウェブページに掲載した時期、業界誌の発行日及び仕様書の作成日は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。
3 請求人の反論について
請求人は、「EDENシステムは、発電装置の運転状態を監視するために、設置されたセンサ等を通じて得られた信号情報をフィールドユニットにおいて演算処理を行い、その処理された各種データを、モニタユニットを構成するコンピュータハードウェア及びソフトウェアを通じて処理、編集し、また周辺機器に出力することを主たる機能ないし用途とするシステムであり、これは、コンピュータハードウェア及びソフトウェアの機能ないし用途そのものと考えられる電子応用機械器具の範ちゅうに属する商品である。」旨主張している。
しかしながら、EDENシステム(ディーゼル発電監視装置(乙1)ないしガスエンジン発電監視装置)を構成する「CRT(モニタ)」、「データプリンタ」、「UPS」及び「液晶表示器」が電子応用機械器具の範ちゅうに属するコンピュータやその周辺機器であり、また、その構成機器である「フィールドユニット」が、「電子応用機械器具」の範疇に属する「データ変換装置」であるとしても、EDENシステムは、これらの電子応用機械器具の範ちゅうに属する商品が個々独立して商取引の対象とされるものではなく、あくまでもディーゼルやガスエンジンによる発電装置を監視する機能、用途のために、顧客専用の機器(各種センサ、パソコン及び専用のソフトウエア等)から構成される遠隔監視装置として商取引されるものであるから、「電子応用機械器具」の範ちゅうに属する商品ということはできない。
また、請求人は、「取消請求に係る電気通信機械器具の範ちゅうに属する商品は『NESTYシステム』と称する遠隔集中監視システムであるから、プラント監視システムの名称であるEDENシステムを使用するものではない。」旨主張している。
しかしながら、EDEN PLIIシステムは、乙第1号証の3の「システム構成図」によれば、監視室内にある「CRTユニット」と電気室内にある「フィールドユニット」から構成されている(乙1の3)。そして、各発電機機関及びその計器盤から得られた発電状況の情報は、回線を通じて「フィールドユニット」に集められ、「CRTユニット」で演算処理し、グラフィック表示し、監視するために使用されている。
してみれば、EDEN PLIIシステムは、ディーゼル発電を遠隔監視することを目的、用途とするディーゼル発電監視装置ということができる。
また、EDEN PLIIIシステムは、乙第5号証の「システム構成図・機関1ないし2台の場合」(A-2頁)によれば、「EDEN/フィールドユニット」は、「発電装置」及びその「周辺機器」を制御するガスエンジン制御盤「制御PLC」と回線で接続されている。そして、ガスエンジンによる発電状況の情報は、「EDEN/フィールドユニット」に集められ、コンピュータによって演算処理し、グラフィック化され、監視するために使用されている。
してみれば、EDEN PLIIIシステムは、ガスエンジン発電装置を遠隔監視することを目的、用途としている発電監視装置と認められる。
したがって、請求人の上記主張はいずれも採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件取消請求に係る指定商品「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する「ディーゼル・ガスエンジン発電監視装置」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る第9類「電気通信機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-12-27 
結審通知日 2012-01-05 
審決日 2012-02-01 
出願番号 商願昭60-108839 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (109)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
鈴木 修
登録日 1988-07-22 
登録番号 商標登録第2059440号(T2059440) 
商標の称呼 エデン、イーデン 
代理人 北口 貴大 
代理人 西村 教光 
代理人 鈴木 典行 
代理人 城山 康文 
代理人 岩瀬 吉和 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ