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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 007
管理番号 1258252 
審判番号 取消2011-300651 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-07-08 
確定日 2012-05-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3263769号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3263769号商標の指定商品中「風水力機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3263769号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「Σ」の文字を図案化した構成からなり、平成5年8月12日に登録出願され、第7類「半導体製造用・精密機械用液体精密定量吐出機,化学機械器具,風水力機械器具,塗装機械器具」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「第7類 風水力機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 本件商標を液体精密定量吐出機に使用しているとの主張について
乙第2号証ないし乙第7号証及び乙第9号証ないし乙第11号証で商品に使用されている商標は、書体に特徴のある不可分一体で一連に「スーパーシグマ」と一気に称呼し得る「SuperΣ」であり「Σ」ではない。
乙第2号証は、被請求人が自ら述べているように、2001年4月頃に配布が終了しており、乙第5号証の書籍は、発行日が2005年5月31日で、いずれも配布終了から3年以上が経過しており、乙第3号証、乙第4号証、乙第6号証及び乙第7号証は、配布された時期が不明である。
乙第12号証は、「SuperΣCM」の右横に「○内にR」記号が付されており、商標として使用されているのは「SuperΣCM」全体であり「Σ」ではない。
乙第13号証及び乙第14号証の注文書には、それぞれ品名として、「ムサシエンジニアリングスーパーシグマCM2-V2」、「ディスペンサ電源_SUPERΣCM2-V2」の記載があるが「Σ」を使用しているとはいえない。
その他、乙第1号証及び乙第8号証には商標「Σ」の記載がない。
よって、乙第1号証ないし乙第14号証のいずれも本件不使用取消審判の取消を免れる証拠とはならない。
イ 液体精密定量吐出機が風水力機械器具のポンプに属するとの主張について
(ア)被請求人は、「風水力機械器具」について、「商品及び役務の区分解説」(乙第15号証)の一部を「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、?液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」と引用している。しかし、実際の記載は「この概念は、液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクヘ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を与える機械器具が含まれる。」というものである。すなわち「風水力機械器具」は「液体等を噴出させたりする機械器具」自体ではなく、「液体等に圧力を与える機械器具」であり、そのうちの「液体に圧力を与える機械器具」が「ポンプ」である。
(イ)他方、被請求人の商品は、答弁書における被請求人の主張及び乙第2号証ないし乙第4号証によれば、「液体精密定量吐出装置」、「ディスペンサ」(両者は被請求人によれば同義)である。そして、被請求人はその商品であるディスペンサを「液体材料を吐出させるもの」と説明しているが、ディスペンサは、その内部に液体等に圧力を与えるポンプ機能を有する部分を持つことがあるとしても、ポンプ自体ではない。
(ウ)乙第16号証は、「ポンプ」の定義を記載したにすぎず、ディスペンサがポンプに属する証拠にはならない。
また、乙第17号証は73頁の冒頭で、「ディスペンサ」が「液体を空気圧を利用して定量供給するコントローラ及びその周辺機器全般を表している」と記載しており、ポンプそれ自体ではないことを説明している。
(エ)被請求人は、乙第18号証39頁に「高精度定量吐出装置」から改行して「スクリューポンプ」を標題としていると指摘している。しかし、その下の記載には、「エンドレスピストンの原理に従ったViscotec社の容積軽量ポンプとサーボモータ、減速機との組み合わせで定量吐出を実現」とあり、この記載から、スクリューポンプは精密度定量吐出装置を構成する部品の一部にすぎず、ディスペンサ自体でないことが明らかである。
さらに、被請求人は、同業他社では、定量充填装置、定量塗布装置を「ヘイシンモーノポンプ(総合編)」という総合カタログに登載しているとして、乙第19号証を提出している。しかし、乙第19号証29頁中央には、「ディスペンサーヘの液材供給用ポンプ」が「三軸ロボットと組み合わせたモーノ『ロボ』ディスペンサー」に接続された写真がある。この写真から、ディスペンサを使用するには、ポンプが必要であり、ポンプの性能によってディスペンサの使用状況が異なるが、ディスペンサとポンプはそもそも別物であることが明確にわかる。
(オ)以上より、「液体精密定量吐出機が風水力機械器具のポンプに属する」との被請求人の主張は成り立たず、乙第15号証ないし乙第19号証は、被請求人が本件商標を「風水力機械器具」に使用していることの証拠として不適切である。
ウ まとめ
以上のとおり、被請求人は、そもそも本件商標を使用していない。
また、被請求人の商品は、「液体精密定量吐出機」であっても、この商品は「風水力機械器具」には当たらない。
以上のことから、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内にその指定商品である「風水力機械器具」について使用されたという事実を証明するには不適切、不十分であり、これをもって本件商標を使用していたとは認めらない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べて、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
〈答弁の理由〉
(1)被請求人である商標権者は、本件商標をディスペンサ、すなわち液体精密定量吐出装置に継続して使用している。
ア 被請求人の提供するディスペンサは、説明図(乙第1号証)として図示するとおり、コンプレッサ等の圧縮気体源からの圧力空気を、レギュレータを介してエアー入力用コネクタから本体内に受入れ、適切な圧力で所定の間隔をもって供給するように制御し、エア出力コネクタからチューブを通して液体材料の入ったシリンジに作用させ、ノズルから液体材料を吐出させるものである。
そして、被請求人は、ディスペンサの自動化を可能にした機器をΣシリーズと呼称し、市場に投入してきた。このΣシリーズは、1.液ダレ自動防止 2.水頭差自動補正 3.自動残量警告を一挙に解決したものとして顧客を広げ支持を受けてきたものである。
イ 乙第2号証は、2001年(平成13年)4月頃まで配布していた総合カタログであって、この中には本件商標が赤で大きく表されており、その下に同じく赤でSERIESが上下の線で囲われて表示されている。
この製品は発売以来改良を加えられて来ているので、バージョンアップした製品に識別力の乏しい「Super」を加え、さらに、商品記号としての「V7」や「V2」等を加えて従来の自社製品と新たに発売した製品とを区別するようにしている。
そして、乙第3号証の総合カタログには、吐出安定性を向上させバージョンアップした製品として「SuperΣx」が掲載されており、型式としては商標のΣを中央に配置して、「SuperΣx-V7」と「SuperΣx-V2」となっている。また、乙第4号証は「SuperΣx」の取扱説明書の抜粋である。
ウ この「SuperΣx」については、技術情報協会発行の書籍「塗工・成膜における密着・接着性の制御とその評価」(2005年5月31日発行)の第5節「接着剤の超微量・高精細塗布」中に写真(440頁)及び概略の説明(441頁)が紹介されている(乙第5号証)。
エ 現在は乙第6号証のリーフレットに示す「SuperΣCMII」(なお、末尾の「II」はローマ数字の「2」。以下同じ。)が販売されており、この製品の型式は「SuperΣCMII-V2」と「SuperΣCMII-V5」の二種類がある。
乙第7号証は「SuperΣCMII」の取扱説明書の抜粋であり、乙第8号証ないし乙第12号証は「SuperΣCMII」についての広告宣伝の実績である。
また、「SuperΣCMII」が実際に販売されていることを明らかにするために、平成23年の顧客からの注文書を乙第13号証及び乙第14号証として提出する。なお、本件商標「Σ」は特殊なロゴなので、正確な表記ではなく「シグマ」や「Σ」との簡略表記となっている。
(2)被請求人が本件商標を使用している商品が「風水力機械器具」の「ポンプ」にも属することを明らかにする。
ア 特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」(乙第15号証)には、風水力機械器具について「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、?液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」とされ、改行して「液体関係のこのような機械器具が〈ポンプ〉であり、」と記載されている。
そして、前出の書籍「塗工・成膜における密着・接着性の制御とその評価」(乙第5号証)によれば、「〈エア式〉ディスペンサは、容器に封入された液剤を空気圧で押し吐出を行なう装置である。」としているものであり、「ディスペンサ」は風水力機械器具に含まれる「ポンプ」ということになる。
イ 乙第16号証の広辞苑第5版の「ポンプ」の語釈では「圧力の働きによって流体を送る装置」としている。被請求人のエア式ディスペンサは、空圧(圧力)の働きによって液剤(流体)を送る装置であることからして、広辞苑でいう「ポンプ」に含まれる。
ウ 雑誌「油圧と空気圧」の解説記事である「ディスペンサ」(著者 岩下エンジニアリング(株)技術課:乙第17号証)では、流量制御方式と容積計量方式があるとするが、いずれにしても液体に圧力を加えて定量を吐出するものであるとしている。
エ 「メカトロニクス・デザイン・ニュース 2008年9月号」の「特集/ディスペンサ」の39頁以下の特集で各メーカーの製品を紹介しているが(乙第18号証)、この頁の中では「高精度定量吐出装置」から改行して「スクリューポンプ」を標題としており、41頁では「プランジャー式 計量ポンプ」と表題に掲載されている。
そして、42頁は被請求人の製品の頁であるが、全自動補正機能型オールデジタルディスペンサ「SupersΣCMII」が紹介されている。
また、43頁での製品紹介では「ESER社製」の「スクリューポンプ」と普通名称で表わしている。
オ 被請求人と同業他社といえる企業では、定量充填装置、定量塗布装置が、総合カタログといえる「『ヘイシン』モーノポンプ〈総合編〉」(乙第19号証)に登載されている。
カ なお、これまで提示した被請求人に関する広告資料等で本社住所が「三鷹市下連雀」となっているが、これは実質的な本社機能を備えている住所であり、登記簿上の住所は乙第20号証に示すとおり、かつて本社が所在していた「三鷹市井口」のままになっている。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、ポンプについて被請求人である商標権者が3年以内に日本国内において使用していたものである。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標をディスペンサ(液体精密定量吐出装置)に継続して使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第20号証を提出している。
そこで、乙各号証により本件請求に係る指定商品「風水力機械器具」について、被請求人がその使用事実を証明し得たものか否かについて、以下検討する。
(1)乙第1号証ないし乙第14号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証は、被請求人作成の被請求人(商標権者)が提供するディスペンサ説明図であり、圧縮気体源(コンプレッサ等)で加圧された空気を、レギュレータを介してエアー入力用コネクタからディスペンサ本体に受入れ、ディスペンサ本体からその加圧された空気が所定の間隔をもって液体材料の入ったシリンジに送られ、その加圧空気によりシリンジから液体材料を吐出するものであり、液体材料吐出後の空気は、シリンジからディスペンサ本体に戻り、排気ポートから排気されることが図示されている。
イ 乙第2号証は、被請求人の「液体精密定量吐出装置総合カタログ VOL1」であるところ、3枚目右側中央には、本件商標と同一の特徴のある形状で表された「Σ」の文字が表示されている。また、乙第3号証は、同カタログの「VOL5」であるところ、両カタログにおいて「Σシリーズ」の製品として「SuperΣ-V7/V2」及び「SuperΣx-V7/V2」について、ディスペンサ本体と液体吐出部分からなるディスペンサの写真が掲載され、上記シリーズの3大機能として「1.液ダレ自動防止」「2.水頭差自動補正」「3.自動残量警告」について製品の特徴が説明されている。
そして、「SuperΣ-V7/V2」については、「最先端の性能を継承し、さらなるバージョンアップを遂げた次世代型ディスペンサ・SuperΣ誕生。」及び「Σを更にバージョンアップしつつも、・・・」と記載され、また、「SuperΣx-V7/V2」については、「最先端の性能を継承し、大幅なバージョンアップを遂げたシンプルオペレート高精度ディスペンサ・SuperΣx誕生。」と記載され、そのほか、「吐出安定性と残量検知精度を更に向上、さらなる高精度安定吐出を実現。」等の説明並びに各製品についての仕様が説明されている。
なお、上記各カタログはいずれも作成時期は不明であるが、乙第2号証について、被請求人は、2001年(平成13年)4月頃まで配布したカタログであると主張している。
ウ 乙第5号証は、表題を「塗工・成膜における密着・接着性の制御とその評価」(2005年5月31日 株式会社技術情報協会発行)とする書籍であり、「第5節 接着剤の超微量・高精細塗布」を見出しとする箇所(437頁)に「・・・本節では、液体制御用コントローラとして多く用いられているエア式ディスペンサを中心に吐出および塗布で発生する基本的な・・・」、「1.1 吐出量の再現性/エア式ディスペンサは、吐出機構部に接液部が無く、・・・液体制御において卓越して用いられている。この方式では容器(シリンジ)に封入された液剤を空気圧で押し吐出を行なう。」と記載され、「図1 エア式ディスペンサの構成」を見出しとして(438頁)、上記アと同様の図示が掲載されている。
また、「1.3.1 液ダレによる吐出量の変化/・・・この問題を解決するためには、液剤の残量にあわせて、バキュームの強さを制御することが必要であり、・・・現在エア式で自動補正の実績があるディスペンサでは、エアの安定回路とセンシング技術を併用して用いている(写真1)。」と記載(440頁、441頁)され、「写真1 マイコン補正式ディスペンサ SuperΣx」と表示した、上記イと同じ製品に係る写真が掲載されている。
「1.9 メカニカルディスペンサ/・・・プランジャ式ディスペンサは、計量性があり、最近は1nlの吐出を可能にしている。・・・スクリューポンプ式のディスペンサは高粘度の液体の吐出に効果がある。・・・ジェット式ディスペンサは、液体を飛ばして塗布するため・・・また、ノズルが届き難い場所への塗布を可能にしたり・・・」などの記載がされている。
エ 乙第6号証は、「全自動補正機能型・通信機能付/SuperΣCMII」とする商品に係るリーフレットであり、ディスペンサの写真が掲載され、また機種「SuperΣCMII-V2」及び「SuperΣCMII-V5」についてその仕様が説明されている。なお、当該リーフレットには、その作成や使用の時期を示す表示はない。
オ 乙第9号証は、2009年(平成21年)4月1日付けの「接着剤新聞」3頁の写しであり、下段部に「業界トップのディスペンサー総合メーカー/接着剤・塗布プロセスの生産性向上を実現。」との表題の下、商標権者に係る広告が掲載されており、これに「全自動補正・通信機能ディスペンサー/SuperΣCMII」の表示と、上記エのリーフレットの製品と同じ写真のほか、「高粘度・非接触ジェットディスペンサー/AeroJet」などの製品が掲載されている。
カ 乙第11号証は、「接着剤総覧 2009」(平成21年5月29日 (株)新樹社発行)の商標権者に係る広告であり、12頁に「業界トップのディスペンサー総合メーカー/超微量 塗布制御から全自動ディスペンス装置まで。」との表題や、上記オと同様の製品が掲載されている。
(2)乙第15号証ないし乙第19号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第15号証は、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」であり、「風水力機械器具」についての解説では「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクへ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。液体関係のこのような機械器具が〈ポンプ〉であり、気体関係のそれが〈送風機〉及び〈圧縮機〉である。各例示商品は機械の構造によっているが、これを用途的にみれば、〈ポンプ〉を例にとると”ビスコースポンプ” ”排水ポンプ” ”水道送水ポンプ”等いろいろ考えられるが、このような用途が限定されたものとして取引きされる場合も、この概念に属する。」などと解説されている。
イ 乙第16号証は、広辞苑(第5版)の見出し語「ポンプ」の頁であり、「圧力の働きによって流体を送る装置。特に液体に対するものをいい、気体では構造により真空ポンプ・送風機などと呼ぶことが多く、機構上では、往復ポンプ・回転ポンプ・遠心ポンプ(渦巻ポンプ)・軸流ポンプなどに分れる。」と記載されている。
ウ 乙第17号証は、雑誌「油圧と空気圧」第26巻第5号(平成7年8月)に掲載された「ディスペンサ」についての論文であり、「1.はじめに(ディスペンサとは」の項(73頁)に「Dispenserとは、・・・供給機(者)、吐出機の意味で用いられる事が多い。エレクトロニクス分野で使用されているDispenserも正確には、Liquid Dispenserであり、液体を空気圧を利用して定量供給するコントローラ及びその周辺機器全般を表わしているが、Dispenserという名称で市場に受け入れられつつある。用途としては、エレクトロニクス分野のみならず、医療、食品等のあらゆる分野に普及しており、各分野によって、点塗布、線引塗布、注入、充填等、使用方法、使用目的が多種多様である。これら多種多様の用途、目的に適合する最良のシステムが選定できるように、様々なタイプのディスペンサシステムが開発され、用意されている。」と説明され、「2.液体定量吐出(供給)装置の種類と概要」に「これらディスペンサシステムは、用途・吐出材料により、システムを選定するが、制御方式により流量制御方式と容積計量方式の2種類に大別出来る。」とし、さらに、「流量制御方式には、材料を圧力容器に入れ、コントローラからのパルスエアーを直接材料に与え定量吐出する方法と圧力容器内へ材料を入れ、圧力により材料を圧送し、バルブにより流路を開閉し定量吐出する方法とがある。」と説明されている。また、「容積計量方式」について、「計量室の構造により、固定型(プランジャーポンプなど)、移動型(ロータリーポンプなど)がある。」(74頁)、「プランジャーポンプは、容積計量方式の計量室固定型ポンプである。プランジャーは、電気又は空気圧で駆動され、自給または、微圧圧送された計量室内の流体材料を、プランジャーの移動体積分だけを計量し定量吐出するポンプである。」(77頁)などの解説が記載されている。
ウ 乙第18号証は、雑誌「メカトロニクス」(2008年9月号)の「特集/ディスペンサ」の部分であり、株式会社ナカリキッドコントロールの広告(39頁)に「2液 計量・混合・定量吐出装置」や「高精度計量ポンプ」の表題の下に、「高精度定量吐出装置/スクリューポンプ」「高精度定量吐出装置/マイクロプランジャポンプ」についての紹介、説明がされている。また、宝泉(株)の広告・製品紹介に「プランジャー式/計量ポンプ」についての紹介、説明がされている。なお、42頁は、商標権者(被請求人)製品の広告頁であり、「全自動補正機能型オールデジタルディスペンサ/SupersΣCMII」ほか、「高粘度/高速スクリューディスペンサ/SCREW MASTER2」などが解説などと共に掲載されている。
エ 乙第19号証は、兵神装備株式会社の「『ヘイシン』モーノポンプ〈総合編〉」と題するカタログであり、当該モーノポンプは「回転数制御ユニット又は計量ユニットと供給用モーノポンプとの組合せによりすぐれた定量充填装置になります。」とあるように、液体材料を計量ユニット等に供給するためのポンプである。
(3)前記(1)及び(2)で認定した事実によれば、以下のとおり、判断するのが相当である。
ア 商標権者は、平成21年(2009年)4月1日付けの「接着剤新聞」(乙第9号証)及び平成21年5月29日発行の「接着剤総覧 2009」(乙第11号証)に、商標権者に係る商品「全自動補正・通信機能ディスペンサ」(以下「使用商品」という。)の広告を掲載しており、当該広告には、「SuperΣCMII」商標(以下「使用商標」という。)が付されている。そして、前記各広告はいずれも、本件審判請求の登録(平成23年7月29日)前3年以内に掲載されたものであることが認められる。
イ 使用商標について
使用商標「SuperΣCMII」は、別掲2に示す構成よりなるところ、「Σ」は他の文字に比して大きく特徴のある態様で表されているものである。
そして、構成中前半の「Super」の文字は商品が優れたものであることを表すために普通一般に採択、使用されているものであり、「液体精密定量吐出装置 総合カタログ」(乙第2号証及び乙第3号証)の「・・・高い評価を頂いているΣシリーズ。・・・その最先端の性能を継承し、さらなるバージョンアップを遂げた次世代型ディスペンサ・SuperΣ誕生。」、「最先端の性能を継承し、大幅なバージョンアップを遂げたシンプルオペレート高精度ディスペンサ・SuperΣx誕生。」の記載からもそれが確認できる。また、後半の「CMII」の文字は、商標権者のカタログやリーフレットに記載されている型式「SuperΣ」あるいは「SuperΣx」の表示からすれば商品を識別するための部分と認められるものである。
したがって、使用商標中の「Super」及び「CMII」の文字部分は付記的な表示として理解される場合も決して少なくないものであって、特徴をもって大きく表された「Σ」の部分が自他商品の識別標識としての基幹的な商標と認識されて取引に資されるものというのが自然であり、これと本件商標とは社会通念上同一の商標というのが相当である。
ウ 使用商品について
被請求人は、使用商品であるディスペンサ(液体精密定量吐出装置)が、「風水力機械器具」の範ちゅうの「ポンプ」に含まれるものであると主張しているので、この点について検討する。
使用商品はディスペンサであるところ、乙第1号証のディスペンサ説明図によれば、液体精密定量吐出装置(ディスペンサ)はディスペンサ本体と液体材料が充填されたシリンジ及び液体吐出部分等からなるものであり、コンプレッサ等の圧縮気体源から送られてくる、加圧した空気を「レギュレーター」を介してエアー入力用コネクタからディスペンサ(本体)に入れ、ディスペンサ本体から、その加圧した空気の量、送付間隔等を調整して、液体材料の入ったシリンジに送り、その加圧空気によりシリンジから液体材料を適量吐出するものである。
ところで、エレクトロニクス分野や医薬、食品等のあらゆる分野に普及しているディスペンサは、液体を空気圧を利用して定量供給するコントローラ及びその周辺機器全般を表しており、液体の吐出方法の制御方式から流量制御方式と容積計量方式とに大別され、流量制御方式には、コントローラからパルスエアを直接材料に与え定量吐出する方法と、圧力により材料を圧送し、バルブにより流路を開閉し定量吐出する方法があり、また、容積計量方式には計量室の構造により、計量室固定型(プランジャーポンプなど)と計量室移動型(ロータリーポンプなど)がある(乙第17号証)。
そうすると、使用商品は、コントローラからパルスエアを直接液体材料に与え、当該材料を定量吐出する方法の液体精密定量吐出装置(ディスペンサ)であるということができる。
そして、「風水力機械器具」は、「液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクへ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」(乙第15号証)ものであるが、使用商品は、上記のとおり、コンプレッサ等の圧縮気体源からの圧縮空気により液体材料の吐出圧力や吐出時間を制御してシリンジに封入された液体材料を定量吐出するための商品であり、その制御のための手段、方法として圧縮空気を利用していることが認められるとしても、使用商品が「風水力機械器具」の範ちゅうに含まれる商品とは認めることはできない。
この点は、被請求人が述べている「Σシリーズ」に係る製品は、ディスペンサの自動化を可能にした機器であり、かつ、1.液ダレ自動防止 2.水頭差自動補正 3.自動残量警告を一挙に解決したものと述べているところからも明らかである。
被請求人は、業界誌(乙第18号証)の「特集/ディスペンサ」に掲載されている「スクリューポンプ」、「マイクロプランジャポンプ」、「プランジャー式/計量ポンプ」等の証拠を挙げ、使用商品が「風水力機械器具」中の「ポンプ」に含まれる旨主張しているが、これらは精密定量吐出機(ディスペンサー)の構造、制御方式を表示したものであり、また、乙第19号証のカタログに掲載された「モーノポンプ」は、液体材料を計量ユニット等に供給するためのものであって、定量充填装置に使用されることはあってもディスペンサそのものではないから、これらの証拠によっても使用商品が「ポンプ」として取引されるものとはいうことができない。
したがって、被請求人が本件商標を使用している商品が「風水力機械器具」の範ちゅうの「ポンプ」にも属する旨の主張は、採用することができない。
その他、本件商標が本件請求に係る商品「風水力機械器具」について使用されていた事実を示す証拠は見いだせない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人である商標権者が本件審判請求の登録(平成23年7月29日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を「液体精密定量吐出装置」について使用していた事実は認められるとしても、その使用商品は、本件請求に係る商品「風水力機械器具」に該当しないものであるから、結局、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を本件請求に係る指定商品について使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「風水力機械器具」について、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(使用商標)



審理終結日 2012-03-22 
結審通知日 2012-03-28 
審決日 2012-04-12 
出願番号 商願平5-83431 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (007)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 内山 進
豊瀬 京太郎
登録日 1997-02-24 
登録番号 商標登録第3263769号(T3263769) 
商標の称呼 シグマ 
代理人 藤谷 史朗 
代理人 小川 順三 
代理人 中村 盛夫 
代理人 鎌田 和弘 
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