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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20116996 審決 商標
不服201115850 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X2535
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X2535
管理番号 1258226 
審判番号 不服2011-9525 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-05-06 
確定日 2012-05-17 
事件の表示 商願2009-79010拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「1969」のアラビア数字を標準文字で表してなり、第25類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年10月19日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、当審における同23年6月9日付の手続補正書により第25類「デニム製のズボン,デニム製のジャケット」及び第35類「被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『1969』の文字を標準文字で書してなるところ、一般に数字は商品(役務)の品番、等級などを表す記号・符号として頻繁に用いられる。指定商品(指定役務)についても、4桁の数字を組み合わせて、取引上、普通に用いられている実情がある。そうすると、本願商標は、単に4桁の数字を並べた商標であり、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、意見書、手続補足書において甲第1号証?甲第50号証を提出し、商標法第3条第2項(使用による識別性)を主張する。しかし、提出された各号証からは、本願商標と同一と思われる使用例の証拠は、上記の『甲第3、4、16?19号証』であり、他は本願商標と同一ではない。してみれば、提出された証拠書類をもって、本願に係る全ての指定商品(指定役務)について、日本国内において、取引者・需要者間に広く認識されるに至ったものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号について
ア 指定商品との関係
本願商標は、前記1のとおり、「1969」のアラビア数字を標準文字で表してなるところ、数字が商品の品番、規格等を表示するための記号又は符号の一類型として取引上一般に使用されている実情があることは、本願の指定商品に係る取引通念に照らして明かであるから、本願商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者は、これを商品の品番、規格等を表したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として機能するものではないというべきである。
また、請求人が原審における平成22年6月28日付手続補足書により提出した証拠に徴すると、「1969年にアメリカのサンフランシスコで、デニム専門店としてその産声をあげたGap。」(甲17)との記載及び請求人に係るインターネットウェブサイト(http://gap.co.jp/about/)にも「現在世界最大級のカジュアルファッションブランド『Gap』は、1969年8月21日にアメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコでその産声をあげました。」との記載が認められるとおり、本件においては、本願商標「1969」は、請求人の創立された西暦における年を表したものと理解することもできるものであり、そのように解するとしても、西暦の年については、何人も使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであるから、一私人に独占を認めることはできず、加えて、西暦の年を4桁のアラビア数字で表すことは極めて一般的であるから、自他商品の識別標識として機能するものではないというべきである。
イ 指定役務との関係
本願の指定役務は、被服に関する小売業において、顧客が来店して立ち去るまでの間に被服の小売に伴って提供される総合的なサービス活動であって、最終的に商品「被服」の販売により収益をあげるものであり、その具体的内容は、商品「被服」の品揃え、陳列、店員による商品説明などであるところ、その小売において販売される商品「被服」は、商品の品揃え、陳列、商品説明の対象となるものであり、当該役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(商標法第2条第3項第3号等)に該当するものである。
しかして、前記アのとおり、「1969」のアラビア数字からなる本願商標が、商品の品番、規格等を表したものと認識されるのであるから、これを本願の指定役務について使用するときは、その提供を受ける者の利用に供する物である商品(品番等)を表したものにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。
また、「1969」のアラビア数字からなる本願商標は、前記アのとおり、本件においては、当該役務を提供する者の創立の年を表したものと認識されるにとどまり、同様に、自他役務の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。
ウ 請求人の主張
請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当することについて原審及び当審において、何ら意見を述べていない。
エ 小括
以上のとおり、本願商標は、自他商品の識別標識ないし自他役務の識別標識として機能するものではなく、商標法第3条の規定により商標登録を認めることはできないものというべきである。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、原審及び当審において、本願商標は、永年に亘り、日本国内で使用されてきたから、商標法第3条第2項の適用を受けることができる旨主張し、原審における前記の手続補足書をもって、証拠方法として甲1ないし甲51を提出、当審においては、平成23年6月9日付け手続補足書をもって、証拠方法として甲1ないし甲49を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至っているか否かについて、以下、検討する。
ア 商標法第3条第2項の趣旨
知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10054号判決(平成18年6月12日判決言渡)は、「・・・商標法3条2項は,商標法3条1項3号等に対する例外として,『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できることができるもの』は商標登録を受けることができる旨規定している。その趣旨は,特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから,当該商標の登録を認めようというものであると解される。上記のような商標法3条2項の趣旨に照らすと,同条項によって商標登録が認められるためには,以下のような要件を具備することが必要であると解される。(ア)使用により自他商品識別力を有すること 商標登録出願された商標(以下「出願商標」という。)が,商標法3条2項の要件を具備し,登録が認められるか否かは,実際に使用している商標(以下「使用商標」という。)及び商品,使用開始時期,使用期間,使用地域,当該商品の生産又は販売の数量,並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用された結果,判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる『自他商品識別力(特別顕著性)』の獲得の有無)によって決すべきものである。(イ)出願商標と使用商標の同一性が認められること 商標法3条2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば,文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。・・・」と判示しているところである。
イ 本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
そこで、前記アの判決を踏まえて、原審において提出された甲1ないし甲51及び当審において提出された甲1ないし甲49の証拠に基づいて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったか否かを検討する。
なお、前記の書証中、同一の書証番号が付された甲3ないし甲14、甲16ないし甲20、甲22ないし甲49は、その体裁から、同一の書証であると理解されるところ、本件における商標法第3条第2項に係る審理に関連する書証に限るとともに、便宜上の観点から、前記の同一の書証と認められるものについては、当審において提出された甲1ないし甲49を以下、甲50ないし甲98として挙示するものとし、また、特に明示しない限り枝番号を付した書証を含むものとする。
(ア)直営店の案内などへの「1969」の表示
請求人は、全国に多数の直営店を有し、いずれの店舗においても「1969」からなる本願商標を付した商品を取り扱っている旨主張し、直営店一覧表(甲2及び甲51)を提出している。
しかしながら、「1969」は、当該証拠中に表示されていない。むしろ、甲51からは、請求人の代表的な出所識別標識である「GAP」の欧文字のロゴ(以下、「GAPロゴ」という。)が、その商標として強い機能を果たしていることを優に認めることができるものであり、需要者はGAPロゴを手がかりとして商品及び役務の出所を識別し認識するものというべきである。
(イ)商品(ジーンズ、ジャケットなど)への「1969」の表示
a 請求人は、商品自体に「1969」を表しているとして、商品(ジーンズ、ジャケット)の写真の写しを提出している(甲52ないし甲64、甲70)。
しかしながら、本願商標を構成する「1969」の文字のみからなる証拠は、甲58及び甲62のみである。その他の証拠には、「Gap」の欧文字からなる請求人の代表的な出所識別標識(以下、「Gap商標」という。)とともに「1969」が表示されている。
また、甲59は、商品の写真が不鮮明であり、かつ、下げ札により隠された部分があるが、前記の証拠、特に甲60に係る商品に「RN54023」の品番とともにGap商標が表示されていることに照らすと、甲59にも「54023」の品番が確認できることからすれば、甲59に係る商品についても、当該隠された部分にGap商標がともに使用されているものと推認しうる。
さらに、甲70は、商品(ジーンズ)が折りたたまれた状態の写真であり、「1969」の表示の右には、甲53のような商品の取り扱いの注意事項とともにGap商標が表示されたタグの上部が確認できることからすれば、甲70に係る商品についても、当該タグの隠れた部分にGap商標がともに使用されているものと推認しうる。
b 請求人は、スウェットシャツに「1969」を表しているとして、商品の写真を提出している(甲15)。
しかしながら、スウェットシャツの胸部中央に、「1969」を表した場合に、ただちに商標的な使用であるとは言い難く、シャツのデザインとして認識されうる場合も多いというべきである。また、甲15は「スウェットシャツ」に係るものであるから、前記1のとおり、補正後の本願の指定商品に係る証拠ではない。
c 請求人は、同人に係るインターネットウェブサイトの写しを提出して、当該サイト上に、「1969」が付されたジーンズが表示されているとする甲65ないし甲69)。
しかしながら、本願商標を構成する「1969」のみが表示されたジーンズに係る証拠は甲65(上段)、甲66(上段)、甲67(下段)、甲68中に確認できるものの、当該インターネットウェブサイトの写しからは、「1969」の右に「Gap」と「Jeans」の欧文字を上下二段に全体としてまとまりよく表したものを含め「Gap」、「1969」、「Jeans」ないし「ジーンズ」を構成要素とし、GAPロゴ及びGap商標と同様に当該「Gap」の部分を出所識別標識とする商標(以下、「GapJeans商標」という。)が使用されている。しかして、GapJeans商標に接する需要者は、当該商標中の「Gap」の部分をもって商品の出所を識別し認識するというのが相当である。また、甲65ないし甲68には、GAPロゴが左上に顕著に表されているものであって、当該ロゴも出所識別標識として強い機能を有するというべきである。なお、甲65及び甲69に掲載の商品には、「1969」とともにGap商標が表示され、当該商標が商品の出所識別標識として機能するものというべきである。
d トートバッグへのなどへの「1969」の表示
請求人は、トートバックに「1969」を表示しているとし、インターネットウェブサイトの写しを提出している(甲21)。
しかしながら、当該証拠中には、GAPロゴが顕著に表され、その直下の「NEWS」の二行目に「>オリジナルトートバッグをプレゼント!」との記載があり、当該トートバッグには、白抜きにてGapJeans商標が表されている。また、「進化を続ける1969 Gap Jeans」等の文言からGapJeans商標の使用が認められる。しかして、前記cのとおり、需要者は、当該商標中「Gap」の部分をもって商品の出所を識別し認識するというのが相当である。
(ウ)店舗への「1969」の表示
a 店舗の内装への「1969」の表示
請求人は、店舗の内装へ「1969」を表示しているとし、店舗内装の写真を提出している(甲71ないし甲86、甲89ないし甲91)。
しかしながら、当該証拠に係る店舗が請求人の店舗全てに共通しているか否か明らかではない。また、「1969」のみの表示は、試着室に表示されたもののみ(甲76ないし甲79)であり、その他の証拠には、GapJeans商標あるいは同商標をステンシルで「Gap」をすべて大文字とした商標(GAPロゴに準じ「GAP」の部分を出所識別標識とするものである。)が同時に表示されているものである。しかして、試着室にしても、需要者は店舗外の看板として掲げられたGAPロゴから請求人に係る小売役務が提供される店舗であると識別、認識して入店するものである。さらに、試着室に持ち込む前に商品の品定めをするときには、商品の陳列、展示、内装からはGap商標ないしGapJeans商標を認識するものである。加えて、持ち込んだ商品には、Gap商標ないしGapJeans商標が付されているものであるから、それらの商標から請求人を商品及び役務の出所と認識するというべきであって、試着室への「1969」の表示がただちに商品又は役務の出所識別標識として機能を果たすものとは言い難い。
b 店舗の外装への「1969」の表示
請求人は、店舗の外装へ「1969」を表示しているとし、店舗外装の写真を提出する(甲87及び甲88、甲92ないし甲96)。
しかしながら、「1969」のみで店舗外装に表示されたものはなく、外装には、GAPロゴ、GapJeans商標がともに表示されているものである。なお、甲92ないし甲93に係る店舗の外装には、「1969」の表示は店舗正面から見て右に位置するが、同じフロアの左には「GapJeans」の表示があり、中央には、GAPロゴの看板が存するところ、当該店舗正面の外観は、一目で眺め渡すことができることから、当該「1969」のみの表示が役務の出所を表示するものとは言い難く、需要者は、GAPロゴ及び前記の「GapJeans」の表示中「Gap」の部分により、役務の出所を識別し認識するものというべきである。
(エ)インターネットウェブサイト上の「1969」の表示
a 請求人は、インターネットウェブサイトへ「1969」を表示しているとし、当該サイトの写しを提出している(甲97及び甲98)。
しかしながら、当該証拠には、GAPロゴ、GapJeans商標が表示されており、本願商標と同一の構成に係る「1969」が出所識別標識として機能するものとは認められない。
なお、「1969」を「1」「9」「6」「9」の順に並べ、かつ、「1」を最も大きく、順に小さく、かつ、「9」「6」「9」の数字は互いに重なり合うようにGapJeans商標の背景に表示したり(甲97)、前記の態様を立体的に表したもの((甲98)の下段)は、子細にみれば「1」「9」「6」「9」の数字からなると理解されるとしても、その構成態様は、標準文字で表される本願商標とは、需要者に与える印象、記憶には格別の差異があるというべきであって、本願商標と同一の構成に係る商標が表示されたものとはいえない。
(オ)本願商標の使用開始時期、使用期間について
提出された証拠中に、「1969」の表示のある資料で日付のあるものは、「GAP HARAJUKU/FLAGSHIP STORE/01.19.10 SPRING1」(甲15、甲73、甲89ないし甲93)、「FALL 2009」(甲65)、「SPRING 2010」(甲21、甲66ないし甲68、甲97及び甲98)、「GAP Trans2-2 Harajuku 8/1/2009」(甲87)、「GAP Trans2-2 Nagoya Sakae 8/3/2009」(甲95)であるところ、いずれも2009年ないし2010年のものと推認しうる。
また、請求人は、証拠を示していないが、インターネットウェブサイトについて、甲65は、2009年8月より、甲66は、2010年1月19日より、甲68は、2010年1月18日から同年2月末まで、甲21は、2010年3月より、甲97は、2010年1月19日から同年2月末まで、それぞれ提供されていた旨を原審における意見書及び当審における審判請求の理由中で主張している。
そうすると、本件の全証拠に徴するも、本願商標の使用は、2009年8月以前にさかのぼることはないものであって、その使用期間も本件審決時まで最長で2年5月ほどにすぎない上に、インターネットウェブサイトには、1月余りしか提供されていなかったものが存する。
(カ)商標の使用地域について
上記(ア)のとおり、請求人が、日本全国に100以上の直営店を出店していることがうかがえる(甲2及び甲51)。
しかしながら、前記の直営店中で、その店舗の状況が推認しうる店舗は、「GAP HARAJUKU/FLAGSHIP STORE/01.19.10 SPRING1」(甲15、甲73、甲89ないし甲93)及び「GAP Trans2-2 Harajuku 8/1/2009」(甲87)と甲51とを総合して「Gapフラッグシップ原宿」(甲51の2)が推認され、また同様に、「GAP Trans2-2 Nagoya Sakae 8/3/2009」(甲95)及び「Nagoya Sakae」(甲96)と甲51を総合して「名古屋栄店」(甲51の4 2頁)店が推認されるにとどまるものである。
その他に、「MEIJI STREET」(甲88)、「OMOTESANDO STREET」(甲94)の表示のある書証があるにすぎず、これらも東京都内の明治通り、表参道であると解するならば、その店舗も東京23区内に存在するものと推認しうるにすぎない。
そうすると、本件全証拠に徴するも、状況が確認できる店舗は、東京都渋谷区ほか東京都23区内及び愛知県名古屋市という限られた地域に出店された店舗にすぎないものである。
(キ)製造又は販売の数量、営業の規模、広告宣伝の方法及び回数等
a 請求人は、本願の指定商品の製造、販売数量、広告宣伝の方法、回数などについて、主張及び立証をしていない。また、請求人は、営業規模に関連して、前記のとおり全国に直営店を100店舗以上展開していると主張(甲2及び甲51)しているものの、それらの直営店においては、「1969」に係る商品のみが販売されているのではないことは、請求人のインターネットウェブサイトに係る「PRODUCT」(http://gap.co.jp/product/)に徴すれば優に推認しうるから、前記証拠に係る直営店が全国各地に存するとしても、「1969」に係る商品及び役務の営業の規模が大きいものということはできない。加えて、「1969」との名称の店舗は存しないことはもとより、店舗の名称中に「1969」が含まれたものも存しない(甲2及び甲51)。
b インターネットウェブサイトのアクセス数
請求人は、甲65に関して、毎月60万件のアクセスがある旨主張する。
しかしながら、当該証拠には、GAPロゴ、GapJeans商標が使用されているものであって「1969」が単独で商標として認識されることはない。また、請求人は、その主張に係る月平均60万件のアクセスを立証していない。
c 広告としての使用
甲21は、その体裁から本願の指定商品についての販促品としてのトートバッグであると考えられるから、本願の指定商品についての広告的使用であると理解しうるものの、当該バッグが、いかなる地域で、どの程度の数量が、どれくらいの期間にわたり頒布されたのかも明らかではない。
(ク)本願の指定役務について
本願の指定役務は、「被服」に係る小売役務であるところ、「被服」は、身体に着るもの一般を内包するものであり、例えば、「和服」も「被服」に内包されるものである。
しかしながら、本願商標が、「和服」に係る小売役務について使用されたとは、本件の全証拠からも認められず、また、前記の請求人のインターネットウェブサイトに係る「PRODUCT」に徴しても、「和服」の取扱いは、認められない。
加えて、請求人は、いわゆるカジュアルウェアを取り扱っている(本件の全証拠及び前記の請求人のインターネットウェブサイトに係る「PRODUCT」)ところ、かかる業態の小売店舗において、「和服」の取扱いがなされていないことは、経験則上も明らかというべきである。
してみれば、本願商標は、少なくとも「和服」に係る小売役務について自他役務の識別標識として需要者に認識されているとはいえず、結局、本願の指定役務である「被服」に係る小売役務について、本願商標が自他役務の識別標識としての識別力を獲得するに至ったものとは、認められない。
(ケ)請求人の主張について
請求人は、「1969」とGAPロゴ及びGap商標とが併記されているとしても、また、本願商標と甲号各証に表された「1969」との構成の相違があるとしても、本願商標自体の使用である旨主張している。
しかしながら、前記アの判決の判示するとおり、本来的には自他商品ないし自他役務の識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品又は役務に使用された結果として、自他商品ないし自他役務の識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定である商標法第3条第2項の適用に際し、実際に商品又は役務に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではなく、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると、同条項は、厳格に解釈し適用されるべきである。
しかして、請求人も原審における意見書中2.2(3)において、「本願商標は、単なる数字の組み合わせである」と述べるように、本願商標は、本来的には、自他商品ないし自他役務の識別を果たす機能が何ら存在しないものであって、かつ、一私人の独占になじまないものである。加えて、標準文字にて表してなる本願商標は、4桁の数字の組み合わせを普通に用いられる方法で表したにすぎないものである。
これに対して、GAPロゴは、請求人の出所識別標識として需要者間に広く認識されているものであり、Gap商標も、GAPロゴと同一の欧文字のつづりからなるものであり、欧文字の大文字と小文字の差異が存するとしても、その識別標識として周知性はGAPロゴに準じるものであるから、前記のような「1969」のアラビア数字からなる本願商標とは、出所識別標識として、需要者に与える印象、記憶に格別の差があるというべきである。
したがって、GAPロゴなどと同時に「1969」の表示がなされたものがあるとしても、「1969」のみ単独で商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たすものとは言い難い。
さらに、請求人は、「1969」と「Gap」の欧文字が連続して表示されているとしても、その表示の大小、二段の表記、間隔を空けて表示する等、「1969」と「Gap」、「Jeans」等の文字が「一体化することを妨げるような表示態様」をとっている旨主張している。
しかしながら、請求人の主張する程度の構成態様の相違が、「1969」の数字部分と「Gap」の部分とを区分し、一体として認識することを妨げるような表示態様であるとは言い難く、むしろ、前記のようなGAPロゴ等の周知性をも踏まえれば、需要者は、GAPロゴ、Gap商標及びGapJeans商標並びに「GAP(Gap)」の文字を出所識別標識として強く認識するものというべきである。
加えて、甲号各証中には、前記のとおり、商品の写真の一部ないし小売店内及び小売店の入居するビルの外壁に「1969」のみで表示された証拠があるが、それらとても、GAPロゴも店舗の外壁に表示されて、当該ロゴにより集客がなされ、GAPの店舗であることを認識して需要者は、店舗内に立ち入って商品の品定めをするというのは、前記(ウ)aのとおりであるから、出所識別標識としての機能を「1969」が果たしているものとは言い難い。
してみれば、「1969」のみが単独で商品又は役務の出所を表示するものとは、認められない。
よって、前記の請求人の主張を採用することはできない。
(コ)請求人の主張に係るユーチューブ及びギャップ ジャパンのサイトの存在
請求人は、証拠の提出をせず、ユーチューブ(http://www.youtube.com/watch?v=V9WHXVhX4ms&)及びギャップ ジャパンのサイト(http://gap.co.jp/season_concept/summer1/)の存在を主張している。
しかしながら、請求人の主張するインターネットアドレスにより、前記のサイトを、本件審決の時点で、参照できないものである。
しかして、ユーチューブに係る映像は、2011年3月3日にオープンした「Gapフラッグシップ銀座店」を紹介したものであり、ギャップ ジャパンに係るサイトは、デニム製の被服の紹介であると、それぞれ請求人の主張するところである。
そこで、甲号各証中の店舗に係る写真、とりわけ「GAP HARAJUKU/FLAGSHIP STORE/01.19.10 SPRING1」(甲15、甲73、甲89ないし甲93)が「FLAGSHIP STORE」とあり、請求人に係る営業活動上の中心と位置づけられている旗艦店であることが理解され、「Gapフラッグシップ銀座店」もその店名中に「フラッグシップ」の文言があることから、同様に請求人に係る旗艦店であることが推認できることからすれば、当該「GAP HARAJUKU/FLAGSHIP STORE」とほぼ同様な店舗であると推認されるものである。
また、請求人の主張するデニム製の被服の紹介であるサイトも、ギャップ ジャパンのサイト中デニム製品に係る現在の内容(http://gap.co.jp/product/denim/)から、その内容が推認しうるところ、現在のサイトの内容は、インターネットウェブサイトの写し(甲65ないし甲69)から、認定しうる事実と異なるものではない。
してみれば、請求人の主張に係る前記ユーチューブないしインターネットウェブサイトの存在が、本件の判断を左右するものではない。
ウ 小括
以上からすれば、本願商標を構成する「1969」と同一の構成態様に係る商標が、本願指定商品及び指定役務と同一の商品及び役務について出所識別標識としての機能を果たす態様で使用されたということはできない。
また、本願の指定役務について、本願商標を構成する「1969」と同一
の構成態様に係る商標が使用されたということはできない。
さらに、本願商標を構成する「1969」と同一の構成態様に係る商標が、長期間にわたり継続的に使用されたということはできない。
加えて、本願商標を構成する「1969」と同一の構成に係る商標に係る商品又は役務の製造、販売の数量、営業の規模、広告が多大であるというような事情もない。
したがって、本願商標がその指定商品及び指定役務について使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品及び役務であることを認識することができるものとは認められない。
してみれば、本願商標は、前記1のとおりに補正された本願の指定商品及び指定役務について、商標法第3条第2項の要件を具備したものということはできない。
(3)結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条の規定により商標登録を認めることはできないものであり、また、同法第3条第2項の要件を具備するに至ったものとも認めることができない。
したがって、本願商標を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-12-13 
結審通知日 2011-12-14 
審決日 2012-01-06 
出願番号 商願2009-79010(T2009-79010) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X2535)
T 1 8・ 15- Z (X2535)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 前山 るり子
内田 直樹
商標の称呼 センキューヒャクロクジューキュー、イチキューロクキュー 
代理人 安村 高明 
代理人 山本 秀策 
代理人 森下 夏樹 
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