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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X0942
審判 査定不服 外観類似 登録しない X0942
審判 査定不服 観念類似 登録しない X0942
管理番号 1258191 
審判番号 不服2011-16407 
総通号数 151 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-29 
確定日 2012-05-07 
事件の表示 商願2010-44351拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年6月4日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同22年12月15日及び同23年2月7日付け手続補正書により、最終的に、第9類「業務用テレビゲーム機,電子手帳,電子辞書,電卓,携帯情報端末装置,電子出版物,家庭用テレビゲーム機,エレベーター操作装置,測量機械器具,測定機械器具,車載用情報端末,テレビ用デジタルチューナー,録画機械器具,CDプレーヤー,MDプレーヤー,MDレコーダー,DVDプレーヤー,DVDレコーダー,録画済の青紫色レーザーを用いた大容量光ディスク,未記録の青紫色レーザーを用いた大容量光ディスク」及び第42類「電子計算機のプログラム設計・作成又は保守,機械装置若しくは機器(これらの部品を含む)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,ナビゲーション装置用のコンピュータソフトウェアの提供」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録商標は、以下(1)ないし(6)のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらを「引用各商標」という場合がある。
(1)登録第1334953号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ジュピター」の片仮名を横書きしてなり、昭和47年10月20日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、同53年5月15日に設定登録され、その後、同63年4月20日、平成10年4月28日及び同20年4月8日の3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同年4月23日に、第16類「雑誌,新聞」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
(2)登録第2073634号の1商標(以下「引用商標2」という。)は、「JUPITER」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年6月26日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、同63年8月29日に設定登録され、その後、平成10年10月6日及び同20年7月15日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同21年1月21日に指定商品の書換登録がなされた後、同23年10月13日に商標権の分割移転がされた結果、指定商品を第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,レコード」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ但し、管楽器,管楽器の部品及び付属品を除く」、第20類「揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類」、第24類「ビリヤードクロス」、第25類「仮装用衣服」、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」及び第31類「釣り用餌」とするものである。
(3)登録第3081550号商標(以下「引用商標3」という。)は、「JUPITER」の欧文字(引用商標2とは、その書体が若干相違している。)を横書きしてなり、平成4年8月5日に登録出願、第12類「乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカ?,荷役用索道,カ?ダンパ?,カ?プッシャ?,カ?プラ?,牽引車,陸上の乗物用の動力機械器具,陸上の乗物用の軸,軸受け,軸継ぎ手,ベアリング,陸上の乗物用の動力伝導装置,陸上の乗物用の緩衝器,陸上の乗物用のばね,陸上の乗物用の制動装置,乗物用盗難警報器」を指定商品として、同7年10月31日に設定登録され、平成17年10月4日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
(4)登録第4900980号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成15年4月22日に登録出願された商願2003-37403の商標法第10条の規定による新たな商標登録出願(分割出願)として、平成17年1月24日に登録出願、第9類「コンピュータ,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具,電子回路」及び第42類「電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同年10月14日に設定登録されたものである。
(5)登録第4915704号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成15年4月22日に登録出願、第42類「電子計算機の貸与,ウェブサイトの作成又は保守,デザインの考案,電気に関する試験又は研究」を指定役務として、同17年12月16日に設定登録されたものである。
(6)登録第5148227号商標(以下「引用商標6」という。)は、「JUPITER」の欧文字(引用商標2及び3とは、その書体が若干相違している。)を横書きしてなり、平成19年2月27日に登録出願、第9類「テレビ電話,インターホン,電話機,音声送信装置,音声再生装置,録音機械器具(電気通信機械器具),電気通信機械器具用モデム,固定局多重通信機械器具,中継交換機,音声・映像受信機,車両用通信機械器具,携帯用通信機械器具」を指定商品として、同20年7月4日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、右側の一部分が欠けているオレンジ色の弧(以下「優弧」という。)の中心に、概略、縦長の図形を配し、その右側に「upiter」の欧文字を連ねた構成よりなるところ、近時、商標を構成する一部の文字をデザイン化し、他の文字と大きさを変えて表すことも一般に行われている実情がある。しかして、前記の縦長の図形をそれのみで観察した場合には、直ちにいかなる文字を表したものであるか認識しがたいとしても、その後に続く「upiter」の欧文字とのつながりを考慮すれば、「木星」の意味を有する我が国において広く親しまれた英語「Jupiter」を形成することから、当該図形は、欧文字「J」を表現したものとして看取されるというのが相当である。
また、当該図形の右上からやや左下に伸ばされた横棒の部位、当該横棒に接して右上からやや左下へ伸ばされた縦棒の部位、当該縦棒の最下部が左上に向けて丸みを帯びて湾曲する部位のいずれもが、欧文字「J」の特徴に合致するものである。
そうとすれば、本願商標は、優弧と「Jupiter」の欧文字から構成されてなるものというべきである。
次に、本願商標を構成する「Jupiter」の欧文字は、黒色で、優弧を構成する線よりも太い線で顕著に表され、とりわけ、欧文字「J」は、その縦棒の部位を二本の線で表してなるものであって、本願商標においては、当該「Jupiter」の文字部分が独立して見る者の注意をひくように構成されているというのが相当である。
また、前記のとおりの意味を有する英語「Jupiter」は、本願の指定商品及び指定役務との関係において、十二分に商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たしうるものである。
してみれば、本願商標の構成中、「Jupiter」は、需要者に対して、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、前記「Jupiter」を本願商標から抽出して、引用各商標と比較して商標そのものの類否を判断することも確立された商標法第4条第1項第11号に係る判例(昭和37年(オ)第953号 昭和38年12月5日最高裁判所第一小法廷判決言渡し、平成3年(行ツ)第103号 平成5年9月10日最高裁判所第二小法廷判決言渡し、平成19年(行ヒ)第223号 平成20年9月8日最高裁判所第二小法廷判決言渡し)に照らし、許されるというべきである。
したがって、本願商標はその構成中の「Jupiter」(以下、「本願商標の要部」ともいう。)に相応し、商品又は役務の出所識別標識として「ジュピター」の称呼及び「木星」の観念を生ずるものである。
(2)引用各商標
ア 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「ジュピター」の片仮名を横書きしてなるものであるから、その文字に相応して「ジュピター」の称呼を生じ、当該文字は、英語の「Jupiter」と同様の意味で広く親しまれたものであるから、「木星」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標2、3及び6は、前記2(2)、(3)及び(6)のとおり、「JUPITER」の欧文字を横書きしてなるところ、本願商標の文字部分と同様に、その文字に相応して「ジュピター」の称呼及び「木星」の観念を生ずるものである。
ウ 引用商標4及び5は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、黄土色の円の中心を白抜きに同心円として表し、その同心円の中心に赤色の小円を、その上部に「JUPITER」の欧文字を円弧状に湾曲させて書し、赤色の小円の直下に緑色の葉の様な図形を表してなるものである。しかして、その構成中の図形と文字部分とを結びつける事情も見当たらず、当該文字は、同心円の中心点上に明瞭に書されているものであることからすると、当該文字は、引用商標4及び5において強く支配的な印象を与えるものということができ、また、当該文字は、その指定商品及び指定役務との関係で十二分に自他商品ないし自他役務の識別標識として機能するものである。
してみれば、引用商標4及び5の構成中、「JUPITER」は、需要者に対して、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、前記「JUPITER」を引用商標4及び5から抽出して、本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することも前記(1)に掲げた最高裁判所の判例に照らし、許されるというべきである。
したがって、引用商標4及び5はその構成中の「JUPITER」(以下、「引用商標4及び5の要部」ともいう。)に相応し、商品又は役務の出所識別標識として「ジュピター」の称呼及び「木星」の観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用各商標との類否
ア 外観の対比
本願商標と引用各商標とは、その全体を観察するならば、外観における差異を有するものである。しかしながら、本願商標の要部と、引用商標2、3及び6を構成する「JUPITER」の文字並びに引用商標4及び5の要部とを対比するに、両者は、欧文字の大文字と小文字の差異を有するとしても当該差異が需要者の印象、記憶に残るものとまでは言い難い上に、そのつづりを共通にしており、その共通性が需要者の印象、記憶に残るというべきであるから、本願商標と引用商標2ないし6とは、外観上類似するものというべきである。
イ 称呼の対比
本願商標と引用各商標の称呼を対比すると、両商標は、「ジュピター」の称呼を共通にするものであり、その他の称呼を生ずる余地は、本願商標と引用各商標ともに存しないから、両商標は、称呼上類似するものというべきである。
ウ 観念の対比
本願商標と引用各商標の観念を対比すると、両商標は、「木星」の観念を共通にするものであるから、両商標は、観念上類似するものというべきである。
エ 商標の類否に係る取引の実情
前記アないしウの外観、称呼及び観念における商標の類似について、その判断を左右するに足りる取引の実情は、本件には見当たらない。
類否判断
(ア)本願商標と引用商標1とは、全体の外観において差異を有する。しかしながら、本願商標の要部と引用商標1との対比においては、その文字が欧文字と片仮名との差異があるにしても、称呼及び観念が共通である文字商標同士であることを踏まえれば、当該差異よりも称呼及び観念が共通することが需要者の印象、記憶に残るものというべきであって、両商標は、類似の商標といわざるを得ない。
(イ)本願商標と引用商標2ないし6とは、両商標の全体の外観に差異を有するとしても、本願商標の要部と引用商標2、3及び6並びに引用商標4及び5の要部との対比においては、前記アのとおり、両商標は外観上類似のものというべきである。加えて、両商標の称呼及び観念が共通であることをも考慮して両商標を全体的に考察すれば、類似の商標といわざるを得ない。
以上からすれば、本願商標と引用各商標とは、類似の商標というべきであって、かつ、本願商標の指定商品及び指定役務は、引用各商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、取引の実情として、本願の指定商品及び指定役務は、消費財となる一般の商品と異なり、その内容がマニアックな商品や専門的な装置やサービスの提供であって、ユーザが、その称呼の印象に基づいてその商品やサービスに興味を持ってその商品を購入したりサービスを導入するようなものではなく、ユーザがじっくりその内容を検討して、その商品の購入やサービスの導入を行なうものである。かかる商品や役務の内容は、一般的な商品と異なり、ユーザは、家電専門店等で、個々の商品を試用し、インターネットのポータルサイトを経由して、所望の商品やサービスを提供している業者等のホームページを参照してその役務の内容を吟味して自分のニーズに合っているのか、いないのか、判断する。また、電子計算機プログラム等に関連したパンフレット、雑誌、書籍等に記載された内容を参照して、そのサービスの内容を具体的に知った上でそのサービスの提供を受けるから、本件の類似判断は、聴覚ではなく、視覚から判断されるべきものである旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品及び指定役務と同一又は類似の引用各商標の指定商品及び指定役務について、「消費財となる一般の商品と異なり、その内容がマニアックな商品や専門的な装置やサービスの提供」と一概にいうことはできず、例えば、本願の指定商品中「電子手帳、電子辞書、電卓、電子出版物、家庭用テレビゲーム機、CDプレーヤー,DVDプレーヤー、DVDレコーダー」は、一般家庭にも普及している商品というべきであるから、請求人の前提とするマニアックな商品であるとか、専門的な装置とはいえない。
また、請求人は、需要者が商品、役務の購入、導入に際して、その内容を検討、吟味することを挙げているが、そもそも商品の購入やサービスの提供を受けるに当たり、需要者がその必要性、性能、仕様、デザイン、価格、対価など総合的に検討するとしても、そのことと商品ないし役務の出所の誤認混同をするかどうかの議論とは、同列に論じられるものではないから、請求人の主張は、その前提において当を得ないものである。
イ 請求人は、本願商標の外観は、「大きな円弧の一部に囲まれたIIに似た書体とそれに続くupiterの文字」からなるのに対して、引用商標2、3、6は全て大文字のアルファベットで表わされる「JUPITER」であり、引用商標1はカタカナの「ジュピター」であり、引用商標4および5は「ドーナツの図形の中に円弧状に大文字で『JUPITER』」である。これらの商標を比較して、本願商標は引用各商標とその外観は大きく異なり、明らかに非類似である。これは、原審に譲歩して「大きな円の一部に囲まれたIIに似た書体をアルファベットの大文字Jを意匠化したもの」と考えても同じである旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断をする際、複数の構成要素からなる結合商標については、その一部を抽出して対比し得るというのは、前記3(1)のとおり、最高裁判所の判例とするところである。しかして、本願商標並びに引用商標4及び5とは、前記3(1)及び(2)ウのとおり、それらの全体からその構成文字を抽出して商標の類否判断に資するのが適切である。また、引用商標2、3及び6は「JUPITER」の欧文字から構成されるから、その構成全体をもって判断するのが相当である。
してみれば、商標の類否判断をすべき文字部分においては、前記3(3)のとおり、本願商標と引用商標2ないし6とは、外観上類似のものと判断するのが相当である。
ウ 請求人は、本願商標は、「大きな円弧の一部に囲まれたIIに似た書体とそれに続くupiterの文字」からなるから、明確に生ずるのは「ユピター」という称呼だけである。最初のIIに似た書体をどのように読むのかが不明であるため、これを「アイアイ」と読めば、「アイアイユピター」となる。また、本願商標は、基本的に図形付きの造語であるため、通常これに接した人はこの商標を発音して使用しない。これに対して引用各商標は、明らかに「ジュピター」の称呼を有する。したがって、当然両者は聴覚的に相違するから、本願商標の称呼と引用各商標との称呼とは非類似である旨主張する。
しかしながら、本願商標は、優弧と「Jupiter」の欧文字から構成されているというのは、前記3(1)のとおりである。
また、職権をもって調査したところ、請求人は、その業務に係る製品情報として、「製品一覧」中「高信頼性ファイルシステム『Jupiter』」として、本願商標を表示するとともに、その説明として「高信頼性ファイルシステム『Jupiter』(ジュピター)の開発、カスタマイズおよびサポートを行っています。フラッシュメモリやSSD、HDDやeMMCなど、あらゆるストレージデバイスをご利用の機器で強固な信頼性を築きます。」と記載している(http://www.kyoto-sr.co.jp/products/index.html)。
そうとすれば、請求人が自らのインターネットウェブサイトに掲載している製品情報に係る商標と同一の本願商標を「大きな円弧の一部に囲まれたIIに似た書体とそれに続くupiterの文字」からなると主張すること自体、失当である。
しかして、本願商標の文字部分は、「Jupiter」からなるところ、その称呼は、「ジュピター」というべきである。そして、請求人も自認するように引用各商標からは「ジュピター」の称呼を生ずるから、本願商標と引用各商標とは、称呼を共通にするものである。
さらに、請求人は、本願商標は図形付の造語であるから、これに接する需要者は、称呼をしない旨主張するが、図形と文字からなる商標から称呼を生じないとの主張は、経験則に反する上、その主張を裏付けるような的確な証拠の提出もなく、前記の請求人の製品情報に係るインターネットウェブサイトの記載に照らしても、当該主張は失当といわざるを得ない。
エ 請求人は、本願商標は「大きな円の一部に囲まれたIIに似た書体とそれに続くupiterの文字」からなるから、基本的に新たに作成されたものであり、造語である。したがって、何らの特定の観念を生じない。これに対して引用商標はすべて「ジュピター」の称呼を有するため、「ローマ神話の天空神」という観念を有するから、本願商標と引用各商標とは、その観念も大きく異なる旨主張する。
しかしながら、本願商標は、「Jupiter」の欧文字を顕著に有してなり、当該文字から「木星」の観念を生ずるというのは、前記3(1)のとおりである。また、引用各商標は、前記3(2)のとおり、いずれも「木星」の観念を生ずるものである。そうとすれば、本願商標と引用各商標とは、観念を共通にするものである。
オ 請求人は、原審が、本願商標は「J」の文字を図案化した「Jupiter」の文字から構成され、「ジュピター」の称呼を生じさせると説示したことを捉え、かかる具体的に何らの検討をすることのない一方的な認定は、意図的に本願商標と引用各商標との称呼が類似していることを印象づけて本願商標を拒絶しようとしているとしか思えず、原審の認定は理由がない旨主張する。
しかしながら、前記3(1)のとおり、本願商標の文字部分は、「Jupiter」の文字からなるものと看取されるものであるところ、原審が本願商標の文字部分の先頭の文字を「J」と認定したことは何ら不自然ではなく、妥当な認定というべきであるから、その認定に特段の説示をなしていないことが、直ちに、意図的に本願商標を拒絶しようとしたものということはできない。また、本件の審理は、原審の説示の正否を検討することを目的とするものではなく、本願商標が商標法所定の登録要件との関係において商標登録を許容すべきか否かを審理するものである。しかして、本願商標は、引用各商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当するものというべきなのは、前記3(3)のとおりである。
よって、前記の請求人の主張は、いずれも理由がなく採用することはできない。
(5)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)

(色彩については原本参照)

別掲2(引用商標4、引用商標5)

(色彩については原本参照)


審理終結日 2012-02-23 
結審通知日 2012-02-28 
審決日 2012-03-16 
出願番号 商願2010-44351(T2010-44351) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X0942)
T 1 8・ 263- Z (X0942)
T 1 8・ 261- Z (X0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子

商標の称呼 ジュピター、ユピテル 
代理人 森下 八郎 
代理人 竹内 直樹 
代理人 吉田 博由 
代理人 伊藤 英彦 
代理人 田中 勝也 

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