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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X38
審判 全部申立て  登録を維持 X38
審判 全部申立て  登録を維持 X38
管理番号 1256585 
異議申立番号 異議2011-900379 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-24 
確定日 2012-05-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5427314号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5427314号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5427314号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成23年1月7日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成23年6月14日に登録査定、同年7月22日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第8号
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の著名な略称である「PLAYBOY」を含む商標であり、申立人の承諾を得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
申立人の使用する「PLAYBOY」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商標として、我が国はもとより、世界的にも広く知られており、また、申立人の社名の略称としても著名なものである。
してみると、著名な引用商標を含む本件商標をその指定役務について使用した場合は、需要者に、申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号
引用商標は、世界的に著名な商標であり、本件商標は、引用商標に類似する商標である。
してみると、本件商標は、引用商標にフリーライドする目的をもって出願したものといわざるを得ないから、その出願には、不正の目的があったというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 甲第2号証ないし甲第11号証、甲第14号証の1及び2、甲第16号証、甲第20号証ないし甲第25号証、甲第29号証ないし甲第30号証の2、甲第33号証ないし甲第38号証、甲第40号証、甲第51号証ないし甲第55号証を総合すると、以下の事実を認めることができる。
申立人は、1953年に、男性向け月刊雑誌「PLAYBOY」(以下「PLAYBOY誌」という。)を米国において創刊し、現在では、世界29カ国にPLAYBOY誌を出版する米国の企業である。PLAYBOY誌は、女性のヌード写真を中心に、ファッション、スポーツ、小説等を内容とする雑誌であって、2004年(平成16年)1月号で創刊50周年を迎えた。PLAYBOY誌は、我が国においても、株式会社集英社を通じて日本語版が発行され、題号やその内容等の特異性が話題となり、引用商標の知名度を高めたが、不況による広告収入の減少や雑誌離れなどが進んだことを理由に、2008年(平成20年)11月下旬に発行された2009年1月号をもって休刊した(以上甲2、甲7等)。また、申立人は、PLAYBOY誌にちなんだナイトクラブ「PLAYBOY CLUB」の経営事業を行った(甲20?甲25)。さらに、申立人は、1982年(昭和57年)に、ケーブルテレビと提携して、「Playboy TV」(PLAYBOY Channel)を開局し、我が国では、委託放送事業者である株式会社プレイボーイ・チャンネル・ジャパン(株式会社東北新社の連結子会社)の運営により、1995年(平成7年)より、PLAYBOY誌に掲載されたグラビアモデル出演のイメージビデオやアダルトビデオなどの放送を開始した(甲7、甲29?甲30の2)。また、申立人は、1999年(平成11年)に、引用商標等を付した被服、雑貨、ランジェリー、化粧品等の小売業を展開したり、さらに、引用商標を含む申立人の有する商標等について、商品化権に関するライセンス契約をライセンシーとの間で締結し、これら商標を付した被服、下着、靴下、アクセサリー、時計、香水、バッグ等など様々な商品がランセンシーにより日本国内の市場において販売等されている(甲7、甲33、甲34、甲40、甲51?甲55)。そして、引用商標は、世界の多くの国において登録を受けており(甲35)、また、英国のライセンス業界などにおいても世界的な著名商標であるとの認定を受けている(甲36の1?甲38)。
イ 前記アで認定した事実によれば、引用商標は、申立人の発行に係る男性向け月刊雑誌の題号を表示するものとして、本件商標の登録出願日(平成23年1月7日)前より、米国はいうまでもなく、我が国においても、需要者の間に広く認識されていたというべきであり、その著名性は、本件商標の登録査定日(平成23年6月14日)においても継続していたものと認めることができる。
しかしながら、引用商標が、上記のとおり、申立人の発行に係る男性向け月刊雑誌の題号を表示する商標として本件商標の登録出願前より、世界的に知られたものであり、引用商標に接する我が国の需要者がこれより直ちに、申立人の発行するプレイボーイ誌を想起することは認め得るとしても、申立人の行う、ナイトクラブ、テレビ放送、商品化事業などといった他の事業は、いずれもプレイボーイ誌に起因するものであり、プレイボーイ誌と切り離して、独自に周知性を獲得したと認めるに足りる証拠の提出はない。さらに、引用商標から直ちに、申立人の発行するプレイボーイ誌を想起するのと同程度に、我が国の需要者が「PLAYBOY」の文字より申立人の略称を表したと認識するものとは、申立人の提出した証拠を総合しても、認めることはできないし、また、これを認めるに足りる証拠も見出せない。
(2)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「PLAYBOY ARMY」(「PLAYBOY」と「ARMY」の各文字の間には半字程度の間隔がある。)の文字とやや小さく表した「プレイボーイ アーミー」(「プレイボーイ」と「アーミー」の各文字の間には半字程度の間隔がある。)の文字を二段に横書きにしてなるものであるところ、それぞれの文字部分は、同一の書体で書されているばかりでなく、構成する文字全体に、緑色、茶色及び黒色がやや不規則に施されているものであって、当該色彩は看者の印象に強く残るものといえる。
してみると、本件商標を構成する「PLAYBOY ARMY」の文字と「プレイボーイ アーミー」の文字は、片仮名部分が欧文字部分の読みを特定したものと理解されることも相俟って、構成全体として、外観上統一感のある一体的な商標として看取されるということができる。また、本件商標より生ずると認められる「プレイボーイアーミー」の称呼もよどみなく称呼し得る程度のものといえる。さらに、本件商標中の「PLAYBOY」、「プレイボーイ」の文字部分は、「道楽者、遊び人」等を意味する英語及びその片仮名表記として、また、「ARMY」、「アーミー」の文字部分は、「軍隊、部隊」等を意味する英語及びその片仮名表記として、いずれも我が国において広く親しまれているものといえるから、本件商標からは、「道楽者部隊」などの意味合いが想起され、観念上も一体のものとして理解されるものである。
そうすると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、「PLAYBOY」、「プレイボーイ」の文字部分と「ARMY」、「アーミー」の文字部分との一体不可分性は決して弱いものということはできないから、構成全体をもって、一つの商標を表したと理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「プレイボーイアーミー」の一連の称呼及び「道楽者部隊」などの観念を生ずるものであって、その構成中の「PLAYBOY」、「プレイボーイ」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人の発行に係る男性向け月刊雑誌の題号を表示する商標として著名性を獲得しているものであるとしても、申立人の略称を表すものとして、本件商標の登録出願時に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。
また、本件商標は、前記(2)認定のとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるというのが相当であるから、その構成中の「PLAYBOY」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではない。
したがって、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標ということはできないから、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る男性向け月刊雑誌の題号を表示する商標として、本件商標の登録出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
しかしながら、本件商標は、前記(2)認定のとおり、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであるから、「PLAYBOY」の文字よりなる引用商標とは、商標それ自体において別異のものというべきである。
また、本件商標が使用される通信関連の役務と引用商標が使用される男性向け月刊雑誌とは、一般的には、事業者が異なる場合が多いほか、取引の対象、形態、流通経路、商品の販売場所・役務の提供場所、商品・役務の目的等においても相違するものであるから、関連性の高い役務・商品ということはできない。
この点に関し、申立人は、その関連会社を通じて、本件商標の指定役務と高い関連性を有する「Playboy TV」(PLAYBOY Channel)等を運営している旨主張するところ、上記テレビ放送の例をとってみれば、当該テレビ放送が、我が国において1995年(平成7年)に開局したことは認め得るとしても、「Playboy TV」(PLAYBOY Channel)は、成人向け有料チャンネルであり、放送する内容がPLAYBOY誌に掲載されたグラビアモデル出演のイメージビデオやアダルトビデオなどであって、その視聴者は極めて限定されていると推認されるところであるから、本件商標の登録出願時に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないのみならず、「Playboy TV」又は「PLAYBOY Channel」の文字よりなる商標は、本件商標とは、商標において別異のものである。
以上によれば、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起又は連想することは、極めて少ないというのが相当であるから、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、その需要者をして、該役務が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(5)商標法第4条第1項第19号について
前記(2)認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと理解されるものであって、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標の商標権者が、本件商標を出願し、登録を得ることについて、引用商標の著名性に便乗し、不正に利益を得ようとする意図があったということはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとする申立人の主張は理由がない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)

(色彩については、原本参照)

異議決定日 2012-04-27 
出願番号 商願2011-580(T2011-580) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X38)
T 1 651・ 23- Y (X38)
T 1 651・ 222- Y (X38)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 前山 るり子
板谷 玲子
登録日 2011-07-22 
登録番号 商標登録第5427314号(T5427314) 
権利者 株式会社日本ビデオセンター
商標の称呼 プレイボーイアーミー 
代理人 三宅 始 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 
代理人 中山 健一 

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