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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X05
審判 全部申立て  登録を維持 X05
審判 全部申立て  登録を維持 X05
管理番号 1256584 
異議申立番号 異議2011-900376 
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-14 
確定日 2012-05-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5427651号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5427651号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5427651号商標(以下「本件商標」という。)は、「レバリーゼ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年2月23日に登録出願され、第5類「薬剤」を指定商品として、同年7月11日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する11件の登録商標(これらの登録商標を総称するときは、以下「引用商標」という。)は、別掲(1)ないし(11)のとおりであり、引用商標は、いずれも申立人が商標権者であり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、片仮名で「レバリーゼ」と書してなり、構成文字に応じて「レバリーゼ」の称呼を生じる。本件商標の前半部「レバ」は、「肝臓」を表す英語「liver」(甲13)を短縮したもので、後半部「リーゼ」は溶解するという意味の英語「lyse」に相当する(甲14)。全体として「肝臓を溶解したもの」という観念を生じるか、そのような品質を連想させる表示である。
引用商標は、片仮名「ヘパリーゼ」、欧文字「Hepalyse」のいずれか若しくは両方及びそれらと図形又は文字の結合商標である。いずれかの商標においても、引用商標の商標権者による独創的な造語「ヘパリーゼ」、「Hepalse」が需要者に注目され、自他商品識別力を特に強く発揮する商標の要部として機能する。「ヘパリーゼ」は「Hepalyse」の自然な読みに相当するので、すべての引用商標から「ヘパリーゼ」の称呼が生じる。商標の前半部「ヘパ」、「Hepa」は、「肝臓の」という意味の英語「hepatic」(甲15)を短縮したもので、後半部「リーゼ」、「lyse」は溶解するという意味の英語である。全体としては肝臓を溶解したものという観念を生じるか、そのような品質を連想させる表示である。
外観について対比すると、引用商標1及び3ないし11は、片仮名「ヘパリーゼ」が商標の要部として分離観察され、本件商標「レバリーゼ」とは文字数が5文字で同一、後半3文字「リーゼ」が一致、2文字目の「パ」と「バ」は外観上極めて紛らわしく、1文字目「へ」と「レ」は何れも1つの折れ線のみからなる外観の類似した片仮名である。全体としても隔離観察したときに見誤るおそれがある程度に類似している。
称呼について対比すると、引用商標より生ずる「ヘパリーゼ」の称呼は、本件商標「レバリーゼ」と音数において同一、後半3音「リーゼ」が一致、2文字目の「パ」と「バ」は半濁音と濁音の相違にすぎず極めて紛らわしく、1文字目の「へ」と「レ」は母音「エ」を共通にする近似音である。全体としても電話取引において聞き誤る程度に類似している。
観念について対比すると、前述のとおり、引用商標及び本件商標のいずれも「肝臓を溶解したもの」という観念を生ずるか、そのような品質を連想させるため、同一又は類似する。
本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念において類似する。
そして、本件商標と引用商標の指定商品は、互いに抵触するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
申立人の営業努力と製品の品質の高さから、引用商標には極めて高度に信用が化体した。
引用商標を付した商品「新ヘパリーゼ」は1979年3月に発売開始され、「新ヘパリーゼプラス」は1996年2月から現在に至るまで継続して販売されている(甲16)。近年、商品バリエーションも追加され、引用商標を付した商品として「新ヘパリーゼドリンク」、「ヘパリーゼHi」、「ヘパリーゼキング」がある(甲17)。
広告宣伝活動も積極的に行われ、2009年以降に限定しても甲第18号証ないし甲第20号証に示す大規模なテレビ広告、甲第21号証ないし甲第29号証に示す雑誌広告の実績がある。
営業活動及び広告活動の結果、引用商標を付した製品は、需要者に良く知られるようになった。2008年4月ないし2011年2月の毎月売上金額は右肩上がりに上昇し、2010年12月には販売金額が類薬中トップのシェアとなっている(甲30)。すなわち、滋養強壮剤の分野において引用商標を付した製品は周知又は著名となった。
本件商標「レバリーゼ」を薬剤、滋養強壮変質剤に使用すると、周知又は著名な引用商標を需要者に連想させ、あるいは引用商標を付した商品のOEMかシリーズ商品であるかのごとき誤解を需要者に与える。本件商標の使用は、引用商標に化体した顧客吸引力へのフリーライド又は広義の誤認混同を惹起する行為である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「レバリーゼ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔でまとまりよく一体的に表現されているものであり、我が国においては構成全体として特定の意味を有する語として知られているものではなく、特定の意味を有しない一種の造語と認識されるものであるから、該構成文字に相応して「レバリーゼ」の称呼を生じ、また、特定の観念を生じないというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、「ヘパリーゼ」、「Hepalyse」若しくは「HEPALYSE」の文字若しくはこれらの結合又はこれらと図形との結合であるところ、いずれの商標においても造語と認められる「ヘパリーゼ」、「Hepalyse」又は「HEPALYSE」の文字部分が自他商品識別標識としての機能を強く発揮する部分と認められるから、引用商標からは、「ヘパリーゼ」の称呼が生じ、また、特定の観念を生じないというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標と引用商標2とは、それぞれ、その構成が「レバリーゼ」の片仮名からなるものと「Hepalyse」の欧文字からなるものであるから、外観において十分区別し得ることは明らかである。
また、本件商標は、引用商標1及び3ないし11との比較において、それぞれの構成からみて、全体の外観において十分区別し得ることは明らかであるところ、引用商標1及び3ないし11の構成中の「ヘパリーゼ」の文字部分の外観とを対比しても、両者は、後半部の「リーゼ」の文字を共通にするものの、前半部において「レバ」と「ヘパ」の各文字の明確な差異を有するから、互いに紛れるおそれがなく十分区別することができる。
(イ)本件商標の称呼「レバリーゼ」と引用商標の称呼「ヘパリーゼ」とを対比すると、両者は、語尾において「リーゼ」の各音を共通にするものの、語頭において「レバ」と「ヘパ」の各音の差異を有するので、それぞれを一連に称呼したときは、語調、語感が相違し、互いに紛れるおそれがなく十分聴別し得るものである。
(ウ)本件商標と引用商標とは、共に特定の観念を生ずるものではないから、観念において比較することができない。
この点について、申立人は、本件商標と引用商標とは、共に全体として「肝臓を溶解したもの」という観念を生じる旨主張する。
しかしながら、本件商標は、これを「レバ」と「リーゼ」に分離した場合において、「レバ」の文字が「肝臓」の意味を有する英語「liver」を想起させるときがあるとしても、我が国において、「lyse」が「溶解する」との意味を有する英単語として広く知られているとはいえないことからすれば、「リーゼ」の文字部分が英語「lyse」に相当すると解するのは適切とはいえないものであり、また、上記アのとおり、一連一体の特定の意味を有しない造語と認識されるというべきものであるから、全体として「肝臓を溶解したもの」という観念を生じるとする主張は採用できない。
また、引用商標における「ヘパリーゼ」、「Hepalyse」又は「HEPALYSE」の各文字は、本件商標と同様に、それぞれ前半部分と後半部分に分離した場合において、我が国において、「hepa」が「肝臓の」の意味を有する英語「hepatic」の短縮したものとして、また、「lyse」が「溶解する」の意味を有する英単語として、それぞれ広く知られているとはいえないことからすれば、「ヘパ」、「Hepa」又は「HEPA」の文字部分が「肝臓の」の意味を有する上記英単語を、また、「リーゼ」、「lyse」及び「LYSE」の文字部分が「溶解する」の意味を有する英単語を、それぞれ想起させることはないとみるのが相当であり、さらに、上記イのとおり、一連一体の特定の意味を有しない造語と認識されるものであるから、全体として「肝臓を溶解したもの」という観念を生じるとの主張も採用できない。
そうすると、本件商標は、引用商標と観念が同一又は類似するとはいえないものである。
(エ)したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似するものではない。
エ 小括
以上を総合すると、本件商標は、引用商標とは互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当であり、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
申立人は、滋養強壮剤の分野において引用商標を付した製品は周知又は著名となった旨主張するが、仮に、引用商標が申立人の業務に係る当該商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時において取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標は、上記(1)で認定したとおり、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標1(登録第722201号商標)
商標 :

出願日 :昭和40年3月10日
登録日 :昭和41年10月6日
指定商品:第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」

(2)引用商標2(登録第3322379号商標)
商標 :

出願日 :平成6年8月5日
登録日 :平成9年6月13日
指定商品:第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕輪,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙」

(3)引用商標3(登録第3322380号商標)
商標 :

出願日 :平成6年8月5日
登録日 :平成9年6月13日
指定商品:第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕輪,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙」

(4)引用商標4(登録第4018478号商標)
商標 :

(色彩については原本参照)
出願日 :平成7年7月4日
登録日 :平成9年6月27日
指定商品:第5類「薬剤」

(5)引用商標5(登録第4583708号商標)
商標 :

出願日 :平成12年12月26日
登録日 :平成14年7月5日
指定商品:第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,防虫紙」

(6)引用商標6(登録第4911704号商標)
商標 :

(色彩については原本参照)
出願日 :平成17年3月31日
登録日 :平成17年12月2日
指定商品:第5類「シロップ状・液状の薬剤」及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(7)引用商標7(登録第4911705号商標)
商標 :

(色彩については原本参照)
出願日 :平成17年3月31日
登録日 :平成17年12月2日
指定商品:第5類「肝臓水解物を主原料としビタミンE及びビタミンB類を配合した薬剤」及び第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(8)引用商標8(登録第5126994号商標)
商標 :

出願日 :平成19年5月18日
登録日 :平成20年4月11日
指定商品:第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド」並びに第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品

(9)引用商標9(登録第5193957号商標)
商標 :

出願日 :平成20年5月12日
登録日 :平成21年1月9日
指定商品:第5類「薬剤」

(10)引用商標10(登録第5313054号商標)
商標 :

出願日 :平成21年7月3日
登録日 :平成22年4月2日
指定商品:第5類「薬剤」

(11)引用商標11(登録第5313055号商標)
商標 :

出願日 :平成21年7月3日
登録日 :平成22年4月2日
指定商品:第5類「薬剤」

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異議決定日 2012-04-26 
出願番号 商願2011-12451(T2011-12451) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (X05)
T 1 651・ 261- Y (X05)
T 1 651・ 262- Y (X05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 亨子
酒井 福造
登録日 2011-07-22 
登録番号 商標登録第5427651号(T5427651) 
権利者 米田薬品工業株式会社
商標の称呼 レバリーゼ 
代理人 河本 悟 
代理人 川原 健児 
代理人 島田 明宏 

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