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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X30
管理番号 1255275 
審判番号 不服2010-25169 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-09 
確定日 2012-04-06 
事件の表示 商願2009-78451拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「三笠焼」の文字を縦書きで表してなり、第30類「菓子及びパン,茶,コーヒー及びココア,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,即席菓子のもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」を指定商品として、平成21年10月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は『三笠焼』の文字を、普通に用いられる方法で書してなるところ、該文字は、本願指定商品を取り扱う業界において、『どら焼き』の意味合いを表す語として一般に使用されている実情があることからすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者・取引者は、当該商品が『どら焼き』であることを認識するにとどまり、また、これを上記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといえる。したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知の要旨
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。

4 証拠調べに対する意見の要旨
請求人は、前記3の「証拠調べ通知」に対し、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本願商標は、「三笠焼」の文字を縦書きで表してなるところ、別掲の証拠調べ通知のとおり、「三笠焼(みかさ焼)」及び「三笠(みかさ)」の文字が、「どら焼き」の別称を表す語として一般的に使用されている実情が見られる。
してみれば、「三笠焼」の文字からなる本願商標を、その指定商品中「どら焼き」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、単に、商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきものであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、本件審判の請求時に、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録すべきである旨述べているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるから、当該主張は採用できない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知)
1 「どら焼き」について、「三笠焼」「みかさ焼」の文字が使用されている事例について
(1)「奈良の食文化研究会」のウェブサイトにおいて、「奈良新聞連載 出会い大和の味」の見出しの下、「三笠焼き/・・・奈良銘菓『三笠焼き』・・・関東では『どら焼き』(武蔵坊弁慶が銅鐸の上で焼いたとされる説もある)と言われこし餡が、関西は『三笠焼き』と称し粒餡入りが好まれるようです。・・・三笠焼きは、ふる里(東向通り)、萬勝堂(東向中町)、千寿庵吉宗(押上町)などで各店餡にも工夫をこらし、直径十センチから二十一センチ前後、百五十円から千四百円くらいで販売されています。また鶴屋徳満(下御門町)では天皇の成人式に献上したことから『献上みかさ(大、直径十四センチ、六百八十三円)』と名づけています。・・・若草山のように愛敬があり、疲れた心を和ませてくれる三笠焼き。・・・」の記載がある(http://nara-shokubunka.jp/yamato/16-09.html)。
(2)「菓匠庵 平和堂」のウェブサイトにおいて、「おすすめのお菓子/オンラインショッピング」の見出しの下、「羽衣(はごろも)/三笠焼、どら焼ともいわれお菓子の代名詞ともなった羽衣。小倉あんをたっぷりサンドしたカステラ生地の三笠です。」の記載がある(http://www.heiwado.info/shop/10.html)。
(3)「じゃらんnet」のウェブサイトにおいて、「【お土産】三笠焼き/奈良のお菓子で思い浮かぶのは・・・三笠焼。三笠焼を端的に表すと、『巨大どら焼き』です。直径20センチくらいの三笠焼きがよく売られています。・・・土産屋に行けば必ずといっていいほど三笠焼きが置いてます。・・・」の記載がある(http://www.jalan.net/jalan/doc/theme/yadolog/omiyage/omiyage_0000430173.html)。
(4)「レラサッポロドットコム」のウェブサイトにおいて、「札幌スイーツ特集」の見出しの下、「宗家 源 吉兆庵の津弥(つや)/同封のリーフレットには以下記載されている『津弥 選りすぐりの小豆をたっぷりと使用した三笠焼『津弥』。じっくりと時間をかけて炊いた艶やかな餡を、ふっくらと焼き上げた生地ではさんで仕上げました。甘さを控えた餡とふっくらとした生地が絶妙に調和した口あたりのやさしい三笠焼です。(関西ではどら焼きのことを『三笠焼き』ともいう)」の記載がある(http://rera-sapporo.com/sweets/kitchoan200908a.html)。
(5)「第25回吹田産業フェア」のウェブサイトにおいて、「吹田名物探訪第5弾」の見出しの下、「吹田名物探訪味自慢コンテスト第5弾みかさ・どら焼き編」の項において、「今年も吹田名物探訪 味自慢コンテストで試食会を開催いたします。第21回(和菓子)、第22回(コロッケ)、第23回(クロワッサン)、第24回焼き菓子(フィナンシェ、マドレーヌ)に引き続き今回は『三笠焼き』がテーマです。・・・」の記載がある(http://suita.jp/2008/meibutsu.html)。

2 「どら焼き」について、「三笠」「みかさ」の文字が使用されている事例について
(1)「総合調理用語辞典」(社団法人全国調理師養成施設協会:2010年1月26日第1版第1刷発行)には、「三笠」の見出し語の下、「奈良県の銘菓。通常、やや膨らんだ円盤状のカステラ生地2枚に、小豆あんを挟み込んだ和菓子。一般的にどら焼きと呼ばれる菓子と同じ形状をしているが、関西では奈良を中心として三笠の呼称が優勢のようである。・・・」の記載がある(1157頁)。
(2)「和菓子と日本茶の教科書」(株式会社新星出版社:2008年12月15日初版発行)の「第3章 定番の和菓子」の項には、「どら焼き」の見出し語の下、「・・・また、現在どら焼きは『三笠』とも呼ばれていて、関西ではこの呼び名の方がポピュラーです。・・・」の記載がある(110頁)。
(3)「【イブニングマガジン】鍋屋横丁界隈 庶民の歴史を刻む“鍋横”歩く」の見出しの下、「・・・『鳳月堂』の三笠(180円)は、ボリュームがあると評判のどら焼。・・・」の記載がある(2000.07.25 産経新聞東京夕刊 7頁)。
(4)「菓子ひなみ 三笠 京阿月(京都市上京区)」の見出しの下、「・・・卵と砂糖、小麦粉、蜂蜜(はちみつ)の生地を鉄板で焼き、粒餡(つぶあん)や白餡、栗入り粒餡を挟む三種を作る。関東では一般にどら焼(やき)と呼ぶ。」の記載がある(2006.04.14 京都新聞朝刊17版 1頁)。
(5)「街ブラいっぴん=静岡・北街道-どら焼きとカステラ(長崎かすてら鵜殿菓舗)」の見出しの下、「・・・どら焼き『三笠』は一個百二十円。・・・」の記載がある(2006.06.22 静岡新聞夕刊 5頁)。
(6)「洛中洛外 京都国際マンガミュージアムがオリジナル三笠」の見出しの下、「◇京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)は、ミュージアムの公式キャラクターデザインを刻印したオリジナル三笠(どら焼き)の販売を始めた。・・・」の記載がある(2007.06.01 京都新聞夕刊7版 11頁)。
(7)「ショップ散策 和菓子店 大黒屋製菓」の見出しの下、「・・・■大本八重子副店長 どら焼き『三笠』がお薦めです。中身のつぶあんは厚さ1センチ以上ありボリュームたっぷり。北海道産の大粒の小豆を使っています。生地は柔らかい食感にしています。・・・」の記載がある(2007.07.26 中国新聞夕刊 夕経済)。
(8)「達人直伝! 定番おうちおやつ 塩芳軒 高家昌昭さんに習う とら焼 お正月にちなみトラ模様で 中味はお好み、子どもと作って」の見出しの下、「・・・使うのは三笠(どら焼)の生地。・・・」の記載がある(2009.12.24 京都新聞夕刊 8頁)。
(9)「(しつもん!ドラえもん:49)ことばづかい編」の見出しの下、「ドラえもんの大好物(だいこうぶつ)『どら焼(や)き』。関西(かんさい)などでは別(べつ)の名前(なまえ)でもよぶそうだけど何(なん)ていうの?・・・」の記載がある(2010.02.20 朝日新聞東京朝刊 1頁)。
同じく、「(しつもん!ドラえもん:49)ことばづかい編 こたえ」の見出しの下、「『三笠(みかさ)』ともいう/奈良(なら)にある山(やま)の名前(なまえ)からついたんだって。京都(きょうと)には棒(ぼう)の形(かたち)のどら焼(や)きがあるそうだし、かわにあんこをはさんだ同(おな)じおかしでも、地域(ちいき)で名前(なまえ)や形(かたち)がちがうんだね。・・・」の記載がある(2010.02.20 朝日新聞東京朝刊 7頁)。
(10)「京都の和菓子☆ドットコム」のウェブサイトにおいて、「どら焼き・どらやき・ドラ焼き・三笠(みかさ)とは?」の見出しの下、「『三笠(みかさ)』とは、関西でのドラ焼きの別名/・・・京都ではドラ焼きの事を三笠(みかさ)と呼んでいます。・・・」の記載がある(http://kyoto-wagasi.com/teiban/mikasa.html)。
(11)「高田一ぷく堂」のウェブサイトにおいて、「三笠」の見出しの下、「関西では三笠、関東ではどら焼き」の記載がある(http://www.kintokimaru.com/original-sweets/mikasa/mikasa.html)。
(12)「永楽屋オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「みかさ/・・・十勝産の粒餡に刻み栗を入れた『みかさ(三笠/どら焼き)』です。・・・」の記載がある(http://shop.eirakuya.co.jp/ja/item/113/%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%81%95/)。
(13)「(有)なかね製菓」のウェブサイトにおいて、「どら焼き」の見出しの下、「・・・どら焼きの由来/どら焼きは、その形が金属製打楽器の『銅鑼』に似ていることから名付けられたとも言われており、関西では奈良の三笠山に見立てて『三笠』とも呼ばれています。・・・」の記載がある(http://nakane-seika.com/dorayaki.html)。
(14)「越山甘清堂」のウェブサイトにおいて、「三笠(弔事用)/弔事にお使いいただけるどら焼きです。・・・」の記載がある(http://www.koshiyamakanseido.jp/shopping/tyoji/post_52.html#more)。

3 「焼」の文字が、「菓子」との関係において、「焼菓子」を表す語として、「○○焼」のように使用されている事例について
(1)「改訂調理用語辞典」(社団法人全国調理師養成施設協会:平成10年12月25日改訂版第1刷発行)には、以下の記載がある。
ア 「あゆやき【鮎焼き】」の見出し語の下、「中花種の焼き菓子。・・・」の記載がある(46頁)。
イ 「きんつば【金鍔】」の見出し語の下、「焼き菓子の一種。きんつば焼きの略。・・・」の記載がある(323頁)。
ウ 「たいやき【鯛焼き】」の見出し語の下、「焼き菓子の一種。・・・」の記載がある(694頁)。
エ 「にんぎょうやき【人形焼き】」の見出し語の下、「・・・小麦粉に砂糖、卵などを入れて練り、あんを包んで型に入れて焼いた菓子。・・・」の記載がある(896頁)。
オ 「ろっぽうやき【六方焼き】」の見出し語の下、「菓子の一種。寒天を少量入れて固めたあずきあんを平四角に切り、これを小麦粉に卵、砂糖、水などを加えた溶液に1面ずつ漬けて、油をひいた平鍋で順次6面(六方)を焼き上げて作る。」の記載がある(1284頁)。
(2)「新・食品事典10 菓子」(株式会社真珠書院:1991年6月20日発行)には、以下の記載がある。
ア 「さつま焼き(大阪市)」の見出し語の下、「焼き菓子の一種。・・・」の記載がある(302頁)。
イ 「火打焼(奈良市)」の見出し語の下、「米の粉の皮を丸く広げ、小豆あんを置いて半分にたたみ、鉄板で両面を焼いたもの。・・・」の記載がある(303頁)。
(3)「菓子の事典」(株式会社朝倉書店:2004年4月10日初版第2刷発行)の「3.焼き菓子」の項において、「3.1 平鍋焼き菓子類」の見出し語の下、「平鍋焼き菓子を別名『一文字焼』ともいう。・・・」の記載がある(226頁)。
(4)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店:2008年1月11日第六版第一刷発行)の「いそやき【磯焼】」の見出し語の下、「小麦粉に砂糖・醤油を加えて水で練った後、胡麻油をひいた鍋の上で焼いて、餡を包んだ菓子。」の記載がある。


審理終結日 2012-02-10 
結審通知日 2012-02-13 
審決日 2012-02-24 
出願番号 商願2009-78451(T2009-78451) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X30)
T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 前山 るり子
小林 正和
商標の称呼 ミカサヤキ、ミカサ 
代理人 辻本 一義 

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