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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 X1220
審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 取り消して登録 X1220
審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 X1220
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 X1220
管理番号 1255166 
審判番号 不服2011-17907 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-18 
確定日 2012-03-28 
事件の表示 商願2010-51836拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Chunichi」の欧文字を横書きしてなり、第12類「ショッピングカート,物品搬送用台車,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー」及び第20類「輸送用コンテナ(金属製のものを除く。),ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),買物かご,ハンガーボード,陳列台・陳列棚・陳列板・陳列用ユニット・陳列用器具その他の家具,つい立て,びょうぶ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板,木製又はプラスチック製の広告用パネル」を指定商品として、平成22年6月30日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由及び引用商標
(1)原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。ア 本願商標は、「Chunichi」の文字を書してなるところ、該文字はプロ野球球団の「中日ドラゴンズ」(法人名「株式会社中日ドラゴンズ」)の著名な略称と認められるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
イ 本願商標は、登録第4564300号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)引用商標は、「中日ドラゴンズ」の文字を標準文字で表してなり、平成13年7月2日登録出願、第6類「金属製のネームプレート及び標札,金属製建具,金庫,金属製立て看板」、第11類「火鉢類」、第14類「貴金属製宝石箱」、第20類「ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),買物かご,ハンガーボード,家具,つい立て,びょうぶ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板」及び第21類「ガラス製又は磁器製の立て看板」のほか、第3類、第6類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第17類、第20類、第21類、第24類ないし第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同14年4月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
本願商標は、前記1のとおり、「Chunichi」の欧文字を横書きしてなるものである。
ところで、商標法第4条第1項第8号が規定されている趣旨は、人の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解され、該号にいう名称の「略称」は、著名なものに限られることは同規定から明らかである。そして、同号にいう「著名な略称」に該当するか否かは、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものである(最高裁判所平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日判決参照)。
そこで、本願商標が、原査定において引用されたプロ野球球団の「中日ドラゴンズ」(法人名「株式会社中日ドラゴンズ」)の著名な略称に該当するか否かについて検討するに、「Chunichi」の欧文字は、英語を始めとする外国語の辞書の他、各種辞典類への掲載が認めらないものであるが、該文字は、ローマ字読みで無理なく「チューニチ」と発音できることからすれば、本願商標は、「チューニチ」の読みに相応する語をローマ字表記したものとして看取されるとみるのが相当である。
ところで、「チューニチ」の読みに相応する語には、「駐日」及び「中日」があるところ、各種辞典において、前者は「日本に駐在すること。」の意味、後者は「彼岸7日間のまんなかの日、ある日数のまんなかの日」の意味である旨記載されているものであり、共に一般に広く使用されているものである。
さらに、後者については、「中国と日本、中国語と日本語」を意味する場合もあり、加えて、インターネットの「フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』」において、「中日」の見出しの下、「『中部日本』の略 中部日本(日本の中部地方を指す言葉)を略したものとして、さらに以下の事物の略称として使用される場合がある。 ・中日新聞社-新聞社 ・中日新聞-上記新聞社が発行する新聞 ・中日ドラゴンズ-上記新聞社傘下のプロ野球チーム ・中日スタヂアム(中日球場)-上記チームが本拠地として使用した野球場 ・中部日本放送-上記新聞社が出資する放送局」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%97%A5)との記載もある。
そうすると、「Chunichi」の欧文字は、特定の語義を直ちに想起・認識し難い構成であり、いかなる事柄に係るものであるかを理解することによりその語義が特定されるといわざるを得ない。
してみれば、プロ野球球団の「中日ドラゴンズ」(法人名「株式会社中日ドラゴンズ」)の略称として「Chunichi」の欧文字が使用されることがあるとしても、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているということはできないというのが相当である。
したがって、本願商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標に該当するということはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
原査定は、「本願商標と引用商標とは、その双方から『チューニチ』の称呼及び『中日ドラゴンズ』の観念が生じるものであり、称呼及び観念を同じくする類似の商標である。」としたものである。
そこで、本願商標を構成する「Chunichi」の欧文字についてみるに、該文字は、上記(1)において認定したとおり、「駐日」又は「中日」の語をローマ字表記したものとして看取され得るものであり、また、「中日」の語については、「彼岸7日間のまんなかの日、ある日数のまんなかの日」のほか、種々の意味を有するものであり、「中日ドラゴンズ」の略称として使用される場合もあるといえるものである。
しかしながら、本願の指定商品は「家具」等であって、野球などのスポーツに関連する商品でないことから、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、その構成文字から我が国のプロ野球球団の一つである「中日ドラゴンズ」を想起し、その上で、同球団の略称を表したものと認識するとはいい難いというのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して「チューニチ」の称呼は生じるものの、「中日ドラゴンズ」の観念は生じないものである。
他方、引用商標は、前記2(2)のとおり、「中日ドラゴンズ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、外観上まとまりよく一体的に表されており、また、これより生ずる「チューニチドラゴンズ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、「中日ドラゴンズ」の文字は、我が国のプロ野球の球団名の一つとして一般に知られているものであるから、それに相応する「中日ドラゴンズ」の観念が生ずるものである。
さらに、引用商標に係る指定商品中、本願の指定商品と同一又は類似の関係にあるとされた「金属製のネームプレート及び標札,金属製建具,金庫,金属製立て看板」(第6類)、「火鉢類」(第11類)、「貴金属製宝石箱」(第14類)、「ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),買物かご,ハンガーボード,家具,つい立て,びょうぶ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板」(第20類)及び「ガラス製又は磁器製の立て看板」(第21類)を取り扱う業界の取引の実情を考慮しても、引用商標から「中日」の文字部分のみが独立して取引に資されるとすべき特段の事情は認められない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「中日ドラゴンズ」の観念は生じるものの、「チューニチ」の称呼は生じないものである。
してみれば、本願商標及び引用商標から共に「チューニチ」の称呼及び「中日ドラゴンズ」の観念が生じることを前提として、両商標が称呼及び観念において類似する商標であるとすることはできない。
また、本願商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観上十分に区別できるものであり、さらに、上述した称呼及び観念以外の称呼及び観念において類似するとすべき点は見当たらない。
したがって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第11号のいずれにも該当するものではないから、それらを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2012-03-07 
出願番号 商願2010-51836(T2010-51836) 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (X1220)
T 1 8・ 23- WY (X1220)
T 1 8・ 262- WY (X1220)
T 1 8・ 263- WY (X1220)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
吉野 晃弘
商標の称呼 チューニチ 
代理人 村松 孝哉 
代理人 江間 路子 
代理人 飯田 昭夫 
代理人 上田 千織 

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