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審判番号(事件番号) データベース 権利
判定2011600011 審決 商標

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審決分類 審判 判定 その他 属する(申立て成立) X33
管理番号 1253742 
判定請求番号 判定2011-600012 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2012-04-27 
種別 判定 
判定請求日 2011-03-24 
確定日 2012-02-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第5364874号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「焼酎」に使用する(イ)号標章は、登録第5364874号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 1 本件商標
登録第5364874号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「櫻」及び「さくら」の文字を2段に横書きしてなり、平成22年4月2日登録出願、第33類「泡盛,合成清酒,しょうちゅう,白酒,直し,みりん」を指定商品として同年10月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章
被請求人が商品「焼酎」に使用する標章として、請求人が示したイ号標章は、別掲2のとおり、複数の桜の花びらと思しき図形と幾すじもの蛇行した線図形を背景に、中央に大きく「さくら」の文字を配し、その右側にやや小さく「薩摩」の文字を配し、左側に小さく「本格焼酎 黒麹仕込み」及び「SATSUMA SAKURA」の文字をそれぞれ縦書きし、その下に「黄金酒造」の印影を配した構成よりなるものである。

3 請求人の主張
請求人は、「被請求人が商品『焼酎』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
(1)判定請求の理由の要点
本件商標は、「櫻」「さくら」の2段書きの文字よりなるものであるから、共に「サクラ」の称呼、「さくらの花」及び「さくらの木」の観念を生ずる。
これに対し、イ号標章は、要部である「さくら」の文字部分より、「サクラ」の称呼並びに「さくらの花」及び「さくらの木」の観念を生ずる。さらに、「桜の花びらの図」より、「さくらの花」の観念をも生ずる。
よって、両標章は、「さくら」の文字部分の外観、「サクラ」の称呼並びに「さくらの花」及び「さくらの木」の観念を共通にする類似の標章である。
なお、イ号標章の「さくら」の文字の右側に小さく付記的に記した「薩摩」の文字は、商品「焼酎」の有名な産地である鹿児島県産を示しているにすぎない。
また、本件商標に係る指定商品中、第33類「しょうちゅう」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、同一の商品であり、指定商品中、第33類「泡盛、合成清酒、白酒、直し、みりん」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、類似の商品である。
(2)判定請求の必要性
請求人は、被請求人に対し、イ号標章が本件商標に類似し、取引者、需要者に混同を惹起する問題の解決を求めて、都合3回に亘る通知、通告文のやり取りを行った。
請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人が商品「焼酎」にイ号標章の使用をしていること(甲1ないし甲3)について、平成23年1月21日付けで、被請求人に対し、本件商標登録及び商標登録第155303号の商標権を侵害するものとみなされるので、当該標章の使用を中止することを要求する旨の通知を発した(甲4)。
その後、被請求人から回答(甲5)があったが、「商品『焼酎』に使用している商標は『薩摩さくら』であって『さくら』でない。回答人(以下『被請求人』という。)は、第33類鹿児島県(奄美市及び大島郡を除く)産のしょうちゅう等を指定商品とした標章『薩摩さくら』について登録第5270702号商標権を所有しており、被請求人における使用は当該登録商標の範囲の使用であることを、商標法第50条第1項かっこ書きを根拠として回答し、侵害に当たらないことは明白であり、要求には到底応ずることができない。」旨の内容であった。
そこで、平成23年1月31日付けで、「被請求人の登録商標第5270702号(甲6)は、縦一列に同一の大きさで一連一体に書した『薩摩さくら』であり、これに対し被請求人のイ号標章は、中央に目立つように『さくら』を、右側に小さく付記的に『薩摩』と縦二列に書してなり、『さくら』の一字の大きさは、『薩摩』の一字の大きさの約1.5倍に当たるものである。このように登録商標を構成する文字の一部を分離して、しかも極端に大きく描いた『さくら』という別の称呼・観念が生じたものは、貴社の登録商標の使用とは当然認められるものでない。したがって、イ号標章が貴社の登録商標と社会通念上同一と認められるとの主張は失当である。さらに、使用の態様において、右側に小さく焼酎の産地である『薩摩』を表し、中央に『さくら』を意図的に、故意に、大きく表しているから、取引者・一般需要者に対して、商品に付されたイ号標章において、強く支配的な印象を与えるものは、独立して大きく目立つ『さくら』の文字となる。したがって、このような登録商標を意図的に、故意に、改変したイ号標章の使用からは、当然『さくら』の称呼・観念が生じ、当社が権利を所有する本件商標に類似する商標であることは明白である。このことは、最高裁判例昭和38年12月5日第一小法廷判決においても、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合してないものは、全体の称呼・観念のほかに、その要部から称呼・観念が生ずることを示している。」旨の内容で、当該標章の使用を中止することを要求する2度目の通知を発した(甲7)。
その後、被請求人から回答(甲8)があったが、「構成中に『さくら』、『櫻』、『桜』の文字を他の構成文字とは異なった大きさに表示した登録商標が多数併存しており、それぞれ自他識別力機能を奏している。特に、登録第5157311号商標においては、『さくら』の平仮名を小さく右上部に表示すると共に、『魯山』の漢字を左側に大きく併記してなるものであり、明治45年5月27日に登録された第52785号商標においても『御所』と『桜』を二列併記してなり、しかも『桜』の漢字を『御所』の漢字より大きく表示してなるものである。翻って、本件イ号標章においても全体として纏まり良く『薩摩』と『さくら』を同一書体にて表示してなるもので、これよりは一体となった『サツマサクラ』の称呼を生ずるのが明らかであって、『さくら』を要部とする請求人商標権には抵触しないと確信する。また、被請求人は専らデザイン上の観点からラベルに『薩摩さくら』を表示したものであり、請求人の商品『清酒』との混同を惹起するものでないから使用を中止しない。」旨の内容であった。
そこで、さらに、「イ号標章は、被請求人の登録商標第5270702号が縦一列、同一書体の大きさで一連一体の『薩摩さくら』であるのに対し、縦二列、『薩摩』を小さく、『さくら』を大きく表示したもので、その要部は『さくら』と認識され、しかも『さくら』は請求人の所有する本件商標にほぼ同一の態様である以上、イ号標章が被請求人の登録商標と社会通念上同一であるとの主張は認められるものでない。また、『さくら』を含む縦二列書きの登録商標が多数存在している事実があるとして、被請求人の登録商標の構成する文字の配列と大きさを著しく改変したイ号標章と該登録商標が社会通念上同一と主張されるのは、被請求人の登録商標の態様を著しく改変しても被請求人の登録商標と同一であるとの主張であり、被請求人の主張を正当化しようとする強弁である。また、被請求人のホームページに被請求人の商品一覧の筆頭に商品『本格焼酎 薩摩さくら』が掲載され、九州新幹線さくら2011年3月開業記念ボトルと付記され、イ号標章を付した商品『本格焼酎 薩摩さくら』を表示している。被請求人がイ号標章に固執されるのは、新幹線さくらの開業に便乗し、かつ『さくら』を強調した使用態様にして需要者、取引者に注意を惹起し、本商品を広く宣伝し販売しようとする意図は明白と認められる。よって、イ号標章が被請求人の登録商標から改変したのは、単なるデザイン上の観点からであって、混同を意図したものではないとの主張は詭弁である。イ号標章を本来の登録商標の使用態様に戻すのであれば、本件商標等との混同は生ぜず、抵触も生じないとの解決を期したものである。」旨の内容で、当該標章の使用を中止することを要求する3度目の通告を発した(甲9)。
しかし、その後、被請求人から回答(甲10)があったが、「イ号標章は、被請求人が所有する登録第5270702号商標権の範囲内のものと確信しているので、特許庁への判断を求めるべくイ号標章を商標登録出願した。審査結果が本件商標に類似するとの判断が特許庁から示された場合には、被請求人の使用の態様を縦一列に修正する。」旨の内容であり、イ号標章を請求人商標との抵触を回避する回答が得られず、現在もイ号標章を使用し続けている。
このように、3度も通告し、解決案も提示したにもかかわらず、被請求人は、請求人の登録商標とイ号標章とが混同を惹起させることについて何等回答せず、単に被請求人の登録商標と社会通念上同一の商標の使用である、との固執をされ、解決することに至らない。
また、請求人は、鹿児島県にある南九州酒販株式会社と商品「鹿児島県産本格焼酎」について、本件商標の使用許諾の契約を締結しており(甲11)、南九州酒販株式会社は、指宿酒造株式会社、長島研醸有限会社、白金酒造株式会社、山元酒造株式会社、大口酒造株式会社、三岳酒造株式会社、を製造元として、本件商標を商品「焼酎」に付して販売している(甲第12ないし甲18)。
したがって、現状のままではイ号標章の使用による誤認混同を惹起させる事態、具体例として、請求人の使用許諾人の商品と、被請求人のイ号標章を付した商品「焼酎」が同一店舗内で販売されている状況(甲19、甲20)を放置しておけば、請求人と正式に使用許諾の契約を結んで、本件商標を使用している南九州酒販株式会社の売上に悪影響をもたらすことが想定され、取引者、需要者に混同を惹起して、正常な商取引を妨げることが必定であるので、かかる事情を解決する迅速な合理的手段として、判定を求めるものである。
なお、被請求人は、平成23年3月12日に全線開通する九州新幹線の新幹線名「さくら」に便乗した商売をするために、請求人の登録商標「さくら」と同一の「さくら」という標章の使用を願望して、故意に本件商標に類似する標章を使用しようとする背景がホームページのブログにおいてうかがわれる(甲21ないし甲24)。
(3)イ号標章の説明
被請求人は、遅くとも平成22年10月頃より(甲25)、イ号標章を付した商品「焼酎」を製造し、鹿児島県内の酒店を始め、全国各地の酒卸・小売店、デパート及びインターネットで販売を行っている(甲20、甲26ないし甲28)。
一方、請求人は、1717年に創業し、1913年に宮内庁御用達に認定された老舗の大手酒造メーカーである。そして、平成22年4月に、南九州酒販株式会社と、商品「鹿児島県産本格焼酎」について、本件商標の使用許諾の契約を締結して、南九州酒販株式会社が商品「焼酎」について本件商標を使用している(甲12ないし甲18)。
(4)イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属するとの説明
本件商標は、「櫻」の漢字と「さくら」の平仮名の文字を2段書きに横に書してなるものであるから、これより自然にそれぞれの文字より「サクラ」の称呼並びに「さくらの花」及び「さくらの木」の観念を生ずるものである。
他方、イ号標章は、ラベルの中央に「さくら」の平仮名を縦書きに大書し、該「さくら」の文字の右側に「薩摩」の文字を「さくら」の文字に比して明らかに小さく縦書きしてなるものである。
イ号標章において、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる部分は明らかに「さくら」であり、よって要部は「さくら」であると認められる。
したがって、本件商標とイ号標章とは、外観上において相違する文字を含んでなる部分はあるとしても、ラベルの中央に「さくら」が大書されており、「さくら」の文字の外観、「サクラ」の称呼並びに「さくらの花」及び「さくらの木」の観念を共通にし、さらに「さくらの花びらの図柄」をも描き「さくらの花」の観念を共通にするので、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似の標章というべきである。
なお、イ号標章の「薩摩」の部分は、商品「焼酎」の有名な産地である鹿児島県産を意味し、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法第3条第1項第3号)であるから、本来、該「薩摩」の部分は登録要件を具備するものではないと思料する。
そして、本件商標に係る指定商品中の第33類「しょうちゅう」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、同一の商品であり、指定商品中、第33類「泡盛、合成清酒、白酒、直し、みりん」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、類似の商品である。請求人の使用許諾人の使用商品も「焼酎」であるから、イ号標章は、同一の商品に使用されているものである。
以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も同一又は類似の商品であるから、被請求人が商品「焼酎」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本判定請求に対し、何ら答弁していない。

5 当審の判断
(1)商標権の効力の範囲について
商標権の効力は、商標権の本来的な効力である専用権(使用権)にとどまらず、禁止的効力(禁止権)をも含むものであるから、指定商品と同一又は類似の商品について、登録商標と同一又は類似の商標の使用に及ぶものである(商標法第25条第37条)。そして、登録商標の範囲は、願書に記載された商標に基づいて定めなければならないものである(同法第27条)。
そこで、本件商標とイ号標章について、以下検討する。
(2)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「櫻」及び「さくら」の文字を2段に横書きしてなるものであり、「櫻」及び「さくら」の文字は、共に「バラ科サクラ属の落葉高木または低木の一部の総称。」である「桜」の意味を有するものである。
してみると、本件商標からは、「サクラ」の称呼を生じ、「桜」の観念が生じるものである。
(3)イ号標章
イ号標章は、別掲2のとおり、複数の桜の花びらと思しき図形と幾すじもの蛇行した線図形を背景に、中央に大きく「さくら」の文字を配し、その右側にやや小さく「薩摩」の文字を、左側に小さく「本格焼酎 黒麹仕込み」「SATSUMA SAKURA」の文字をそれぞれ縦書きし、その下に「黄金酒造」の印影を配した構成よりなるものである。
そして、構成中の「薩摩」の文字は、「旧国名。今の鹿児島県の西部。薩州。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店」)の意味を有するものであり、これは薩摩焼酎の産地として一般に知られているものであるから、イ号標章の付された商品「焼酎」に接する取引者、需要者をして、該文字部分より、「鹿児島県産の焼酎」であることを理解し、認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
そうすると、イ号標章においては、たとえ「SATSUMA SAKURA」の文字部分を有するとしても、イ号標章の付された商品に接する取引者、需要者は、イ号標章の構成中、最も大きな文字で一際目立つように中央に書された「さくら」の文字部分に注目して、これ自体も独立して自他商品の識別標識として認識し、取引に資するものというべきである。
してみれば、イ号標章は、「さくら」の文字部分に相応して「サクラ」の称呼を生じ、また、背景の桜の花びらと思しき図形とも相俟って、「桜」の観念を生じるものである。
(4)本件商標とイ号標章の類否について
本件商標とイ号標章は、それぞれ上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるものであるから、両者は、外観において、全体構成としては相違するが、本件商標の「さくら」の文字とイ号標章の一際目立つ「さくら」の文字部分については、同じ平仮名を書したものであるから、当該文字部分においては外観上近似したものといえる。
そして、称呼においては、両者はいずれも「サクラ」の称呼を生じるものであり、観念においても「桜」の観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念を総合して全体的に考察すると、両者は類似するものである。
(5)本件商標の指定商品とイ号標章の使用商品の類否について
本件商標の指定商品中「しょうちゅう」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、同一の商品であり、本件商標の指定商品中「泡盛、合成清酒、白酒、直し、みりん」とイ号標章の使用商品「焼酎」とは、販売部門、用途、需要者が一致し、生産部門及び原材料の共通する場合が多いものであるから、類似する商品である。
(6)まとめ
以上のとおり、イ号標章は、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品について、本件商標と類似の商標を使用するものであるから、被請求人が商品「焼酎」に使用するイ号標章は、登録第5364874号商標の商標権の効力の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 イ号標章(色彩については原本参照。)

判定日 2012-02-15 
出願番号 商願2010-26197(T2010-26197) 
審決分類 T 1 2・ 9- YA (X33)
最終処分 成立 
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 大塚 順子
酒井 福造
登録日 2010-10-29 
登録番号 商標登録第5364874号(T5364874) 
商標の称呼 サクラ 
代理人 明田 佳久 
代理人 明田 莞 
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