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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない X03
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X03
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない X03
管理番号 1253599 
審判番号 無効2011-890030 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2011-04-25 
確定日 2012-02-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5270079号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5270079号商標(以下「本件商標」という。)は、「ルクサージュ」の片仮名と「LUXAGE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成21年2月5日に登録出願、同年8月21日に登録査定がなされ、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、同21年10月2日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
(1)登録第2128318号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LUX」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年12月15日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成元年4月28日に設定登録、その後、平成11年2月2日及び平成21年3月10日の二回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同年10月7日に指定商品の書換登録があった結果、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品とするものである。
(2)登録第4275540号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LUX」の欧文字と「ラックス」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成10年3月17日に登録出願、第3類「シャンプー,その他のせっけん類,精油,その他の香料類,化粧水,クリーム,頭髪用化粧品,香水類,おしろい,紅,タルカムパウダー,バスオイル,バスソルト,制汗用化粧品,防臭性化粧品,歯磨き,口内洗浄剤(医療用のものを除く。)」を指定商品として、平成11年5月21日に設定登録、その後、平成21年3月24日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
(3)登録第4916534号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲1の構成よりなり、平成16年11月26日に登録出願、第3類「シャンプー,洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),その他のせっけん類,練り歯磨き,その他の歯磨き,薫料,その他の香料類,化粧水,シェ?ブローション,オーデコロン,精油,アロマテラピー用香料・薫料,マッサージ用化粧品,防臭用化粧品及び制汗用化粧品,ヘアクリーム,ヘアワックス,染毛剤,その他の頭髪用化粧品,スキンケア化粧品,浴用化粧品,ひげそり化粧水,その他のひげそり用化粧品,脱毛剤,日焼け用及び日焼け止め用化粧品,メイクアップ用及びメイクアップ落し用化粧品,化粧用ワセリン,唇用化粧品,タルカムパウダー,薄葉紙・シート材又はパッドに含浸させた化粧品,目・顏用化粧落し液,あぶらとり紙,パック用化粧料,化粧用漂白剤(脱色用のもの)」を指定商品として、平成17年12月16日に設定登録されたものである。
(4)登録第4964108号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2の構成よりなり、平成15年9月24日に登録出願、第3類「水せっけん,フォーム状若しくはジェル状の入浴用・シャワー用せっけん,シャンプー,ハンドクリーナー,その他のせっけん類,精油からなる食品香料,薫料,その他の香料類,ひげそり用化粧品,アフターシェーブ用化粧品,ボディー用スプレー式香水,スキンオイル,スキンクリーム,スキンローション,におい袋,リネンの芳香用におい袋,頭髪用化粧品,スキンコンディショナー,ヘアーコンディショナー,肌用化粧品,身体防臭用化粧品,汗制用化粧品,化粧用ワセリン,その他の化粧品,歯磨き,つや出し剤」を指定商品として、平成18年6月23日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし4を一括していうときは「引用商標」という。
2 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「LUX」と「AGE」とが結合した商標であり、また、「LUX」は、何らの意味も有しない造語であり、したがって、「LUX」と「AGE」とは、結合して新たな観念を想起させるものではなく、観念的に結合していない。
したがって、本件商標からは、全体から生ずる「ラックスエイジ」の称呼以外に「LUX」の部分から、「ラックス」の称呼が生ずる。
一方、引用商標からは、それぞれの構成に照らして、「ラックス」の称呼が生ずる。してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼において同一であり、類似するものといわざるを得ない。
また、観念においては、本件商標及び引用商標は、いずれも、「LUX」が造語であることから、何らの観念を生じさせるものではなく、したがって、両者は、観念においては類似するものではない。
そして、後述するように、引用商標は、商品「せっけん類」等との関係で周知著名となっている。よって、かかる周知著名商標と同一である本件商標の語頭部「LUX」は、被服等の取引者、需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものである。
してみれば、本件商標からその語頭部「LUX」を抽出し、引用商標と比較して類否の判断をすることは、許されるといわざるを得ない。
さらに、甲第3号証に示すように、請求人は、「LUX」を包含する商標登録を第3類に属する商品に関して多数有しており、また、使用してきているので、このことからも、本件商標のように語頭部に「LUX」を有する商標を「せっけん類その他の第3類に属する商品」に使用されると、引用商標が使用されている商品と同一の出所から流出してきたものと誤認混同するおそれがある。よって、かかる事実にかんがみても、本件商標は、引用商標と類似するものである。
したがって、本件商標は、引用商標の周知著名性にかんがみれば、引用商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)引用商標の周知・著名性
請求人は、その前身である英国のリーバ・ブラザーズの1890年代の創業以来、ヨーロッパのみならず、日本を含む世界各国において引用商標を登録、使用してきた(甲4)。
また、引用商標のブランド「LUX」は、1899年に英国で石鹸に使用されて以来、永年にわたって世界中で使用されている。
ラックスの名は、英語で高級・豪華などを意味するLuxury(ラグジュアリー)に由来する。ラックス石けんは、誕生当時から、その高品質さとエレガントな香りで、多くの女性たちに愛されてきた。そして、誕生から100年以上の時を経た今、その愛用者は世界中に広がっている。
日本にラックス石けんが初めて登場したのは、1972年のことであるが、その優しくエレガントな香りと確かな品質は日本人女性の心を深くとらえ、ギフト石けんとして高く評価された。
その後もギフト石けんで愛されてきたラックスの確かな品質とエレガントな香りは、そのままに、シャンプー・コンディショナー、スタイリング製品、ボディソープも次々と発表され、愛されてきた。ラックスは、いつの時代にも女性が持っている「美しく輝いていたい」という夢に応えつづけるために、変わらない品質と、時代に合わせた製品展開で美のニーズに応えてきた。
また、LUXブランドのCMにおいても永年にわたって世界的なスターが起用され、ラックスの世界観をあますところなく表現している(甲5)。
その結果、本件商標出願時点前から上記引用商標は、本件審判請求人会社若しくは本件審判請求人会社の業務に係るせっけん類等を含む商品を表示するものとして、日本及び世界中の需要者に認識され、周知著名なものとなっている。
引用商標が、世界的に著名な点及びその結果本件商標との関係で混同のおそれがある点については、本件商標と同一の商標に対する異議申立事件において、上記引用商標の周知著名性が認められ、その結果、該引用商標と本件商標との間には、商品の出所に関し混同のおそれがあり、類似すると認定した台湾での台湾商標登録第01386890号に対する異議申立事件での決定にかんがみても明らかである(甲6)。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、本件商標が周知著名である引用商標と称呼において同一又は類似していることから、混同のおそれが生ずるものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、請求人所有の周知・著名商標をそっくりそのまま包含したものであり、該商標の顧客吸引力を利用するものであり、顧客吸引力を稀釈化させる等、不正な目的で使用するものといわざるを得ず、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、及び同第19号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ルクサージュ」と「LUXAGE」の文字よりなるものであって、その欧文字部分と片仮名部分を構成する各文字が、それぞれ同一の書体、同一の大きさ及び同一の間隔で外観上まとまりよく一体的に構成されていて、これより生ずる「ルクサージュ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標中の「LUXAGE」の欧文字部分は、併記された「ルクサージュ」の片仮名が、例えば「モンタージュ(montage)」「ポタージュ(potage)」「サボタージュ(sabotage)」「コサージュ(corsage)」等の外来語との関係から、当該「LUXAGE」の文字の読みを特定したといい得るばかりでなく、それが「LU」「XA」「GE」のように子音字と母音字とが対となって構成されていて、その文字数もわずか6文字であることも併せ勘案すれば、一語よりなるものとみるのが自然である。
そうとすると、本件商標は、かかる構成においては、前半の「LUX」の欧文字部分のみが独立して認識されるとは、到底言い得ないものであって、これに接する取引者・需要者をして、構成全体をもって一体のものとしてのみ把握、理解されるものである。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ルクサージュ」の一連の称呼のみを生ずるというべきである。
一方、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して「ラックス」又は「ルクス」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標より生ずる「ルクサージュ」と引用商標より生ずる「ラックス」又は「ルクス」の称呼を比較するに、両者は、その音数や音構成に明瞭な差違を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれのないものである。
さらに、本件商標は、特定の意味合いを理解し得ない造語と認められるものであるから、引用商標とは観念上比較すべくもないものであり、それぞれの構成よりみて、外観上も明瞭に区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「ルクサージュ」と「ラックス」「ルクス」の称呼において明らかな差異を有し、外観及び観念においても類似するところのない別異の商標である。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標は、「ラックス」の称呼をもって、本件商標の登録出願時には、既に請求人の業務に係る商品「せっけん」等を表示する商標として、我が国において、ある程度の著名性を獲得していたことは、これを否定するものではない。
しかしながら、引用商標は、これを構成する「LUX」の文字が、比較的平易な英語又は仏語(外来語)(乙1?乙3)であって、このような文字は誰しもが容易に採択し得るものであるから、創造性のある特異な標章として取引者・需要者の印象に強く残るものとはいえず、また、「食品、洗剤、ヘアケア、トイレタリー」など家庭用品メーカーたる請求人(乙4)の一商品「せっけん等」の商標にすぎないところから、ハウスマークに比し、強い識別力ないしは出所表示力を有するものということもできない。
(2)本件商標は、その構成各文字が一体不可分に表示されていて引用商標とは、全く類似するところのない別異の商標であること、引用商標を構成する文字自体は比較的平易な英語又は仏語(外来語)であって創造性もなく誰しもが容易に採択し得るものであること、及び、当該商標がハウスマークではなく一商品の商標(ペットマーク)にすぎないことなどを総合すれば、たとえ、引用商標が本件商標の登録出願時に請求人の業務に係る商品「せっけん等」を表示する商標として、ある程度の著名性を獲得していたとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、取引者・需要者をして、「ルクサージュ」の片仮名が併記されているのにもかかわらず、その構成中前半の「LUX」の欧文字部分のみを分離して認識し、引用商標を連想又は想起するとまでは到底認め難いものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、請求人又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは、前記のとおり、互いに類似する関係にはないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件を満たすものとはいえない。
4 本件商標の使用について
本件商標は、被請求人が自己の製造、販売する「化粧品」等の商標として採択、使用しているものである(乙7)が、本件商標を使用するにあたって、これと引用商標との間において、商品の出所について誤認混同を来しているといったような事実も存在しない。
5 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ルクサージュ」の片仮名と「LUXAGE」の欧文字よりなるものであるところ、上段の「ルクサージュ」の片仮名が本件商標の称呼を特定しているものと無理なく認められるものである。そして、「LUXAGE」の欧文字は、同じ書体、同じ大きさで表してなるものであり、また、構成文字数6文字と多いものではなく、一体的に看取されるものである。
そうとすると、本件商標よりは、「ルクサージュ」の称呼のみを生じ、その構成に照らして、特に観念の生じない造語よりなるものというを相当とする。
他方、引用商標は、「LUX」又は「ラックス」の文字よりなるか又は含むものであり、また、引用商標「LUX」は、「ラックス」とのみ表記されている取引の実情があるものと認められる(甲5)から、これよりは、「ラックス」の称呼のみを生じ、特に観念は生じないものというを相当とする。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、外観上、明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「ルクサージュ」であるのに対し、引用商標のそれは、「ラックス」であるから、その構成音及び構成音数に明らかな差異が認められ、これらを一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標から格別の観念が生じないから、比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、1890年代の創業以来、「せっけん」の製造・販売を行い、1899年に英国で石鹸に使用されて以来、引用商標は、ヨーロッパのみならず、日本においても、「せっけん」等のブランドとして使用されてきた(甲4、甲5)。
そして、その結果、引用商標が申立人の「せっけん」等のブランドとして、我が国において、ある程度の著名性を獲得していたことは、被請求人も認めるところである。
しかしながら、本件商標は、その欧文字部分の構成中に「LUX」の文字を含んでいるとしても、前記1の認定のとおり、引用商標とは非類似の商標といえるものであり、その構成にあっては、「LUX」の文字は文字列の中に埋没し、客観的に把握しがたいものである。
してみれば、引用商標が申立人の商品「せっけん」等を表すものとして広く知られていることを認めることができ、本件商標が「せっけん」」等を含むものであるとしても、本件商標と引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、請求人又は請求人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは、前記1の認定のとおり、非類似の商標であるばかりでなく、不正の目的があるとする何らの証左も提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項の規定に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
なお、請求人は、「引用商標が、世界的に著名な点及びその結果本件商標との関係で混同の生ずるおそれがある点については、本件と同一の商標に対する異議申立事件において、引用商標の周知著名性が認められ、その結果、引用商標と本件商標との間には商品の出所に関し混同のおそれがあり、類似すると認定した台湾商標登録第01386890号に対する異議申立事件での決定にかんがみても明らかである。」(甲6)と述べているが、諸外国における商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなけれならない事情が存するものでないことは言うまでもないところであり、当該「台湾」における判断が、我が国における本件商標の有効性に何らの影響を及ぼすものでもない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 引用商標3


2 引用商標4


審理終結日 2011-09-22 
結審通知日 2011-09-27 
審決日 2011-10-20 
出願番号 商願2009-7565(T2009-7565) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (X03)
T 1 11・ 222- Y (X03)
T 1 11・ 262- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2009-10-02 
登録番号 商標登録第5270079号(T5270079) 
商標の称呼 ルクサージュ、ルクサージ、ルクセージ、リュクサージュ、ラックスエージ、ラクサージ 
代理人 中山 健一 
代理人 柴田 昭夫 
代理人 為谷 博 

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