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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y3032 |
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管理番号 | 1253598 |
審判番号 | 取消2010-301150 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-10-29 |
確定日 | 2012-02-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4711010号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4711010号商標(以下「本件商標」という。)は、「メトロ」の文字を横書きしてなり、平成14年11月20日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同15年9月19日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成22年11月17日にされたものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 2 弁駁の理由 (1)乙第3号証の1ないし3について 被請求人のインターネット上のホームページでの会社案内と認められる乙第3号証の1ないし3のいずれにも、本件商標は使用されていない。 また、被請求人の主張する「会社案内のWEB欄」について、何を指しているか不明確であるが、URLのことを指していると推察する。被請求人のホームページの乙第3号証と同一のURLは「http://www.metoro-web.com/profile.html」であるが、URL中の「metoro」は、何の商品に用いられているものか不明であり、自他商品の識別をその本質的機能としている商標の使用とは到底いい難いものである。 (2)乙第4号証の1及び2について 乙第4号証の1及び2は、被請求人の工場の案内パンフレットと認められるが、本件商標は使用されていない。 また、被請求人は、工場の建物正面にある看板に表示されている本件商標と同一の標章の使用は商標法第2条第3項第8号に該当する行為であると主張するが、当該看板には指定商品等との関連性を示す表記は一切ないことから、看板に掲げてある建物と指定商品の関係が不明であり、指定商品に関する商標の使用には当たらない。 (3)乙第5号証の1ないし5及び乙第10号証について 乙第5号証の1ないし5は、高瀬物産株式会社の商品総合カタログであり、同号証の2及び3に、被請求人の商品「巨峰50」及び「シシリーモスカート50」の写真が掲載されているが、その商品パッケージのいかなる場所にも本件商標は使用されていない。 乙第5号証の2及び3の各商品写真上部に「メトロ(株)/メトロ」として、乙第5号証の4の索引に「メトロ 巨峰50」、「メトロ 氷用シロップ」、「メトロ氷用みぞれ」、「メトロ シシリーモスカート50」及び「メトロ ルビーフレーズ(苺50)」として、「メトロ」という記載があるが、これは客先が分かりやすいように、メトロ株式会社の巨峰50の意味合いで、高瀬物産株式会社が自主的に記したものにすぎず(2011年2月10日、高野物産株式会社に本件商品総合カタログについて電話で問い合せ済み)、単なる説明的記載であって、自他商品識別標識としての本件商標の使用には該当しない。 また、乙第10号証は、高瀬物産株式会社と被請求人の間で交わされた広告契約を立証する証拠にすぎず、高瀬物産株式会社に通常使用権等のライセンス契約をした事実はない。これをもって本件商標が商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって使用されたということはできない。 (4)乙第6号証について 乙第6号証は、単なるパッケージのデザイン案にすぎず、まだデザイン段階のものであって、市場での流通が認められないものである。すなわち、乙第6号証からは、本件審判の請求の予告登録日前3ヶ月以前に商標法上の商標の使用がされたか否かが明らかではなく、使用の証拠としては不適切である。 (5)乙第11号証の1ないし3について 被請求人は、当該パンフレットに本件商標の表示があると主張しているが、そのような表示は見当たらない。表紙のページ中に「メトロ オリジナルメニュー」という記載はあるが、(a)一連にまとまりよく記載されていること、(b)文字の大きさ、色、フォントが統一されていること、(c)「メトロ オリジナルメニュー」の記載だけ背景色を変えていることで統一感があること、という点から、当該使用は「メトロ オリジナルメニュー」についての使用であり、本件商標の使用に当たらない。また、指定商品(役務)との関連をみても、「飲食物のレシピに関する情報の提供」は、第43類に属する役務であり、本件商標の指定商品等には含まれていない。 (6)乙第12号証ないし乙第15号証について これらの各号証は、メトロ株式会社が各展示会に出展したことを立証しているにすぎず、それをもって本件商標を使用していたことにはならない。 (7)乙第16号証及び乙第17号証について 上部に「メトロ製品案内」と記載があるが、これは「メトロ株式会社の製品案内」を意味するものにすぎず、すなわち「被請求人の会社の取り扱い製品の案内」を意味する表示であって、表中の商品名の欄に本件商標の記載がないことから、本件商標の使用ではないことは明らかである。 (8)乙第18号証について 被請求人のパンフレット、会社案内のパンフレット、製品案内等の提出された関連資料によれば、本件商標を付した被請求人の商品は一つもみられないから、これらのパンフレット等の頒布事実をいくら立証しても本件商標の使用事実の判断には一切影響がないといえる。 (9)まとめ すべての証拠に共通して、被請求人は自己の会社名に相当する社名記載をもって本件商標の使用を主張、立証しようと考えているものと認められるが、提出された各号証は、本件商標の指定商品との関係が一切不明である。また、パンフレットや製品案内をみても、被請求人の商品名は本件商標と全く異なるものであり、被請求人が本件商標を使用していないことは明白である。 以上のとおり、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標が本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、その指定商品である「コーヒー及びココア,茶」及び「清涼飲料,果実飲料」について使用されたという事実を証明するには不十分なものである。 よって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。 第3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出している。 1 本件商標の使用事実 被請求人は、本件審判の請求の3月以前から本件商標を「リキッドコーヒー、ジュース」等に継続的に使用しているものであり、請求人の主張には理由がなく、本件審判請求は成り立たないものである。 (1)被請求人は、以下の乙各号証を提出し、本件商標が過去3年間に使用されている事実を立証する。 ア 乙第3号証は、インターネット上のホームページでの被請求人の会社案内であり、その作成は2009年である。会社案内のWEB欄で、本件商標と社会通念上同一の態様で「METORO」と表示されており、使用の概念の範ちゅうに入ること明らかである。 イ 乙第4号証は、被請求人の工場に関する広告宣伝パンフレットであり、その納品は平成21年12月10日である。該号証には、建物正面に大きく「メトロ」と看板が表示されている。この看板と商品との関連性は、パンフレットに「ジュース製造ライン」、「コーヒー製造ライン」と本件商標の指定商品との関連性を直観される態様で使用されているものであり、本件商標の使用は明白である。 ウ 乙第5号証は、業界の商品総合カタログであり、その発行日は2008年4月1日である。高瀬物産株式会社とはカタログ掲載の広告契約で被請求人は掲載料を払って広告をしたものである。また、乙第10号証は、同社からの商品総合カタログ掲載料請求書である。これらにより、同社が無関係な第三者でないこと明らかである。 なお、請求人は、「メトロ」という記載は、客先が分かりやすいように、高瀬物産株式会社が自主的に記したにすぎなく単なる説明的記載である、と主張するが、そのような事実はあり得ない。 エ 乙第6号証は、容器の作成のための資料であり、2010年4月27日にトッパン印刷にて作図したものである。該号証の下段部には「1Lメトロ桃100」との記載がされていて、本件商標の「メトロ」と同一の商標が表示されている。 オ 乙第11号証は、被請求人作成に係るフルーツカクテルのオリジナルメニューパンフレットであり、「メトロ」と表示されている。 カ 乙第12号証ないし乙第15号証は、「メトロ」の製品を展示説明会に出品した際の依頼書、申請書である。展示説明会には「メトロ」と付されたパンフレット、会社案内パンフレット、製品案内など関連資料すべてを展示、頒布してきたものである。 キ 乙第16号証及び乙第17号証は、被請求人の製品に関する取引書類であり、「メトロ」と表示されている。 ク 乙第18号証は、「メトロ」の展示会参加担当者の陳述書である。 ケ 乙第19号証は、被請求人の工場に関する会社案内(乙第3号証・乙第4号証)の建物部分の拡大図面である。 (2)本件商標は、片仮名で「メトロ」と書してなるものであり、指定商品第32類「果実飲料」に関して、乙第5号証には片仮名で「メトロ」と表示されている。 現実の取引において、登録された商標がそのままの態様で使用されることは極めて少なく、乙各号証の使用商標も「メトロ」と称呼されるものである。 (3)本件商標は、「メトロ」と構成されているが、登録商標の使用であるか否かは、自他商品の識別をその本質的機能としている商標の性格上、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして判断される必要があるとの考え方から、従来の審判決例でも、社会通念上同一と認識しうる商標については登録商標の使用と認めてきたものであり、これらの趣旨から商標法第50条第1項括弧書により弾力的な運用をすべきものと考える。 2 まとめ 以上によれば、乙各号証における使用商標及び「メトロ」標章は、本件商標の指定商品第30類「コーヒー」、第32類「果実飲料」等の商品に関する広告、商品の容器等に使用されているものであって、商標法第2条第3項の商標の使用に該当するものであり、本件商標は、同法第50条第1項の規定に該当せず、その登録を取り消されるべき事由はない。 よって、本件審判の請求は成り立たない。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠について 被請求人は、本件商標が商標権者(被請求人)により請求に係る指定商品中の「ジュース」について本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されている旨主張し、その証拠を提出している。 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第5号証の1ないし5は、高瀬物産推奨商品総合カタログの抜粋の写しと認められるところ、乙第5号証の1(表紙)には「高瀬物産推奨商品総合カタログ」の文字が表示されている。 乙第5号証の2(296ページ)には9つの商品(包装されたもの)が写真と共に表されており、右下の欄には商品写真の上方に「メトロ(株)/メトロ」の文字及び「巨峰50」の文字が表示されている。 乙第5号証の3(294ページ)には9つの商品(包装されたもの)が写真と共に表されており、左下の欄には商品写真の上方に「メトロ(株)/メトロ」の文字及び「シシリーモスカート50」の文字が表示されている。 乙第5号証の4(397ページ)は、「社名別50音順索引」の一部と認められるところ、中央欄の中程に「メトロ(株)」の社名の下、「メトロ巨峰50・・・・・・296」及び「メトロシシリーモスカート50・・・・・・294」と表示されている。 乙第5号証の5(裏表紙)には「高瀬物産推奨商品総合カタログ」及び「TAKASE Best Quality Foodservice Products」の記載があるほか、「発行日 2008年4月1日」及び「発行者 高瀬物産株式会社 〒104-0045東京都中央区築地2丁目1番8号」と表示されている。 (2)乙第10号証は、平成22年4月28日付けの高瀬物産株式会社からメトロ株式会社あての請求書の写しであると認められるところ、品名欄には「総合カタログ掲載料」との記載がある。そして、「高瀬物産株式会社」の表示の下方に書された住所は、乙第5号証の5(裏表紙)に表示されている住所と符合する。 (3)乙第11号証の1ないし3は、被請求人の説明によれば、被請求人作成に係る「フルーツカクテルのオリジナルメニューパンフレット」であって、商品展示会等で頒布しているとするものであるところ、乙第11号証の1には、左面の下方に被請求人の名称及び住所などが記載され、右面の上方に「メトロ オリジナルメニュー」及び「フルーツドリンク&カクテル」の文字が表示されている。 乙第11号証の2には、「フルーツドリンクで簡単に作れるオリジナルメニュー」の表題の下、「シシリーモスカート」が商品写真と共に表示されている。該商品写真は、乙第5号証の3に表示された「シシリーモスカート50」の商品写真と符合する。 乙第11号証の3には、「カクテルモスカート」の表示中に使用材料として「シシリーモスカート」が表示されている。 (4)乙第12号証の1には、「第21回サクラ食品展示会開催要領」の表題の下、「(4)費用 1卓 ¥210,000.-(消費税¥10,000.-を含む) 半卓 ¥105,000.-(消費税¥5,000.-を含む)」と記載されている。 (5)乙第15号証の1は、被請求人の説明によれば、高瀬物産株式会社から被請求人あての「展示説明会の出品依頼書」の写しとするものであるところ、「高瀬物産株式会社 総合展示会開催のご案内」の表題の下、「弊社では、来る平成21年10月6日(火)、愛知県産業労働センター6階展示ホールに於きまして高瀬物産株式会社総合展示会(中略)を開催致すべく、目下会社をあげて計画・準備に取りかかっております。」との記載がある。 乙第15号証の2は、「商品展示説明会申請書」の表題の下、「担当者 玉木淳一郎 平成21年8月28日提出」、「主催商社名帳合名 高瀬物産 名古屋」、「開催場所 愛知県産業労働センター」、「開催日21年10月6日」、「小間代、出品費 1小間¥57,750-」などが記載されている。 (6)乙第18号証は、被請求人メトロ株式会社「玉木淳一郎」ほかの平成23年8月2日付け陳述書であり、「私らはメトロ株式会社の社員として例年開催されている業界の商品展示会(乙第12号証乃至乙第15号証)に於いて、その担当者としてメトロ株式会社の会社案内(乙第4号証)商品パンフレット(乙第7号証)メトロオリジナルパンフレット(乙第11号証)製品案内の取引書類(乙第16号証)その他の広告パンフレット取引書類を下記展示会場にて展示頒布した事に相違ありません。」及び「展示会に来場された人数、パンフレット等展示頒布した数量は下記の通り。(中略)高瀬物産展示会平成21年10月6日(乙第15号証)1:来場者数概算 1,200人 2:パンフレット取引書類展示頒布数 150通(概算)」との記載がある。 2 本件商標の使用について 前記1(1)によれば、高瀬物産株式会社が2008年4月1日付けで発行した「高瀬物産推奨商品総合カタログ」には、被請求人(商標権者)の取扱いに係る商品と認められる「ジュース」の写真が、「巨峰50」又は「シシリーモスカート50」の文字と共に掲載されており、それぞれの上方に「メトロ(株)/メトロ」の文字が表示されている。そして、乙第5号証の2の「巨峰50」と示された商品及び乙第5号証の3の「シシリーモスカート50」と示された商品は、本件商標の指定商品に含まれる商品、すなわち本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品であるところ、その商品の出所識別標識として「メトロ(株)/メトロ」の文字が表示されているとみて差し支えない。そのうち、「メトロ(株)」の部分は商標権者の名称といえるものであるから、「/」の後に記載された「メトロ」の部分のみでも単独の商標として理解、認識されるとみるのが相当であり、この「メトロ」の使用をもって本件商標と社会通念上同一の商標の使用であると認められる。 また、前記1(3)ないし(6)によれば、被請求人の業界では年に多数回の商品展示会が開催され、製品パンフレット・会社案内等を展示、頒布し、試飲受注販売をしているものであり、展示会に参加するには出店費用が必要であることが認められる。高瀬物産株式会社は、展示会の主催商社の1つであり、被請求人は、展示会への参加会社の1つであることが認められる。 そして、乙第10号証は、平成22年4月28日付けの高瀬物産株式会社からメトロ株式会社あての請求書の写しであると認められるところ、乙第5号証の1ないし5の「高瀬物産推奨商品総合カタログ」の発行日が2008(平成20)年4月1日であることから、該請求書が該証拠のカタログについてのものであると必ずしもいうことができないものの、前記1(3)ないし(6)にいう商標権者と高瀬物産株式会社との取引の関係をも併せ考察すれば、「高瀬物産推奨商品総合カタログ」に商標権者に係る商品を掲載する場合は、商標権者が高瀬物産株式会社に「カタログ掲載料」を支払って掲載される契約になっていることが推認できる。 そうとすれば、商標権者が上記商品を本件商標と社会通念上同一といえる商標と共に上記カタログに掲載した行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に当たるということができる。そして、上記カタログの発行日である2008(平成20)年4月1日は、本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものである。 3 むすび 以上のとおり、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中「ジュース」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものというべきであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-10-04 |
結審通知日 | 2011-10-06 |
審決日 | 2011-10-18 |
出願番号 | 商願2002-97894(T2002-97894) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y3032)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲村 秀子 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 田中 敬規 |
登録日 | 2003-09-19 |
登録番号 | 商標登録第4711010号(T4711010) |
商標の称呼 | メトロ |
代理人 | 光藤 覚 |
代理人 | 鎌田 和弘 |