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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X06
審判 全部申立て  登録を維持 X06
管理番号 1251786 
異議申立番号 異議2011-685009 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-03-28 
確定日 2011-11-29 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1039601号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1039601号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1039601号商標(以下「本件商標」という。)は、「Aerodur」の欧文字を書してなり、2010年3月30日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいて、パリ条約第4条による優先権を主張し、2010(平成22)年4月23日に国際商標登録出願、第6類「Unwrought and semi-wrought common metals,in particular steel,stainless steel and bright steel;semi-finished products of steel in the form of rods,plates,sheets,billets,blocks,wire,profiles,rings;auxiliary welding materials of metal.」を指定商品として、平成22年10月14日に登録査定、同23年1月7日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4348327号商標(以下「引用商標」という。)は、「AERODUR」の欧文字を標準文字で表してなり、平成11年2月18日に登録出願、第2類「ワニス,ラッカー,その他の塗料,防錆剤,木材保存剤,媒染剤」を指定商品として、同年12月24日に設定登録され、その後、同21年8月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
2 申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標「Aerodur」と引用商標「AERODUR」は、ともに同一の欧文字から構成されるものであり、両者の相違は、大文字と小文字の違いだけであるから、両商標は実質的に同一の商標である。
本件商標に係る指定商品は、第6類に属する商品であり、引用商標に係る指定商品は第2類に係る商品であって、「類似商品・役務審査基準」の類似群コードが異なるため、商品が非類似であるとして商標法第4条1項11号が適用されずに商標登録されたものである。
しかし、商品が類似するか否かは、画一的比判断すべきものではなく、商品の生産部門が一致するかどうか、商品の販売部門・ルートが一致するかどうか、商品の原材料及び品質が一致するかどうか、商品の用途が一致するかどうか、商品の需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品の関係にあるかどうかなどを総合的に検討して判断すべきものであり、この点は、「商標の審査基準」(特許庁)に明記されている。これらの基準のうち、特に「需要者が誰か」という点に着目して判断した審決もある(甲3、甲4)。
この点を踏まえて、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品を比較してみると、本件商標に係る指定商品(訳)「未加工及び半加工の金属、特に鋼、ステンレス鋼及び鏡面仕上鋼、ロッド状・プレート状・シート状・ビレット状・ブロック状・ワイヤ状・プロファイル状・環状の鋼製半加工品、溶接用金属製補助材料」は、建設業、建築業、化学工業、鉄鋼業などにおいて建築物等の部材、材料などとして使用されるものである。
一方、引用商標に係る指定商品「ワニス、ラッカー、その他の塗料、防錆剤、木材保存剤、媒染剤」も建築物、船舶等に主として防錆目的で使用されるものである。すなわち、本件商標に係る指定商品の需要者と、引用商標に係る指定商品の需要者は、建築物、構造物の建造、保守などに関わる者であり、需要者層は共通している。また、これら商品が使用される用途も建築用の部材、材料、部品等として共通性がある。
したがって、本件商標の指定商品に引用商標と実質的に同一の本件商標が付されて取引されると、本件商標に係る商標権者と、申立人の間に何らかの関係があるとの誤認、出所の混同が生ずることになる。よって、商品区分は異なるが、引用商標に係る商品と本件商標に係る商品は相紛らわしい類似の商品である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、1969年に設立されたオランダの化学品、塗料のメーカーである。現在では、欧州、北米、南米の他、日本をはじめとするアジア諸国等を含め世界80力国において事業を展開し、その総従業員数は約6万人という世界的な規模を誇っている(甲5)。
申立人の日本法人は、1988年に設立されたアクゾノーベル株式会社であり、キレート剤、エチレンアミン、セルロース等の化学製品を取扱っている(甲5)。
このような申立人の歴史及び企業規模からすれば、申立人は世界的な規模の化学品、塗料のメーカーとして日本における知名度はかなり高いものであるといえる、特に、申立人の主力製品である「化学製品、塗料、医薬品等関連の商品」を利用する事業者にとっては高い知名度を有している。
本件商標に係る指定商品も引用商標に係る指定商品も、いわゆる「BtoC」(Business to Consumer)ではなく「BtoB」(Business to Business)の流通経路となっているので、一般の消費者が使用するものではなく、需要者は特定の事業者に限られる。このような状況を考慮すれば、商標「AERODUR」又は「Aerodur」は、申立人の販売する商品を表象し、申立人の業務に係る商品であると需要者の間に広く認識されている可能性は大きいものといえる。
したがって、本件商標に係る商標権者が引用商標と実質的に同一の本件商標「Aerodur」を使用した場合、本件商標権者が提供する商品は、申立人が提供するものであるとの誤認、混同を生ずるおそれがあり、また、申立人と本件商標権者の間に何らかの資本的、経済的関連性があるとの誤認、混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標に係る指定商品は、建設業、建築業、化学工業、鉄鋼業などにおいて建築物等の部材、材料などとして使用されるものであり、一方、引用商標に係る指定商品も建築物、船舶等に主として防錆目的で使用されるものであるから、これら指定商品の需要者は、建築物、構造物の建造、保守などに関わる者であり、需要者層は共通しており、その商品が使用される用途も建築用の部材、材料、部品等として共通性があることを理由として、それらが類似する商品と判断されるべきである旨主張している。
しかしながら、本件商標の第6類の指定商品「Unwrought and semi-wrought common metals,in particular steel,stainless steel and bright steel;semi-finished products of steel in the form of rods,plates,sheets,billets,blocks,wire,profiles,rings;auxiliary welding materials of metal.」(仮訳:未加工及び半加工の金属,特に鋼,ステンレス鋼及び鏡面仕上鋼,ロッド状・プレート状・シート状・ビレット状・ブロック状・ワイヤ状・プロファイル状・環状の鋼製半加工品,溶接用金属製補助材料)と、引用商標の第2類の指定商品「ワニス,ラッカー,その他の塗料,防錆剤,木材保存剤,媒染剤」をみると、本件商標の指定商品は、金属を取り扱う企業等が商品として、製造、販売するものであるのに対し、塗料、防錆剤などの引用商標の指定商品は、塗料メーカー、化学品メーカー等が、着色、防錆等を目的とする商品として、製造、販売するものであって、その生産部門、原材料及び品質の他、用途などが全く異なるものである。また、これら指定商品においては、完成品とその部品の関係ということもない。
してみれば、両者の指定商品は、需要者の範囲において、たとえ、建設業、建築業などの一部において一致する場合があるとしても、他方で、生産部門、原材料及び品質、用途、完成品と部品の関係にあるかどうか等において、著しく異なるものであるから、本件商標の第6類の指定商品は、いずれも、引用商標の第2類の指定商品と類似する商品と判断することはできない。
したがって、たとえ、本件商標と引用商標とが大文字と小文字で表された同じ綴り字からなる類似する商標であるとしても、両商標は指定商品において相抵触するものではないから、本件商標は、引用商標をもって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人提出の証拠によれば、申立人が化学品等の製造企業であることは窺い知ることができるとしても、如何なる商品に引用商標を使用しているか確認することができない。そして、全証拠によっても、本件商標の出願時において、引用商標が申立人に係る商品を表示する商標として、需要者の間で広く認識されるに至っていたとは、到底認めることができないものである。
加えて、上記1のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、関連性の認められない非類似の商品であるから、商標の構成上に近似性があるとしても、本願商標から引用商標が直ちに想起されるとまでいうことはできない。
してみれば、本件商標を出願時及び査定時において、その指定商品に使用しても、これに接する需要者が引用商標を想起し連想して、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認め難く、商品の出所について混同するおそれがあったということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-11-18 
審決分類 T 1 651・ 264- Y (X06)
T 1 651・ 271- Y (X06)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 仁子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2010-04-23 
権利者 Deutsche Edelstahlwerke GmbH
商標の称呼 エアロデュール、アエロデュール、エアロデュア、アエロデュア、エアロダー、アエロダー 
代理人 瀧澤 文 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 大森 規雄 
代理人 小林 浩 

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