ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y3032 |
---|---|
管理番号 | 1251730 |
審判番号 | 取消2010-301149 |
総通号数 | 147 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-03-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2010-10-29 |
確定日 | 2012-02-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4711009号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4711009号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成14年11月20日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,茶」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、平成15年9月19日に設定登録されているものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 2 弁駁の理由 (1)商標の同一性について 本件商標は、ローマ文字で「Me」を上段に「toro」を下段に組み合わせた構成からなるものであるが、「メトロ」と称呼されることはなく、単なる図形と見るべきであり、「メトロ」は社会通念上本件商標と同一の商標とはいえないものである。 他方、乙第5号証を除く各乙号証に記載の商標「Me/toro」(以下「使用商標」という。別掲(B)及び(C)参照)は、「Me」の「e」と「toro」の「t」、「r」を赤色で、「M」、「o」、「o」は青色で構成されている相違はあるが、いずれも外観上、本件商標と同一であることから、社会通念上同一の商標というべきである。 (2)乙第3号証の1ないし3は、被請求人のインターネット上のホームページでの会社案内と認められるが、いずれにも、社名である「メトロ株式会社」の左側に使用商標が表示されている。これは社標としての使用であり、指定商品に関する自他商品識別標識としての使用には当たらない。 (3)乙第4号証の1及び2は、被請求人の工場の案内パンフレットと認められるが、社名である「メトロ株式会社」の中央真上、又は「メトロ株式会社山梨工場案内」の記載の下に少し間をあけて、使用商標が表示されている。これは社標としての使用であり、指定商品に関する自他商品識別標識としての使用には当たらない。 (4)乙第7号証の1及び2のカタログ右上に、使用商標の表示があり、乙第7号証の3の納品書に「製品パンフレット一式」の記載があるものの、具体的な製品名は記載されていない。すなわち、乙第7号証の3の納品書にいう「製品パンフレット一式」が、乙第7号証の1及び2のパンフレットであったか否かが明らかでない。仮に、乙第7号証の3の納品書の「製品パンフレット一式」が乙第7号証の1及び2のパンフレットであったとしても、それはパンフレットが存在したことの証明にしかならない。実際に頒布されていなければ、自他商品識別機能としての商標の使用があったとはいえない。 また、乙第7号証の2のカタログに掲載されている「果汁入り高級フルーツドリンク」及び「サワーシロップ」の商品写真の容器に、「Me」を上段に「toro’s」を下段に組み合わせた構成からなる商標が付されているが、これは本件商標の下段部分「toro」に「アポストロフィs」を付加したものである。外観が明らかに異なっており、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。したがって、たとえ、このカタログの存在時に、「Me」を上段に「toro’s」を下段に組み合わせた構成からなる商標を付した商品が実在し、市場に出回っていたとしても、本件商標を使用していたと認めることはできない。 (5)乙第9号証は、被請求人の封筒であり、「メトロ株式会社」の表示の左に使用商標が印刷されているが、これは社標としての使用であり、自他商品識別力としての本件商標の使用には該当しない。 (6)叙上のとおり、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品について使用されたという事実を証明していない。 よって、本件商標の登録は取消されるべきである。 第3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第16号証(枝番を含む。)を提出している。 1 本件商標の使用事実 被請求人は、本件審判の請求の3月以前から本件商標を「リキッドコーヒー、ジュース」等に継続的に使用しているものであり、請求人の主張には理由がなく、本件審判請求は成り立たないものである。 以下、使用事実を証拠と共に明らかにする。 (1)被請求人は、以下の各乙号証を提出し、本件商標が過去3年間に使用されている事実を立証する。 ア 乙第3号証は、インターネット上のホームページでの被請求人の会社案内であり、その作成は2009年である。 イ 乙第4号証は、被請求人の工場に関する広告宣伝パンフレットであり、その納品は平成21年12月10日である。 ウ 乙第7号証は、商品パンフレットであり、平成21年9月11日に被請求人に納品され、リキッドコーヒー、シロップ等の商品の広告宣伝として今日に至るまで継続して頒布しているものである。 エ 乙第9号証は、被請求人が使用する封筒であり、被請求人において不特定多数人宛に取引上使用されているものである。 (2)本件商標は、ローマ文字で「Me」を上段に「toro」を下段に組み合わせた構成からなり、「メトロ」と称呼されるものである。 他方、各乙号証記載の使用商標は、「Me」の「e」と「toro」の「t」、「r」を赤色で、「M」、「o」、「o」は青色で構成されている相違はあるが、いずれも「メトロ」と称呼され、観念上かつ外観上同一であることから、本件商標と社会通念上同一の商標というべきものと考える。 すなわち、現実の取引において登録された商標がそのままの態様で使用されることは極めて少なく、各乙号証の使用商標は、「メトロ」と称呼されるもので、その余の称呼観念を生じさせるものではない。 さらに、商標法第50条第1項カッコ書には「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼観念を生ずる商標で・・・社会通念上同一と認められる商標」は登録商標の使用であると規定されている。 とするならば、各乙号証の使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきものと考えられ、各乙号証の使用態様をして本件商標の使用と認められるべきものである。 (3)以上のとおり、本件商標は「Me/toro」の構成からなるものであるが、登録商標の使用であるか否かは、自他商品の識別をその本質的機能としている商標の性格上、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして判断される必要があるとの考え方から、従来の審判決例でも、社会通念上同一と認識しうる商標については登録商標の使用と認めてきたものであり、これらの趣旨から商標法第50条第1項カッコ書により弾力的な運用をすべきものと考える次第である。 2 まとめ 以上によれば、各乙号証における使用商標は、本件商標の指定商品第30類「コーヒー」、第32類「果実飲料」等の商品に関する広告、商品の容器等に使用されているものであって、商標法第2条第3項の商標の使用に該当するものであり、本件商標は、同法第50条第1項の規定に該当せず、その登録を取消されるべき事由はない。 よって、本件審判の請求は成り立たない。 第4 当審の判断 1 本件商標の使用事実について (1)被請求人は、乙第3、第4、第7及び第9号証(いずれも枝番を含む。)に記載された使用商標が本件商標と社会通念上同一というべきものであり、これをもって本件商標の使用と認められるべきである旨主張するので、以下、上記各乙号証について検討する。 ア 乙第3号証の1ないし3は、被請求人のウェブサイトにおける会社案内の写しと認められるところ、各ページの左下隅に記載された「2010年12月20日」の文字に照らし、これらは本件審判の請求の登録(平成22年11月17日)後にプリントアウトされたものというべきであり、直ちに本件審判の請求前3年以内の期間における事実を示すものとはいえない。しかしながら、上記ウェブサイトは、その記載内容を見ると、「会社沿革」欄の記載は「平成17年」が最後となっていること、最終ページの末端には「Copyright(C)2009 METRO-WEB,Inc.All Rights Reserved.」の記載があること、などからすると、2009年(平成21年)頃に作成されたものとみても不自然ではない。 そして、上記ウェブサイト中の「会社案内」、「販促活動」及び「清涼飲料水の製造販売」の各項目の第1ページには、最上段に「業務用ジュース&リキッドコーヒーのリーディングメーカー」及び「メトロ株式会社」の文字を二段書きした部分の左側に、別掲(B)のとおりの構成からなる使用商標が表示されている。この使用商標は、本件商標と略同一の「Me」及び「toro」の文字を二段に表し、「M」、「o」及び「o」が青色に、「e」、「t」及び「r」が赤色に着色されているものであって、色彩を除けば本件商標と同一といえるものであるから、本件商標と社会通念上同一とみて差し支えない。 また、「会社概要」欄には、「営業品目」として「リキッドコーヒー(ホット・アイス)、リキッドアイスティー(紅茶)、100%・50%果汁飲料、メトロ業務用濃厚ジュース、トロピカルドリンク、シロップ類、デザートベース、各種ゼリー、各種トッピングソース等、デザート食品、ミキサードリンク、健康飲料」と記載されている。 上記記載内容を総合すると、各項目の第1ページ最上段に表示された使用商標は、社標として認識される場合があるとしても、同時に商標としての機能も果たしているものとみる余地もある。 イ 乙第4号証の1は、被請求人の山梨工場案内のパンフレット写しと認められるところ、表紙と思しき部分には、「メトロ株式会社 山梨工場案内」の下部に、また、裏表紙と思しき部分には、「業務用ジュース&リキッドコーヒーのリーディングメーカー」及び「メトロ株式会社」の文字を二段書きした部分の上部に、それぞれ上記アと同一の使用商標が表示されている。 上記パンフレットには、印刷年月日等の表示はないが、近代紙業株式会社から被請求人宛てに発行された「納品書」(乙第4号証の2)には、売上日欄に「21年12月10日」と記載され、品名欄に「メトロ(株)山梨工場案内」と記載されていることからすると、上記パンフレットは、平成21年12月10日に被請求人に納品されたものとみても不自然ではない。 もっとも、上記パンフレットには、具体的な商品についての記載が一切ないことからすると、これのみでは本件商標の使用事実についての証拠となるものではない。 ウ 乙第7号証の1及び2は、商品パンフレットの写しと認められるところ、各パンフレットの右上隅に上記アと同一の使用商標が表示されているほか、「リキッドコーヒー/Liquid Coffee」の表題又は「エード&シロップ/Ade & Syrup」、「氷用シロップ/Frappe」等の表題と共に商品の写真や説明が付されている。また、乙第7号証の2の裏面右下には、「業務用ジュース&リキッドコーヒーのリーディングメーカー」及び「メトロ株式会社」の文字を二段書きした部分の左側に上記アと同一の使用商標が表示されている。 これらパンフレットには、その発行年月日を示すものは見当たらない。しかしながら、株式会社大日広告社から被請求人宛てに発行された2009年9月11日付の「納品書」(乙第7号証の3)には、品名欄に「製品パンフレット一式」と、数量欄に「各3000部」とそれぞれ記載されており、該「製品パンフレット一式」が上記商品パンフレットを指すものか必ずしも明らかではないものの、上記商品パンフレットが2009年9月11日に被請求人に納品されたものでないとまでは断定することもできない。 エ 乙第9号証の1は、被請求人の業務用封筒の写しと認められるところ、該封筒には、下方に、別掲(C)のとおりの構成からなる使用商標が、被請求人の商号「メトロ株式会社」、住所等が記載された部分の左側に表示されている。また、上記被請求人の商号の上段には「●リキッドコーヒー●リキッドティー●ジュース●シロップ」と記載されており、これらは被請求人の業務に係る商品を記載したものといえる。 この使用商標は、本件商標と略同一の「Me」及び「toro」の文字を黒地に白抜きで二段に表し、「M」の上部を突出させ黒色で表現されているものであり、本件商標と社会通念上同一といえるものである。 一般に、業務用封筒は、それのみで直ちに商標の使用事実の証拠となるものではないが、商標及び商品が明示されている場合には、商品の広告の一つとみる余地があるものといえる。 そして、乙第9号証の1の封筒には、別掲(C)の使用商標及び商品が表示されおり、該使用商標は、被請求人の社標として認識される場合があるとしても、同時に商標としての機能も果たしているものとみる余地もある。 また、坂井製印株式会社から被請求人宛てに発行された22年4月23日付の「明細書」(乙第9号証の2)には、品名欄に「封筒(長4)」と、数量欄に「3000枚」とそれぞれ記載されていることからすると、該「封筒(長4)」が上記乙第9号証の1の封筒を指すものか必ずしも明らかではないものの、上記乙第9号証の1の封筒が2009年9月11日に被請求人に納品されたものでないとまでは断定することもできない。 (2)以上を総合勘案すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品の範疇に属する商品と認められる「リキッドコーヒー、リキッドティー、ジュース」等について本件商標を使用していたものと判断するのが相当である。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者たる被請求人によって、その指定商品について使用されていたものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 (A)本件商標 (B)使用商標 (C)使用商標 |
審理終結日 | 2011-08-25 |
結審通知日 | 2011-08-29 |
審決日 | 2011-09-27 |
出願番号 | 商願2002-97893(T2002-97893) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y3032)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲村 秀子 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
酒井 福造 田中 敬規 |
登録日 | 2003-09-19 |
登録番号 | 商標登録第4711009号(T4711009) |
商標の称呼 | メトロ、エムイイトロ、トロ、ミートロ |
代理人 | 光藤 覚 |
代理人 | 鎌田 和弘 |