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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 25
審判 全部申立て  登録を維持 25
管理番号 1250068 
異議申立番号 異議2011-900356 
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-09-30 
確定日 2012-01-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5422378号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5422378号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5422378号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIR LOFT」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年2月1日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,水上スポーツ用ウエットスーツ」を指定商品として、同年6月6日に登録査定、同年7月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであると主張し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人である株式会社ロフトが採用する英語名称「THE LOFT CO., LTD」の周知・著名な略称(甲第2号証)と認められる「LOFT」の文字、又は、申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称、又は、周知・著名な略称「LoFt」の文字を含んでいる。しかも、本件商標の出願書類等には申立人の承諾書は提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「LOFT」の部分は、申立人である株式会社ロフトが採用する英語名称「THE LOFT CO., LTD」の略称であり(甲第2号証)、かつ、LOFT(LoFt)の文字は、申立人の経営する我が国最大の雑化専門店の店舗名称の略称である。申立人の営業に係る店舗群は、その店舗のある地名に「ロフト」の文字を結合してなり、一般には単に「ロフト」と称され、「ロフト」又は「LoFt」と表記されている。
この英名の略称又は店舗名称の略称は、申立人によって永年使用されることにより、周知・著名になっている。
本件商標中の「LOFT」の部分は、申立人の業務(いわゆる小売り)に係る商標として広く一般に知られているから(甲第2号証ないし甲第9号証)、これを含む本件商標がその指定商品に使用した場合、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
申立人提出の甲各号証についてみると、申立人のパンフレットの会社概要(甲第2号証)、店舗一覧(甲第4号証)、沿革(甲第5号証)のページにおいて、特異な態様で表された「LoFt」の欧文字をハウスマークとして使用し、店舗名に「ロフト」を使用していること、並びに2011年(平成23年)6月29日付け及び同年7月13日付けの日経MJの新聞記事(甲第6号証及び甲第7号証)に掲載の表中において、申立人を「ロフト」の略称をもって表示していることは認められるものの、上記証拠以外に、申立人について「ロフト」「LOFT」と略称としているとする証拠の提出はない。
そうとすれば、「ロフト」「LOFT」の文字が申立人の著名な略称ということはできない。
してみれば、本件商標は、申立人の名称及びその著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示の類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。
そして、その周知著名性は、1)実際に使用している商標並びに商品又は役務、2)使用開始時期、使用期間、使用地域、3)生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、4)広告宣伝の方法、回数及び内容、5)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果などの事実を総合勘案して判断しなければならない。
以上を前提に申立人の提出した甲各号証についてみると、申立人「株式会社ロフト」(THE LOFT CO., LTD.)は、1996年8月に設立された会社であり、雑貨専門店を業とするものであるが、その前身である株式会社西武百貨店のロフト事業部が1987年11月に東京渋谷に「渋谷ロフト」をオープンし、その後、地名と「ロフト」からなる店名により20年以上継続して営業し、2011年5月現在では69店舗(登録出願時では63店舗)があることが認められる(甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証)。
そして、2010年度の業種別売上高ランキングの生活雑貨部門では、掲載された8社中、2位(平成23年7月13日付け日経MJ新聞 甲第7号証)であるものの、申立人の売上額は、約844億円であり、小売業売上高ランキングでは113位(平成23年6月29日付け日経MJ新聞 甲第6号証)であることが認められる。
また、AIPPI・JAPANが発行した「日本有名商標集」に「LoFt」が掲載されていることが認められる(甲第3号証)。
しかしながら、上記甲各号証によっては、申立人は、1987年から店名に「ロフト」を使用したことは認められるものの、申立人の店舗数は登録出願時に63店舗にすぎず、しかも1996年までは3店舗であり、1996年から2006年までの各年に2?3店の出店がされ、その後各年6?10店の新規出店が認められるものの、特に出店が増大したのは、本件商標の登録出願時のわずか4年前の2007年からであり、売上高については2010年度844億円であるものの、売上ランキングは113位であり、決して高いとは言い難い。
そのほか、広告宣伝等の内容、回数、費用等に係る証拠など、著名性を立証する証拠の提出はない。
また、「LoFt」が「日本有名商標集」(甲第3号証)に掲載されているとしても、AIPPIは、どのような証拠に基づいて、掲載されている商標を著名と認定したかは明らかでない。
なお、請求人は、Googleによる検索ワード「“雑貨”“ホビー用品チェーン”」での検索結果は、約1260件ヒットして100件に収束する(甲第8号証)。一方、このキーワードに「loft」を加えて検索すると、345件ヒットして89件に収束する(甲第9号証)が、この89件は、全て申立人のウェブサイトであることから、我が国で「雑貨」を取り扱っている「ホビー雑貨チェーン」といえば、そのほとんどが申立人の営業にかかる「LOFT」であることが類推される旨主張しているが、申立人のキャッチフレーズで検索すれば、申立人のサイトが多くヒットし、これに「loft」を加えて検索した結果が同程度になるのは当然である。また、これらの検索結果をみると、全国各地雑貨販売店の一覧の中に申立人の店舗が掲載されているのみで、これらの証拠が直ちに著名性を立証することにはならない。
してみれば、上記提出された甲各号証によっては、「ロフト」「LOFT」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務(いわゆる小売り)の役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
そうすると、本件商標は、前記1のとおり、「AIR」と「LOFT」の文字の間には、一字程度の間隔を有するものの、同じ書体、同じ大きさの文字で、軽重の差なく、各文字が全体としてまとまりよく一体的に表されてなる商標であり、その構成中の「LOFT」の文字部分において共通するものであるとしても、「ロフト」「LOFT」が申立人の業務(いわゆる小売り)に係る役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないこと前記のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人の業務と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-12-27 
出願番号 商願2011-6263(T2011-6263) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (25)
T 1 651・ 271- Y (25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 丈晴 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2011-07-01 
登録番号 商標登録第5422378号(T5422378) 
権利者 美津濃株式会社
商標の称呼 エアーロフト、エアロフト、エアー、エア、エイアイアアル、ロフト 
代理人 山本 典弘 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 
代理人 鈴木 正次 

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