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審決分類 審判 全部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 130
管理番号 1248088 
審判番号 取消2010-301148 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-10-29 
確定日 2011-11-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第922447号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第922447号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第922447号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和43年10月30日に登録出願、第29類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」を指定商品として、同46年8月16日に設定登録され、その後、同56年10月30日、平成3年11月28日、同13年10月9日及び同23年8月23日の4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同13年10月31日に、指定商品を第30類「コーヒー及びココア,茶,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年11月17日にされたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標の同一性について
本件商標は、月にロケットを発射したような図形の中心部に「METORO」の文字を横書きした構成からなるものである。これについて、被請求人は、「乙号証の使用商標は『Me/toro』と構成されているものであるが、その相違は社会通念上同一の範囲内のものである。」と述べている。
しかしながら、商標法第50条第1項括弧書によれば、社会通念上登録商標と同一の商標とは「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」であるところ、被請求人が本件商標と社会通念上同一と主張する「Me/toro」から構成される商標(乙第3号証、乙第4号証、乙第6号証、乙第7号証及び乙第11号証に表示された別掲2のとおりのものを以下「使用商標A」といい、乙第9号証の1に表示された別掲3のとおりのものを以下「使用商標B」という。)は、これに当たらない。すなわち、本件商標は、アルファベットの「METORO」と図形とが一体化した結合商標であるのに対し、使用商標A及びBは、「Me」を上段に「toro」を下段に記載した商標である。本件商標からは、「メトロ」という称呼が生じうるが、使用商標A及びBは、図形のように見え、「メトロ」という称呼は、当然には発生しない。また、仮に同一の称呼が生じるとしても、使用商標A及びBは、本件商標の特徴である、月にロケットを発射したような図形を全く含んでいない。本件商標と使用商標A及びBとは、全体として外観、構成を著しく異にする別異の商標であり、使用商標A及びBは、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえない。
被請求人が使用商標A及びBを使用した証拠を提出しても、それは本件商標の使用には当たらず、よって不使用取消を免れることはできない。
本件商標の使用がない以上、個々の証拠について各別に検討する必要はないはずであるが、最終的に審判官が本件商標と使用商標A及びBが社会通念上同一の範囲にあると判断された場合に備えて、以下請求人の見解を述べる。
(2)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は、答弁書において、請求人が被請求人に対して、再三にわたり、本件商標の譲渡等の申出を行い、被請求人が断ってきた経緯を述べている。商標の使用の立証とは何ら関係がないと考えるが、請求人の見解を述べる。
請求人のグループは、国際的に飲食品店等を対象にした大規模総合卸店を展開し、日本においても店舗数を近年、急速に増加させている。
2005年の交渉時においては、小売業者や卸売業者が行う顧客に対するサービス活動は登録できない役務とされていたため、請求人は、「METORO GROUP」等、「METORO」関連の商標を、自己が取り扱っている商品を指定して出願登録するしかなかった。また、2009年の交渉時においても、個々の役務については商品とのクロスサーチがなされるため、先に類似の商標が登録されていては出願しても登録を得ることができないので、いわゆる商標関係者でいうアサインバックの方法(商標出願の内容を相手名義で登録してもらい、登録後、本人名義に移転する)等で穏便に解決しようとしてきた。しかし解決できなかったため、今回の審判請求に至ったものであり、そこに何ら不正義は存在しない。
また、被請求人は、請求人が本件商標の使用の事実を知りながら本件審判を請求したと主張しているが、そのような事実はない。実際の商品に本件商標が使用されている事実を確認できなかったため、やむを得ず本件審判を提起したのである。請求人に被請求人を害する意図はなく、権利の濫用は断じてない。
(3)乙第3号証の1ないし3について
被請求人のインターネット上のホームページでの会社案内と認められる乙第3号証の1ないし3のいずれにも、本件商標は、使用されていない。使用商標Aが、社名である「メトロ株式会社」の左側に表示されてはいるが、これは、社標としての使用であり、指定商品に関する自他商品識別標識としての使用には当たらない。
(4)乙第4号証の1及び2について
乙第4号証の1及び2は、被請求人の工場の案内パンフレットと認められるが、本件商標は、使用されていない。社名である「メトロ株式会社」の中央真上、又は「メトロ株式会社山梨工場案内」の記載の下に少し間をあけて、使用商標Aが表示されているが、これは社標としての使用であり、指定商品に関する自他商品識別標識としての使用には当たらない。
(5)乙第5号証の1ないし5について
乙第5号証の1ないし5は、高瀬物産株式会社の商品総合カタログであり、同号証の2及び3に、被請求人の商品「巨峰50」及び「シシリーモスカート50」の写真が掲載されているが、その商品パッケージのいかなる場所にも本件商標は、使用されていない。また、使用商標A又はBの使用も見当たらない。
なお、乙第5号証の2及び3の各商品写真上部に「メトロ(株)/メトロ」として、乙第5号証の4の索引に「メトロ 巨峰50」、「メトロ 氷用シロップ」、「メトロ 氷用みぞれ」、「メトロ シシリーモスカート50」及び「メトロ ルビーフレーズ(苺50)」として、「メトロ」という記載があるが、該「メトロ」は、本件商標の特徴である、月にロケットを発射したような図形を全く含んでおらず、全体として外観、構成を著しく異にする別異の商標であるため、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。また、たとえ社会通念上同一の商標であったとしても、これは客先が分かりやすいように、メトロ株式会社の巨峰50の意味合いで、高瀬物産株式会社が自主的に記したものにすぎず(2011年2月10日、高野物産株式会社に本件商品総合カタログについて電話で問い合せ済み)、単なる説明的記載であって、自他商品識別標識としての本件商標の使用には該当しない。
以上より、乙第5号証は、本件商標が使用されていることの証拠として不適切である。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、単なるパッケージのデザイン案にすぎず、まだデザイン段階のものであって、市場での流通が認められないものである。すなわち、乙第6号証からは、本件審判の請求の予告登録日前3月以前に商標法上の商標の使用がされたか否かが明らかではなく、使用の証拠としては不適切である。
また、仮にこのパッケージが使用された商品が本件審判の請求の予告登録日前3月以前に販売されていたとしても、本件商標が使用されていない上、被請求人が本件商標と社会通念上同一と主張する使用商標Aは、非常に見えにくい位置に表示されており、消費者がこれを認識しうるかは甚だ疑問であって、自他商品識別機能を有する商標の使用とはいえない。
(7)乙第7号証の1ないし3について
乙第7号証の1及び2のカタログ右上に、使用商標Aの表示があり、乙第7号証の3の納品書に「製品パンフレット一式」の記載があるものの、具体的な製品名は、記載されていない。すなわち、乙第7号証の3の納品書にいう「製品パンフレット一式」が、乙第7号証の1及び2のパンフレットであったか否かが明らかでない。仮に、乙第7号証の3の納品書の「製品パンフレット一式」が乙第7号証の1及び2のパンフレットであったとしても、それは、パンフレットが存在したことの証明にしかならない。実際に頒布されていなければ、自他商品識別機能としての商標の使用があったとはいえない。乙第7号証の1ないし3からは、実際に、いつ、どこで、誰に、どのくらい頒布されたかが不明であり、使用の証拠というには、不十分である。
(8)乙第8号証について
乙第8号証は、特許電子図書館の「メトロ」称呼の検索資料であり、本件商標と使用商標A及びBの称呼が「メトロ」であることの証拠として提出されたものと思うが、審査の利便性のために考えられる称呼が付与されているにすぎず、使用商標A及びBが「メトロ」と称呼されると断定する根拠にはならない。また、仮に、本件商標と使用商標A及びBの称呼がいずれも「メトロ」であったとしても、本件商標と使用商標A及びBとは、全体としての印象、外観が全く異なる商標であり、社会通念上同一の商標とはいえないから、乙第8号証は、証拠としては意味がない。
また、自他商品識別力としての本件商標の使用にも該当しない。
(9)乙第9号証について
乙第9号証の1は、被請求人の封筒であり、本件商標は、使用されていない。「メトロ株式会社」の表示の左に使用商標Bが印刷されているが、これは社標としての使用であり、自他商品識別力としての本件商標の使用には該当しない。
(10)叙上のとおり、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品である「コーヒー及びココア,茶,氷」及び「清涼飲料,果実飲料」について使用されたという事実を証明するには不十分なものである。
よって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 答弁の要旨
被請求人は、本件審判請求の3月以前から本件商標を「リキッドコーヒー、ジュース」等に継続的に使用しているものであり、請求人の主張には理由がなく、本件審判請求は成り立たないものである。
(1)権利濫用について
そもそも、請求人は、かつて被請求人に対して再三にわたり、本件商標の譲渡等の申出をし(乙第1号証及び乙第2号証)、これに対し、被請求人は、本件商標が被請求人の商号の商標であり、長年使用中であるため、申出に応じることはできないと断ってきた経緯がある。
さらに、平成21年5月の書面にて、請求人は、主に小売業者を対象として電化製品、衣料品、食品を取り扱う店舗型の卸売業であって、被請求人とはビジネス的には全く競業関係にないものと考えている、と述べている。
そうすると、請求人が国際登録をしている商標について、我が国で拒絶理由通知を受けている商標の指定商品から本件商品の指定商品を削除すれば、本件商標とは指定商品を異にすることとなり、登録されることは明白であるにもかかわらず、本件商標の使用事実を知りながら本件審判を請求すること自体、単に被請求人を害することを目的とした権利の濫用としかいえないものである。
(2)本件商標の使用事実について
被請求人は、以下の乙号証を提出し、本件商標が過去3年間に使用されている事実を立証する。
ア 乙第3号証は、インターネット上のホームページでの被請求人の会社案内であり、その作成は2009年である。同会社案内のWEB欄には、本件商標と社会通念上同一の態様で「METORO」と表示されており、使用の概念の範疇に入ること明らかである。また、乙第3号証の「Me/toro」の表示態様は、登録商標としての表示であり、仮に社標としての使用としても、商標法の規定する「使用」に相当する。
イ 乙第4号証は、被請求人の工場に関する広告宣伝パンフレットであり、その納品は平成21年12月10日である。工場の建物正面には、大きく「メトロ」の看板が表示されている。この看板と商品との関連性は、パンフレットに「ジュース製造ライン」、「コーヒー製造ライン」と本件商標の指定商品との関連性を直感させる態様で使用されているものであり、本件商標と社会通念上同一の商標の使用は明白である。
すなわち、看板は、広告の一態様であり、商標法第2条第3項第8号に該当する行為である。
ウ 乙第5号証は、高瀬物産株式会社の発行に係る商品総合カタログであり、その発行日は2008年4月1日である。そして、乙第5号証に係るカタログの掲載元からの掲載料請求書が乙第10号証である。
商標の「使用」の概念は、商品自体に附されている場合以外にも商品に関する広告も「使用」と規定されている。被請求人は、乙第10号証にあるように掲載料を払って高瀬物産株式会社とカタログ掲載の広告契約を行ったものであるから、高瀬物産株式会社が無関係な第三者ではないことは明らかである。
エ 乙第6号証は、容器の作成のための資料であり、2010年4月27日にトッパン印刷にて作図したものである。乙第6号証の下段部には、「1Lメトロ桃100」の記載がされており、本件商標の「METORO」と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
被請求人会社は、主として業務用の商品を製造する会社であり、一般消費者が被請求人のブランドを目にすることは少ないと思われるが、取引業者間との取引でも商標の使用に該当するものである。
オ 乙第7号証は、商品パンフレットであり、平成21年9月11日に被請求人に納品され、リキッドコーヒー、シロップ等の商品の広告宣伝として今日に至るまで継続して頒布しているものである。被請求人は、年に多数回各地の商品展示説明会に製品を展示し、その会場で該パンフレット等を不特定多数人に展示頒布しているものである。
カ 乙第8号証は、特許電子図書館の「メトロ」称呼の検索資料である。これは、審査の利便性のためではなく、商標登録出願人・商標権者の利便性のためのものであって、商標選択者に称呼上の類似性判断の資料として提供されているものである。
キ 乙第9号証は、被請求人が使用する封筒であり、被請求人において不特定多数人宛に取引上使用されているものである。その態様は、登録商標としての表示であり、仮に社標としての使用であっても、商標法の規定する「使用」に該当するものである。
ク 乙第11号証は、被請求人作成のフルーツカクテルのオリジナルメニューパンフレットで、「メトロ」と表示されており、乙第7号証の商品パンフレット納入以前から継続して今日に至るまで、商品展示会等で頒布しているものである。
ケ 乙第12号証ないし乙第15号証は、「メトロ」の製品を展示説明会に出品した際の依頼書、申請書であり、展示説明会にはメトロと付されたパンフレット、会社案内パンフレット、製品案内など関連資料全てを展示、頒布してきたものである。
コ 乙第16号証及び乙第17号証は、被請求人の製品に関する取引書類であり、「メトロ」と表示されている。
サ 乙第18号証は、「メトロ」の展示会参加担当者の陳述書である。
(3)本件商標は、月にロケットを発射したような図形の中心部に「METORO」の文字を書した構成からなるものであるのに対し、乙号証における使用商標A及びBは、「Me/toro」と構成されているものであるが、その相違は社会通念上同一の範囲内のものである。
また、本件商標と同一の態様で使用されている「METORO」の欧文字(以下「使用商標C」という。)及び本件商標と社会通念上同一視されるべき「メトロ」の片仮名(以下「使用商標D」という。)が使用されている。
現実の取引において登録された商標がそのままの態様で使用されることは極めて少なく、本件商標は、付記的な図形が配されているが、付記的な図形からは何らの称呼観念を生じさせるものではなく、本件商標の自他商品識別機能を有する要部は、「METORO」と横書きされた部分であり、「メトロ」と称呼されるもので、その余の称呼観念を生じさせるものではない。
さらに、商標法第50条第1項括弧書には、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標・・・その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」は、登録商標の使用であると規定されている。
そうとすれば、本件商標と乙号証に記載の使用商標AないしDは、社会通念上同一の商標というべきものと考えられ、乙号証の使用態様をして本件商標の使用と認められるべきものである。
以上のとおり、本件商標は、図形と「METORO」の文字との組み合わせからなるものであるが、登録商標の使用であるか否かは、自他商品の識別をその本質的機能としている商標の性格上、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして判断される必要があるとの考え方から、従来の審判決例でも、社会通念上同一と認識しうる商標については登録商標の使用と認めてきたものであり、これらの趣旨から商標法第50条第1項括弧書により弾力的な運用をすべきものと考える。
(4)まとめ
以上によれば、乙号証における使用商標AないしDは、本件商標の指定商品中の第29類「コーヒー」及び第30類「果実飲料」等の商品に関する広告、商品の容器等に使用されているものであって、商標法第2条第3項の商標の使用に該当するものであり、本件商標は、同法第50条第1項の規定に該当せず、その登録を取り消されるべき事由はない。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 権利濫用について
被請求人は、請求人と被請求人間の本件商標の譲渡交渉が成就しなかった経緯があり、請求人と被請求人とは競業関係になく、請求人の件外商標登録出願は、指定商品を縮減すれば登録の可能性があるにもかかわらず、請求人が本件商標の使用事実を知りながら本件審判請求をすることは、被請求人を害することを目的とした権利の濫用である旨主張するので、この点について検討する。
ところで、商標制度は、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とするものである。商標権が設定された後であっても、一定期間登録商標が使用されていない場合には、保護すべき対象である信用がないのであるから、その商標権は、商標制度の趣旨にそわないものであるのみならず、他人による同一又は類似商標の使用を阻み、他人の流通秩序への寄与を妨げることになって、国民一般の利益を不当に侵害するものである。そこで、請求により、このような商標登録を取り消そうとするのが、商標登録不使用取消制度の趣旨と解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第44号平成12年6月27日判決参照)。
これを本件についてみるに、乙第1号証及び乙第2号証によれば、請求人は、請求人の登録出願に係る別件商標が本件商標と抵触し登録を受けることができないと考え、被請求人と本件商標の譲渡等につき交渉をしたことが認められる。そして、請求人は、本件商標が使用されている事実を確認することができなかったため、自己の商標の使用の障碍となる本件商標を排除するために、本件審判を請求したものというべきであるから、請求人の行為が権利濫用に当たるということはできない。なお、被請求人は、請求人が本件商標の使用事実を知っていた旨主張するが、それを具体的に立証する証拠はない。
よって、被請求人の主張は、採用することができない。
2 本件商標の使用事実について
(1)被請求人は、乙第3号証ないし乙第7号証、乙第9号証、乙第11号証、乙第16号証及び乙第17号証(枝番号を含む。)に記載された使用商標AないしDが本件商標と社会通念上同一というべきものであり、これをもって本件商標の使用と認められるべきである旨主張するので、以下、検討する。
ア 使用商標A及びBの使用について
(ア)乙第3号証の1ないし3(被請求人のウェブサイトにおける会社案内の写し)、乙第4号証の1(被請求人の山梨工場案内のパンフレット写し)、乙第6号証(商品の容器作成用資料写し)、乙第7号証の1及び2(商品パンフレットの写し)並びに乙第11号証の1(被請求人のオリジナルメニューのパンフレット写し)には、別掲2のとおりの構成からなる使用商標Aが、被請求人の商号「メトロ株式会社」の文字と近接して又は別個に独立して表示されていることが認められる。
(イ)乙第9号証の1(被請求人の業務用封筒の写し)には、別掲3のとおりの構成からなる使用商標Bが、被請求人の商号「メトロ株式会社」、住所等が記載された部分の左側に表示されていることが認められる。
(ウ)しかしながら、別掲2及び3のとおりの構成からなる使用商標A及びBは、本件商標と社会通念上同一ということはできない。
すなわち、本件商標は、別掲1のとおり、被請求人が「月にロケットを発射したような図形」と述べる図形(以下「本件図形」という。)と「METORO」の欧文字との組合せからなるものであるところ、両者は、それぞれの配置からして、有機的な結合状態にあり、また、本件図形は、それ自体が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、本件商標の全体構成において必要不可欠な構成部分というべきものであるから、これを単なる付記的な図形ということはできない。また、本件図形からは、既成の親しまれた称呼及び観念を生じないものの、本件商標の構成中の「METORO」の欧文字部分から「メトロ」の称呼を生ずるものといえる。
他方、使用商標A及びBは、別掲2及び3のとおり、やや図案化された「Me」及び「toro」の各欧文字(別掲2のものは、「M」及び2つの「o」が青色、「e」、「t」及び「r」が赤色でそれぞれ着色されており、また、別掲3のものは各欧文字を黒地に白抜きで表し、「M」文字の上部のみを突出させて、その上部を黒色で表している。)を2段に表してなるものであるところ、その構成態様に照らせば、直ちに「メトロ」の称呼を生ずるとまではいい難いものである。
そうとすれば、本件商標と使用商標A及びBとは、使用商標A及びBにおいて、本件商標の全体構成中必要不可欠な構成部分である本件図形が存在しないなど、その構成態様を明確に異にするため、外観上、全く異なる印象をもって看取、把握されるものであるのみならず、常に同一の称呼及び観念のみを生ずるものともいえないから、両商標は、別異の商標というべきである。
イ 使用商標C及びDの使用について
被請求人は、乙第3号証ないし乙第6号証、乙第11号証、乙第16号証及び乙第17号証に表示された「METORO」の欧文字からなる使用商標C又は「メトロ」の片仮名からなる使用商標Dの使用も本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用であると主張する。
しかしながら、仮に、使用商標C又はDの使用が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて使用している場合であっても、以下の理由により、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であるとは認められない。
すなわち、本件商標は、上述のとおり、「METORO」の欧文字と本件図形とが有機的な結合状態にあり、また、該図形部分もそれ自体が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、本件商標の全体構成において必要不可欠な構成部分というべきものであるから、該図形部分を欠く使用商標C及びDは、本件商標とその構成態様を明確に異にするため、外観上、全く異なる印象をもって看取、把握されるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標C及びDとの比較における上記外観上の著しい差異は、両商標から生ずる「メトロ」の称呼が共通することを考慮してもなお、看者の受ける印象に大きく影響を及ぼし、別異の商標として認識されるというのが相当である。
(2)以上によれば、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録(平成22年11月17日)前3年以内に日本国内において、本件商標がその指定商品について使用されていたものということはできない。
その他、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、本件商標がその指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品について使用していたことを証明したということはできない。また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第922447号商標)


2 使用商標A

(色彩については、原本参照)

3 使用商標B



審理終結日 2011-08-25 
結審通知日 2011-08-29 
審決日 2011-10-19 
出願番号 商願昭43-77893 
審決分類 T 1 31・ 11- Z (130)
最終処分 成立 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
大森 友子

登録日 1971-08-16 
登録番号 商標登録第922447号(T922447) 
商標の称呼 メトロ 
代理人 光藤 覚 
代理人 鎌田 和弘 
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