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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1247991 
審判番号 不服2010-29366 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-27 
確定日 2011-11-18 
事件の表示 商願2009- 95821拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「コク濃」の文字を標準文字で表してなり、第30類「穀物の加工品」を指定商品として、平成21年12月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、次の(1)及び(2)の拒絶の理由を通知し、(2)の理由によって、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「コク濃」の文字を標準文字で表してなり、全体として「深みのある濃厚な味わい」程の意味合いを看取させるものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は「深みのある濃厚な味わいのある穀物の加工品」程の意味合いを認識するに止まり、単に商品の品質を表したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。(以下「理由1」という。)
(2)本願商標は、登録第4383929号商標、登録第5170959号商標及び登録第5306695号商標と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。(以下「理由2」という。)

3 当審において通知した審尋
請求人に対して、平成23年6月21日付けで通知した審尋の内容は、別掲のとおりである。

4 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり「コク濃」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、上記3の審尋のとおり、「コク濃」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「スープ付中華そばのめん,その他のめん」に使用しても、これに接する取引者、需要者は該文字を「コクがあって濃厚な(味わいの)商品」であることを表したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべきものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「コク濃」の文字は辞書には掲載されておらず、審尋で挙げている使用例は量的に多くなく、本願の指定商品とは非類似の役務(飲食物の提供)や商品(スナック菓子、からすみ、チーズケーキ等)に使用されているものであり、直ちに本願の指定商品との関係で品質表示であるとはいえない旨主張している。
しかしながら、「コク濃」の文字は、上記3の審尋で示したとおり、ラーメンを初めとする各種の食品について一般に使用されていることからすると、「コク濃」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「スープ付中華そばのめん,その他のめん」に使用しても、これに接する取引者、需要者は該文字を「コクがあって濃厚な(味わいの)商品」であることを表したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものと判断するのが相当である。
イ また、請求人は、上記3の審尋は、査定において否定ないし撤回された理由1を通知するものであるから、査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に該当し、商標法第55条の2第1項において準用する商標法第15条の2の規定により、改めて拒絶の理由を通知しなければならないところ、当該審尋は、商標法第16条における「政令で定める期間」である出願の日から1年6月を経過して通知されたものであるから、商標法第16条に違反する旨主張している。
しかしながら、商標法第56条第1項で準用する特許法第158条の規定によれば、「審査においてした手続は、拒絶査定に対する審判においても、その効力を有する。」のであるから、たとえ査定の理由が理由2によるものであったとしても、原審における理由1による拒絶の理由の通知は、審判においてもその効力を有するというべきである。
そして、拒絶査定に対する審判は、審査手続の続行として、商標登録出願について更に審理を行い、事実の認定及び法令の解釈適用をやり直すことによって、原査定の当否を判断するとともに、当該商標登録出願についての最終的な結論を導くものであるから、たとえ査定の理由と異なり、かつ、査定において否定ないし撤回された理由であるとしても、すでに通知してある拒絶の理由については、これを更に審理した上で、改めて拒絶の理由を通知することなく、この理由により審決することができるものと解するのが相当である。
そうとすれば、上記3の審尋の内容は、商標法第55条の2第1項において準用する商標法第15条の2の規定により改めて拒絶の理由を通知しなければならないというべきものではない。
よって、当該審尋は、商標法第16条に違反するものではない。
なお、特許に関する事件において、「拒絶査定と異なる理由による審決をする場合であっても、すでに通知してある拒絶理由と同趣旨の理由により審決をする場合には、改めてその旨の拒絶理由通知をする必要があるとは認められない。」旨の裁判例もある。(平成6年(行ケ)第283号)
ウ 請求人は、審尋によって査定の理由と異なる拒絶の理由を通知することは、裁量権の逸脱ないし濫用がある旨主張しているが、上記イのとおり、上記3の審尋の内容は、商標法第55条の2第1項において準用する商標法第15条の2の規定により改めて拒絶の理由を通知しなければならないというべきものではなく、当該審尋は商標法第16条に違反するものではないから、裁量権の逸脱ないし濫用には当たらないものである。
エ 請求人は、上記3の審尋における商標法第3条第1項第3号該当性の判断と原審における理由1の判断とは、たとえ根拠条文が同じでも、根拠事実が相違するので、異なる拒絶の理由と評価すべき旨主張している。
しかしながら、当該審尋の内容と原審における理由1とは、共に自他商品識別標識としての機能を有しないとするものであるから、両者は実質的に相違するものではない。審尋において示した事実は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当することの証左を補充するものであるから、これを異なる拒絶の理由と評価すべきではない。
オ 請求人は、上記3の審尋について、単に反論の機会を与えたというだけでは適正手続の保障には不十分である旨主張しているが、上記イないしエのとおり、本件の手続において違法はない上、上記3の審尋において反論の機会を与えているのであるから、適正手続の保障には不十分であるとはいえない。
カ 以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用することはできない。
(3)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(審尋の内容)
この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「コク濃」の文字を標準文字で表してなり、第30類「穀物の加工品」を指定商品とするものである。
そして、「コク濃」の文字(語)が別記のとおりインターネット上で使用されている事実がある。
これらの事実からすれば、「コク濃」の文字(語)は、ラーメンを初めとする食品を取り扱う業界において、「コクがあって濃厚な(味わいの)商品」であるという商品の品質を表示するものとして一般に使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。
そうとすると、「コク濃」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「スープ付中華そばのめん,その他のめん」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該文字を「コクがあって濃厚な(味わいの)商品」であることを表したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、この審尋と原審における拒絶理由通知書の理由1とは、いずれも本願商標が自他商品識別標識としての機能を有しないとするものであるから、両者の内容は実質的に相違するものではない。
別記
1 ラーメンにおける使用
(1)「King of Ramen」と称するブログにおいて、「壱屋」の見出しのもと、「とんこつラーメン コク濃(530円)」、「とろみがあるほどの濃さです。」の記載とともにラーメンの写真が掲載されている。
(http://sramen.exblog.jp/6796613/)
(2)「むねログ」と称するブログにおいて、「無鉄砲ラーメン」の見出しのもと、「スープが結構コテコテでコク濃。」の記載とともにラーメンの写真が掲載されている。
(http://munelog.seesaa.net/article/24809331.html)
(3)「清水エスパルスとラーメンと私。」と称するブログにおいて、「清水区『蘭蘭』」の見出しのもと、「前に、『蘭蘭』で、ラーメンを食べた時に、気になっていた“コク濃ラーメン”を食べてきました」、「コク濃ラーメンは、【醤油】・【塩】・【味噌】の、3種類あるので、『コク濃醤油チャーシューメン』740円を食べました」、「少し、コッテリした、豚骨醤油のラーメンでした。」の記載とともにラーメンの写真が掲載されている。
(http://blog.goo.ne.jp/kazu0814_1974/e/ee454aebf4cb2597e228a3c2d9f0b2a5)
(4)「らぁ麺ぐるめっと」と称するブログにおいて、「2011年02月21日」の見出しのもと、「麺肴ひづき(鯵鶏コク濃つけ麺)」、「鶏白湯+鯵煮干しな濃厚つけ汁っすょ。」の記載とともにつけ麺の写真が掲載されている。
(http://men.naganoblog.jp/e669111.html)
(5)「Lococom」と称するウェブサイトにおいて、「大人のラーメン RYOMA」の見出しのもと、「特級煮干し醤油ラーメン、コク濃魚介つけめんでした。」、「トンコツ風味の強い醤油で美味しかったです。」の記載とともにラーメンの写真が掲載されている。
(http://www.lococom.jp/article/view/2149809/)
2 ラーメン以外の食品における使用
(1)株式会社東ハトのホームページにおいて、「東ハトからのお知らせ」の見出しのもと、「『キャラメルコーン コク濃仕立て・ミルク味』新発売」、「キャラメルコーンの新シリーズとしてカップタイプの『キャラメルコーン コク濃仕立て・ミルク味』を、2007年3月5日より新発売いたします。」、「従来のキャラメルコーンよりも濃厚でコクのある味わいに仕立てました。」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(http://tohato.jp/news/news.php?data_number=335)
(2)「Yahoo!ショッピング」の「酒と魚のうお京」と称するウェブサイトにおいて、「うお京名物『超』お得値!からすみ」の見出しのもと、「ねっとりした食感と濃い旨味。ぎゅ?っと美味しさがつまった上質のからすみです。」、「ねっとりコク濃!からすみオーストラリア産」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/uokyo/karasumi2.html)
(3)「人気商品のクチコミ情報満載 くちこみマーケット」と称するウェブサイトに「食品・飲料」の項があり、そこには「一口であなたもこの濃厚な味に恋をする」、「しっとりしていて濃厚。だからといってしつこくない。」、「ノワドココ フレンチの超しっとりコク濃チーズケーキ」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(http://www.shop-online.jp/mobant/index.php?body=spec&product_id=757742&category_id=111463)
(4)「ぐるなび 東京版」と称するウェブサイトにおいて、「楽旬堂 坐唯杏 別館」の見出しのもと、「メニュー」の項に「豊満コク濃 肉踊蕎麦(肉そば)〈温〉」、「極上の湯葉と熱々のそばつゆが、濃厚なコクを醸しだします。」の記載がある。
(http://r.gnavi.co.jp/a708300/menu2.html)
(5)「memorandum」と称するブログにおいて、「アンデイコ 釜だしチーズプリン コク濃仕立て」の見出しのもと、「アンデイコ 釜だしチーズプリン コク濃仕立てを食べてみた。沖縄を除くローソンで発売中。137円。」、「とろとろ一歩手前の固さの舌触り、まろやかで濃厚な味わい。」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(http://blog.kazunori310.jp/2011/04/14/andeico-kamadashi-cheese-pudding/)


審理終結日 2011-09-09 
結審通知日 2011-09-16 
審決日 2011-09-27 
出願番号 商願2009-95821(T2009-95821) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
山田 啓之
商標の称呼 コクノー 
代理人 鈴江 正二 
代理人 木村 俊之 

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