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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y43
管理番号 1247963 
審判番号 取消2010-301086 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-10-09 
確定日 2011-11-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4797745号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4797745号商標(以下「本件商標」という。)は、「健遊館」の文字を標準文字で表してなり、平成15年12月1日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同16年8月27日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務について、過去3年間使用されていない。
特に、被請求人がインターネットに掲載しているデイサービスとの関係が不明であり、かつ、甲第1号証として提示する「高齢者が住まう家・施設の基準」の表に示されているように、デイサービスは「通所介護」、「通所リハビリ」の項に示すように、食堂、機能訓練室、静養室、面談室、事務室等の限定要件が存在するのみであり、上記指定役務の使用が確認できない。よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 「老人の養護」についての使用
被請求人は、乙第1号証ないし乙第22号証で本件商標を「老人の養護」に使用している旨主張する。
(ア)パンフレット
健遊館安芸高田デイサービスセンターのパンフレット(乙第1号証)、健遊館浅草のパンフレット(乙第6号証)、健遊館銭湯月の湯のパンフレット(乙第11号証)、及び健遊館竹の湯のパンフレット(乙第16号証)は、その発行日、印刷日及び頒布の事実も不明であり、何を立証しようとしているのか特定されていない。また、商標権者、専用実施権者又は通常実施権者の何れが使用していることを立証しようとしているのかが不明である。
また、乙第6号証、乙第11号証及び乙第16号証のパンフレットに掲載の「運営会社株式会社健遊館」とは、本件商標の使用においていかなる関係にあるか不明である。
(イ)指定居宅サービス事業者等としての指定通知書
株式会社健遊館が指定居宅サービス事業者(乙第2号証)、指定通所介護事業所(乙第7号証)、指定通所介護事業所及び指定介護予防通所介護事業所(乙第12号証、乙第17号証)として指定を受けたことと、本件商標の使用との関係が不明であり、何を証明しようとしているのか不明である。
(ウ)健遊館安芸高田デイサービスセンター(乙第1号証ないし乙第5号証)
被請求人は「健遊館安芸高田デイサービスセンター」を商標の使用と特定している。しかし、健遊館安芸高田デイサービスセンターのパンフレット(乙第1号証)では「健遊館安芸高田デイサービスセンター」と特定できない使用もある。
そして、株式会社健遊館は、指定居宅サービス事業者として指定されている(乙第2号証)が、介護サービスの請求書及び領収書(乙第3号証、乙第4号証)は、健遊館安芸高田デイサービスセンターから発行されている。また、介護給付費等支払決定額通知書(乙第5号証)は、健遊館安芸高田デイサービスセンター及び株式会社健遊館宛になっている。
(エ)健遊館浅草(乙第6号証ないし乙第10号証)
被請求人は「健遊館浅草」を商標の使用と特定しているものと推定される。しかし、株式会社健遊館は、通所介護サービス事業者として指定されている(乙第7号証)が、介護サービスの請求書及び領収書(乙第8号証、乙第9号証)は、健遊館浅草から発行されている。そして、介護給付費等支払決定額通知書(乙第10号証)は、健遊館浅草及び株式会社健遊館宛になっている。
(オ)健遊館銭湯月の湯(乙第11号証ないし乙第15号証)
被請求人は、「健遊館銭湯月の湯」を商標の使用と特定していると推定される。しかし、株式会社健遊館は通所介護サービス事業者として指定されている(乙第12号証)が、介護サービスの請求書及び領収書(乙第13号証及び乙第14号証)は、健遊館銭湯月の湯から発行されている。また、介護給付費等支払決定額通知書(乙第15号証)は、健遊館銭湯月の湯及び株式会社健遊館宛になっている。
(カ)健遊館竹の湯(乙第16号証ないし乙第20号証)
被請求人は「健遊館竹の湯」を商標の使用と特定しているものと推定される。しかし、株式会社健遊館は通所介護サービス事業者として指定されている(乙第17号証)が、介護サービスの請求書及び領収書(乙第18号証、乙第19号証)は、健遊館竹の湯から発行されている。また、介護給付費等支払決定額通知書(乙第20号証)は、健遊館竹の湯及び株式会社健遊館宛になっている。
(キ)以上の乙第1号証ないし乙第20号証からすれば、記載された名称等に整合性がなく、本件商標の使用と本件商標権者との関係が、権利者本人か、専用実施権者か、通常実施権者か、フランチャイズ組織であるか等が不明であり、また、本件商標の使用とは何れを指しているか主張立証の関係が不明である。そして、取引関係が一致しておらず不明である。
(ク)その他の証拠
介護事業者のサービス検索プログラム及びその結果の介護事業者情報である乙第21号証及び被請求人のホームページである乙第22号証は、共にホームページのダウンロードの日付がカットされており不明であるが、その一端から2010年11月であることが推認され、本件審判請求日以降の被請求人のホームページで何を立証しようとしているのか不明である。
(ケ)小括
被請求人は、本件商標を「老人の養護」に、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用していると主張しているが、本件商標の使用と商標権者との関係などが不明であり、また、本件商標の使用とは乙各号証の何れを指しているか不明である。そして、取引関係が一致しておらず不明である。さらに、請求書、入金伝票は、各施設利用者の1人の証拠であり、1人のために事業所が活動することは普通では考えられないから、当該事業所での役務か、委託事業所での役務かが特定できない。
イ 「飲食物の提供」についての使用
被請求人は、「飲食物の提供」についても、乙各号証の請求書、入金伝票に昼食費、食費等の記載があることから、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用していると主張している。
しかし、それらの請求書、入金伝票は、1人に対する個人負担金の昼食費であり、どのような昼食を取ったかは明らかでない。また、その金額にも乙第11号証では400円の表示があり、乙第16号証では200円の表示があり、同一内容にもかかわらず料金の違いがあり、いかなる役務内容を採っているのか不明である。少なくとも、当該証拠には、第43類の飲食物の提供の概念の事例としての、食堂、レストラン、そば店、うどん店、すし店、喫茶店、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、酒場及びビヤホール等が料理及び飲料を飲食させる役務と同様の役務に使用していることを立証されていない。
ウ 本件商標の使用について
被請求人は、各施設の商標の使用は、本件商標と社会通念上同一商標の使用である旨主張している。
しかし、健遊館浅草の「浅草」は、需要者に介護サービスの提供地が浅草と思わせるものであるが、現実の介護サービスの提供地は「東京都台東区松が谷」であり、また、健遊館銭湯月の湯、健遊館竹の湯の「銭湯月の湯」、「竹の湯」は需要者にサービスの提供内容が「銭湯」と思わせるものであって、本件商標の使用は「健遊館銭湯月の湯」、「健遊館竹の湯」という銭湯を特定するものである。
してみれば、これらは役務の使用に錯誤を生じさせるものであり、本来、商標法に反する形態での本件商標の使用は、商標の使用に該当しない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
(1)「老人の養護」についての使用
被請求人は、乙各号証で示すように、本件商標を「老人の養護」に、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用している。
すなわち、通所介護施設として指定を受けた被請求人は、その介護施設において健康チェック、入浴、食事、レクレーション、リハビリの提供等の日常生活上の世話、機能訓練といった老人の養護を行っている。
上記証拠に示すように、介護保険として個人負担分の請求がされ、介護給付がなされていることから、被請求人が老人の養護を行っていることは明らかである。
(2)「飲食物の提供」についての使用
「飲食物の提供」についても、乙第3号証、乙第4号証、乙第8号証、乙第9号証、乙第13号証、乙第14号証、乙第18号証、乙第19号証の請求書、入金伝票に昼食費、食費等の記載があることから、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用していることは明らかである。
(3)本件商標の使用について
乙第6号証ないし乙第10号証の施設は、本件商標の他に、地名が一体的に表記されているが、地名は自他役務を識別する機能を持たないものであるから、本件商標と社会通念上同一のものと容易に理解できるものであり、本件商標の使用であることは明らかである。
なお、乙第1号証ないし乙第5号証に小さく付加された「安芸高田デイサービスセンター」の「安芸高田」、乙第22号証のホームページ中「大曽根デイサービスセンター」の「大曽根」も地名であると共に、表記の態様からみても本件商標の使用であることは明らかである。
また、乙第11号証ないし乙第20号証の施設については、本件商標の他に施設名が付加されているが、これは代表的出所標識として本件商標が使用され、それぞれ個別の施設について個別の施設名が付加されているにすぎないものである。
(4)まとめ
以上の証拠から、本件商標は、被請求人によって「老人の養護」又は「飲食物の提供」に使用されていることは明らかである。

4 当審の判断
(1)乙各号証について
被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定役務中の「老人の養護」又は「飲食物の提供」について使用している旨主張して、乙第1号証ないし乙第22号証を提出しているので、以下、被請求人の提出に係る乙各号証について検討する。
ア 乙第1号証は、「健遊館 安芸高田デイサービスセンター」のパンフレットであり、表紙には、上段に大きく、行書体で表された「健遊館」の文字及びその下に「安芸高田デイサービスセンター」の記載があり、中央に当該施設の看板と建物が写された写真が掲載され、その看板に「デイサービスセンター/健遊館」(以下「使用商標1」という。)の表示があり、また下段に「…広く地域社会の高齢者の為に貢献する目的で、平成16年12月開設」の記載がある。
2枚目には、「安心・安全に入浴いただけます」「健康管理」「健康状態をチェック!」等の記載とともに、入浴施設や健康状態をチェックしている写真が掲載されている。
3枚目には、「カラオケ/元気に歌って気分爽快!」「お食事」「旧料理旅館の職人の味」「リクリエーション/いろんな小物を作ります」の記載とともに、カラオケやリクリエーションを行っている写真及び食膳の写真が掲載されている。
4枚目には、上段に案内図が表示され、その中に「安芸高田デイサービスセンター」の記載、下段に「広島県安芸高田市向原町長田2337-3」、「介護保険事業者番号 3473600611」、「健遊館」、「安芸高田デイサービスセンター」の記載がある。
イ 乙第2号証は、指定居宅サービス事業者としての指定通知書であり、右上に「株式会社健遊館」、その下に「介護保険法(平成9年法律第123号)第41条第1項の規定によって、指定居宅サービス事業者として次のとおり指定します。」、「平成20年7月1日」、「広島県知事 藤田雄山」(広島県知事の押印がある。)、「1 事業所の名称/健遊館 安芸高田デイサービスセンター」、「2 事業所の所在地/広島県安芸高田市向原町長田2337番地3」、「3 居宅サービスの種類/通所介護」、「4 介護保険事業所番号/3473600611」、「5 指定の有効期限/平成20年7月1日から平成26年6月30日まで」の記載がある。
ウ 乙第3号証は、請求書であり、1枚目には、右上に「健遊館安芸高田デイサービスセンター」(以下「使用商標2」という。)「指定番号3473600611」、「広島県安芸高田市向原町長田2337-3」、「2010年03月31日発行」、その左に名宛人名及び請求額の記載、その下に「2010年3月分」、「〈内訳〉/1(○の中に1)介護保険個人負担」の記載があり、その下の表には、1段目の月日欄に「0302」、サービスコード略称欄に「予防通所介護2」、利用欄に「1」、入浴欄に「1」、機能訓練欄に「1」等の記載、下段に「単位数合計:4578単位」「¥4,578」の記載がある。
2枚目には、右上に「2010年03月31日発行」、その左に名宛人名「〈内訳〉/2(○の中に2)介護保険個人負担以外」の記載があり、その下の表には、1段目の月日欄に「1(○の中に1)参照」、内訳欄に「昼食費」、単価(税込)欄に「100」、数量欄に「8」、金額欄に「800」の記載、下段に「合計」「¥800」の記載がある。
エ 乙第4号証は、入金伝票であり、1枚目には上部に名宛人名、その下に「¥4,578」、「介護保険自己負担3月分」、「22年4月17日上記正に入金いたしました」の記載があり、その下には、「健遊館 安芸高田デイサービスセンター」(以下「使用商標3」という。)、「広島県安芸高田市向原町長田2337-3」の記載及び押印がある。
2枚目の上部に名宛人名、その下に「¥800」、「食費3月分」、「22年4月17日上記正に入金いたしました。」の記載があり、その下には、使用商標3、「広島県安芸高田市向原町長田2337-3」の記載及び押印がある。
オ 乙第5号証は、「広島県安芸高田市向原町長田2337番地3/健遊館安芸高田デイサービスセンター/株式会社健遊館 様」宛ての「介護給付費等支払決定額通知書」と題する書面であり、そのタイトルの下に「平成22年04月審査分として下記金額を支払決定し右記銀行に送金しますので通知します。」、その右に「事業所番号 3473600611」、銀行名、支店名、「平成22年05月28日/広島県国保連合会」、下に「介護給付費支払額」等の記載がある。
カ 乙第6号証は、「健遊館浅草」のパンフレットであり、表紙には、左に行書体で表された「健遊館浅草」の文字がある。
2枚目には、「お食事/旧料亭の職人の味」「リフト浴もあります」「お風呂/大浴場で足を伸ばしてゆったりと」「いきいき館専用/カラオケルーム/元気に歌って気分爽快!」の記載とともに、食膳、浴場、カラオケルームの写真が掲載されている。また、右上には、玄関の写真が掲載され玄関の看板に「健遊館浅草」(以下「使用商標4」という。)の記載がある。
3枚目には、「健康体操」「歩行訓練」「フットケア」「レクリエーション」「ハンドケア」「口腔ケア/楽しい食事をいつまでも!」「頭の体操」「健康管理」「マッサージチェア」の記載とともに、体操、歩行訓練、フットケア、レクリエーション、ハンドケア、口腔ケア、健康管理等を行っている写真が掲載されている。
4枚目には、上段に案内図が表示され、その中に「健遊館浅草」の記載、下段に「東京都台東区松が谷3-19-4」、「介護保険事業者番号 1370601971」、「健遊館浅草」の記載がある。
キ 乙第7号証は、指定通所介護事業所としての指定通知書であり、右上に「愛知県名古屋市中村区寿町25番地/株式会社健遊館」、その下に「下記のとおり、介護保険法第70条第1項の規定により、指定通所介護事業所として指定したので通知する。」、「平成18年1月26日」、「東京都知事 石原慎太郎」(東京都知事の押印がある。)、「1 事業所名 健遊館浅草」、「2 所在地 東京都台東区松が谷3丁目19番4号」、「3 代表者名 代表取締役社長 鬼頭忠男」、「4 指定年月日 平成18年2月1日」、「5 サービス種別 通所介護」の記載がある。
ク 乙第8号証は、請求書であり、1枚目には、右上に「健遊館 浅草」(以下「使用商標5」という。)「指定番号1370601971」、「東京都台東区松が谷3-19-4」、「2010年03月31日発行」、その左に名宛人名及び請求額の記載、その下に「2010年3月分」、「〈内訳〉/1(○の中に1)介護保険個人負担」の記載があり、その下の表には、1段目の月日欄に「0301」、サービスコード略称欄に「677単位」、利用欄に「1」、入浴欄に「1」、機能訓練欄に「1」等の記載、下段に「単位数合計:3016単位」「¥0」の記載がある。
2枚目には、右上に「2010年03月31日発行」、その左に名宛人名「〈内訳〉/2(○の中に2)介護保険個人負担以外」の記載があり、その下の表には、1段目の月日欄に「1(○の中に1)参照」、内訳欄に「昼食費」、単価(税込)欄に「400」、数量欄に「4」、金額欄に「1,600」の記載、下段に「合計」「¥1,600」の記載がある。
ケ 乙第9号証は、入金伝票であり、上部に名宛人名、その下に「¥1,600」、「H22年3月利用食事代として」、「H22年4月26日上記正に入金いたしました」の記載があり、その下には、「東京都台東区松が谷3-19-4」「健遊館 浅草」(以下「使用商標6」という。)の記載がある。
コ 乙第10号証は、「東京都台東区松が谷3丁目19番4号/健遊館浅草/株式会社 健遊館 様」宛ての「介護給付費等支払決定額通知書」と題する書面であり、そのタイトルの下に「平成22年04月審査分として下記金額を支払決定し右記銀行に送金しますので通知します。」、その右に「事業所番号 1370601971」、銀行名、支店名、「平成22年05月24日」、下に「介護給付費支払額」等の記載がある。
サ 乙第22号証は、被請求人のホームページであり、2枚目の上に「おもてなしの健遊館」の見出し、その下に「健遊館 会社概要」、「会社名 株式会社 健遊館」、「会社設立 2004年4月1日」、「主な事業内容 介護保険法に基づく通所介護事業/介護保険法に基づく介護予防通所介護事業」等の記載がある。また、最下段に「本社」等の記載があり、3枚目の上に「所在地 愛知県名古屋市中村区寿町25」の記載がある。
なお、職権調査によれば、現在も乙第22号証と同様のホームページが確認できる。
7枚目の上に「おもてなしの健遊館」の見出しの下、「健遊館 店舗情報」、「関東地区」の記載があり、その下に「健遊館 銭湯 月の湯」や「健遊館 浅草/東京都台東区松が谷3-19-4」等16か所の事業所の記載がある。
8枚目には、関東地区、中部地区、近畿地区の各事業所のほか「中国地区」の事業所として、「健遊館 安芸高田/広島県安芸高田市向原町長田2337-3」の記載がある。
(2)上記(1)によれば、次のとおりである。
ア 本件商標に係る商標登録原簿における権利者(被請求人)の住所と被請求人のホームページの本社の住所が一致することから、被請求人は、2004年(平成16年)4月1日に設立された「介護保険法に基づく通所介護事業」及び「介護保険法に基づく介護予防通所介護事業」を主な事業内容とする法人であり、関東地区、中部地区、近畿地区及び中国地区に事業所(店舗)を展開している(上記(1)サ)。
イ 「健遊館 安芸高田デイサービスセンター」及び「健遊館浅草」の各パンフレット、指定居宅サービス事業者としての指定通知書、請求書及び入金伝票の住所(所在地)と被請求人のホームページの「安芸高田」及び「健遊館 浅草」の各店舗の住所が一致する(上記(1))ことから、上記各パンフレット、指定通知書、請求書及び入金伝票は、被請求人が発行又は被請求人宛てに通知されたものと認められる。
ウ 被請求人は、「健遊館安芸高田デイサービスセンター」及び「健遊館浅草」の各事業所において、それぞれ使用商標1及び使用商標4の看板を掲げ健康状態のチェック、入浴、食事及びリクリエーションその他の日常生活上必要な世話や機能訓練を行う高齢者向けのサービス(役務)であるデイサービスや介護予防デイサービス(通所介護、予防通所介護)を提供していることが認められる(上記(1)ア及びカ)。
また、かかる役務の提供は、「健遊館安芸高田デイサービスセンター」が平成20年7月から、「健遊館浅草」が平成18年から、提供し継続して行われているものと推認できる(上記(1))。
エ 被請求人は、「健遊館安芸高田デイサービスセンター」において、2010年(平成22年)3月2日に利用者に入浴、機能訓練に係る役務及び食事の提供を行った(上記(1)ウ及びエ)。
また、被請求人は、該役務について、同年3月31日に使用商標2を表示した請求書及び同年4月17日に使用商標3を表示した入金伝票をそれぞれ発行した(上記(1)ウ及びエ)。
オ 被請求人は、「健遊館浅草」において、2010年(平成22年)3月1日に利用者に入浴、機能訓練に係る役務及び食事の提供を行った(上記(1)ク及びケ)。
また、被請求人は、該役務について、同年3月31日に使用商標5を表示した請求書及び同年4月26日に使用商標6を表示した入金伝票をそれぞれ発行した(上記(1)ク及びケ)。
カ 被請求人の提供する役務
被請求人が提供する上記ウないしオの役務は、老人の介護又は養護の役務及び食事の提供であり、これらの役務は取消請求に係る指定役務中「老人の養護」及び「飲食物の提供」の範ちゅうに含まれるものと判断するのが相当である。
キ 上記ウないしオの日付は、いずれも本件審判請求の登録(平成22年10月27日)前3年以内である。
ク 使用商標1ないし6について
本件商標は「健遊館」の文字、使用商標1は「デイサービスセンター/健遊館」、使用商標2及び3は「健遊館安芸高田デイサービスセンター」「健遊館 安芸高田デイサービスセンター」の文字からなるものであり、それらの構成中「デイサービスセンター」又は「安芸高田デイサービスセンター」の文字は、役務の質、提供場所を認識させるものであって、識別力を有しないか、あるいは極めて弱いものであるから、「健遊館」の文字が独立して自他役務識別標識として機能し得るものとみるのが自然である。
また、使用商標4ないし6は、「健遊館浅草」「健遊館 浅草」の文字からなるものであり、それらの構成中「浅草」の文字は、役務の提供地を認識させるものであって、識別力を有しないか、あるいは極めて弱いものであるから、「健遊館」の文字が独立して自他役務識別標識として機能し得るものとみるのが自然である。
してみれば、本件商標と使用商標1ないし6の構成中「健遊館」の文字部分とは、書体に差異を有するものの、いずれも「健遊館」の文字からなるもであるから、使用商標1ないし6は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判についての要証期間内に、日本国内において取消請求に係る指定役務中「老人の養護」及び「飲食物の提供」に関する広告(看板)及び取引書類(請求書、入金伝票)に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示及び頒布したものということができる。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定役務中「老人の養護」及び「飲食物の提供」について、商標権者(被請求人)が本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-09-13 
結審通知日 2011-09-15 
審決日 2011-09-27 
出願番号 商願2003-106540(T2003-106540) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 瀧本 佐代子
小畑 恵一
登録日 2004-08-27 
登録番号 商標登録第4797745号(T4797745) 
商標の称呼 ケンユーカン 
代理人 特許業務法人 Vesta国際特許事務所 
代理人 足立 勉 

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