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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2932
審判 全部申立て  登録を維持 X2932
管理番号 1246589 
異議申立番号 異議2011-900190 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-05-26 
確定日 2011-11-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5392761号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5392761号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5392761号商標(以下「本件商標」という。)は、「魔王」の文字を標準文字で表してなり、平成22年3月16日に登録出願、第29類「肉製品を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・カプセル状の加工食品,加工水産物を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・カプセル状の加工食品,加工野菜を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・カプセル状の加工食品,加工果実を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・カプセル状の加工食品」及び第32類「清涼飲料」を指定商品として、平成23年2月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3007517号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年5月22日に登録出願、第32類「ビール」を指定商品として、同6年10月31日に設定登録され、その後、同16年6月29日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)国際登録第920443号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、2006年(平成18年)12月1日に国際商標登録出願され、第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載された商品「Beers.」を指定商品として、平成20年4月18日に設定登録されたものである。
(3)国際登録第920444号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、2006年(平成18年)12月1日に国際商標登録出願され、第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載された商品「Beers.」を指定商品として、平成20年4月18日に設定登録されたものである。
(4)国際登録第920445号商標は、別掲4のとおりの構成からなり、2006年(平成18年)12月1日に国際商標登録出願され、第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載された商品「Beers.」を指定商品として、平成20年4月18日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標に係る指定商品、特に第32類「清涼飲料」は、引用商標に係る指定商品である第32類「Beers.」と、生産者、販売場所、用途、需要者において共通する場合が多い類似する商品である。
また、引用商標は、いずれも「Mahou」の文字を含む構成からなる商標であるところ、引用商標を付したビールは、スペインの一番ポピュラーなビールとして、世界的に知られており、また、スペイン語では「h」の文字が発音されないことから、引用商標からは、ローマ字読みの「マホウ」の称呼を生ずるほか、スペイン語の知識を有する取引者・需要者においては、「マオウ」の称呼を生ずる。
そして、我が国で「マオウ」と発音される親しまれた日本語は、「魔王」しか存在しない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、「マオウ」の称呼及び「魔王」の観念を同じくする類似の商標であり、かつ、類似の商品に使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、「マオウ」の称呼及び「魔王」の観念を同じくするものであって、その類似性は高いといえるものであり、また、本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とは、生産・流通部門、需要者層、用途等を共通にする場合が相当多い、関連性が強い商品である。
さらに、引用商標が申立人の略称又はその「ビール」の出所を示す表示として広く知られていることに加え、本件商標に係る指定商品が日常消費される性質の商品であって、購入の際に出所識別にあたって払われる注意力もさほど高くないことを考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者は、申立人の商品と出所を混同するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「魔王」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応する「マオウ」の称呼及び「魔物・悪魔の王」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、別掲1のとおり、「mahou」の欧文字(語頭の「m」の文字は、他の構成文字に比してやや大きく表されている。)を横書きしてなるところ、該文字は、辞書類に掲載されていないものであって、かつ、既成の慣れ親しまれた称呼及び観念を生ずるものではないから、その構成文字に相応する「マホウ」の称呼を生じ、特定の意味合いを想起させることのない造語からなるものというのが相当である。
(イ)引用商標2ないし4は、各々、別掲2ないし4のとおり、図形と「mahou」の欧文字(語頭の「m」の文字は、他の構成文字に比してやや大きく表されている。)とを組み合わせてなるところ、該図形と欧文字との組み合わせ全体をもって特定の意味合いを想起させるものとはいい難く、また、その構成態様に照らせば、該欧文字部分が看者の注意を強く惹き、そこから生ずる称呼等をもって取引に資する場合も決して少なくないというのが相当である。
そして、該欧文字は、引用商標1と同一の書体をもって表されているものである。
してみれば、引用商標2ないし4は、いずれもその構成中の「mahou」の欧文字部分に相応する「マホウ」の称呼を生じ、その構成全体及び該欧文字部分のいずれからも特定の意味合いを想起させることのないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)称呼
本件商標から生ずる「マオウ」の称呼と引用商標から生ずる「マホウ」の称呼とは、第2音において、「オ」と「ホ」の音の差異を有するものであるから、該差異音が、3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合、その語調、語感が著しく相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。
(イ)観念
本件商標は、上記(1)アのとおり、「魔物・悪魔の王」の観念を生ずるのに対し、引用商標は、上記(1)イのとおり、いずれも特定の観念を生ずるものではないから、観念において、両者を比較することはできない。
(ウ)外観
本件商標は、漢字からなるものであるのに対し、引用商標1は、欧文字からなるものであるから、外観において、これらが互いに紛れるおそれはない。
また、引用商標2ないし4は、いずれも図形と欧文字との組み合わせからなるものであるから、外観において、これらが本件商標と互いに紛れるおそれはない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品との類否
商品の類否の判断は、「取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきであり、結局、その類否は、2つの商品に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべき」と解される(平成7年(行ケ)第161号 平成8年3月21日判決)ところ、引用商標に係る指定商品は、前記2のとおり、「Beers.」であり、商品「ビール」は、我が国においては、酒類に属するものとして取引されており、その製造、販売にあたっては免許を受ける必要があり、また、飲酒をすることができるのは、満20歳以上の者に制限されており、2005年(平成17年)からは、国内ビール会社5社からなるビール酒造組合が中心となって、アルコール飲料のテレビコマーシャル・広告における未成年者飲酒防止に係るマーク表示の義務付けのほか、アルコール飲料製造メーカー、コンビニエンスストア、量販店、小売店や中学・高校に対し、未成年者の飲酒を防止することを目的とする活動が行われている。
そうすると、引用商標に係る指定商品は、清涼飲料を含む本件商標に係る指定商品との比較において、その品質において明らかに相違するものであり、また、その製造・販売にあたり一定の制限があることに照らせば、この点において、両商品は必ずしも一致するとはいい難く、さらに、飲酒について年齢制限が課されていること等からすれば、その需要者層についても、少なからず相違するものである。
そうとすれば、両商品は、取引者、需要者をして、全く別異の商品として認識されているとみるのが相当である。
してみれば、仮に同一又は類似の商標を本件商標に係る指定商品と引用商標に係る指定商品とに使用したとしても、これに接する取引者、需要者は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないというべきであるから、両指定商品は、互いに非類似の商品である。
オ したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、また、それらの指定商品も互いに非類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠のうち、申立人の業務に係る商品「ビール」が国内で取引等されていることを窺わせるものは、甲第18号証及び甲第19号証にとどまり、また、いずれもインターネット上の情報を紙出力したものであるところ、その出力日は、各葉の右下の「2011/08/16」の記載からして、本件商標の登録査定日後である2011年(平成23年)8月16日と認められるものであり、さらに、前者には「2010年03月22日(月)」の記載があることからすれば、その情報が本件商標の登録出願日後のものと推認され、後者には情報掲載日を特定し得る記載は見当たらない。その他、申立人の提出に係る証拠について、引用商標が、申立人の業務に係る商品「ビール」について使用され、本件商標の登録出願日に既に需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りるものは見いだせない。
そして、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、商標及びその指定商品において、非類似のものである。
以上によれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標1(登録第3007517号商標)


2 引用商標2(国際登録第920443号商標)


3 引用商標3(国際登録第920444号商標)


4 引用商標4(国際登録第920445号商標)


(上記2ないし4の商標の色彩については、原本参照のこと。)

異議決定日 2011-10-21 
出願番号 商願2010-25535(T2010-25535) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X2932)
T 1 651・ 262- Y (X2932)
最終処分 維持  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 田中 敬規
山田 和彦
登録日 2011-02-25 
登録番号 商標登録第5392761号(T5392761) 
権利者 株式会社青春薬品工業
商標の称呼 マオー 
代理人 勝見 元博 
代理人 鮫島 睦 
代理人 川本 真由美 

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