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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X353641
審判 全部申立て  登録を維持 X353641
審判 全部申立て  登録を維持 X353641
審判 全部申立て  登録を維持 X353641
管理番号 1246550 
異議申立番号 異議2011-900112 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-03-31 
確定日 2011-11-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5378827号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5378827号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5378827号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成22年7月1日に登録出願、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,税務書類の作成,税務書類の作成に関する指導・助言・相談及びこれらに関する情報の提供」、第36類「建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,課税額の査定,金融資産の相続税等の税金に関する助言及び指導,税務相談・税務代理に関する情報の提供」及び第41類「税務に関する知識の教授」を指定役務として、同年11月25日に登録査定、同年12月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第7号について
ア 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、独立した、非営利の民間組織であり、その主要な活動は、申立人の基準設定期間である国際会計基準審議会(IASB)を通じて、明瞭で理路整然とした会計原則に基づいた、高品質で実用的な、世界各国で受け入れられる単一の経営報告基準を開発することにより、国内の会計基準に統一性をもたらす国際財務報告基準(International Financial Reporting standards:IFRSs)を設定することであり、2001年から、その利用と厳格な適用の普及活動をしており、現在約120カ国で申立人の独自の会計基準を必要とし、あるいはその利用を認めている。
申立人の提供する役務等には、「IFRS」の文字よりなる商標及び別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(これらを合わせ、以下「申立人商標」という。)が使用され、申立人商標は、申立人の提供する役務等を表示するものとして、本件商標の登録出願時は、取引者、需要者の間に広く認識されていた。
イ 本件商標は、国際会計基準審議会(IASB)によって設定される会計基準の総称「IFRS」を顕著に含むものであるので、国際会計基準審議会と何等かの関係があるものとも認められない者に対し登録を認め独占使用を許すことは、公正な競業秩序を害するとともに、社会公共の利益に反するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、申立人の周知商標と類似するものであり、かつ、申立人の提供する役務と同一又は類似する役務について使用するものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人の周知商標を商標中に顕著に含むものであるので、本件商標がその指定役務について使用された場合、役務の提供の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の周知商標と類似するものであり、かつ、不正の目的をもって使用をするものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(5)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)「IFRS」の著名性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人(国際財務報告基準財団)は、その一組織であり、国際財務報告基準(IFRSs)の設定機関である国際会計基準審議会(IASB)を通じ、世界的に共通の会計基準を開発し、これを世界各国に普及等を行う非営利の民間組織であって、国際財務報告基準とは、国際会計基準(IAS)、解釈指針委員会(SIC)解釈指針書等、国際財務報告基準書(IFRS)、国際財務報告基準解釈指針委員会(IFRIC)解釈指針からなる会計基準群の総称と認めることができる。
そして、我が国においては、2007年(平成19年)8月8日に、企業会計基準委員会が、IASBと会計基準の全面共通化を合意し、2011年(平成23年)6月までに日本基準と国際会計基準の違いを解消することを合意したことを正式発表し、2009年(平成21年)6月、日本の金融庁企業会計審議会は、一定の要件を満たす企業に対し2010年(平成22年)3月期の年度から国際会計基準による連結財務諸表の作成を容認する方針を示したこと、さらに、2015年(平成27年)ないし2016年(平成28年)に、国際財務報告基準(IFRS)の強制適用がされる予定であること、その結果、我が国における企業においては、2015年ないし2016年に向けた国際財務報告基準(IFRS)の強制適用に対応するための準備が行われている実情にあることを認め得るところである。
以上からすると、「IFRS」は、申立人の推し進める国際財務報告基準(International Financial Reporting Standard)の略称を表すものとして、本件商標の登録出願日(平成22年7月1日)には、我が国の各種業界における企業、企業の財務書類の作成等を取り扱う法人・事務所等の間においては、ある程度認識されていたものと認めることができる。しかしながら、これらの範囲を超えてなお、一般需要者の間にまで広く認識されていたものと認めることができず、かつ、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということもできない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、圧倒的な大きさで「fmc」の文字を筆記体風に書し、当該文字の「c」の文字部分の下に、小さく「IFRS」の文字を配した構成からなるところ、小さく表示された「IFRS」の文字は、申立人の推し進める国際財務報告基準の略称「IFRS」を表すものとして認識される場合があるとしても、その文字の大きさ、その指定役務との関係からすれば、出所識別標識としての機能を発揮し得ない付記的部分と言わざるを得ない。
そうとすると、本件商標は、たとえ、その構成中に、「IFRS」を含むものであるとしても、これをもって、申立人のいう「国際会計基準審議会と何等かの関係があるものとも認められない者に対し登録を認め独占使用を許すことは、公正な競業秩序を害するとともに、社会公共の利益に反するものである。」とはいえないものである。
また、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、その使用が他の法律によって禁止されているものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
上記(1)のとおり、申立人商標は、国際財務報告基準の略称「IFRS」を表すものとして、本件商標の登録出願時には、我が国の各種業界における企業、企業の財務書類の作成等を取り扱う法人・事務所等の間においては、ある程度認識されていたものと認めることができるが、これらの範囲を超えてなお、一般需要者の間にまで広く認識されていたものと認めることができず、かつ、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということもできないものである。
また、上記(2)のとおり、本件商標は、たとえ、その構成中に、「IFRS」を含むものであるとしても、当該部分は、出所識別標識としての機能を発揮し得ない付記的部分といえる。
そうとすると、本件商標をその指定役務に使用しても、これより直ちに、申立人商標を連想、想起させるものとはいえないから、需要者をして、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
さらにまた、本件商標は、これをその指定役務について使用することが、申立人商標の周知性に便乗し、不正に利益を得ようとする意図があるということもできないから、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(1)申立人商標(色彩については原本参照)


異議決定日 2011-10-17 
出願番号 商願2010-52112(T2010-52112) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X353641)
T 1 651・ 222- Y (X353641)
T 1 651・ 25- Y (X353641)
T 1 651・ 22- Y (X353641)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2010-12-24 
登録番号 商標登録第5378827号(T5378827) 
権利者 FMC株式会社
商標の称呼 エフエムシイ、アイエフアアルエス、エフエムシイアイエフアアルエス 
代理人 永井 冬紀 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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