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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X03
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
管理番号 1246369 
審判番号 不服2010-4065 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-24 
確定日 2011-10-20 
事件の表示 商願2008-94343拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「玄米核酸」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第29類及び第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、平成20年11月21日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成21年7月6日受付の手続補正書により、第29類及び第30類に属する商品が削除され、最終的に、第3類「せっけん類,洗顔料,化粧品,歯磨き,香料類,つけづめ,つけまつ毛」となったものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『玄米』の文字と『核酸』の文字とを組み合わせ、『玄米核酸』と標準文字で表してなるところ、最近では、玄米や核酸を原材料とする化粧品、せっけん類や洗顔料などが取引・販売されている実情があることから、本願商標を指定商品中、例えば玄米や核酸を原材料としている商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、原材料が玄米や核酸であること程度を認識するにとどまるので、本願商標は、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記品質を有する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲記載の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「玄米核酸」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「玄米」の文字と「核酸」の文字とを結合したものとして容易に理解、把握されるものである。
ところで、「核酸」とは、「生物の細胞核中に多く含まれる、塩基・糖・燐酸からなる高分子物質。」であるところ、せっけん類や化粧品を取り扱う業界においては、該「核酸」がそれらの原材料として一般に広く用いられているというのが実情である。
また、「核酸」を原材料とする商品について、例えば「玄米核酸」、「サケの白子核酸」又は「乳核酸」のように、その由来を表す語を結合してなる表記を用いることがしばしば見受けられるところである(別掲1ないし3参照)。
してみれば、「玄米」の文字と「核酸」の文字とを結合してなる本願商標をその指定商品中、例えば「せっけん類、洗顔料、化粧品」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から容易に「玄米から抽出した核酸」程の意味合いを想起し、これが商品の品質、原材料を表示したものとして認識することも少なくないというのが相当である。
したがって、本願商標は、単に商品の品質、原材料を表示するにすぎず、自他商品の出所識別機能を果たし得ないものであり、また、前記意味合いに照応する商品、(例えば、「玄米から抽出した核酸を原料としたせっけん類、玄米から抽出した核酸を原料とした洗顔料、玄米から抽出した核酸を原料とした化粧品」)以外のせっけん類、洗顔料、化粧品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「本願商標が何らかの品質表示として現在実際に使用されている例はない。」旨主張しているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年9月4日判決(平成12年(行ケ)第76号)参照)から、たとえ、「玄米酢酸」の文字が、その
指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして一般に使用されている事実が存在しなくても、本願商標が商品の品質を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
また、請求人は、過去の審決を挙げて本願商標は、登録されるべきである旨主張するが、該審決例は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、それをもって本願の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切ではないから採用できない。
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
当審においてした証拠調べ通知において示した内容
1 辞書類の記載について
(1)げん‐まい【玄米】「(『くろごめ(黒米)』に当てた漢字の音読)籾殻もみがらを除いただけで、精白してない米。精白により剥落するビタミンB1等を含むため、近年健康食料とされる。くろごめ。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)
(2)かく‐さん【核酸】「アデニン・グアニン・シトシン・チミン(またはウラシル)の4種の含窒素塩基・糖・リン酸が規則的に結合した高分子の有機化合物。糖がデオキシリボースかリボースかによって、それぞれデオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)に二大別される。細胞やウイルスの遺伝物質として生命現象に重要な役割を演ずる。細胞核から単離されたのが名の由来。」(前掲「広辞苑第6版」)
(3)かく‐さん【核酸】「生物の細胞核中に多く含まれる、塩基・糖・燐酸からなる高分子物質。・・・」(「大辞林増補・新装版」株式会社小学館)
(4)核酸 かくさん「nucleic acid RNA(リボ核酸)、DNA(デオキシリボ核酸)はタンパク質の生合成や生物の遺伝などに関与している高分子化合物であるがこれらをさす。」(「廣川香粧品辞典」株式会社廣川書店)
(5)核酸「生物を構成する細胞の中にすべて含まれており、生物が生きていくうえでの重要な役割をしている物質で、それを構成する糖の種類により、リボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)との2種類がある。・・・・」(「改訂・完全版 化粧品成分用語辞典2008」中央書院)
(6)デオキシリボ核酸(表示名:DNA)「・・・化粧品ではDNA及びそのナトリウム塩、カリウム塩が保湿効果、皮脂分泌コントロール、細胞賦活作用が期待され、広く使用されている」(前掲「改訂・完全版 化粧品成分用語辞典2008」)
(7)リボ核酸(表示名:RNA)「・・・石けん、シャンプー、リンス、クリーム、乳液などに使用される。」(前掲「改訂・完全版 化粧品成分用語辞典2008」)

2「核酸」が化粧品の原材料として使用されている事実について
(1)「<わいど&ズーム>紫外線吸収 DNA化粧品 しみ、そばかすを予防 産学協同で開発中 神戸ポーアイ サケから抽出 敏感肌にも優しく」の見出しの下、「日焼けによるしみやそばかすを防ぐため、魚のデオキシリボ核酸(DNA)で紫外線をカットするユニークな化粧品開発が、神戸・ポートアイランドを舞台に産学協同で進行中だ。」の記載(2009.10.03 神戸新聞 夕刊 9頁)。
(2)「【りこめんど】花粉を寄せつけない化粧水 サケの白子が素材 副作用なく」の見出しの下、「この化粧水は、化粧品製造・販売業『BBKバイオ』(東京都豊島区)が製造・販売元の『ポレノン』(30ミリリットル入り、定価3000円)。・・・開発者のメディカルサテライト知多(愛知県知多市)院長、小出正文さんによると、ポレノンの主成分は果物や野菜に含まれる多糖類のペクチンと、サケの白子(しらこ)から抽出した核酸DNAで、ペクチンが侵入した花粉に吸着し、DNAがそれを集めて固める。その結果、皮膚や敏感な部分を花粉からガードし、症状を起こさせないという働きをするという。」の記載(2010.03.12 産経新聞東京朝刊 14頁)。
(3)「『玄米核酸発酵エキス』配合!」の見出しの下、「玄米核酸発酵エキスをご存知ですか?『核酸』とは、お肌の生まれ変わりの重要な役割を担うDNA,RNAのこと。私たちの体内で合成されるものですが、年齢ともにその合成能力が低下し、老化現象を引き起こします。そこで研究開発されたのが、核酸補給美容。核酸を補うことで、肌の生まれ変わりを助け、本来の肌オーラを蘇えらすことができます。しかし、今までの核酸では吸収率が低いのが欠点。そこで長年の研究でたどりついたのが『玄米核酸発酵エキス』。国産無農薬玄米が特殊麹菌と出会い、発酵の力によって、吸収率の高い良質の核酸が生まれました。眠れる街のネイルChocolaのオリジナル商品には、すべて、この『玄米核酸発酵エキス』が配合されています(『コメ発酵エキス』と表示しています)。あのヒアルロン酸よりさらに高い保湿力、コラーゲンより角質層の配列を美しく整える、そんな玄米核酸を、是非お試しください。」の記載(http://nemu-nail.jp/menu/)。
(4)「DNAで紫外線カット 化粧品を開発中 神戸」の見出しの下、「日焼けによるしみやそばかすを防ぐため、魚のデオキシリボ核酸(DNA)で紫外線をカットするユニークな化粧品開発が、神戸・ポートアイランドを舞台に産学協同で進行中だ。」の記載(http://hellobabies.info/wp/archives/160)。
(5)「HABA化粧品|SLエッセンス の商品詳細情報」の見出しの下、「商品説明」として、「肌アレ、カサつきを防ぎ、しっとりとした肌を保つエッセンス。細胞間脂質スフィンゴ・リピッドを主成分に、コラーゲンやエラスチン、DNA(核酸)等保湿成分を処方。」の記載(http://i-voce.jp/cosme/detail.html?cosme_id=0001495)。
(6)「Healthy Life」の見出しの下、「オリーブオイル、シコン、トウキ、核酸配合のマイルドなクレンジングクリーム」、「オリーブオイル、核酸、アミノ酸系洗浄剤配合のマイルドな石けんベースのウォッシング」、「オリーブオイル、核酸配合、マイルドな透明洗顔石けん」、「オリーブオイル、核酸配合、弱酸性のマイルドな洗顔・ふきとり乳液」の記載(http://item.rakuten.co.jp/healthylife/002213/#002213)。
(7)「ゴールドワンウォーターUVクリーム/KAKUSAN/ゴールドワン化粧品[KCUVCRE]」の見出しの下、「ビール酵母の保湿力を生かした核酸配合のUVクリーム」の記載(http://www.be-site.jp/product/95)。

3 「○○核酸」の表示例
(1)「18日に恵み野研究開発ゾーン活性化委員会が発足へ」の見出しの下、「同社は、サケの白子核酸を原料とした健康食品、ダイオキシン類の除去フィルターなど環境関連機器の研究開発を展開。」の記載(http://www.tomamin.co.jp/2003/cp031216.htm)
(2)「あなたの健康を守り抜く乳酸菌代謝生成エキス『乳核酸』」の記載(http://genneki.com/?mode=cate&cbid=624946&csid=0)


審理終結日 2011-08-09 
結審通知日 2011-08-16 
審決日 2011-09-05 
出願番号 商願2008-94343(T2008-94343) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X03)
T 1 8・ 272- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 大森 友子

田中 敬規
商標の称呼 ゲンマイカクサン 
代理人 酒井 昭徳 

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