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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X354142
審判 査定不服 観念類似 登録しない X354142
審判 査定不服 外観類似 登録しない X354142
管理番号 1246357 
審判番号 不服2010-28431 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-16 
確定日 2011-10-13 
事件の表示 商願2010-11803拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第9類,第16類,第35類,第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成22年2月18日に登録出願され,その後,指定商品及び指定役務については,当審における平成22年12月16日付けの手続補正書により,別記のとおりに補正されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)ないし(3)のとおりであり,それぞれ,現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4522262号商標(以下「引用商標1」という。)
「KNOWLEDGE」の文字を書してなり,平成10年3月10日登録出願,第35類「書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として,平成13年11月16日に設定登録されたものである。
(2)登録第4697986号商標(以下「引用商標2」という。)
「KNOWLEDGE」の文字を書してなり,平成10年3月10日登録出願,第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び第42類「建築物の設計及びその取次,測量及びその取次,工事の設計に関する製図,デザインの考案及びその取次,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法に関する紹介及び説明,派遣による機械・装置若しくは器具又は機械等により構成される設備の設計又は製図,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成15年8月8日に設定登録されたものである。
(3)登録第5033530号商標(以下「引用商標3」という。)
「Knowledge」の文字を大きく書し(このうち「l」の文字はやや大きく筆記体で書されている。以下,引用商標3について同様),その下段に小さく「Know your business...Get an edge」の文字を書してなり,平成18年2月20日登録出願,第35類「事業に関する指導及び助言,事業の評価,事業に関する情報の提供,事業の調査,事業の管理及び組織に関する指導及び助言,事業の管理,事業の組織に関する指導及び助言,商業の管理に関する助言,事業の管理に関する助言,市場分析,統計に関する情報の提供」,第41類「オンラインによる電子出版物の提供,コンピュータネットワークを通じて行う図書及び記録の供覧,職業訓練,技芸・スポーツ又は知識の教授」及び第42類「機械器具に関する技術的課題の研究,機械器具に関する技術的事項に関する研究,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する専門的助言,受託による機械器具に関する研究・開発」を指定役務として,平成19年3月16日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1ないし3をまとめていうときは,「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は,別掲のとおり,「Knowledge」及び「Wing」の文字を書してなるところ,このうち「Knowledge」の文字は,「Wing」の文字に比して,約3倍もの大きさで,太く,上段に,目立つように赤色で表されている。
これに比して,「Wing」の文字は,小さく,グレーと思われる目立たない色で,下段の右隅に表されている。
そうすると,本願商標は,大きく太く,かつ,目立つように赤色で表された「Knowledge」の文字部分が,強い印象を取引者,需要者に与え,「Wing」の文字部分は,「Knowledge」の文字部分に従属するものに過ぎないとの印象を取引者,需要者に与えるというのが相当である。
そうとすれば,本願商標に接する取引者,需要者は,「Knowledge」の文字部分と「Wing」の文字部分を,常に一体のものとして捉えるとみるよりは,印象的で記憶に残りやすい「Knowledge」の文字部分のみをもって取引することも決して少なくないとみるのが自然である。
そうすると,本願商標からは,「Knowledge」の文字部分から,「ナレッジ」の称呼が生じ,「knowledge」は「知識」等の意味を有する英語(「ライトハウス英和辞典第5版」株式会社研究社)であるから,「知識」の観念が生ずるものである。
一方,引用商標1及び2は,共に「KNOWLEDGE」の文字を書してなるから,これより「ナレッジ」の称呼が生じ,「知識」の観念が生ずるものである。
また,引用商標3は,「Knowledge」の文字を大きく上段に書してなり,下段に書された「Know your business...Get an edge」の文字は,「あなたのビジネスを知ろう…有利になれ」程度の意味合いが把握される,自己完結した文章として理解されるものであり,上段に書された「Knowledge」の語と一体となった意味合いが理解されるものではない。
そうとすれば,引用商標3に接する取引者,需要者は,上段に大きく書された「Knowledge」の文字部分のみをもって取引することも決して少なくないといえる。
してみれば,引用商標3は,該文字部分より,「ナレッジ」の称呼が生じ,「Knowledge」の文字は,「Knowledge」を表したものと直ちに理解されるので,「知識」の観念が生ずるものである。
そこで,本願商標と引用商標を比較するに,両者は,構成全体の外観は相違するとしても,「ナレッジ」の称呼及び「知識」の観念を共通にするから,互いに紛らわしい,類似の商標というのが相当である。

(2)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似のものである。

(3)小括
以上のことから,本願商標は,引用商標に類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(4) 請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の「Knowledge」の文字部分と「Wing」の文字部分は,ほとんど間隙を設けずに配置されている上,これらの文字の右端部をそろえるように整然と配されているから,視覚印象において,全体を一体の構成として認識する旨,主張する。
しかしながら,本願商標を視覚的に捉えた場合,印象的で記憶に残りやすい部分は,大きく太く,かつ,赤色で上段に表された「Knowledge」の文字部分であって,「Wing」の文字部分は,小さく,下段の右隅に,かつ,目立たないグレーで表されていることより,「Knowledge」の文字部分に従属するものに過ぎないとの印象を取引者,需要者に与えるとみるのが自然であるから,本願商標は,その構成全体が常に一体のものとして認識されるものとはいえない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。

イ 請求人は,本願商標の構成全体から,「知(知識)の翼(羽)」といった意味合いが想起される旨,主張する。
しかしながら,本願商標のうち,「Wing」の文字部分は,「Knowledge」の文字部分に従属するものに過ぎないとの印象を与えるから,本願商標の構成全体を一体として捉えた上での意味合いが想起されるとはいい難い。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。

ウ 請求人は,「knowledge」の語は,企業経営・事業管理にかかわる分野においては,「知的資産」の意味合いをもって,取引上普通に用いられる状況にあるといえ,自他識別力を有しないか,若しくは極めて弱いものであるから,本願商標から「Knowledge」の部分が着目されるというよりは,構成全体が一体のものとして把握される旨,主張し,証拠方法として,甲第1号証の3ないし5,同第2号証(枝番含む)及び同第3号証(枝番含む)を提出している。
しかしながら,「knowledge」の語は,「ライトハウス英和辞典第5版」(株式会社研究社)によれば,高校用基本語約1,000語のうちの1つとされており,請求人も述べるとおり,「平易な英語」である。
また,甲第1号証の3(秀和システム2009年発行標準パソコン用語事典)によれば,「ナレッジ(knowledge)」の見出しで,「企業などに蓄積されている有形無形の知識資産を総称して指す。」と記載されている一方で,「本来は『知識』といった意味」とも記載されており,甲第1号証の4(自由国民社2008年発行現代用語の基礎知識)によれば,「ナレッジ・マネジメント(KM)」の見出しで,「ナレッジ」は,「過去の経験から得られた知識」と定義されており,「知的資産」とは定義されていない。
そうとすれば,本願商標中の「Knowledge」の文字部分は,平易な英語である「knowledge」の本来の意味の「知識」の意味を理解させるというのが自然である。
したがって,本願商標中の「Knowledge」から「知的資産」の意味合いが想起されることを前提とした請求人の上記主張は,その前提において採用できない。
加えて検討すると,上記証拠をみても,「knowledge」の語が,「知的資産」程の意味合いを理解させる場合があることは認められるものの,本願商標の指定役務中,引用商標と抵触する役務(例えば「書類の複製」)の質等を具体的に表示するものとして,一般に使用されている実情を見いだすことはできない。
そうすると,「knowledge」の語が「知的資産」程の意味合いを理解させる場合があるとしても,これが必ずしも役務(例えば「書類の複製」)の質等を具体的に表示するものとして認識させるとはいえないから,「knowledge」の語が,指定役務との関係において識別力がない(又は極めて弱い)ということはできない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。

エ 請求人は,「KnowledgeWing」の文字を標準文字により現したものからなる登録商標(登録第4568591号商標。以下「当該登録商標」という。)を有しており,これについては,引用商標と非類似の商標であるとして,使用をする権利を専有しているのに,本願商標が引用商標と類似するものとして使用できないのは,妥当でない旨,主張する。
しかしながら,商標法第25条において,「商標権者は,指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。」とされており,使用をする権利の範囲を「登録商標」に限定すると共に,同第27条では,「登録商標の範囲は,願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」とされているから,使用をする権利を専有する範囲は,願書に記載された商標に基づいて定められることとなる。
そうすると,当該登録商標の使用をする権利は,「KnowledgeWing」の文字を標準文字により現したものに限定されるものである。
そして,本願商標は,別掲のとおりの構成よりなるから,当該登録商標とは,その構成態様を異にする。
してみれば,請求人による,当該登録商標の使用をする権利を専有する範囲は,本願商標については何ら及ばないから,請求人が,当該登録商標の使用をする権利を専有するからといって,引用商標と類似する本願商標を登録しなければならない合理的な理由は見いだせない。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。

(5)結語
以上のとおりであるから,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原審の判断は,妥当であって,原査定を取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 (別掲 本願商標。色彩については,原本参照)





(別記 当審補正後の指定役務)
35類
広告,経営の診断又は経営に関する助言,企業の事務管理に関する診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,商品の売買契約の媒介又は取り次ぎ,書類の複製,通信販売の注文・受付・発注に関する事務処理代行,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータによるファイルの管理,一般事務処理の代行並びにそれらに関する情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベースへの情報構築,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,電子計算機及び電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する技術者のあっせん,求人情報の提供
41類
技芸・スポーツ又は知識の教授,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する能力の検定,セミナーの企画・運営又は開催,学習教材・研修教材用書籍の制作,電子出版物の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用のビデオディスクの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),電子計算機端末による通信を用いて行う翻訳その他の翻訳,通訳
42類
電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する調査・分析又は助言,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,電子計算機用プログラムの環境設定及びその機能の拡張・追加,通信ネットワークシステムの設計・企画又は保守,通信ネットワークシステムの運用に関する調査・分析又は助言,ウェブサイトの作成又は保守,電子商取引における利用者の認証,電子計算機を用いて行う情報処理,インターネットにおけるホームページの作成,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,インターネット用サーバの貸与,電子応用機器・電気通信機器の設計,機械器具に関する試験又は研究,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の操作マニュアルの作成及び電子計算機の操作マニュアルの作成に関する情報の提供







審理終結日 2011-08-02 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-09-01 
出願番号 商願2010-11803(T2010-11803) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X354142)
T 1 8・ 262- Z (X354142)
T 1 8・ 261- Z (X354142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子日向野 浩志石井 恵美子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田中 亨子
守屋 友宏
商標の称呼 ナレッジウイング、ノリッジウイング、ナレッジ、ノリッジ、ウイング 
代理人 橘 和之 

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