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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y32
管理番号 1246310 
審判番号 取消2010-300061 
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-01-14 
確定日 2011-10-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4818287号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4818287号商標(以下「本件商標」という。)は、「オイシーサー」の片仮名を横書きに表してなり、平成15年7月26日に登録出願、第29類「肉製品,焼き味噌のなめ味噌,加工水産物,豆腐よう」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同16年11月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成22年2月3日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第32類「清涼飲料、果実飲料」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第32類「清涼飲料、果実飲料」について、継続して、3年以上、日本国内において使用された事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 平成22年3月12日付け提出の答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する弁駁
(1)乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証は、平成18年8月に本件商標を使用したとするものであるから、同号証は、本件審判の請求の登録日前3年以内の使用の有無を審理する本件審判の証拠としては成り立ち得ない。
(2)被請求人が提出した各証拠には、以下のとおり、不自然かつ不合理な点が多数見受けられる。
ア 乙第1号証は、本件商標の使用商品の画像であるが、同画像写真には、日付がないため、いつ撮影されたのか定かではない。
また、当該使用商品には「シークヮーサー」が大きく中央に縦書きされているのに対して、需要者に対して当ブランドを認識させるはずの商標「オイシーサー」は、「シークヮーサー」の下に小さく横書きで記されているのみであって、一目では確認し難く、果実飲料の商標の表示位置としては極めて不自然である。
イ 乙第2号証及び乙第3号証は、平成18年及び同20年の「お中元セット一覧カタログ」として提出されている。
しかして、カタログ・パンフレットには「会社名」、「住所」、「連絡先」などの会社情報、商品の購入方法などが記載されているのが通常であるところ、同号証には、そのような記載が一切見受けられない。
また、カタログの日付や画像写真を少々変えることは可能であるから、同号証が、本件審判請求の登録日以降に急遽証拠として作成された可能性も否定できない。
ウ 乙第4号証及び乙第5号証は「納品伝票」であるところ、同号証には、平成18年8月5日及び同20年8月13日に、「シークヮーサー果汁 100% 500ml」を含む商品を納品した旨が記載されている。
しかしながら、被請求人は、自分のホームページにおいて、「青切り/沖縄県産」「オイシーサー」の表記がない果実飲料を販売している(甲第2号証)。
してみれば、同号証では、本件商標を使用した果実飲料を販売したとする事実は証明されていないというべきである。
(3)被請求人の商標使用の立証について
ア 被請求人の提出した証拠は、記載の態様及び内容に照らすと、本件審判請求の登録日以降にパソコンソフトで作成することが可能なものであり、客観性、信憑性を欠いている。
イ また、平成18年及び同20年に本件商標をお中元ギフト商品として使用したならば、「雑誌」、「新聞」、「インターネット」上において販売促進のために使用した「広告宣伝資料」や、他に同商品を取り扱っている卸先が使用した「パンフレット」、「カタログ」があると考えられるところ、被請求人は、いずれも提出をしていない。
さらに、将来継続して販売していくのであれば、「売上を把握するための資料」、「お中元ギフトを購入した顧客管理資料」等の実績の記録資料があると考えられるところ、被請求人は、当該資料も提出していない。
ウ 平成22年4月7日に、請求人が、被請求人の商品「シークヮーサー果汁 100% 500ml」を購入したところ、本件商標の表記はなかったうえ、「青切り/沖縄県産」部分は「シール」が貼られている状態であった(甲第3号証)。
したがって、当該事実からも、乙第1号証ないし乙第3号証は、「青切り/沖縄県産」、「オイシーサー」のシール貼付によっていつでも作成することができることが客観的に明らかであり、同号証の信憑性については、極めて強い疑いを持たざるを得ない。
エ 被請求人は、本件商標を使用した果実飲料の箱又は包装紙・シ一ル等に「オイシーサー」と明示して印刷業者に発注をかけた際の「発注書」、「納品書」、「請求書」及び「領収書」のいずれも提出していない。
(4)被請求人の取扱商品について
ア 被請求人の会社概要からみるに、被請求人は、「豆腐よう」、「ラフティ」、「沖縄そば」、「ジャーキー」、「ミミガー」といった沖縄県地方の伝統料理や珍味を取り扱う会社であり、特に「ジャーキー類」や「豆腐よう」をメイン商品として販売している(甲第4号証及び甲第5号証)。
被請求人が本件商標を使用しているとする「シークヮーサー果汁」を含む果実飲料は、全体の商品アイテム42種類のうちわずか2種類にすぎず(甲第5号証)、インターネット上で販売するシークヮーサー果汁飲料以外に特別に本件商標を使用した商品を投入したとは到底考えられない。
イ 被請求人は、「本件商標を使用した商品を平成18年、同20年の2年度のみ使用した。それは『お中元期間の限定販売』であった。その販売数は平成18年に14本、同20年に2本を販売した。」旨主張しているが、これほどまで売上の低い商品をわざわざ投入するとは商取引の常識からも、費用対効果からも考えられない。
(5)インターネットによる検索
ア 請求人は、インターネットにて「(株)あさひ オイシーサー」・「オイシーサー 果実飲料」など様々な語から検索を行ってみたが、被請求人が本件商標を使用した商品は検索されない。
一方、「シークヮーサー果汁 (株)あさひ」の語で検索したところ、被請求人の商品を取り扱っている通信販売業者のホームページ上で、「本件商標の表示がない商品」が販売されていることが判明している(甲第6号証及び甲第7号証)。
すなわち、インターネット上において、被請求人が本件商標を果実飲料に使用している事実は見当たらなかった。
(6)まとめ
上述のとおり、被請求人からは本件商標の使用について客観的・合理的な立証ができないのであって、本件商標は、本件審判の予告登録前3年以内に使用が認められず登録を取り消されるべきものである。
2 平成22年10月1日付け提出の答弁書(以下「第2答弁書」という。)に対する弁駁
(1)被請求人は、第2答弁書において、第1答弁書とは全く異なる事実を主張し、従前の主張を不自然かつ不合理に変遷させている。
このことは、第1答弁書でなされた主張及び提出された証拠の信用性や真実性の乏しさを露呈しているとともに、被請求人が、本件商標を使用していなかったことを端的に示している。
以上の経過からすれば、回答書、第2答弁書及び第2答弁書の添付書類として提出された乙第6号証ないし乙第16号証は、指定された応答期間に全く遅れたものであり、審判手続をいたずらに遅延させるものであるから、その主張は、採用されるべきではない(民事訴訟法第157条第1項準用)。 また、被請求人は、その主張を変遷させているものであり、信義則ないし禁反言に反する。
(2)乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証は、請求人の弁駁及び審尋の後に、被請求人が作成したものであり、また、乙第8号証、乙第9号証、乙第11号証及び乙第12号証は、被請求人を顧客とする取引先によって作成されたものである。
したがって、これらの証拠は、客観性や証拠能力が乏しい。
(3)被請求人が本件商標を乙第6号証ないし乙第16号証の態様で使用していた事態を仮定したとしても、本件商標は、『シークワーサー』、『うりずんのしずく』の文字よりも小さな文字で表されていることから、自他商品識別標識としての機能を果たす態様で使用されているとはいえず、その使用はそもそも「商標の使用」に該当しない。

第3 被請求人に対する審尋(要旨)
1 被請求人は、本件商標使用商品が掲載されたお中元セット一覧カタログ(平成18年8月 乙第2号証、平成20年8月 乙第3号証)を提出しているが、該商品カタログに、会社名、住所、連絡先等の記載がない理由について述べられたい。
2 納品された「シークヮーサー果汁 100% 500ml」(乙第4号証及び乙第5号証)に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていたか否か不明であるから、本件商標が使用されていたことを証する書面を提出されたい。
あわせて、乙第4号証及び乙第5号証に相応する「受領書」の原本を提出されたい。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 第1答弁書及び審尋に対する回答書
商標権者は、平成18年8月及び同20年8月に、商標権者の社員を対象にして、お中元セットの商品として、本件商標を包装容器に使用した果実飲料「シークヮーサー果汁 100% 500ml」の社内販売を行った(乙第1号証ないし乙第5号証)。
乙第2号証及び乙第3号証は、当該社内販売の際に、商標権者が製作したカタログである。
社内販売における購入者は商標権者の社員であるところ、当該社員は、当該カタログに掲載されている商品が商標権者の製品であることを承知しているので、当該カタログには、商標権者の会社名、住所等の表示がされていない。
2 第2答弁書
(1)本件商標は、平成16年8月頃から今日まで、商標権者が販売している瓶詰めされた柑橘果汁飲料「シークヮサー果汁100%500ml」に貼付されたシールの左下部及び本件製品の化粧箱に使用されている(乙第6号証)。
当該シール及び当該化粧箱には、品質表示法に従い、社名・住所等が表示されている(乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証)。
(2)乙第8号証は、商標権者を名宛て人とする、株式会社パイオニア印刷(以下「パイオニア印刷」という。)による当該シールの納品書である。
(3)乙第11号証は、商標権者を名宛て人とする、丸正印刷株式会社による当該化粧箱の納品書である。
(4)本件製品の販売先は卸販売会社である「(有)マリングローバルあさひ」(以下「マリングローバルあさひ」という。)である。
商標権者が、マリングローバルあさひに本件製品を販売した際の納品書(乙第13号証)を提出する。
(5)マリングローバルあさひが、やすやAに本件製品を販売した際の納品書(乙第15号証)を提出する。

第5 当審の判断
1 認定事実
(1)乙第8号証及び乙第9号証について
ア 乙第8号証は、商標権者を名宛て人とする、パイオニア印刷による平成20年1月17日付けの納品書と認められる。
同号証には、「No.2749」、「品名・規格仕様 シール160X80 シークワーサー 500ml 」、「数量 単位 5,000枚」 、「単価 4.00」、「金額 20,000」、「合計 ¥20,000」「受領印 大城1/17」などが記載されている。
イ 乙第9号証は、パイオニア印刷による平成22年9月17日付けの陳述書と認められる。
同号証には、「弊社が平成20年1月17日に(株)あさひ(沖縄県那覇市宇栄原3-20-5)へ納品した『160X80 シークワーサー 500ml』(伝票No.:2749)は下記の品に相違ありません。平成22年9月17日」と記載され、パイオニア印刷の記名、押印があり、別掲(1)のシール(以下「本件シール」という。)が添付されている。
本件シールには、別掲(2)の本件シールのシールの部分拡大図のとおり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「オイシーサー」が表示されている。
ウ 小活
乙第8号証中の、伝票No.、品名・規格仕様などの記載は、乙第9号証の記載と対応している。
してみれば、パイオニア印刷は、平成20年1月17日、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示された本件シール5,000枚を、商標権者に納品したものと推認することができる。
(2)乙第13号証及び乙第14号証について
ア 乙第13号証は、マリングローバルあさひを名宛人とする、商標権者の納品書(控)と認められる。
同号証には、「日付 21/08/01」、「伝票番号 001257」、「商品名 シークヮーサー果汁100% 500ml」、「単位 数量 28本」、「単価 1,100」、「金額 30,800」などが記載されている。
イ 乙第14号証は、マリングローバルあさひによる陳述書と認められるところ、上下2枚の写真が表示されており、当該写真の下に「弊社が平成21年8月1日に(株)あさひより仕入れた商品『シークヮーサー果汁100% 500ml』(伝票番号:001257)は上記写真の商品に間違いありません。平成22年9月22日」と記載され、マリングローバルあさひの記名、押印がある。
そして、当該写真の内、上段は、別添(3)のとおり、シールが貼付された瓶に詰められた黄色の液体の写真である。
そして、当該シールは、「シークヮーサー」、「果汁」、「100%」、一部が切断された果実の図形などの表示が本件シールと共通していることから、当該シールは、本件シールであると推認することができる。
しかして、本件シールに、本件商標と社会通念上同一の商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていることは、(2)イで認定したとおりである。
ウ 小括
前記ア及びイから、商標権者は、平成21年8月1日に、マリングローバルあさひに対して、果実飲料の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して販売したものと認められる。
2 請求人の主張
(1)請求人は、「回答書、第2答弁書及び第2答弁書の添付書類として提出された乙第6号証ないし乙第16号証は、指定された応答期間に全く遅れたものであり、審判手続をいたずらに遅延させるものであるから、その主張は、採用されるべきではない(民事訴訟法第157条第1項準用)。また、被請求人は、その主張を変遷させているものであり、信義則ないし禁反言に反する。」旨、主張している。
しかしながら、商標登録の不使用取消審判における本件商標の使用の事実の立証は,審理終結時に至るまで許されると解されるものである。
また、被請求人が、本件商標の使用の事実について新たに証拠を提出したことをもって、信義則ないし禁反言に反するといえないことは当然である。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
(2)請求人は、「乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証は、被請求人が作成したものであり、また、乙第8号証、乙第9号証、乙第11号証及び乙第12号証は、被請求人を顧客とする取引先によって作成されたものである。したがって、これらの証拠は、客観性や証拠能力が乏しい。」旨主張する。
しかしながら、被請求人が作成したものであるとか、又は、被請求人を顧客とする取引先によって作成されたものであるとかの理由のみで、被請求人が提出した証拠をすべて認めないとすることはできない。
また、被請求人の提出した証拠には、何ら不自然な点は存在しない。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
(3)請求人は、「被請求人が提出した証拠においては、本件商標が『シークワーサー』、『うりずんのしずく』の文字よりも小さな文字で表されていることから、本件商標が、自他商品識別標識としての機能を果たす態様で使用されているとはいえない。」旨主張する。
しかしながら、一つの商品に複数の商標が表示されたり、また、該複数商標がそれぞれ大小異なる大きさで表示されることは、通常見られるところであり、本件取消の請求については、以下3のとおり判断するものであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、商標権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品中「果実飲料」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標付したものを、譲渡されたこと(商標法第2条第3項第2号)を証明したものと認め得るものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定によっては、その登録を取り消すことができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件シール



(色彩は、原本参照。)

(2)本件シールの部分拡大図



(色彩は、原本参照。)


(3)乙第14号証上段の写真


(色彩は、原本参照。)



審理終結日 2011-07-29 
結審通知日 2011-08-08 
審決日 2011-08-31 
出願番号 商願2003-68491(T2003-68491) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y32)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白倉 理 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 末武 久佳
小畑 恵一
登録日 2004-11-19 
登録番号 商標登録第4818287号(T4818287) 
商標の称呼 オイシーサー 
代理人 杭田 恭ニ 

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