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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1244901 
異議申立番号 異議2011-900048 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-02-17 
確定日 2011-10-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5370366号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5370366号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5370366号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年4月23日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年10月14日に登録査定、同年11月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2719548号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和61年1月17日
設定登録日:平成9年1月31日
指定商品:第30類「うなぎの粉末を加味してなるパイ菓子」
(2)登録第4436728号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:うなぎパイ
登録出願日:平成11年10月7日
設定登録日:平成12年12月1日
指定商品:第30類「うなぎを加味したパイ菓子」
(3)登録第4436729号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:うなぎパイ
登録出願日:平成11年10月7日
設定登録日:平成12年12月1日
指定商品:第30類「うなぎを加味したパイ菓子」
(4)登録第4436730号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:うなぎパイ
登録出願日:平成11年10月7日
設定登録日:平成12年12月1日
指定商品:第30類「うなぎを加味したパイ菓子」
(以下、これらを一括して「引用商標」ということがある。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録の取消を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は「ウナイッパイ」の称呼が生じ、引用商標は「ウナギパイ」の称呼が生ずる。そして、両者は、中間において「イッ」と「ギ」の音に差異があり、該差異音「イッ」と「ギ」は、共に母音が「イ」であることから、両者を一連に称呼するときは、彼此紛らわしい。
したがって、本件商標は、引用商標に類似し、かつ、指定商品も類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 申立人は、「うなぎを用いたパイ菓子」を開発し、これを「うなぎパイ」と名づけて昭和36年(1961年)から製造・販売を開始し、その後、今日に至るまで継続して製造・販売を行っている。
イ 申立人の「うなぎパイ」が著名になるにつれて、市場には、「○○うなパイ」、「うなぎ○○パイ」、「うな○○パイ」等と称する類似商標を付した商品が数多く出現した(甲第6号証ないし甲第9号証)。
ウ 申立人の引用商標使用状況
(ア)商標「うなぎパイ」の使用態様(甲第10号証の1ないし5)
(イ)「うなぎパイ」の売上高(小売価格ベース)は、平成17年度が59億円超であったものが、その後は、毎年60億円を越える額に達しており、直近の3年間の平成19年度ないし同21年度においては70億円に迫る金額である(甲第11号証)。
(ウ)新聞における「うなぎパイ」関連記事(甲第12号証の1ないし4)
(エ)新聞における「うなぎパイ」の宣伝・広告(甲第13号証の1ないし7)
(オ)雑誌及びパンフにおける「うなぎパイ」の宣伝・広告(甲第14号証の1ないし6)
以上のとおり、申立人は、「うなぎパイ」の商標を、昭和36年(1961年)の販売開始以来今日に至るまで、「うなぎを用いたパイ菓子」について継続して使用しており、この間も雑誌、新聞等に紹介されただけでなく、申立人自らが積極的に宣伝・広告活動を行った結果、本件商標の登録出願時においても、また、今日においても、取引者及び需要者の間において著名商標となっていたものである。
したがって、本件商標は、引用商標と互いに類似していることは上述したとおりであり、「うなぎを用いたパイ菓子」に使用する場合には、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号にに違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるものであって、灰色で縁取りされた黄土色の横長楕円形内に黒色で「うないっぱい」の平仮名を横書きしてなるところ、その構成中の図形部分は称呼・観念を生ずるものではなく、ありふれた輪郭図形として認識されるものであるが、文字部分と不可分一体の関係があるとは認められないものであり、同構成中の文字部分は要部と認められる部分であって、菓子及びパンの一般の需要者の注意力をもってすれば特定の意味合いを想起させない造語と認識されるものであるから、該構成文字に相応して「ウナイッパイ」の称呼を生じ、観念を生じないものである。
引用商標1は、別掲2のとおりの構成からなるものであるところ、その構成中の図形部分は、ありふれた輪郭形状であって取引者・需要者の注意を殊更引くものではなく、特定の称呼・観念を生じないものであるのに対して、その構成中の文字部分「うなぎパイ」は、本来「うなぎのパイ菓子」を意味する語であるが、商標法第3条2項の適用により商標登録されたものであり、要部と認められる部分であるから、該構成文字に相応して「ウナギパイ」の称呼を生じ、「うなぎのパイ菓子」の観念を生ずるものである。
また、引用商標2ないし4は、いずれも「うなぎパイ」の文字を横書きしてなるところ、同法第3条2項の適用により商標登録されたものであるから、いずれも該構成文字に相応して「ウナギパイ」の称呼を生じ、「うなぎのパイ菓子」の観念を生ずるものである。
そこで、まず、本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、構成文字において顕著な差異を有するので、時と所を異にして観察しても、判然と区別することができるから、外観上において非類似の商標である。
つぎに、本件商標の称呼「ウナイッパイ」と引用商標の称呼「ウナギパイ」とを対比すると、両者は、本件商標の称呼が6音よりなるのに対して引用商標の称呼が5音よりなるものであり、そのうち語頭の「ウナ」及び語尾の「パイ」の音を共通にするが、中間音において「イ」「ッ」の各音と「ギ」の音との差異を有するところ、本件商標の称呼は「ウナ」と「イッパイ」との間に息の段落をもって発音され、かつ、「イ」の音が促音を伴うために強く称呼されるのに対し、引用商標の称呼は「ウナギ」と「パイ」との間に息の段落をもって称呼されるものであって、それぞれを一連に称呼するときは、語調・語感を異にし、十分聴別することができるものであるから、称呼上において非類似の商標である。
もっとも、この点に関し、請求人は、「イッ」と「ギ」は共に母音が「イ」であることから、両者は、いずれも一連に称呼すると彼此紛らわしいことは明らかである旨主張する。
しかしながら、両者の称呼における差異は、単に「イ」と「ギ」との差異にとどまるものではなく、上述したとおり、促音「ッ」も1音の差異として考慮すべきであるばかりでなく、その前の「イ」の音が強く発音されること及び両称呼の切れ方・分かれ方(シラブル)が異なることなどを総合して考慮すべきであるから、請求人の主張は採用することができない。
さらに、本件商標と引用商標とは、観念においては比較することができない。
してみれば、本件商標は、引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、上述したとおり、引用商標とは別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時に、引用商標が申立人によって使用された結果、その業務に係る商品「うなぎの粉末を加味してなるパイ菓子」又は「うなぎを加味したパイ菓子」の出所を表示する商標として周知著名であったとしても、引用商標とは別異の商標であるから、本件商標の指定商品に使用しても、取引者・需要者をして、その使用商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5370366号商標)



2 引用商標1(登録第2719548号商標)

(色彩については、原本を参照されたい。)


異議決定日 2011-09-20 
出願番号 商願2010-32801(T2010-32801) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X30)
T 1 651・ 26- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2010-11-19 
登録番号 商標登録第5370366号(T5370366) 
権利者 彦坂成美
商標の称呼 ウナイッパイ 
代理人 中山 清 

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