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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z41
管理番号 1244835 
審判番号 取消2010-300778 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-07-13 
確定日 2011-10-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4626274号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4626274号商標(以下「本件商標」という。)は、「LINDA」及び「リンダ」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成13年11月15日に登録出願され、第41類に属する別掲のとおりの役務並びに第35類、第36類、第39類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成14年11月29日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年8月2日にされた。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中の第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定役務中の第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」について、継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標については、その指定役務中、上記役務についての専用使用権者は存在せず(甲第2号証)、また、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定役務中の第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」について使用されていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、上記指定役務についての登録を取り消すべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人は、「本件商標『LINDA』を付した印刷物を媒体に、」「乗馬やゴルフ等のスポーツの教授、フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供を行っている」と主張し、被請求人が2007年(平成19年)9月号及び同年11月号として発行したとする商標「LINDA」を付した印刷物の写しを乙第2号証及び乙第3号証として提出したが、以下に述べるとおり、上記乙各号証によっては、本件商標がその指定役務中の第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」との関係で使用されている事実は何ら証明されていない。
ア 商標法における「役務」について
商標法上の「役務」とは、他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して商取引の対象となり得るものをいうところ、被請求人の提出した印刷物の写しによっては、被請求人が本件商標の使用を主張する役務「乗馬やゴルフ等のスポーツの教授,フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供」の取引において実際に使用されたものであるか否かは何ら証明されていない。
すなわち、被請求人は、上記役務を対象にした取引業務が、独立した商取引といえるものであること、例えば、その業務について何らかの対価を得ていること、等を証明する必要があるが、これについてはいかなる証拠も提出されていない。
イ 商標法における「使用」について
商標法第50条の審判における「使用」とは、商標法第2条第3項各号所定の「使用」に該当するものでなければならない。すなわち、本件商標の「使用」は、請求に係る指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」と関連付けて、自他役務識別力を発揮し得る出所識別標識として認識されるものでなければならない。
この点、被請求人が使用していると主張する商標「LINDA」(以下「使用商標」という。)は、そもそも「印刷物」という商品について使用されているものであって、請求に係る指定役務との関係で使用されているものではない。
また、被請求人が提出した印刷物のいずれにおいても、該当頁(12頁)の左上欄部に「優待ご利用の際は、必ずJCB LINDAでお支払いください。」との記載があることから明らかなとおり、当該印刷物は、乗馬・ゴルフ・フラワーアレンジメント等のスクールや美容院、宿泊施設等に関する広告記事を掲載することにより、被請求人の提供するクレジットカードの利用促進を図るための単なる広告媒体にすぎないものと解される。換言すれば、被請求人は、その使用を主張する役務「乗馬やゴルフ等のスポーツの教授,フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供」の取引業務について対価を得ていないから、上記役務が独立して商取引の対象となっているということはできない。したがって、使用商標は、請求に係る指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供、教育情報の提供」との関係で使用されているものではない。
よって、乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人が本件商標を、請求に係る指定役務の取引において使用していた事実を裏付ける証拠とはならない。
ウ 「登録商標」の使用について
本件商標は、ローマ字「LINDA」及び片仮名「リンダ」を上下二段に横書きした構成からなるものであるのに対して、使用商標は、ローマ字「LINDA」のみであり、本件商標を構成する片仮名「リンダ」を欠いている。
したがって、被請求人は、登録商標(本件商標)を使用しているとはいえない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出している。
被請求人は、本件審判の請求の登録前3年間において、本件商標を指定役務中の「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,教育情報の提供」に使用しているので、以下のとおり答弁する。
被請求人は、主に、本件商標「LINDA」を付した印刷物を媒体に、本件指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供」を行ってきており、本件請求の登録前3年以内の時期にあたる平成19(2007)年9月及び11月に、本件商標を使用して、乗馬やゴルフ等のスポーツの教授、フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供を行っている(乙第2号証及び乙第3号証)。
よって、本件商標は、本件請求に係る指定役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、被請求人である商標権者により使用されていたものであるから、その登録を取消されるべきではない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る証拠について
被請求人は、乗馬やゴルフ等のスポーツの教授、フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供について本件商標を使用している旨主張し、その使用を立証する証拠(乙第2号証及び乙第3号証)を提出しているので、以下、該証拠について検討する。
ア 乙第2号証及び乙第3号証は、「Monthly LINDA」と題する冊子(以下「本件冊子」という。)の抜粋写しと認められるところ、その表紙に記載された「September 2007」又は「November 2007」の文字に加え、裏表紙の下端に記載された「(株)ジェーシービー 東京都港区南青山5-1-22 青山ライズスクエア」の文字とこれに続く「2007年9月1日号 通巻63号」又は「2007年11月1日号 通巻65号」の文字からすると、本件冊子は、本件審判の請求の登録(平成22年8月2日)前3年以内である2007年(平成19年)9月又は同年11月に被請求人によって発行されたものといえる。
イ 本件冊子には、その表紙の左上方に顕著に「LINDA」の文字が表示されているほか、その12頁には、「Check & Go!」、「JCB LINDA限定!」及び「今月必見のおトク情報満載。」との表題の下に、各種施設等について写真と共に紹介されており、乙第2号証において、「ジャパンメモリアルゴルフクラブ」の項では、電話番号、住所等と共に、「初心者向けゴルフレッスンと美肌薬膳ランチを堪能できる、女性にうれしい平日限定プラン。」として、優待内容、期間、プラン、料金等の説明がされ、同じく「乗馬クラブ クレイン福岡」の項では、電話番号、住所等と共に、「乗馬を無料で体験するチャンス!室内練習場で雨の日もOK。」として、優待内容、期間、コース等の説明がされている。そして、乙第3号証において、「ヒビヤフラワーアカデミー東京校・横浜校」の項では、電話番号、住所等と共に、「一度はフラワーアレンジメントをやってみたい!そんな方におすすめのレッスンが受講料10%引きに。」として、優待内容、料金、期間等の説明がされている。
これらの説明によれば、上記各項に掲載された各施設では、ゴルフのレッスンや、乗馬の練習、フラワーアレンジメントのレッスン等が行われているものと推認され、これらはスポーツ又は技芸の教授の範疇に属するものといえる。
また、上記掲載により、スポーツ又は技芸の教授に関する情報が開示されているとみるのが自然である。
もとより、「役務」は、転々流通する有体物たる商品とは異なり、無体のものであって、直接手に触れたりすることのできないものであり、特に情報の提供という役務は、印刷物、映像、音声等何らかの媒体を介して需要者に提供されることが多いものといえる。
これを本件についてみれば、需要者は、本件冊子の12頁に掲載された内容によって、スポーツ又は技芸の教授等に関する情報を入手できることになる。換言すると、本件冊子は情報の発信及び入手のために使用されるものとみることができ、被請求人は、本件冊子により、スポーツ又は技芸の教授に関する情報を需要者に提供しているものというべきである。
そして、本件冊子の表紙に顕著に表された「LINDA」の文字(使用商標)は、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たすものであり、本件冊子たる「印刷物」という商品についての商標として認識される場合があることはあながち否定し得ないとしても、同時に、役務「スポーツ又は技芸の教授に関する情報の提供」についての商標としても機能しているというべきである。
ウ 上記「LINDA」の文字からなる使用商標は、「リンダ」の称呼及び「欧米の女性名としてのリンダ」の観念を生ずるものといえる。他方、本件商標は、「LINDA」及び「リンダ」の文字からなるものであり、使用商標と同様、「リンダ」の称呼及び「欧米の女性名としてのリンダ」の観念を生ずるものである。
そうすると、使用商標は、「リンダ」の文字を欠くものではあるが、本件商標とは「LINDA」の文字を共通にし、同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、商標法上の「役務」は他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して商取引の対象となり得るものであるとし、被請求人の提出に係る証拠によっては、役務「乗馬やゴルフ等のスポーツの教授,フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報の提供」の取引において本件商標が実際に使用されたことが証明されていない旨主張する。
確かに、商標法上の「役務」とは他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して商取引の対象となり得るものというべきであるが、ここでいう商取引とは必ずしも需要者に直接有償で提供されるものに限られるとはいい難く、提供者における独立した経済勘定の下に役務が提供されていることをもって足りるというべきであり、例え、本件冊子に掲載された「乗馬やゴルフ等のスポーツの教授,フラワーアレンジメント等の技芸の教授に関する情報」の提供を受ける者が直接それに係る対価の支払を行うことが無くとも、前示のとおり、本件冊子には当該役務が開示されているのであるから、被請求人は、本件冊子を介して、他人たる需要者のために、スポーツ又は技芸の教授に関する情報の提供を行っているといえる。そして、本件冊子に表示された使用商標は、商品「印刷物」の識別標識としての面を有するとしても、同時に役務「スポーツ又は技芸の教授に関する情報の提供」の識別標識としても機能しているといえる。
よって、請求人の主張は、採用することができない。
イ 請求人は、本件冊子は被請求人の提供に係るクレジットカードの利用促進を図るための広告媒体にすぎず、スポーツ又は技芸の教授に関する情報の提供が独立して商取引の対象となっているとはいえない旨主張する。
しかしながら、本件冊子は、被請求人の提供に係るクレジットカードについての宣伝広告だけではなく、むしろこれとは別に、各種施設等について掲載・紹介することにより、当該施設等が提供する役務等に関する情報を提供しているのであって、また、当該施設等の依頼に基づいて当該施設等の宣伝広告を行っているというものでもない。
よって、請求人の主張は、採用することができない。
ウ 請求人は、使用商標は片仮名「リンダ」を欠いているから、本件商標を使用しているとはいえない旨主張する。
しかしながら、前示のとおり、使用商標は本件商標と社会通念上同一といえるものであるから、請求人の主張は、採用することができない。
(3)むすび
以上を総合すると、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者である被請求人によって、請求に係る指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授,教育情報の提供」の範疇に属するものと認められる役務「スポーツ又は技芸の教授に関する情報の提供」について使用されていたものというべきであるから、請求に係る上記指定役務についての登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <別掲>
本件商標に係る指定役務中、第41類に属する役務
「技芸・スポーツ又は知識の教授またはこれらの教授に関する情報の提供,動物の調教・植物の供覧・動物の供覧・図書及び記録の供覧・美術品の展示・庭園の供覧・洞窟の供覧またはこれらに関する情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営及びこれらに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給及びこれらに関する情報の提供,演芸の上演・演劇の演出又は上演・音楽の演奏またはこれらに関する情報の提供,放送番組の制作又はこれに関する情報の提供,ゴルフ・相撲・ボクシング・サッカー・野球・その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,当せん金付証票の発売またはこれに関する情報の提供,音響用又は映像用のスタジオの提供・運動施設の提供・娯楽施設の提供またはこれらに関する情報の提供,興行場の座席の手配またはこれに関する情報の提供,映写機及びその附属品の貸与・映写フィルムの貸与・楽器の貸与またはこれらの貸与に関する情報の提供,スキー用具の貸与・スキンダイビング用具の貸与・その他の運動用具の貸与及び運動用具の貸与に関する情報の提供,テレビジョン受信機の貸与・ラジオ受信機の貸与・図書の貸与・書画の貸与・レコード又は録音済み磁気テープの貸与・録画済み磁気テープの貸与・おもちゃの貸与・遊園地用機械器具の貸与・遊戯用器具の貸与またはこれらの貸与に関する情報の提供,書籍・雑誌の制作(広告物を除く。)またはこれらの制作に関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用のビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)またはこれらに関する情報の提供,電子出版物の提供またはこれに関する情報の提供,興行の演出またはこれに関する情報の提供,その他の娯楽情報の提供及び教育情報の提供」


審理終結日 2011-05-13 
結審通知日 2011-05-18 
審決日 2011-05-31 
出願番号 商願2001-102817(T2001-102817) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 明訓 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2002-11-29 
登録番号 商標登録第4626274号(T4626274) 
商標の称呼 リンダ 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 安本 真珠美 
代理人 中村 稔 
代理人 小島 高城郎 
代理人 河合 典子 
代理人 藤倉 大作 
代理人 辻居 幸一 
代理人 熊倉 禎男 

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