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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない X41
管理番号 1244764 
審判番号 不服2010-15068 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-06 
確定日 2011-09-29 
事件の表示 商願2009- 68620拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「村上隆」の文字と「Takashi Murakami」の文字とを上下二段に書してなり、第41類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成21年9月8日に登録出願され、その後、原審における同22年2月18日付け手続補正書により、第41類「芸術家の養成教育及びこれらに関する情報の提供,芸術の教授及びこれらに関する情報の提供,美術に関する講演会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,デザインに関するセミナー企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,美術品の展示及びこれらに関する情報の提供,美術に関する書籍の制作及びこれらに関する情報の提供,通信回線を利用した美術作品・芸術作品を内容とする画像の提供及びこれらに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給及びこれらに関する情報の提供,芸術祭の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,デザインコンテストの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,書画の貸与及びこれらに関する情報の提供,美術品の貸与及びこれらに関する情報の提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『村上隆』の文字と、その欧文字表記と認められる『Takashi Murakami』の文字とを二段に書してなるが、該文字は、東京都江戸川区在の「村上隆」をはじめ、外9名の他人の氏名と同一であり、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第4条第1項第8号の該当性について
本願商標は、上記第1のとおり、「村上隆」の文字と「Takashi Murakami」の文字からなるところ、これらの文字からは、氏名の一つを漢字と欧文字とで表示したものと認められるものである。
そして、「村上隆」の氏名を有する者は、50音別個人名/ハローページ(2003年11月25日現在)によれば、東京都杉並区在の「村上隆」をはじめ、東京都区内だけでも、11名の存在が認められる。
しかしながら、請求人は、本願商標を登録することについて、当該他人である者からの承諾を得ているものとは認められない。
したがって、本願商標は、他人の氏名からなる商標であって、かつ、当該他人の承諾を得ているものとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。

2 請求人の主張について
(1)請求人は、「自己の氏名を承諾なく商標登録されることが何故に人格的利益の毀損に繋がるのかが不明であり、抽象的な人格権侵害の蓋然性が必要以上に強調されているようにも見える。」旨主張し、さらに、「一般論として、ある法条を解釈・適用するに当たって、その目的・趣旨を汲むことや対立する保護利益を比較考量することは当然に許される」旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号(以下、「本号」という。)の趣旨は、「人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」(最高裁判所平成16年(行ヒ)343号判決(判決日 平成17年7月22日))と判示されているとおり、その他人の人格権保護にあるというほかないものであり、請求人の主張する「対立する保護利益」等を考量することは、前記法趣旨に照らし、適切なものとはいえないから、請求人の係る主張は採用することができない。

(2)請求人は、「著名な人物の氏名を含む商標については、巨大な顧客吸引力を有するが故に保護価値が極めて大きい一方で、たとえ同姓同名の他人(一般人)が実在していても、商標中に含まれる氏名が当該他人(一般人)を特定すると見る余地は皆無に等しいから、当該他人(一般人)が不快感を覚えたり迷惑を被ったりする事態はなく、当該他人の人格的利益が毀損される実質的な蓋然性は微塵もない。」旨主張する。
しかし、他人の人格的利益を保護するにあたっての周知性、著名性の存否ついては、「出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がない」(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号判決(判決日 平成21年2月26日)旨判示しているとおり、たとえ、「村上隆」が、現代美術家として著名であるとしても、本号の適用にあたっては、他人の存在がある以上、これを考慮する必要がないと解すべきものである。
したがって、請求人の前記主張も採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

3 結論
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-07-27 
結審通知日 2011-08-02 
審決日 2011-08-16 
出願番号 商願2009-68620(T2009-68620) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大橋 良成
小川 きみえ
商標の称呼 ムラカミタカシ、タカシムラカミ 
代理人 一色国際特許業務法人 

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