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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効としない Y05
管理番号 1244697 
審判番号 無効2010-890075 
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-09-08 
確定日 2011-09-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4892874号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4892874号商標(以下「本件商標」という。)は、「アララマイハーブ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成16年12月16日に登録出願され、第5類「ハーブを配合してなる入浴剤,ハーブを配合してなる薬剤」を指定商品として、同17年8月15日に登録査定、同年9月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4194947号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アラバ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成9年6月20日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同10年10月2日に設定登録されたものである。
(2)登録第4201293号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ARAVA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年6月10日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同10年10月16日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1及び同2を一括していう場合は、「引用各商標」という。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)無効事由
請求人は、抗リウマチ剤に使用中の「アラバ」及び「ARAVA」の引用各商標を所有している(甲第2号証ないし甲第4号証)。
一方、本件商標は、「アララマイハーブ」の片仮名から構成されるが、その構成中「ハーブ」は、指定商品からも明らかのように商品の品質を表示するものであり商標の要部とはみなされないから、実務上は「アララマイ」との類否が問題となる。
本件商標は、「アララ」、「マイ」及び「ハーブ」を組み合わせたもので、この内「マイ」は英語の「MY、my」を容易に想起させ、全体で例えば「私のハーブ入り入浴剤アララ」と認識され、本件商標の要部は「アララ」にあると考える(甲第6号証)。
そこで、両商標の類否について改めて検討するに、両者の差異音「ラ」と「バ」は、母音「a」を同じくし、かつ発音時の口唇の開き方も似通った近似音であるばかりでなく、その前の2音「アラ」が弱音ではなく強く明瞭に発音されるため、この「ラ」と「バ」の音の差異が聞き漏らされがちになり、両称呼を一連に称呼した場合、全体としての語韻・語調が相似たものとして聴取され、両商標から特定の観念が生じないことも相まって互いを聴き誤るおそれのあるものと判断できる。
したがって、本件商標は、引用各商標に類似し、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本案前の答弁として「本件審判の請求を却下する。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を、また、本案の答弁として、結論掲記の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
(1)本案前の答弁の理由(利害関係の有無)
請求人によれば、同人は抗リウマチ剤を製造販売し、抗リウマチ剤について引用各商標を使用しているとのことであるが、請求人と被請求人は同業者の関係にはなく、両者の取扱商品が市場において競合するなどといった事情はないものである。
また、請求人は、本件商標に対して、異議2005-90620(甲第5号証)だけでなく、該異議決定から4年以上も経過しているにもかかわらず、本件無効審判まで請求して争っている。
このような経緯に鑑みると、請求人は、いたずらに争っているというほかなく、そもそも法律上の利害関係を欠くものであり、本件無効審判の請求は、不適法な審判請求であって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項で準用する特許法第135条の規定により、却下されるべきである。
(2)本案の答弁の理由
本件商標は、標準文字で一連に「アララマイハーブ」と書してなり、称呼においても「アララマイハーブ」と一気にテンポ良く発声することができるものであるから、一連一体の造語からなる商標というべきであり、本件商標に接した取引者・需要者も「アララマイハーブ」全体で一体の商標と理解すると考えるのが自然である。
したがって、本件商標をあえて「アララ」と省略すべき理由はなく、本件商標を単なる「アララ」に省略した上、引用各商標と類似することをいう請求人の主張は、前提において失当であって、本件商標から生じる称呼は「アララマイハーブ」又は「アララマイ」というべきである。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相違し、非類似の商標である。
以上のとおり、本件商標は、引用各商標とは非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号には該当しないものである。

5 当審の判断
(1)本件審判請求の利害関係について
被請求人は、同人と請求人とは同業者の関係にはなく、両者の取扱商品が市場において競合するなどといった事情はないものであり、また、本件商標に係る登録異議の申立てのみならず、本件無効審判まで請求しているものであり、請求人はいたずらに争っているというほかなく、そもそも法律上の利害関係を欠くものである旨主張している。
しかしながら、商標登録の無効審判を請求し得る者は、法律上の利益を有することを要するものと解されるところ、請求人は、「アララマイハーブ」の文字からなる本件商標が請求人の所有する「アラバ」の文字からなる引用商標1及び「ARABA」の文字からなる引用商標2と類似の商標であると認識していること前記3のとおりであるから、本件商標の商標登録を無効とする審判を請求することは正当な権利行使であって、これについての法律上の利益を有するものというべきであり、すなわち、請求人は、本件審判の請求をするにつき利害関係を有するというべきである。
そして、本件無効審判は、除斥期間内(商標法第47条)に請求されたものであって、その請求を却下すべき理由はないから、この点についての被請求人の主張は採用できない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、前記1のとおり、「アララマイハーブ」の片仮名よりなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔をもって表されていて、外観上もまとまり良く一体的に構成されているものであり、しかも、全体をもって称呼しても、その音数は8音であってさほど長い称呼ではないこともあり、無理なく一連に称呼できるものである。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の構成中の「ハーブ」の文字部分が、たとえ、「【herb】薬草、香味料とする草の総称。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行)の意味を有する外来語として一般に広く使用されている語であり、その商標が付された商品がハーブ入りのものであることを想起させる場合があるとしても、上記のような構成である本件商標においては、これを一連一体のものと認識し理解するとみるのが自然である。
ところで、請求人は、この点について、本件商標の構成中の「ハーブ」の文字部分が商品の品質を表示するものであり商標の要部とはみなされないから、引用商標との類否で実務上問題となるのは「アララマイ」の部分であるとした上で、本件商標は、「アララ」、「マイ」及び「ハーブ」の各文字を組み合わせたものであり、「マイ」は英語の「MY、my」を容易に想起させ、全体で例えば「私のハーブ入り入浴剤アララ」と認識され、本件商標の要部は「アララ」の部分にある旨主張している。
この主張に則して、本件商標をあえて「アララ」、「マイ」及び「ハーブ」の各文字に分解して検討するに、「アララ」は「驚いた時などに発する声。」を意味する「あらら」の読みを片仮名表記したものであり、「マイ」は「【my】『私の』の意。」、「ハーブ」は「【herb】薬草、香味料とする草の総称。」の意味を有するものである(いずれも「広辞苑第六版」より引用)。そして、「マイ」は、「マイカー」や「マイホーム」の複合語を形成する語であることが記載されている。「ハーブ」は、上記した意味からすれば、ハーブ入りの商品であることを想起させる場合もある文字である。
してみると、本件商標を「アララ」、「マイ」及び「ハーブ」に分断してみたときには、その構成中の「ハーブ」の語は、他の文字と比較して商品の出所識別標識としての印象が弱いといわざるを得ない。しかし、かかる「ハーブ」の語は、「私の」の意味を有するものとして広く一般に知られている外来語「マイ」の後に位置するものであるから、「マイ」の語とあわせて「私のハーブ」の意味を容易に認識させるとみるのが相当である。しかして、上記した意味を看取させる「マイハーブ」の文字は、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能が弱いか又は無いとみるべき特段の事情は見いだせない。一方、本件商標の構成中の「アララ」の文字についても、上記のとおり、「あらら」の読みを片仮名表記したものと認められるところ、これが本件商標の指定商品に係る取引者、需要者の間に広く認識されているものとみるべき事情は見いだせない。
そうしてみると、本件商標を構成する「アララ」、「マイ」及び「ハーブ」の各文字は、個々にみれば上記のような意味を有するものであるとしても、いずれも、それほど強い印象を与える語であるとはいえないものである。ほかに、本件商標は、構成中の「アララ」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
そうすると、片仮名で一連に表された構成である本件商標は、「アララ」の文字部分をことさら抽出して、これのみが単独で取引に資されることはないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成全体として特定の語義を生じない一種の造語よりなるものとみるべきであって、その構成文字に照応して「アララマイハーブ」の称呼のみを生じるものであり、特定の観念は生じないものである。
イ 他方、引用商標1は、前記2(1)のとおり、「アラバ」の片仮名よりなるものであり、また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「ARAVA」の欧文字よりなるところ、共に特定の意味を有する語を想起できないものであり、それぞれの構成文字に照応して共に「アラバ」の称呼を生じるものである。
ウ そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、前者の「アララマイハーブ」と後者の「アラバ」の称呼とは、その音構成に顕著な差異を有するものであるから、明瞭に聞き分けられること明らかである。
また、両商標の構成文字の差異により両者は外観において区別できるものであり、さらに、前記のとおり、両者は特定の観念が生じない造語といえるものであるから、観念においては比較することができない。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれにおいても同一又は類似のものとすることはできない。なお、これに反する取引の実情は見当たらない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、その指定商品が同一又は類似するものであるとしても、両商標は非類似の商標であるから、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとすることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-04-18 
結審通知日 2011-04-20 
審決日 2011-05-10 
出願番号 商願2004-114811(T2004-114811) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野口 美代子須田 亮一 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2005-09-09 
登録番号 商標登録第4892874号(T4892874) 
商標の称呼 アララマイハーブ、アララマイ、アララ、マイハーブ 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 加藤 義明 
代理人 木村 俊之 
代理人 鈴江 正二 

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