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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X42 審判 全部申立て 登録を維持 X42 審判 全部申立て 登録を維持 X42 審判 全部申立て 登録を維持 X42 審判 全部申立て 登録を維持 X42 |
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管理番号 | 1243398 |
異議申立番号 | 異議2010-900345 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-10-28 |
確定日 | 2011-09-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5343452号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5343452号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5343452号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、山脈と草原とを描いたと思しき図形中にデザイン化された「ARViOn」の欧文字とその右側に小さく「β」の文字を書し、その下に「アルヴィオン」の片仮名を書してなり、平成21年11月30日に登録出願、第42類「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」を指定役務として、同22年7月6日に登録査定、同年8月6日に設定登録されたものである。 2 引用商標 (1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5298097号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、冒頭の文字をやや大きくした「ALVION」の欧文字を横書きした構成からなり、平成21年8月17日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機,電子計算機用プログラム,ゲーム用プログラム,ダウンロードが可能なゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」及び第42類「電子計算機・業務用テレビゲーム機・家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、同22年1月29日に設定登録されたものである。 なお、設定登録時の商標権者は、東京都中央区銀座在の「株式会社アルビオン」であったが、その後、「特定承継による本件の移転」が平成22年3月8日に受付され、申立人にその商標権が譲渡されている(甲2)。 (2)申立人が引用する「アルヴィオン」の片仮名(以下「引用商標2」ということがある。)は、同人の使用によるとするものである。 (3)申立人が引用する「ALVION」の欧文字(以下「引用商標3」ということがある。)は、同人の使用によるとするものである。 (4)申立人が引用する「alvion」の欧文字(以下「引用商標4」ということがある。)は、同人の使用によるとするものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第98号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標の指定役務は、「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」であり、他方、引用商標1の指定商品には、第9類「電子計算機用プログラム」が含まれている。 そして、後者の指定商品は、前者の指定役務に類似する。また、本件商標と引用商標1とは類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号について 申立人は、「アルヴィオン」(引用商標2)及び「ALVION」(引用商標3)の商標を利用して、インターネット上で、「GamePure」及び「ゲームピュア」なるオンラインゲームサイトを運営している。このサイトでは、役務「電子計算機用プログラムの提供」が提供されており、これらの役務は、本件商標の指定役務「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」と類似する。 そして、当該引用ゲームサイトは、本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く認識されており、それに伴い、引用商標2及び3も広く認識されている。また、本件商標と引用商標2及び3とは、類似する。 さらに、申立人は、「家庭用ゲーム、ダウンロードゲーム、オンラインゲームサイト」などの各種ゲームについて、引用商標2、引用商標3及び「alvion」(引用商標4)を使用しており、結果、商品「ゲーム用プログラム」について引用商標2ないし4を使用した場合、申立人の業務に係るものであると需要者の間に広く認識されるに至っている。そして、上記商品と本件指定役務とは類似する。また、本件商標と引用商標2ないし4とは、類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、引用商標2ないし4の商標を利用して、家庭用ゲーム、ダウンロードゲーム、オンラインゲーム等(以下「各種ゲームソフト」という。)の開発会社及び販売会社として、1996年から活動している。 各種ゲームソフトに引用商標2ないし4の名称が使用された場合、申立人を示すものとして少なくとも2009年11月初旬以降広く認識されており、現在に至る。 本件商標をその指定役務に使用した場合、申立人の業務に係る役務である、若しくは、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第19号について 各種ゲームソフトに引用商標2ないし4の名称が使用された場合、申立人を示すものとして、少なくとも2009年11月初旬以降日本国内において広く認識されており、現在に至る。 商標権者は、株式会社ミクシーのソーシャルネットワークにて、本件商標を用いて、オンラインゲームを提供している。 このような状況下、申立人は、2009年11月16日に、商標権者に対して、引用商標1に基づいて警告をなした。商標権者は、他人の知的財産権を尊重すると申立人を安心させておきながら、一方で、申立人が本件指定役務について商標登録出願していないことを奇貨として、信義則及び損害を与える目的で、本件商標を出願した。その後も、申立人の出所表示機能を希釈化・汚染化する行為を継続して行っている。よって、商標権者は、不正の目的をもって、本件商標を出願し、現時点に至るものである。 申立人の引用商標2ないし4は、日本国内における需要者の間に広く認識されており、本件商標は、申立人の商標と類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第8号について 「株式会社アルヴィオン」は、申立人の名称として使用されている(甲3ないし甲5)。また、「アルヴィオン」(引用商標2)は、申立人の略称として、本件商標の登録出願時及び査定時において著名である。本件商標は、他人の著名な略称である「アルヴィオン」の文字を含んでいる。また、申立人が商標権者に承諾を与えた事実も存在しない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標は、上記1のとおり、山脈と草原とを描いたと思しき図形中にデザイン化された「ARViOn」の欧文字とその右側に小さく「β」の文字を書し、その下に「アルヴィオン」の片仮名を書してなるものであるところ、その構成上、「アルヴィオン」の片仮名は、デザイン化され大きく表示された「ARViOn」の欧文字部分の読みを表したものと看取されるものであって、両文字部分が看者の注意を強く惹く部分といえるものである。また、該両文字は、特定の意味合いを有しない造語といえるものである。 そうすると、本件商標は、「ARViOn」と「アルヴィオン」の文字部分に相応して「アルヴィオン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 一方、引用商標1は、上記2(1)のとおり、冒頭の文字をやや大きくした「ALVION」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、その構成文字に相応して「アルヴィオン」の称呼を生じるものである。また、該文字は、特定の意味合いを有しない造語であるから、特定の観念は生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標1との類否について検討するに、外観においては、本件商標のデザイン化され大きく表示された「ARViOn」の欧文字部分と、冒頭の文字をやや大きくした「ALVION」の欧文字からなる引用商標1とは、外観上相違するものである。 称呼においては、両商標は、いずれも「アルヴィオン」の称呼を生じ、その称呼を共通にするものであるから、称呼上類似するものである。 観念においては、両者は、特定の意味合いを有しない造語といえるものであるから、観念上比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観において相違し、観念において比較できないとしても、両者は、称呼を共通にする類似の商標というべきである。 イ 次に、申立人は、引用商標1は、指定商品中に、第9類「電子計算機用プログラム」が含まれており、本件商標の指定役務とは類似する旨主張するので、この点について検討する。 商品と役務の類否については、役務の提供と商品の製造、販売が同一業者により行われているのが一般的であるかどうか、役務と商品の用途が一致するかどうか、役務の提供場所と商品の販売場所が一致するかどうか、及び需要者の範囲が一致するかどうかなどを総合的に考慮し、個別具体的に判断されるものである。 本件商標は、上記1のとおり、第42類「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」を指定役務とするものであるところ、該役務は、通信事業者が、サーバや回線を自前で用意できない顧客に対し、サーバの記憶領域を貸し出すものであるから、役務の提供者は、主に通信事業者である。また、該役務の用途は、サーバの記憶領域の貸し出しであり、該役務の提供場所は、サーバの所在地である。 そして、該役務は、インターネットを通じて提供されるものであり、決して小売店等の店頭では提供されないものである。さらに、該役務の需要者は、サーバや回線を自前で用意できない顧客である。 他方、引用商標1の指定商品中には、上記2のとおり、第9類「電子計算機用プログラム」が含まれているものであるところ、該商品は、コンピューターに対して、どのような手順で仕事をすべきかを、機械が解読できるような特別の言語などで指示するものであるから、その開発、製造は、コンピューターのソフトウェアメーカーによって行われるものである。また、該商品の用途は、コンピューターに対して、どのような手順で仕事をすべきかを指示することである。 そして、該商品は、電気通信回線を通じてダウンロードされることがあるものの、当初から電子計算機にインストールされ、又は記録媒体に記憶されることにより、小売店等の店頭で販売されている。さらに、該商品の需要者は、業務用の電子計算機システムなどに使用する企業やパーソナルコンピューターを使用する個人である。 してみれば、本件商標の指定役務である第42類「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」と引用商標1の指定商品中の第9類「電子計算機用プログラム」とは、いずれもコンピューターに関係する点では共通性があるとしても、それぞれの役務の提供場所、商品の販売場所、用途が異なり、自ずとその需要者も相違することが多いといえるものである。 また、本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品が同一の事業者などにより取り扱われているのが一般的であるような商取引の状況は見いだせない。 そうすると、本件商標の指定役務と引用商標1の指定商品については、同一又は類似の商標が使用されたとしても、彼此相紛れるおそれのない非類似の役務と商品というべきである。その他、引用商標1の指定商品中に、本件商標の指定役務と類似すると認められる指定商品及び役務は見いだせない。 したがって、本件商標は、引用商標1と商標において類似するとしても、それぞれの指定役務と指定商品とが同一又は類似するものでないから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 ウ なお、申立人は、「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与を実現するために、ウェブサイト用のデータをサーバの記憶領域に格納するために必要な電子計算機用プログラムを、インターネットを介して提供することがほぼ必須となる。」旨述べている。 しかしながら、「電子計算機用プログラム」が、「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」に必須であるからといって、上記イのとおり、該商品及び役務は、類似するものではない。 したがって、申立人の主張は、採用することができない。 エ また、申立人は、「引用商標1の指定商品中、第9類『電子計算機用プログラム』は、『類似商品・役務審査基準』〔国際分類第9版対応〕によると、第42類『電子計算機用プログラムの提供』の役務に類似する。そして、この役務と本件商標の指定役務には『42X11』の類似群コードが割り当てられている。したがって、本件商標の指定役務『インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与』と引用商標1の指定商品『電子計算機用プログラム』とは、類似する役務又は商品となる。」旨述べている。 しかしながら、本件商標の指定役務は、第42類「電子計算機用プログラムの提供」ではなく、第42類「インターネットにおけるウェブサイト用のサーバの記憶領域の貸与」であるところ、該役務は、通信事業者が、サーバや回線を自前で用意できない顧客に対し、サーバの記憶領域を貸し出すものといえる。 一方、引用商標1の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラム」は、「ダウンロードによる電子計算機用プログラム」や「記録媒体に記憶した電子計算機用プログラム」の「ソフトウェア」そのものであって、サーバの記憶領域を貸与するものではないから、上記イのとおり、本件商標の指定役務とその提供場所、販売場所、用途、需要者の範囲が異なり、また、同一の事業者などにより取り扱われているのが一般的であるような商取引の状況は見いだせない。 したがって、第9類「電子計算機用プログラム」と第42類「電子計算機用プログラムの提供」が類似するものであるとしても、本件の指定役務とは別異のものであるから、申立人のこの点についての主張も採用することができない。 (2)商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号について ア 引用商標の周知、著名性について 申立人は、引用商標2ないし4が本件商標の登録出願時及び査定時において、需要者の間に広く知られている申立人の名称の著名な略称ないし周知著名な商標である旨の主張をしているので、この点について検討する。 (ア)申立人の提出に係る証拠について 甲第3号証は、申立人「株式会社アルヴィオン」の現在事項全部証明書の写しである。 甲第4号証は、申立人のホームページであって、「alvion」「アルヴィオン」「ALVION」の表示がある。 甲第5号証は、申立人の会社案内の写しである。これには、各所に「ALVION」「アルヴィオン」の表示がある。また、「沿革」の項には、1996年の設立から2009年までの記載がある。 甲第13号証及び甲第14号証は、申立人が運営する「GamePure」(ゲームピュア)なるオンラインゲームサイトにおけるウェブページの写しである。これには、リンク先として「株式会社アルヴィオン」の表示のほか、「アルヴィオン」、「ALVION」の表示がある。 甲第15号証は、「統計対象サイト game-pure.com」と表示されたウェブページであって、サイトのアクセス状況を示す内容が記載されている。 甲第17号証は、インターネットのフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」であって、「アルヴィオン」についての記事である。これには、「アルヴィオン(ALVION)は、大阪府吹田市にあるゲーム会社。」の記載がある。 甲第19号証ないし甲第26号証、甲第28号証、甲第29号証、甲第31号証ないし甲第71号証は、申立人がゲームの製作に関与してきたとする各種ゲームソフトに関するものであって、それらゲームソフトのパッケージやマニュアルのコピー及び各ソフトの発売日などの情報が掲載されたウェブページの写し、パッケージのコピー、雑誌抜粋記事などである。 これらには、例えば、そのスタッフクレジットに「ゲーム開発 有限会社アルヴィオン」(甲19)、「株式会社アルヴィオン」(甲25)、「開発 アルヴィオン」(甲33)、「Alvion Company Ltd.」(甲35)、「ALVION」(甲39)、及び「有限会社アルヴィオン」(甲58)の記載のほか、パッケージやマニュアルデザイン、プログラマーなどのスタッフの一員として、氏名に続けて「(アルヴィオン)」、「(alvion)」などの表示がされている。 なお、甲第26号証、甲第28号証、甲第36号証、甲第40号証、甲第41号証、甲第45号証、甲第56号証、甲第70号証及び甲第71号証からは、申立人やその社員が製作に関与したとの表示は見当たらない。 甲第27号証は、2008年(平成20年)11月1日付けのゲーム会社からのゲームソフト開発に関する報告書の写しである。 甲第30号証、甲第72号証、甲第73号証及び甲第79号証は、3社のゲーム会社からの2010年(平成22年)10月20日、同年3月10日及び同年5月7日付けの証明書の写しである。 これらの証明書は、「アルヴィオン」、「ALVION」又は「alvion」の名称が各種ゲームの出所表示として、ゲームの取引業界及び需要者に少なくとも2009年11月初旬以降、広く認識されていた旨を証明する内容となっているものである。 (イ)引用商標2ないし4の周知、著名性について 上記(ア)における申立人の提出に係る証拠については、その多くが申立人がゲームの製作に関与してきたとする各種ゲームソフトに関するものであって、それらゲームソフトのパッケージやマニュアルのコピー及び各ソフトの発売日などの情報が掲載されたウェブページの写し、パッケージのコピー、雑誌抜粋記事などである。 これらには、引用商標2ないし4の表示があるとしても、それは、そのゲームのスタッフクレジットとしての表示であって、その他の多くの名称の中にその一部として埋もれて表示されているものである。 そうしてみると、引用商標2ないし4を使用したゲームソフト販売に係る宣伝、広告の事実(新聞、雑誌、テレビCM、ポスター、チラシなど)を示す具体的な証拠は、ほとんどないことから、上記した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標2ないし4がゲームソフトの商標として、あるいは、「アルヴィオン」の文字が、ゲームソフト開発ないし販売会社である申立人の名称の略称として、需要者の間に広く認識されていたということはできない。 また、申立人のゲームソフト販売に係る売上高や業界におけるシェア等、申立人の事業の規模を客観的に評価し得る資料等の証拠の提出もされていない。 してみれば、引用商標2ないし4が、申立人の業務に係る各種ゲームソフト(家庭用ゲーム、ダウンロードゲーム、オンラインゲーム等)を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 また、申立人の事業の内容や名称及びその略称の使用状況からみれば、本件商標の登録出願時及び査定時において、「アルヴィオン」の文字が、申立人の名称の著名な略称であったものとも認められない。 イ 商標法第4条第1項第10号、同第15号及び第19号について 上記ア(イ)の認定のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において引用商標2ないし4は、申立人の名称の略称又は各種ゲームソフト(家庭用ゲーム、ダウンロードゲーム、オンラインゲーム等)を表示する商標ほか、申立人の業務に係る商品及び役務を示す商標として、需要者の間に広く認識されるに至っていたものとは認められないものである。 また、本件商標に接する需要者等が、直ちに申立人が運営する「GamePure(ゲームピュア)」なるオンラインゲームサイトを想起するとはいい難いことから、本件商標をその指定役務に使用しても、申立人又は同人と関係のある者の業務に係る役務であるかのように、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない。 さらに、申立人による引用商標1に基づく平成21年11月16日付けの警告書の写し(甲83)、これに対する本件商標権者による回答書の写し(甲84)、及び本件商標権者の運営するオンラインゲームサイトのウェブページの写し(甲81、甲85、甲86)などによっても、商標権者が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めることもできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号又は同第19号に該当するものでない。 ウ 商標法第4条第1項第8号について 申立人が、その名称の略称を含めゲームソフト業界において、その取引者などには一定程度知られていたものであるとしても、上記ア(イ)の認定のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時において、その需要者や、まして一般世人に「アルヴィオン」の文字が申立人の名称の著名な略称であったものとは認められない。 そうすると、本件商標は、申立人の名称及びその著名な略称を含む商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号、及び同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) (色彩については原本参照。) 別掲2(引用商標1) |
異議決定日 | 2011-08-25 |
出願番号 | 商願2009-90515(T2009-90515) |
審決分類 |
T
1
651・
23-
Y
(X42)
T 1 651・ 255- Y (X42) T 1 651・ 265- Y (X42) T 1 651・ 271- Y (X42) T 1 651・ 222- Y (X42) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 田中 幸一 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2010-08-06 |
登録番号 | 商標登録第5343452号(T5343452) |
権利者 | 株式会社スマイルメーカー |
商標の称呼 | アルビオンベイタ、アルビオンベータ、アルビオン |
代理人 | 高山 嘉成 |