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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X43
管理番号 1243313 
審判番号 不服2010-14169 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-28 
確定日 2011-09-01 
事件の表示 商願2009- 62902拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「うどん酒場」の文字を標準文字で表してなり、第43類「うどん及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成21年8月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『うどん酒場』の文字を標準文字で書してなるものであるが、本願指定役務との関係からすれば、これよりは『うどんを提供しお酒を飲ませる店』程の意味合いを容易に理解・認識させるにすぎないものであるから、これを本願指定役務に使用しても、単にその役務の質(内容)、提供の場所を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲1に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成23年2月21日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
証拠調べ通知において挙げられた新聞記事及びインターネット記事は、「うどん」及び「酒場」をバラバラのキーワードとして検索した結果ヒットしたものであり、このような「うどん」と「酒場」のバラバラでの普通の使用例をもって、「うどん酒場」というまとまりある商標の識別力を否定できるものでない。「うどん酒場」が使用されているのは2例のみであり、このような2例をもって、本願商標が本願指定役務の質、提供場所を示すとして、本願商標を自他役務識別力無しとすることはできない。
また、我が国で一般に使用されているのは、「うどん酒房」、「うどん酒庵」及び「うどん酒処」であり、「うどん酒場」は一般的に使用されていない。よって、需要者は、本願商標から「うどんを提供し酒を飲ませる店」の意味合いを直接的に看取することはなく、暗示的あるいは間接的に前記意味合いを抽象的に認識するにすぎないので、本願商標は本願出願人(請求人)特有の商標として十分に機能しているものである。

5 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり、「うどん酒場」の文字からなるところ、前記3で示した証拠調べ通知に記載のとおり、その構成中「うどん」の文字は、「麺類の一種。」を意味し、「酒場」の文字は、「酒を飲ませる店。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも「広辞苑第6版」)として一般に親しまれているものであり、本願商標はこれらの語を結合してなるから、その指定役務との関係では、「うどんを提供し酒を飲ませる店」の意味を極めて容易に想起させるものと認められる。
また、「うどん」及び「酒場」の文字は、本願の指定役務の業界において使用され、さらに「うどん酒場」の文字についても、別掲2に示す原審で開示した証拠に加え、別掲1に示す当審で開示した証拠のとおり、本願の指定役務の業界において使用されているものである。
そうとすれば、本願商標は、「うどん酒場」の文字からなるにすぎないもので、これより「うどんを提供し酒を飲ませる店」の意味を極めて容易に理解、認識させるものであり、また、上記のとおり一般に使用されているものであるから、これをその指定役務「うどん及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」に使用しても、「うどんを提供し酒を飲ませる店」であるとの役務の質、提供の場所を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としては認識し得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するというのが相当である。
(2)なお、請求人は、「うどん」と「酒場」のバラバラでの普通の使用例をもって、「うどん酒場」というまとまりある商標の識別力を否定できるものでない。「うどん酒場」が使用されているのは2例のみであり、このような2例をもって、本願商標が本願指定役務の質、提供場所を示すとして、本願商標を自他役務識別力無しとすることはできない旨主張している。
しかしながら、本願商標は、「うどんを提供し酒を飲ませる店」の意味を極めて容易に理解、認識させるものであり、原審で開示した証拠でも「うどん酒場」の文字が使用され、本願商標が、自他役務の識別標識としての機能を有しないことは、前記認定のとおりである。
また、一般に使用されているのは、「うどん酒房」、「うどん酒庵」及び「うどん酒処」であり、「うどん酒場」は一般的に使用されていないから、本願商標は本願出願人(請求人)特有の商標として十分に機能しているものである旨主張している。
確かに、請求人が原審で提出した資料5においては「うどん酒房」、「うどん酒庵」及び「うどん酒処」の各文字が打ち出されている。しかしながら、「うどん酒場」の文字についても使用されていることは前記のとおりである。また、各文字の構成中「酒房」「酒庵」及び「酒処」の各文字(語)は、業種を認識させるものであり、「うどん」の文字とこれら業種を結合した「うどん酒房」、「うどん酒庵」及び「うどん酒処」の各文字が使用されていることは一般的であるから、「酒場」の業種を結合した本願商標の「うどん酒場」についても自他役務の識別標識としての機能を有しないものである。
そうとすれば、請求人のいずれの主張も採用することはできない。
(3)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
(証拠調べ通知の内容)
1 本願商標を構成する「うどん」「酒場」及び「うどん酒場」の各文字に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)「うどん」及び「酒場」の各文字が有する意味
ア 「うどん」の項に「麺類の一種。」との記載。
イ 「酒場」の項に「酒を飲ませる店。」との記載。
(いずれも広辞苑第六版)
(2)新聞記事情報
ア 「村営『酒場』が灯す人の輪 秋田県仙南村(おーい、雲よ)」の見出しのもと、「この村に九年前の五月、<ふるさと創生事業村営酒場 フォーラムハウス 遊遊>が出現した。昼時--。うどん、そば、定食類を書いた《メニュー》には、ご飯のおかわりはサービスです、とあった。」との記事(1999.01.17 朝日新聞 東京朝刊 44頁 日曜版)。
イ 「[Eくらし]立ち飲みスタイル店人気 松山 客同士打ち解け合う 繁盛するほど低価格に」の見出しのもと、「松山市の繁華街に立ち飲みスタイルの飲食店が増え、幅広い世代の人気を集めている。いすに腰を落ち着け、ゆったり飲むことができなくても、多くの人に受け入れられる理由は何か。その魅力を探った。(経済部・岩本仁)同市二番町三丁目のビル一階に八月中旬開業した『ZIZO』。昼はうどん店、夜はバーとしてにぎわう。(中略)二号店も九月の客数(昼のカフェ含む)は四千人を超えた。特に一号店は、昔の立ち飲み酒場を意識し、トタンや裸電球を使ったレトロな作り。」との記事(2005.10.10 愛媛新聞 朝刊)。
ウ 「<ひと 街 酒場>柳*倒れた夫の味受け継ぐ」の見出しのもと、「三越前の交差点から歩いて二分という都心部に位置する『4丁目会館』は、往時を偲(しの)ばせる古めかしい建物。今年二十八年目を迎えた居酒屋『柳』は、階段を上がったその二階にある。(中略)なるほど、炭火でホッケを焼いているかと思えば、次はフライパンで今では懐かしい『焼きうどん』を炒(いた)めるなど、カウンター内をスピーディーに動き回るその姿は、眺めていて気持ちがいいほど。」との記事(2007.10.13 北海道新聞 朝刊地方 29頁)。
エ 「【食ウォッチング】秋田川反漁屋酒場 銀座店(東京都港区)」の見出しのもと、「きりたんぽ、稲庭うどんなど、秋田は郷土自慢の名物料理の宝庫。東京にいながら秋田の郷土料理を堪能できる『秋田川反漁屋酒場(かわばたいさりやさかば)銀座店』が、東京都港区のJR新橋駅近くにオープンした。(中略)秋田43蔵元の日本酒のラインアップや、“幻のうどん”といわれる第16代稲庭吉左衛門の稲庭うどんなど、こだわりのメニューがズラリ。」との記事(2008.03.09 FujiSankei Business i. 16頁)。
オ 「(噂のランチ)ハイカラ酒場 札幌で博多うどん /北海道」の見出しのもと、「なぜか札幌には『うどん屋』が少ない。きっとラーメン文化が根付いているせいだろうと、ぼんやり思っていたのだが、同じくラーメンの人気が高い福岡の場合は、ちょっと事情が異なるらしい。『讃岐とも関西ともひと味違う博多うどんは、僕らにとってソウルフードみたいなもの』。そう話すのは、九州の郷土料理店『ハイカラ酒場』を営む久留米出身の赤司康弘さん。夜はモツ鍋や水炊きなど九州各地の名物を豊富に取りそろえるが、ランチタイムだけ『うどん』のノボリを掲げ、メニューは博多うどん一本に絞る。」との記事(2008.09.05 朝日新聞 北海道夕刊 6頁)。
カ 「カナオカ機材、09食博覧会・大阪の屋台風酒場が注目」の見出しのもと、「飲食店向け厨房(ちゅうぼう)設備や水槽などを扱う同社が低コストで運営できる屋台風の酒場を考案した。気軽に飲め、うどんや総菜など食べ物も低価格で提供するコンセプト。」との記事(2009.05.08 日刊工業新聞 31頁)。
キ 「[Let’s独断グルメ]BIGDADDY酒場かぶきうぃずふぁみりぃ」の見出しのもと、「ヌンチャク、毒霧攻撃など“東洋の神秘”として全米を震撼(しんかん)させたプロレスラーのザ・グレート・カブキ(本名・米良明久)さん(61)が、東京・文京区後楽でちゃんこ店『BIG DADDY酒場 かぶき うぃず ふぁみりぃ』を経営している。(中略)ちゃんこの締めは、卵(100円)に、おじやかうどん(各370円)だが、おじやとうどんを半々で出してくれる“裏メニュー”は絶品。」との記事(2010.05.19 スポーツ報知 12頁)。
(3)インターネットによる記載
ア 「サントリー」のホームページの「サントリーグルメガイド」の項に「お店のウリ 新宿 うどん 飲み食べ放題 新宿 宴会」「店舗名 大衆酒場 かすうどん 風土 新宿店 [新宿 うどん大衆居酒屋] 」との記載(http://gourmet.suntory.co.jp/shop/gacz400/index.html)。
イ 「キット・コーポレーション合資会社」のホームページの「泉州?大阪?関西?近畿のグルメ&カフェ&スイーツ&ベーカリー&美容室などの情報が満載!」の見出しのある「泉州で住む、食べる、遊ぶ、楽しむためのサイト」の項に「大阪府堺市堺区 / 和食/鍋料理/串揚げ/居酒屋/うどん」「南海本線堺駅 細うどん 八風 町家酒場」との記載(http://www.kit-press.com/navi/gr/happuu-sakai/index.html)。
ウ 「ぐるめぱど」の見出しのあるホームページの「うどん・そば・ワンコインランチ・ホルモン・焼肉・fon spot」の項に「武州うどん あかね&居酒屋 酒場みどり 」との記載(http://gpado.jp/shuto/saitama/11103/107/1110-00002510-000/shop_top/)。
エ 「株式会社ニューフィールドフーズ」のホームページの「店舗紹介」の項に「釜こしうどん 神保町酒場」との記載(http://www.newfieldfoods.com/tempo_jinboucho.html)。
オ 「Kanda.net」の見出しのあるホームページの「そば酒場 山田家」の項に「そば酒場 山田家の概要 そば酒場 山田家」「ジャンル そば、うどん、丼もの」との記載(http://www.kanda.net/S36857.html)。
カ 「株式会社ライブドア」のホームページの「livedoorグルメ」の項に「創作鶏酒場 新宿 昆ぶ家 ?KOBUYA?」「ジャンル 焼き鳥 うどん」との記載(http://gourmet.livedoor.com/restaurant/307963/)。
キ 「G麺のこだわり」の見出しのあるホームページに「路地裏うどん酒場G麺」との記載(http://www.udon-g.sakura.ne.jp/)。
ク 「うどん おでん 串あげ かぐや」の見出しのあるホームページに「いまだかつてない『うどん酒場』! 」「手打ちうどん・そばと、おでん、串あげが安くておいしい、うどん酒場」との記載(http://ggyao.usen.com/0005000375/)。
2 本願商標は「うどん酒場」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「うどん」の文字は、「麺類の一種。」を意味し、「酒場」の文字は、「酒を飲ませる店。」の意味をそれぞれ有する語(いずれも「広辞苑第6版」)として一般に親しまれているものであり、本願商標はこれらの語を結合してなるから、「うどんを提供し酒を飲ませる店」の意味を容易に想起させるものと認められる。
また、前記1のとおり「うどん」、「酒場」及び「うどん酒場」は、本願の指定役務の業界において使用されている事実がある。
かかる事実からすれば、前記の「うどん酒場」の文字は、本願の指定役務の業界においては、「うどんを提供し酒を飲ませる店」であるとの役務の質、提供の場所を表すものとして、認識されているものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標「うどん酒場」の文字は、その指定役務「うどん及びアルコール飲料を主とする飲食物の提供」に使用しても、「うどんを提供し酒を飲ませる店」であるとの役務の質、提供の場所を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を有するものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

別掲2
(原審で開示した証拠)
1 「うどん酒場 すみた ・・・いつもはおでんで一杯やってから、うどんをいただくパターンです。讃岐うどんの店にはおでんがつきものだよね!」(http://www.kitaku-town.com/review/ki005235)
2 「うどん酒場 赤とら 讃岐うどんと焼酎が楽しめる和風ダイニング」(http://restaurant.gourmet.yahoo.co.jp/0006719594/)
3 「うどん酒場 なう 期間限定だった梅シソうどんを特別に作ってもらいました。」(http://www.movapic.com/superrush4x/pic/1459345)


審理終結日 2011-06-29 
結審通知日 2011-07-05 
審決日 2011-07-20 
出願番号 商願2009-62902(T2009-62902) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
高橋 幸志
商標の称呼 ウドンサカバ 
代理人 山田 威一郎 
代理人 立花 顕治 
代理人 田中 順也 
代理人 松井 宏記 

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