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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2011890023 審決 商標

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審決分類 審判 一部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y45
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y45
審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y45
管理番号 1243154 
審判番号 無効2010-890044 
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-05-27 
確定日 2011-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4867475号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4867475号に係る指定役務中,第45類「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」についての登録を無効とする。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4867475号商標(以下「本件商標」という。)は,「ブライダルウォーカー」の文字を標準文字により表してなり,平成16年10月12日に登録出願され,第45類「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,占い,身の上相談,家事の代行,衣服の貸与,祭壇の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,家庭用電熱用品類の貸与(他の類に属するものを除く),動力機械器具の貸与,風水力機械器具の貸与,装身具の貸与,施設の警備・身体の警備に関する情報の提供,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,葬儀に関する情報の提供,墓地又は納骨堂の提供に関する情報の提供,個人の身元に関する情報の提供,個人の信用に関する情報の提供,占いに関する情報の提供,家事の代行に関する情報の提供,祭壇の貸与に関する情報の提供,家庭用電熱用品類の貸与(他の類に属するものを除く)に関する情報の提供,動力機械器具の貸与に関する情報の提供,風水力機械器具の貸与に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」を指定役務として,平成17年5月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第4624377号商標(以下「引用商標」という。)は,「ウエディングウォーカー」及び「WeddingWalker」の文字を上下二段に横書きしてなり,平成13年6月25日に登録出願され,第35類,第39類,第40類,第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として,平成14年11月22日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1ないし第82号証(枝番を含む。)を提出している。
1 請求の利益について
請求人は,後述のとおり,「東京ウォーカー/TokyoWalker」をはじめとして,「都市名又は地域名」を示す語と「ウォーカー/Walker」の語を結合した商標を使用した雑誌,雑誌の増刊号,ムック,書籍,フリーマガジン等の出版物を多数発行しているほか,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌の公式サイト「Walkerplus」において,多数の「○○ウォーカー/Walker」の商標を使用したウェブサービスを展開している。その中の一つに,平成13年(2001年)6月よりパソコン用ウェブサイトにおいて,結婚関連の情報を提供する「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」を開設して現在も情報提供事業を継続している。また,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の商標登録(引用商標)を有している。
本件商標と引用商標及び使用商標「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」とは,観念において極めて近似した観念が生ずる類似の商標であり,かつ,本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は同一又は類似する役務である。
そうすると,本件商標がその指定役務に使用された場合,その役務は請求人によって提供されているものと需要者に出所の混同が生ずるおそれがあり,請求人の利益が著しく阻害されるおそれがある。
したがって,請求人は,本件審判の請求をすることについて利害関係を有する者である。
2 本件商標と請求人の商標の構成等について
(1)本件商標について
本件商標は,「婚礼。結婚式」等の意味を有する「Bridal」のカタカナ表記「ブライダル」の語と「歩行者,歩く人」等の意味を有する「Walker」のカタカナ表記「ウォーカー」の語とを一連一体に書してなる標準文字商標である。
(2)請求人の引用商標及び使用商標について
(ア)引用商標について
引用商標は,「婚礼。結婚式」等の意味を有する「Wedding」の語と「歩行者,歩く人」等の意味を有する「Walker」の語とを結合し,そのカタカナ表記を二段に併記してなる商標である。
(イ)請求人の使用商標について
請求人は,平成13年(2001年)6月頃より商標「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」を使用して,「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等,主として結婚式に関連する情報を提供している(甲第60号証)。
請求人の使用する「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の商標は,時期に応じて,別掲(1)ないし(3)のように態様が若干変更されているが,いずれにしても「ウエディングウォーカー」の称呼が生ずる商標である(甲第60号証の1,9,11等)。
以下,これらの商標を一括して「使用商標」という。
(ウ)請求人の商品「印刷物」について使用される「ウォーカー/Walker」の語を含む商標について
請求人は,平成2年(1990年)3月,「東京」を中心とした首都圏の都市情報誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」を創刊した。この雑誌は,「東京のテレビ番組,新作商品,映画,グルメ,ファッション,旅行,ドライブ等,さまざまな分野の情報を網羅して,雑誌を通して読者に提供する」というコンセプトで創刊されたものである。
雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」は,上記コンセプトが需要者のニーズに合致し,破竹の勢いで需要者の人気を獲得し,現在に至っている。
請求人は,雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」の成功を皮切りに,同様のコンセプトで「関西」を中心とした都市情報を提供する雑誌「関西ウォーカー/KansaiWalker」を平成6年(1994年)6月に発刊し現在に至っている。また,請求人は,平成6年(1994年)12月に「ゲーム情報」に特化した情報誌「月刊ゲームウォーカー/GameWalker」を発行した。これらの雑誌も好評を得た。これらの雑誌が好評を得たことから,請求人は「ウォーカー/Walker」の語を含む,「マンスリーウォーカー/MONTHLY Walker(平成7年[1995年]6月?同8年[1996年]10月)」,「東海ウォーカー/TokaiWalker(平成8年[1996年]7月?)」等の各種の情報誌(定期刊行物)を現在までに発行した。
これらのように,請求人は,雑誌等の媒体を通じて提供される情報の内容・テーマ・対象たる「都市又は地域」又は「ゲーム」,「ファミリー」等の情報を示す語(以下,総称して「情報を示す語」という。)と「ウォーカー/Walker」の語とを結合した「○○ウォーカー/Walker」という構成からなる商標を使用している。
そこで以下,「東京ウォーカー/TokyoWalker」のように「都市名又は地域名」と「ウォーカー/Walker」の語を結合させた商標を「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」といい,「ゲームウォーカー/GameWalker」のように「ゲーム」,「ファミリー」等の「都市又は地域」以外の情報を示す語と「ウォーカー/Walker」の語を結合させた商標を「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」という。
また,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」と「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」の両方を含めて総体的に表現する場合には,「○○ウォーカー/Walker」という。
上記商標の中でも,とりわけ「東京ウォーカー/TokyoWalker」,「関西ウォーカー/KansaiWalker」,「東海ウォーカー/TokaiWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌は,統一された書体で,内容も統一されてシリーズ化した雑誌として発行され,需要者・取引者に広く認識されている。
(エ)請求人がインターネット上で各種の情報を提供する役務等について使用する「ウォーカー/Walker」の語を含む商標について
請求人は,各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の雑誌と連動させ,また,時には独立したサービスを提供する「ウォーカープラス/Walkerplus」(旧名称「Walkerplus.com」)という公式サイトを平成12年(2000年)から開設している。
この「ウォーカープラス/Walkerplus」の中には,例えば,グルメ情報であれば「グルメウォーカー/グルメWalker」,映画情報であれば「ムービーウォーカ?/MovieWalker」,旅行情報であれば「トラベルウォーカー/TravelWalker」のように,明確に提供される情報の内容・テーマ・対象となるような「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」の語から構成される商標「○○ウォーカー/Walker」を使用している。
以下,請求人主張について詳述する。
3 本件の無効審判請求について
(1)被請求人の「ウォーカー/Walker」の語の使用方法について
これまで被請求人以外にも請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」を含む「○○ウォーカー/Walker」という構成からなる商標のブランド力又はブランドイメージをフリーライドするかのごとき第三者は存在したが,請求人は,自己のブランド力を守るために,種々の努力をしてきた(甲第48号証)。
今回,請求人が本件商標に対する商標登録無効審判を請求したのは,被請求人の商標登録の大量取得及び事業展開は,以下に述べるとおり,前述のブランド力の維持及び請求人の企業活動に重大な影響を与えると考えたからである。
上述のように,請求人は,明確に提供される情報の内容・テーマ・対象となるような「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」の語とから構成される商標「○○ウォーカー/Walker」を使用して,当該情報を提供する出版物を発行したり,情報提供をするウェブサイトを開設している。すなわち,「ウォーカー/Walker」の語を「歩行者,散歩をする人」を意味する語から転じて「情報を提供する」ことの代名詞のように理解されるように,請求人は「○○ウォーカー/Walker」の商標を使用してきたのである。
これに対して,被請求人もまた「ウォーカー/Walker」の語を,「情報を提供する」という意味合いで使用している。例えば,被請求人の携帯サイト「music Walker」において,被請求人は「ウォーカー/Walker」の語を「情報を発信する」という意味合いで使用している。すなわち,被請求人は,請求人が長い年月をかけて築き上げてきたブランドイメージと同様の使用方法をし,請求人のブランドイメージにただ乗りしているのである。
また,「シネマウォーカー/cinema walker」は,「映画に関する情報提供サイト」であることがわかる(甲第77号証の1及び2)。これは請求人の使用商標「ムービーウォーカー/MovieWalker」において提供されている役務とかなり近い役務を提供していることがわかる。
このほか,「Ranking Walker」についても,被請求人は「Walker」の語を「情報を提供する」という意味合いで使用していることが明らかである(甲第75号証)。
(2)被請求人のブランド展開について
(ア)被請求人が使用する商標
被請求人の商標の使用にフリーライドの意図が見えるのは上記の「music walker」や「CINEMA walker」という携帯サイトだけではない。
被請求人は,携帯電話を通じて女性を対象とした情報提供を行ったり,女性物の被服やアクセサリー等の通販事業を行ったりする事業者である(甲第67号証の1)。そして,携帯電話の各サイトでは,請求人と同様に「○○ウォーカー/Walker」の商標を用いて種々のブランド展開を行っている。
被請求人の「girlswalker」の宣伝媒体資料の写し(甲第67号証の2)からは,被請求人は「○○ウォーカー/Walker」の語を各種情報提供に使用していることが窺える。
さらに,甲第73号証は,被請求人が当初から,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用して各種の情報提供の役務について使用していることを示すものである。
特に,被請求人の旗艦サイトともいえる「girlswalker」や「boyswalker」は,請求人の「メンズウォーカー/MEN’S Walker」が休刊した平成12年(2000年9月)の直後である同年11月,12月に出願され,携帯サイト「girlswalker」はその出願と同時期に開始したということになる。
請求人の「MEN’S Walker」も4年の使用実績があり,また,首都圏の高校生・大学生を中心に広く読まれていた雑誌であることは甲第82号証からも明らかである。
被請求人会社は,平成11年(1999年)に現在代表取締役である大濱氏を中心にして設立されたが,甲第80号証によれば,大濱氏自身,昭和46年(1971年)の生まれであり,かつ,東京出身であることからすると,まさに「東京ウォーカー/TokyoWalker」や「メンズウォーカー/MEN’S Walker」の需要者層に含まれている。
さらに,甲第79及び第81号証は,被請求人の関連会社が運営するファッション関連の情報サイト及び小売サイト「shibuyawalker」のメールマガジンに関して,携帯電話の画面を表示し,その画面を撮影したものである。平成20年(2008年)1月には「shibuyawalker News」という一連一体に書したタイトルのメールマガジンであった(甲第81号証の1)にも関わらず,2月末には「週刊/Shibuyawalker/News」とロゴの態様を代え(甲第81号証の2),10月頃からは「週刊Shibuyawalker」と態様が変わっている(甲第81号証の3及び4)。
この態様の変化は,請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」のブランドイメージに,まさにフリーライドするものである。
すなわち,被請求人は,請求人の「東京ウォーカー/TokyoWalker」や「メンズウォーカー/MEN’S Walker」等の存在を認識した上で本件商標等を採択したと判断せざるを得ない。そうでなければ,複数の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標において,その構成の発想が重複することはありえない。
被請求人は,請求人のブランド展開の流れと,このブランド展開により「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標に信用が化体していること(ブランド力が形成されていること)を承知の上で,各種の情報を提供する役務に対して「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用している。
このような被請求人の商標選択は,請求人が製造販売してきた出版物やインターネットを通じて行ってきた役務について使用する「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の決定(又は選択)手法を模倣したものである。言い方を変えれば,本件商標出願時から,被請求人は,請求人の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標に化体している信用を利用する目的で商標を決定しており,被請求人が請求人のウォーカーシリーズの周知性・著名性に便乗又はフリーライドする意図で商標を決定して,商標出願をしていることは明白である。
(イ)被請求人の商標出願の戦略について
被請求人の商標出願の戦略も明らかにフリーライドの意図を感じるものである。被請求人は,平成18年(2006年)1月19日に「○○ウォーカー/Walker」の商標を第16類,第35類,第41類の商品・役務を指定して1日で80件もの商標を出願している(甲第73号証)。すなわち,これらの出願は,すでに請求人が地道な努力により「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標に化体させた信用又はブランド力を弱めようとする意思の表れである。そして,多数の商標登録という既成事実を作ることにより,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標が,信用力がない商標又は誰でも使用できる商標であるという認識を第三者に与えようとしていることは明らかである。
以下に,被請求人が平成18年(2006年)1月に出願した商標と,請求人及び関係会社の使用している商標や名称とを比較した一覧を列挙する。
(a)被請求人の商標:商願2006-3445「ルームウォーカー」
請求人の商標や名称:ウェブサイト「ウォーカープラス」の一サイトとして「Room Walker」という賃貸情報や不動産情報に関する情報提供サイトを平成15年(2003年)11月から開設している。
(b)被請求人の商標:商願2006-3412「ヘアーサロンウォーカー」
請求人の商標や名称:請求人は登録商標「サロンウォーカー/SalonWalker」(登録第4694467号)を所有している。
また,ウェブサイト「ウォーカープラス」の一サイトとして「salonWalker」というヘアーサロンに関する情報提供サイトを平成14年(2002年)3月から開設している。
(c)被請求人の商標:商願2006-3424「スポーツウォーカー」
請求人の商標や名称:請求人が定期的に発行している「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズにおいて「Sports Walker」をコーナー名として,少なくとも平成5年(1993年)以降使用している(甲第4号証の3・第76頁他)。また,平成11年(1999年)6月に雑誌「TokyoWalker」の増刊号として「Sports Walker」を発行した(甲第27号証の10)。
(d)被請求人の商標:商願2006-3377「ワールドワイドウォーカー」
請求人の商標や名称:請求人は,「ワールドウォーカー/WorldWalker」という雑誌を発行していた(甲第23号証)。
(e)被請求人の商標:商願2006-3442「パパウォーカー」
請求人の商標や名称:請求人は,登録商標「パパママウォーカー/パパママWalker」(登録第4637339号)を所有しており,「パパママWalker」という家族向けの雑誌を平成13年(2001年)8月に発行している(甲第27号証の29)。
(f)被請求人の商標:商願2006-3465「アジアウォーカー」,商願2006-3479「イタリアウォーカー」(その他複数)
請求人の商標や名称:これらの商標は,明らかに請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズを意図したものである。また,請求人は,過去に「Seoul Walker」や「Italia Walker」等の外国の国名又は都市名を用いた「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の雑誌を発行している(甲第26号証の1ないし24及び27)。
これら多数の出願からも,被請求人が,請求人の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標に化体した信用を利用する目的を持っていること,すなわちウォーカーシリーズの周知・著名性を利用しようとしていることは明白である。
また,このようなフリーライドの意図を持って出願された多数の商標出願によって,請求人の商標選択の余地が一気に狭められた。請求人のウォーカーシリーズの展開を,被請求人の数に物をいわせた商標出願という行為によって阻止し,請求人が長い年月をかけて築き上げてきた業務上の信用及びブランドイメージを希釈化させ,さらには業務上の信用を乗っ取るかのような行為は,商標法の法目的に反する行為であり,決して容認されるべきものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号の規定の趣旨について
請求人は,最高裁判所平成12年7月11日第三小法廷判決(民集54巻6号1848頁,平成10年(行ヒ)第85号)の判決に示された商標法第4条第1項第15号の規定趣旨に基づいて,請求人の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し,商標の自他識別機能を保護するという観点からも,明らかにフリーライドの意図が読み取れる被請求人の事業のうち,特に請求人の事業に大きな損害をもたらす可能性のある商標に対して順次無効審判を請求している。
4 使用実績
請求人の「ウォーカー/Walker」の語を含んだ商標の使用実績の要点を述べる。
(1)「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した「印刷物」について
請求人は,本件商標の出願時及び査定時において,全国の主要都市を中心に「東京ウォーカー/TokyoWalker」をはじめとする「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」というコンセプトで統一された商標を使用した雑誌を,シリーズとして東京を含め8誌発行してきた(甲第3ないし第11号証)。
請求人が定期的に発行する雑誌を一部抜粋したものの写し及び記事に関連する一覧(甲第4号証の1ないし12)に示されるように,請求人は「東京ウォーカー/Tokyo Walker」,「北海道ウォーカー/Hokkaido Walker」等の「都市名又は地域名」と「ウォーカー/Walker」の語から構成される商標を商品「雑誌」について長年にわたって継続して使用している。
さらに,請求人の主張を立証すべく,雑誌「東京ウォーカー/Tokyo Walker」(甲第4号証の2ないし19),「北海道ウォーカー/Hokkaido Walker」(甲第5号証の2ないし9),「千葉ウォーカー/Chiba Walker」(甲第6号証の2ないし10),「横浜ウォーカー/YOKOHAMA Walker」(甲第7号証の2ないし11),「東海ウォーカー/Tokai Walker」(甲第8号証の2ないし13),「関西ウォーカー/Kansai Walker」(甲第9号証の2ないし15),「神戸ウォーカー/Kobe Walker」(甲第10号証の2ないし9),「九州ウォーカー/Kyushu Walker」(甲第11号証の2ないし12)の各記事を提出する。
また,各雑誌の記事内容及び提出の趣旨を列挙した一覧(甲第4ないし第11号証の各1)及び実際に誌面に提出趣旨を記載した雑誌の写し(甲第12号証の1及び2)及びこれらの雑誌の発行部数・販売部数(甲第13ないし第15号証等)を提出する。
これらの雑誌の増刊号・特別号・ムック・フリーマガジンの発行をしていること(甲第26ないし第29号証等),雑誌の内容が相互に連携していること(甲第4ないし第11号証等),雑誌の宣伝や雑誌に関連した大規模なイベントを開催していること(甲第30号証),雑誌と連動したインターネットやラジオ番組・テレビ番組への事業展開を行っていること(甲第31ないし第33号証等),放送会社を含め他の異業種の企業とのタイアップをし雑誌やウェブサイトにおける情報提供以外にも「○○ウォーカー/Walker」の商標を使用していること(甲第32ないし第35号証),「WalkerClub」等の雑誌の販売促進に係るその他種々の企画を行っていること(甲第16号証の1ないし3)等から,需要者・取引者間において,請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標は,雑誌が対象とする都市名又は地域名によって「都市名又は地域名」の部分を変えて,シリーズ化された雑誌を発行し,また,その関連で増刊号やムック・フリーマガジンを発行しているということは十分に認識されている。
さらに,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌や書籍等の出版物に限らず,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌や書籍等と関連する形で,同様の「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌や書籍等の出版物も使用していることは明白である(甲第17ないし第25,第27及び第28号証)。
このことは,全国で流通する全国紙(誌)や書籍において多数紹介されている事実(甲第37ないし第42号証)や,第三者の調査結果・アンケート等からも「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が請求人の使用する商標であると広く認識されていることは明らかである(甲第36,第44ないし第46,第49及び第50号証)。
なお,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の登録商標のうち,定期的に発行している8誌に係る登録商標が日本有名商標集に選定されている(甲第51号証の1)。
(2)公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」について
請求人は,インターネット上のウェブサイトを出版物と連動させて,相乗効果を生み出すことを平成7年(1995年)頃から開始しており,同11年(1999年)ラジオ番組「サウンドウォーカー/SoundWalker」(甲第32号証)や「横浜ウォーカー/YOKOHAMA Walker」の公式番組「横浜ウォーカーTV」を放映し,また平成9年(1997年)から同12年(2000年)までの公式サイト「Walker Net」を開設していた(甲31号証の1)。
現在,請求人は「東京ウォーカー/TokyoWalker」(他7件)の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌の公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」を各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌と連動し,また時には独立したサービスとして展開するに至っている(甲第31号証の2)。
このサイト内等で多数の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用して,種々の情報を提供する役務等を提供している。例えば,グルメ情報については「グルメウォーカー/グルメWalker」,映画情報については「ムービーウォーカー/MovieWalker」,旅行情報については「トラベルウォーカー/TravelWalker」,不動産情報については「ルームウォーカー/RoomWalker」等がある。
この公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」は,平成12年(2000年)当時,定期的に発行される「東京ウォーカー/TokyoWalker」(他7件)の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が使用された各雑誌が,それぞれの主要配布地域を中心に広く需要者に知られている雑誌であり,かつ,好評を得ていたから,情報誌として「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が圧倒的な知名度を誇っていたこともあって,新聞や雑誌において広く紹介された。その一例を紹介すると次のような記事がある。
(ア)「日経産業新聞」:平成12年(2000年)2月7日
「角川書店は月内にも新会社を設立し,国内の都市別にタウン情報やエンターテインメント情報を発信する『地域ポータル(玄関)サイト』の運営を始める。(中略)雑誌の『ウォーカー』シリーズとも連動した多メディア展開を加速する。」(甲第40証の1)
(イ)「日経産業新聞」:平成13年(2001年)3月9日
「サイトの閲覧数(ページビュー,PV)。『まちgoo』が月200万PVなのに対して『ウォーカープラス』は月1500万PVと約5倍だ。登録会員数(二月末時点)でも『まちgoo』が約3万人なのに対し,『ウォーカープラス』は約10万2000人。現時点では角川側に軍配が上がる。」(甲第40証の28)のほか,甲第40証の44,47,57及び62等
一方,公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」のウェブサイト情報は,定期的に発行される「東京ウォーカー/TokyoWalker」(他7件)の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が使用された各雑誌にも掲載されている(甲第4ないし第11及び第62号証)。
したがって,広く需要者に読まれている「東京ウォーカー/TokyoWalker」(他7件)の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が使用された各雑誌に公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」のウェブサイト情報が掲載されている事実は,公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」も,広く需要者・取引者に知られるものとなっていることが明らかである。
(3)使用商標の使用実績及び需要者等の認知
上述のとおり,公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」の一つに使用商標が存在する。
以下,その使用実績について説明する。
(ア)使用の経緯
冒頭で述べたとおり,公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」内の「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等,主として結婚式に関連する情報を提供するサイトとして「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」を平成13年(2001年)6月にプレオープンし,同年9月に首都圏版が正式に開設された(甲第60号証の1,第62号証の1等)。
その後,本件商標の査定時までに関西地方(平成14年7月),東海地方(平成15年4月),九州地方(平成17年4月)と地域を拡大し,平成18年(2006年)6月には携帯電話版が開設されている。
(イ)「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の閲覧者・利用者について
周知・著名な「ウォーカープラス/Walkerplus」内に開設されていることもあって,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」は開設から現在に至るまで多数の需要者・取引者に閲覧されている。
「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」では,平成13年(2001年)当時においては珍しい,結婚式場に関して閲覧者から意見を募集するいわゆる口コミの情報を公開するという形式を取っている(甲第60号証の1ないし11及び第62号証の14等)。
口コミを利用して,結婚式情報を提供するサイトは現在でこそ,多数存在しているが,当時は草分け的な存在であり,そのことも「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」が,需要者・取引者に広く知られ,また結婚式を予定する需要者に幅広く利用されたことの要因となった。
インターネット上において,請求人の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」が紹介されている事実を示すものとして,甲第61号証の1ないし11を提出する。
これらの紹介記事から,結婚情報誌及び同サイトとして有名なゼクシィやYahooのウエディング情報と同列に「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」が紹介されていることからも,請求人の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」は結婚を予定する人々の多数にその存在を認識されていることがわかる。
(ウ)雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」等での広告・宣伝等
雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」等に,公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」に関する記事が掲載されていることは上述のとおりである(甲第62号証)。
この中には当然,使用商標に関する記事も掲載されており,多数の需要者・取引者に雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」等を通して使用商標が広く紹介されている。
さらに,請求人はウェブサイト上の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」で収集した情報をまとめて,雑誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の中に別冊付録の形式で,紙媒体を通して結婚情報を提供している(甲第62号証の16,27,45等)。また,平成15年(2003年)及び平成17年(2005年)には,雑誌「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の編集部が監修して発行したムックもある(甲第28号証の22及び47)。
これらの付録やムックにも,「ウォーカープラス/Walkerplus」内の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のURLが掲載されているから,付録やムックと同名の使用商標が使用されたウェブサイトが存在していることが広く需要者に知られていたことは疑いない。
したがって,各地域において広く認識される「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌と関連して,使用商標は,その存在を広く需要者・取引者に認識されるようになったことは明白である。
(エ)公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」の表示について
公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」についての説明やそれがいかに広く需要者に認識されているものであるかについては,上記(2)において述べたとおりである。
甲第63号証の各証拠は,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のサイトが開設されてからのウェブサイト「ウォーカープラス/Walkerplus」のトップページを「INTERNET ARCHIVE Wayback Machine」(http://www.archive.org/)を利用して入手したものである。
この甲第63号証から,「ウォーカープラス/Walkerplus」にアクセスする多数の需要者・取引者は,使用商標を使用したウェブサイトが存在していることを容易に認識することができる。請求人の「ウォーカー/Walker」の語を含む商標の使用実績によって,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標における,「ウォーカー/Walker」の語は,「情報を提供する」ことの代名詞のように理解されることは上述のとおりであるから,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」という商標を見れば,請求人が使用商標を使用して,「結婚式場に関する情報の提供」を行っているという事実を容易に認識できることは必定である。
(オ)使用商標の使用実績についてのまとめ
以上より,使用商標は,本件商標の出願以前に,第45類の「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等の,主として結婚式に関連する情報を提供する役務についての使用を開始しており,かつ,需要者・取引者に広く認識されていたことは明らかである。
(4)裁判所及び特許庁における過去の判断について
請求人の「○○ウォーカー/Walker」の商標が全国的に周知・著名な商標であること,請求人の上記主張は,以下の裁判例や審決例等からも裏付けられる。
(ア)平成20年(行ケ)第10361号審決取消請求事件(甲第52号証)
この判決では,知財高裁は,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標すべては請求人の業務に係るものと認識するという点については否定をしたものの,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標のうち,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標に関しては,請求人の業務に係るものとして,平成12年11月以降に全国的な著名性を獲得していたことを認めた。
(イ)平成15年(行ケ)第171号審決取消請求事件(甲第53号証)
この判決では,本件商標(「TokyoWalker」)の登録査定日はもとより,登録出願日においても,雑誌名としてではあるが,「Tokyo Walker」との標章は,全国で周知著名となっていた」と認定され,「一般消費者が被服等の本件商標の指定商品を購入ないし取引する際に,本件商標『Tokyo Walker』に接した場合にも,容易に『Tokyo Walker』を一体不可分のものとして認識し,被請求人ないしは上記雑誌に関係する商品であると想起するものと推認される」と判断され,「東京ウォーカー/TokyoWalker」という「雑誌」の絶対的な著名性ゆえに,「東京ウォーカー/TokyoWalker」の商標の周知性は他の分野の商品・役務についても及ぶ旨の判断がなされている。
(ウ)前記の他,商標登録無効審判事件(無効2007-890182)(甲第54号証),拒絶査定不服審判事件(不服2007-12331)(甲第55号証),商標「仙台ウォーカー」(商願平10-68044号)(甲第56号証の1ないし3),商標「ザ ウォーカー/The Walker」(商願2005-3201号)(甲第57号証の1ないし3),平成9年(ヨ)第22076号商標権仮処分命令申立事件(甲第58号証の1ないし7)及び,商標「中国ウォーカー」(商願2006-3473号)(甲第59号証の1及び2)
以上,甲第52ないし第59号証に示す特許庁及び裁判所における判断からも,請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標が全国的に周知・著名な商標であることや,確固たる「ウォーカープラス/Walkerplus」の使用実績の存在が認められていることは疑いようがない。
(5)使用実績に関する小括
以上の使用商標及び「ウォーカー/Walker」の語を含んだ商標の使用実績から次のことがいえる。
請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌は,多数の請者に購読され,また閲読されており,本件商標の出願日及び登録査定時において著名性を獲得している。
また,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌の関連で,複数種類の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用した出版物が発行されている事実がある。
一方で,「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標を使用した雑誌の公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」も多数の新聞・雑誌に紹介されており,請求人の発行する雑誌と連動して,「ウォーカープラス/Walkerplus」は多くの需要者・取引者に認識されていたといえる。
また,「ウォーカープラス/Walkerplus」のサイト内等で多数の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用して,種々の情報を提供する役務等を提供してきた実績がある。
さらに,「ウォーカープラス/Walkerplus」のサイト内等での「○○ウォーカー/Walker」の商標の中でも,本件商標に密接に関連する引用商標を使用したサイトが,平成13年(2001年)6月頃より開設され,「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等の,主として結婚式に関連する情報を提供しており,このサイトは多くの結婚を希望する需要者に利用されている事実がある。
以上の事実に基づいて,本件商標が無効理由を有することを説明する。
5 無効理由1(商標法第4条第1項第11号違反)
引用商標は,直訳すれば「結婚の歩行者,結婚を散歩する人」であるが,請求人の「ウォーカー/Walker」の語を含んだ商標の使用実績からすれば,「ウォーカー/Walker」の語は「(角川グループが使用する)情報提供の代名詞」として認知されていることは明らかである。
したがって,「ウエディングウォーカー」は,「(角川グループが使用する)結婚関係の情報提供」を行うものと観念される。
一方,「ブライダルウォーカー」も直訳すれば「結婚の歩行者,結婚を散歩する人」である。
しかしながら,「ウォーカー/Walker」の語は「(角川グループが使用する)情報提供の代名詞」として認知されていることは明らかである。
また,被請求人自身も,「ウォーカー/Walker」の語を「情報提供の代名詞」の意味合いで使用していることは上記のとおりである。
したがって,「ブライダルウォーカー」は,「(角川グループが使用する)結婚関係の情報提供」を行うものと観念される。
さらに,「ウエディング」の語と「ブライダル」の語は語源に相違はあるものの,ともに「結婚」や「結婚式」の意味で使用されており,特に区別なく使用される語である(甲第65号証)。
以上より,「ウエディングウォーカー」と「ブライダルウォーカー」は,観念を同一とする類似商標である。
また,本件商標の指定役務「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供」も引用商標の指定役務「ファッション情報の提供,地図情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供に関する情報の提供,新聞・雑誌に掲載された記事に関する情報の提供,電子計算機端末による通信を用いて行う占い,占い情報の提供,結婚披露宴・結婚式の企画・運営又は開催,結婚披露宴・結婚式の企画・運営又は開催に関する情報の提供」と同一又は類似のものである。
したがって,本件商標は,引用商標と同一又は類似の商標であり,その指定役務も同一又は類似の役務について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
6 無効理由2(商標法第4条第1項第15号違反)
最高裁判所平成12年7月11日第三小法廷判決(平成10年(行ヒ)第85号)に判示された商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の判断基準に照らしても,以下のとおり,本件商標は,同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであることは明白である。
(1)当該商標と他人の表示との類似性の程度
使用商標は,商標の構成において,明確に雑誌の内容・テーマ・対象となるような「結婚式」等を意味する「ウエディング/Wedding」の語と,「歩行者」を意味する「ウォーカー/Walker」の語とを結合するという構成からなる。
一方,本件商標も「結婚式」等を意味する「ブライダル」の語と,「歩行者」を意味する「ウォーカー」の語とを結合するという同様の構成をとる。
したがって,使用商標と本件商標とは商標の構成が同一であり,また極めて近似した観念が生ずる。
(2)他人の表示の周知著名性
使用商標の周知性・著名性は上述したとおりである。
さらに,請求人による雑誌・書籍・フリーマガジン等の出版物についての「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の使用実績や「ウォーカープラス/Walkerplus」の中に複数種類の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用している実績については,これまで述べたところからも明らかである。
したがって,仮に,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」という商標を正確に覚えていないとしても,結婚関連の情報提供サイトが「ウォーカープラス/Walkerplus」のサイト内に存在していることを認識している需要者が本件商標の指定役務に使用されている商標「ブライダルウォーカー」を見れば,請求人の他の「○○ウォーカー/Walker」の使用実績が意識されて「ウォーカープラス/Walkerplus」と関係する,請求人の業務に係る役務であると需要者が認識する可能性は十分に考えられる。
(3)独創性の程度
使用商標は,全体として既存の名詞や用語などではなく,請求人の独創的な商標,すなわち造語の商標である。
(4)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度
本件商標の指定役務「ファッション情報の提供,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,衣服の貸与,装身具の貸与,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」については,請求人の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のウェブサイトにおいて使用されている役務である「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」と同一又は類似する役務であり,関連性は高いといえる。
「占い,身の上相談,占いに関する情報の提供」については,請求人の「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のサイトから,請求人の「占い」や「心理テスト」のウェブサイトにリンクされているように(甲第60号証の3等),結婚式を希望する需要者(その中でもとりわけ女性)にとって,「占い」は関心を引くものであり,請求人の上記サイトにおいて使用される役務と関連性が高いものであるといえる。
「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」は,いわゆる結婚相談所等において提供される役務であるが,「結婚式場に関する情報の提供」とともに「結婚」に関連する役務であり,請求人の上記サイトにおいて使用される役務と関連性が高いものであるといえる。
「新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供」は,新聞や雑誌に掲載された記事をインターネット等を通じて提供する役務が包含されるものであるが,例えば,請求人が使用商標を使用した冊子やムックを提供していることから,これらの冊子やムックに掲載された結婚関連の記事を,インターネットを通じて提供することも十分あり得るため,請求人の業務との十分な関連性が認められる。
(5)商品等の取引者及び需要者の共通性
請求人が「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」でターゲットとしている需要者は,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の雑誌や公式サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」で対象にしている10代後半から30代前半の需要者のうち,とりわけ結婚を希望する女性を中心とした一般消費者を対象としており,その取引者も結婚業界に関連するものである。
また,被請求人も20歳から35歳の一般の女性の需要者を中心にビジネスを展開していることは甲第67号証等から明らかである。さらに,被請求人が本件商標を使用して提供する予定の役務は,請求人が使用商標を使用して提供している役務と極めて近似するものである(甲第70号証の1ないし3)。
したがって,被請求人が本件商標をその指定役務に使用する場合には,その需要者も,現在の請求人が対象とする需要者と同じになるであろうことは容易に推測される。また,本件商標は「ブライダル」の語を商標の構成中に含んでいることから当然にして結婚業界に関連する者が取引者となり得る。
よって,商品等の取引者及び需要者は共通するものである。
(6)その他の取引実情・当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力
これらの点については,現時点において特筆すべきことはない。
(7)総合的な検討
以上のとおり,需要者・取引者にも広く知られている使用商標は,「結婚式場に関する情報の提供」をはじめ,「結婚式におけるマナーに関する情報の提供」,「結婚式におけるファッション情報の提供」,「結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等の,主として結婚式に関連する情報を提供するものについて使用されており,使用商標と観念が極めて同一の商標である本件商標を,前記の請求人の使用に係る役務と密接な関連性を有する本件商標の指定役務について使用した場合,出所の混同を生ずるおそれが強いものであることは明白である。
さらに,請求人が「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の使用をして,雑誌・書籍・フリーマガジン等の出版物を発行し,かつ,インターネットを通じて各種の情報を需要者に提供しているという実績は,より一層本件商標が請求人の業務に係るものと誤認させる要因になっていることは明白である。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであることは明白である。
7 無効理由3(商標法第4条第1項第19号違反)
被請求人の商標の選択は明らかにフリーライドの意図が見て取られることは,上記3で述べたとおりである。
被請求人の商標出願の流れからすれば,当時草分け的であった「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の使用実績が蓄積されたことを見計らって,被請求人が平成16年(2004年)10月に本件商標の登録出願をしたことは容易に推認できる。
したがって,本件商標は,その指定役務中の「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」について,不正の目的をもって使用されるものであるから,商標法第4条第1項第19号の規定にも違反して登録されたものである。
8 まとめ
以上において述べたように,本件商標は,その指定役務中「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」について,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第19号の規定に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効にすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は,何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 使用商標の周知著名性について
(1)請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人は,平成2年3月に,東京のテレビ番組,新作商品,映画,音楽,スポーツ,飲食店,ファッション,旅行,ドライブ等,様々な分野の情報を掲載する都市情報誌「東京ウォーカー/TokyoWalker」を創刊した。その後,請求人又は請求人の関連会社は,他の地域の都市情報を掲載する都市情報誌として,平成6年6月に「関西ウォーカー/KansaiWalker」,平成8年7月に「東海ウォーカー/TokaiWalker」,平成9年6月に「九州ウォーカー/KyushuWalker」,平成10年3月に「横浜ウォーカー/YOKOHAMA Walker」,平成11年6月に「千葉ウォーカー/ChibaWalker」(平成21年3月で休刊),平成12年6月に「神戸ウォーカー/KobeWalker」(平成20年3月で休刊)及び「北海道ウォーカー/HokkaidoWalker」を創刊し,「千葉ウォーカー/ChibaWalker」及び「神戸ウォーカー/KobeWalker」を除き,上記各雑誌は現在まで発行されている。「九州ウォーカー/KyushuWalker」については,「福岡Walker」が後継誌として発行されている。
これらの雑誌の表紙には,いずれも,その上部に「TokyoWalker」,「KansaiWalker」,「TokaiWalker」等の欧文字が横書きされているほか,中央に若手の女性タレント等の写真を配し,中央から下部にかけて特集記事の表題等が配されている。また,これら雑誌の内容は,相互に連携しており,ほぼ統一されてシリーズ化した雑誌としての形態を採っている(以上,甲第3ないし第12号証)。
(イ)上記各雑誌の発行部数についてみると,社団法人日本ABC協会発行「雑誌公査レポート」によれば,「東京ウォーカー/TokyoWalker」が,1992年に約28万部,1993年に約37万6千部,1994年に約42万部,1995年に約42万部,1996年に約40万2千部,1997年に約49万部,1998年に約29万4千部,1999年に約2万5千部,2000年に約17万3千部,2001年に約14万2千部,2002年に約11万1千部,2003年1?6月に約10万5千部,2004年1?6月に約9万5千部となっているのを初め,本件商標の登録出願前の2001ないし2003年の3年間に限っても,「関西ウォーカー/KansaiWalker」が約26万6千部(2001年),約24万5千部(2002年),約44万6千部(2003年),「東海ウォーカー/TokaiWalker」が約15万4千部(2001年),約14万6千部(2002年),約27万8千部(2003年),「九州ウォーカー/KyushuWalker」が約14万9千部(2001年),約13万4千部(2002年),約23万8千部(2003年),「横浜ウォーカー/YOKOHAMA Walker」が約15万7千部(2001年),約13万9千部(2002年),約24万2千部(2003年)となっているなど,いずれも相当大量に発行されている(甲第13号証の1ないし12)。
(ウ)さらに,上記各雑誌の増刊号,特別号,ムック,フリーマガジンが発行されている(甲第26ないし第29号証)。
また,「ニューヨーク・ウォーカー」,「パリ・ウォーカー」,「ロンドン・ウォーカー」,「香港・ウォーカー」等の各国の都市情報を紹介する書籍も発行されている(甲第26号証の1ないし15)。
請求人は,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を付した雑誌に加え,「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用した雑誌として,「ゲーム情報」に特化した情報誌「月刊ゲームウォーカー/GameWalker」を平成6年12月に発刊したほか,「メンズウォーカー/MEN’S Walker」(平成8年11月?同12年9月),「ワールドウォーカー/World Walker」(平成9年1月?同10年12月),「大人のウォーカー」(平成16年9月?同21年4月),「ファミリーウォーカー/FamilyWalker」(平成16年3月?)等を発行している(甲第20ないし第25号証)。
(エ)請求人は,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」雑誌の宣伝や雑誌に関連した大規模なイベントを開催し,それが新聞等に宣伝・報道されているほか,雑誌と連動したインターネット,ラジオ番組,テレビ番組への事業展開を行い,他の異業種企業とのタイアップなども行っている(甲第30ないし第35号証)。そして,「ビデオリサーチ雑誌閲読率ランキング」によれば,上記の7地区の雑誌の閲読率は,1999年から2002年までが約100誌中の第3位,2003年ないし2005年が第4位と,常に上位に位置している(甲第36号証の1ないし7)。
また,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」雑誌及び「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」雑誌やそれらに関連した事項が,1990年4月頃から現在に至るまで各種新聞,書籍等に広く紹介されている(甲第37ないし第42号証)。
(オ)請求人は,平成12年から,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」雑誌と連動させ又は独立したサービスを提供するサイト「ウォーカープラス/Walkerplus」をインターネット上に開設し,このサイト内において,情報の内容に対応した「グルメウォーカー/グルメWalker」(飲食店,グルメ等の情報),「ムービーウォーカー/MovieWalker」(映画関連情報),「トラベルウォーカー/TravelWalker」(旅行関連情報),「ルームウォーカー/RoomWalker」(不動産関連情報),「ウェディングウォーカー/WeddingWalker」(結婚式関連情報)等,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標を使用して種々の情報を提供している。
上記サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」については,平成12年2月頃から現在に至るまで,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」雑誌に関連する記事等と共に又は独自に,新聞や雑誌等において度々取り上げられ,広く紹介されている(以上,甲第31及び第40ないし第42号証)。
また,上記サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」のウェブサイト情報は,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」雑誌にも掲載されている(甲第4ないし第11及び第62号証)。
(カ)請求人は,上記サイト「ウォーカープラス/Walkerplus」内において,「結婚式場に関する情報の提供,結婚式におけるマナーに関する情報の提供,結婚式におけるファッション情報の提供,結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等,主として結婚式に関連する情報を提供するサイトとして,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」を平成13年6月から開設した。
上記「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のサイトには,そのトップページの左上方に,別掲(1)ないし(3)のとおりの構成からなる「使用商標」のいずれかが常に表示されている。
上記「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のサイトは,その開設時から現在に至るまで多数の需要者,取引者によって閲覧されているほか,他人のウェブサイト上でも紹介されている。
また,上記「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」のサイトで収集した情報等は,「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の表示の下に,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の雑誌中の記事や別冊付録の形式で,紙媒体を通しても提供されている(以上,甲第60ないし第63号証)。
なお,使用商標が使用されている事実を示す証拠のうち,甲第60号証の1ないし4,甲第61号証の1ないし5,甲第62号証の1ないし35及び甲第63号証の1ないし11は,本件商標の登録出願前に掲示又は発行されたものであり,甲第60号証の5ないし11,甲第61号証の6ないし10,甲第62号証の36ないし114及び甲第63号証の12ないし18は,本件商標の登録出願後に掲示又は発行されたものと認められる。
(2)上記(1)で認定した事実を総合すれば,本件商標の登録出願時には既に,「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の商標は,請求人の業務に係る商品「雑誌」を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められることはもとより,これら雑誌と連動させ又は独立したサービスを提供するサイト「ウォーカープラス/Walkerplus」及び「ウエディングウォーカー/WeddingWalker」の存在も,上記雑誌の周知著名性と相俟って,取引者,需要者の間に広く認識されていたものというべきであり,かつ,上記サイト等で使用されている使用商標は,請求人の業務に係る役務「結婚式場に関する情報の提供,結婚式におけるマナーに関する情報の提供,結婚式におけるファッション情報の提供,結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等を表示する商標として,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。そして,かかる状態は,本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
以上を前提として,以下,検討する。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標は,「ブライダルウォーカー」の文字からなるところ,その構成中の「ブライダル」の文字は「結婚式(の),花嫁の」を意味し,「ウォーカー」の文字は「歩く人,歩行者,散歩する人」を意味する外来語として,いずれも親しまれているものである。また,引用商標は,「ウエディングウォーカー」及び「WeddingWalker」の文字からなるところ,その構成中の「Wedding」及び「ウエディング」の文字は「結婚式,婚礼」を意味する英語又は同義の外来語として,「Walker」及び「ウォーカー」の文字は「歩く人,歩行者,散歩する人」を意味する英語又は同義の外来語として,いずれも親しまれているものである。
しかして,両商標とも,既成の観念を有する一連の成語としては親しまれていないとしても,上記意味合いを有する二つの語を結合した構成からなるものとして容易に認識し把握されるというべきであり,しかも,現在では「ブライダル」及び「ウエディング」の語は,いずれも「結婚式」や「結婚」の意味合いで,特に区別されることなく一般に使用されているものであるから,全体として「結婚式の歩行者」ほどの意味合いを想起,観念させるものといえる。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念を共通にする類似商標というべきであり,両商標の外観上の相違及び「ブライダル」と「ウエディング」との称呼の差異を考慮したとしても,かかる相違点は,上記観念上の類似性を凌駕するものとはいえない。
(2)次に,本件商標の請求に係る指定役務と引用商標の指定役務との類否について検討する。
(ア)本件商標の指定役務中の「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」は,引用商標の指定役務の第42類中の「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介」と同一である。
(イ)本件商標の指定役務中の「婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添」は,引用商標の指定役務第42類中の「婚礼(結婚披露宴を含む。)のための施設の提供に関する情報の提供,結婚披露宴・結婚式の企画・運営又は開催,結婚披露宴・結婚式の企画・運営又は開催に関する情報の提供」と,その目的,提供の方法・場所,提供者,需要者等を共通にする類似の役務というべきものである。
(ウ)本件商標の指定役務中の「占い,身の上相談,占いに関する情報の提供」は,引用商標の指定役務第42類中の「電子計算機端末による通信を用いて行う占い,占い情報の提供」と,その目的,提供の方法・場所,提供者,需要者等を共通にする類似の役務というべきものである。
(エ)本件商標の指定役務中の「衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」は,その内容に照らし,引用商標の指定役務中に同一又は類似といえるものは見出し得ない。
(3)以上のとおりであるから,本件商標は,本件請求に係る指定役務中の「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供」については,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁判所,平成10年(行ヒ)第85号,平成12年7月11日第三小法廷判決,民集54巻6号1848頁参照)。
かかる観点から,本件請求に係る指定役務のうち,「衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」について本件商標を使用した場合に,役務の混同を生ずるおそれがあるか否かについて,以下に検討する。
(ア)使用商標はいずれも,その構成に照らし,引用商標と社会通念上同一といえるものであり,本件商標と引用商標とが類似するものであることは,前示のとおりであるから,本件商標と使用商標も類似するものといえる。
(イ)前示のとおり,使用商標は,「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の一つとして請求人によって積極的・盛大に使用された結果,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る役務「結婚式場に関する情報の提供,結婚式におけるマナーに関する情報の提供,結婚式におけるファッション情報の提供,結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」等を表示する商標として,取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。また,使用商標は,引用商標と同様,全体として「結婚式の歩行者」ほどの意味合いを想起せしめる場合があるとしても,既成の一連の成語として親しまれている用語ではなく,請求人によって「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の一つとして創造された一種の造語といえるものであり,独創性の高いものというべきである。
(ウ)本件請求に係る指定役務中の「衣服の貸与,装身具の貸与,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」には,結婚式用衣装及び装身具の貸与並びにこれらに関する情報の提供も含まれること,同じく「新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供」には,結婚式や結婚式場に関する新聞・雑誌の記事情報の提供も含まれること,などからすると,上記本件請求に係る指定役務と,使用商標が使用されている「結婚式場に関する情報の提供,結婚式におけるマナーに関する情報の提供,結婚式におけるファッション情報の提供,結婚式用衣装及び装身具の貸与に関する情報の提供」の役務とは,少なからぬ関連性を有するものといえる。
また,上記本件請求に係る指定役務によって提供される情報には,結婚式,結婚式場,結婚式用衣装の貸与,これらに関する新聞・雑誌の記事等の情報が含まれること,現に,被請求人は,10代?50代前半の女性,特に20代の女性の需要者を中心に事業を展開しているほか(甲第67号証の1及び2),結婚を希望する女性やこれから結婚する女性を対象とした情報の提供も行っていること(甲第70号証の2及び3),使用商標が使用されている役務の需要者は,結婚を希望する女性やこれから結婚する女性であることが明らかであること,などからすれば,上記本件請求に係る指定役務と使用商標が使用されている上記役務の取引者,需要者も共通するものといわなければならない。
そして,「ブライダル」の語も「ウエディング」の語も,ほぼ同義のものとして理解されるものといえる。
(エ)かかる事情の下において,本件商標をその指定役務中の「衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」について使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,該役務が請求人又は請求人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く,その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(2)以上のとおりであるから,本件商標は,本件請求に係る指定役務中の「衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」については,商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
5 むすび
以上のとおり,請求人の主張に係るその余の無効理由(商標法第4条第1項第19号違反)について検討するまでもなく,本件商標は,その指定役務中の「ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼のための礼拝堂の提供,その他の婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設の提供,占い,身の上相談,衣服の貸与,装身具の貸与,新聞・雑誌記事情報の提供,通信回線を利用した新聞記事に関する情報の提供,結婚式場・宴会場・結納施設に関する情報の提供,結婚式場・結婚披露宴会場・宴会施設・結納施設の相談と紹介,結婚披露宴・結婚式・結納の企画・運営又は開催,婚礼(結婚披露及び結納を含む。)のための施設に関する情報の提供(電子計算機端末の通信ネットワークによるものを含む。),婚礼
(結婚披露宴及び結納を含む。)のための施設の提供の契約の媒介又は取次,婚礼及び結納に関する専門的な助言・指導,婚礼及び結納の司会,婚礼等社交場の付添,占いに関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供,衣服の貸与に関する情報の提供」については,商標法第4条第1項第11号又は同第15号の規定に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効にすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
使用商標(1)


使用商標(2)


使用商標(3)


審理終結日 2010-12-27 
結審通知日 2011-01-04 
審決日 2011-07-01 
出願番号 商願2004-93158(T2004-93158) 
審決分類 T 1 12・ 263- Z (Y45)
T 1 12・ 222- Z (Y45)
T 1 12・ 271- Z (Y45)
最終処分 成立 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
田中 亨子
登録日 2005-05-27 
登録番号 商標登録第4867475号(T4867475) 
商標の称呼 ブライダルウオーカー、ウオーカー 
代理人 山田 朋彦 
代理人 西浦 ▲嗣▼晴 
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