• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y09
管理番号 1241542 
審判番号 不服2008-650119 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-17 
確定日 2011-06-02 
事件の表示 国際登録第865606号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SPINTRAP」の欧文字を横書きしてなり、第1類及び第9類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2005年6月7日にスウェーデン国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成17年)8月29日に国際商標登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成19年1月11日付けの手続補正書及び当審における2008年(平成20年)10月8日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、最終的に、第9類「Chromatography apparatus,namely pre-packed chromatography columns for use in purification.」とされた。
2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『電子スピン共鳴において使用される試薬』として認識されている『SPINTRAP』の欧文字よりなるところ、指定商品中、当該試薬と品質の異なる『Chemicals,namely agarose for use in the purification of proteins for in vitro use.(化学品、すなわち試験管内用のタンパク質の浄化用アガロース)』に使用する場合には、商品の品質を誤認させるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成22年2月17日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べ通知に対する意見の要点
証拠調べ通知において提示された事実によれば、「スピントラップ(spin trap)」は、活性酸素等の測定方法に用いられている。
これに対して、多成分からなる試料を分析する際に用いられる分離分析法の中でよく用いられているのが、クロマトグラフ法(クロマトグラフィー)である。
測定方法を行うための装置と、分離分析方法を行うための装置は、用途、用法上区別され、両者の間に互換性や密接な関係があるとはいえない。
したがって、本願商標が、クロマトグラフ装置に使用されても、活性酸素等の測定に用いられると誤認されるおそれはない。
5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「SPINTRAP」の文字よりなるところ、別掲の証拠調べ通知において示したとおり、「SPINTRAP」及び、その表音である「スピントラップ」の文字は、「不対電子を測定するための分析装置である電子スピン共鳴装置(ESR)により、フリーラジカルを測定する方法の一つ」を表す語として、インターネット・ホームページにおいて一般に使用されていることが認められる。
しかしながら、本願の指定商品は、前記1のとおり、「Chromatography apparatus,namely pre-packed chromatography columns for use in purification.」(クロマトグラフィー用機器、すなわち予め充填された精製用クロマトグラフィーカラム)であって、クロマトグラフ法において用いられる商品であるから、スピントラップ法において用いられる商品とは異なるものである。
そして、本願の指定商品のような分離分析方法を行うための装置と測定方法を行うための分析装置(電子スピン共鳴装置(ESR))などの商品とは、いずれも「実験,分析,測定」といった用途に用いられる「実験用・測定用機械器具」であって、これらは流通経路、販売部門、需要者を共通にする類似の商品というのが相当である。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する需要者は、あたかも、「スピントラップ法による実験・測定を行うための機械器具」であるかの如く、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知の内容の要約)
「SPINTRAP」及び「スピントラップ」の文字が、フリーラジカルを測定する方法の1つとして、使用されている事実。
(1)「群馬県立産業技術センター」のウェブサイト。
(http://mac.tec-lab.pref.gunma.jp/detail.php?id=210)
(2)「富山大学 生命科学先端研究センター 生体分子構造解析分野 分子・構造解析施設」のウェブサイト。
(http://www.lsrc.u-toyama.ac.jp/sic/div/03kozo/esr.html)
(3)「東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医学・応用動物科学専攻 獣医臨床病理学研究室」のウェブサイト。
(http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/vcpb/machines.html)
(4)「日本電子株式会社」のウェブサイト。
(http://www.jeol.co.jp/technical/ai/esr/esr-an/er-040008/index.htm)
(5)「大阪府立産業技術総合研究所」のウェブサイト。
(http://www.tri.pref.osaka.jp/poster/2002/c-46.pdf)
(6)「株式会社 同仁化学研究所」のウェブサイト。
(http://www.dojindo.co.jp/letterj/117/review/01_main.html)
(7)「パナソニック電工株式会社」のウェブサイト。
(http://panasonic-denko.co.jp/corp/tech/report/561j/pdfs/561_10.pdf)
(8)「株式会社 信州セラミックス」のウェブサイト。
(http://park16.wakwak.com/ ̄mylife/old_web/tech/ronbun.html)
(9)「株式会社 トッケン」のウェブサイト。
(http://www.tokken.jp/products/contract/trust.html)
(10)「地方独立行政法人青森県産業技術センター」のウェブサイト。
(http://www.aomori-tech.go.jp/iss/jigyohoukoku/15/H15CD/pdf/A201.pdf)
(11)「独立行政法人 科学技術振興機構」のウェブサイト。
(http://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/128/5/293/_pdf/-char/ja/)
(12)「パナソニック電工解析センター株式会社」のウェブサイト。
(http://group.panasonic-denko.co.jp/pewjac/analysis/esr02.html)
審理終結日 2010-12-06 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-01-21 
国際登録番号 0865606 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 千葉 麻理子根岸 克弘 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 井出 英一郎
豊瀬 京太郎
商標の称呼 スピントラップ 
代理人 松永 宣行 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ