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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X1435
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X1435
管理番号 1241386 
審判番号 不服2010-19739 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-01 
確定日 2011-07-20 
事件の表示 商願2009-46305拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「TASAKI」の欧文字を普通に用いられる方法で表してなり、第14類「身飾品,宝玉及びその模造品」及び第35類「身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、平成21年6月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏の一つである『田崎』に通じる『TASAKI』の文字を表示してなるから、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号について
本願商標は、前記1のとおり、「TASAKI」の欧文字からなるものである。そして、日常の商取引において、日本人の姓氏を表す場合、必ずしも漢字のみならず、平仮名、片仮名又は欧文字で表す場合も決して少なくないことからすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者に、我が国においてありふれた氏の一つである「田崎」を欧文字で表したものと極めて容易に理解されると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、「身飾品、宝玉及びその模造品」の小売又は卸売における取引者、需要者にあっては、「TASAKI」(タサキ)と言えば直ちに請求人を直感認識看取されるまでに至ったものである旨を主張し、使用による特別顕著性を取得した旨の証明書を提出するところ、当該主張は、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであることを実質的に主張するものと認められるから、以下この点について検討する。
ア 商標法第3条第2項の趣旨
知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10054号判決(判決言渡 平成18年6月12日)は、「・・・商標法3条2項は,商標法3条1項3号等に対する例外として,『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識できることができるもの』は商標登録を受けることができる旨規定している。その趣旨は,特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には,当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に,当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上,他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから,当該商標の登録を認めようというものであると解される。上記のような商標法3条2項の趣旨に照らすと,同条項によって商標登録が認められるためには,以下のような要件を具備することが必要であると解される。
(ア)使用により自他商品識別力を有すること
商標登録出願された商標(以下「出願商標」という。)が,商標法3条2項の要件を具備し,登録が認められるか否かは,実際に使用している商標(以下「使用商標」という。)及び商品,使用開始時期,使用期間,使用地域,当該商品の生産又は販売の数量,並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して,出願商標が使用された結果,判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる「自他商品識別力(特別顕著性)」の獲得の有無)によって決すべきものである。
(イ)出願商標と使用商標の同一性が認められること
商標法3条2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば,文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。・・・」と判示しているところである。
イ 本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
そこで、上記アの判決を踏まえて、平成22年4月1日付け手続補足書により提出された証拠方法(甲1ないし甲10)及び当審において提出された証拠方法(甲11ないし甲19)に基づいて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったか否かを検討する。
(ア)請求人は、本願商標は、新生「TASAKI」ブランドとして、従来のブランドにおいて築いてきた信用を全て転化されるものであると主張するが、従来のブランドである「田崎真珠」、「TASAKI SHINJU」の社名ロゴ及びシンボルマーク(甲3、41頁)並びにスワンのシンボルキャラクター(甲3、54頁)(以下、「本件使用商標」という。)と、本願商標とは、その態様が一見して明白に相違するものであるから、請求人が長期にわたり使用した本件使用商標と本願商標とは同一のものということはできないものである。
(イ)請求人は、本願商標は、請求人の従来ブランドを刷新した新生「TASAKI」ブランドに係るものとするが、その刷新の時期は、甲4(28枚目以降)の「NEWS RELEASE」との見出しの「新生TASAKIブランド」(平成21年9月16日付け)によれば、平成21年9月頃と推認され、雑誌広告(甲7ないし甲10)及び第三者の証明書(甲11ないし甲13、甲15、甲17ないし甲19)の内容も、前記「NEWS RELEASE」の時期と整合的なものである。
そうとすると、請求人が本願商標と同一の構成に係る商標の使用を開始したのは、早くても平成21年9月中旬頃と認められ、本件審決時までに、継続して使用されたとしても、わずかに2年足らずに過ぎない。
また、請求人は本願商標は新生「TASAKI」ブランドとして、従来のブランドにおいて築いてきた信用を全て転化されるものであると主張するが、前記(ア)のとおり、本願商標と本件使用商標との態様が明らかに相違するものであるから、本願商標が請求人の創業以来、継続かつ長期間にわたり使用されてきたものとみることはできない。
(ウ)本願商標と同一の構成に係る商標の使用の事実は、前記(イ)の「NEWS RELEASE」によるブランド刷新の告知以後に、本願商標の指定商品及び指定役務に含まれる商品及び役務について認められる(甲7ないし甲10)。
(エ)請求人は、自身の連結業績、広告宣伝費用を主張する(甲1、4頁ないし5頁)が、当該証拠方法から、本願商標と同一の構成に係る商標が付された商品が、どの程度の数量及び金額のものが販売され、広告されているのか明らかではない上に、その統計の期間も平成19年10月期ないし平成21年10月期の3年度分にすぎず、広告費用も平成19年ないし平成21年の3年分にすぎない。しかして、本願商標と同一の構成に係る商標が採択されたのが前記(イ)のとおり、平成21年9月頃であるから、その採択前の連結業績や広告費用などが、本件の判断に影響を与えるものではない。
また、請求人は、雑誌、テレビへの広告についても言及するが、提出された雑誌広告(甲7ないし甲10)以外に立証がなされていない上に、それらも平成21年11月あるいは12月に発行された4誌のみである。
さらに、請求人は、本願商標の指定商品に係る宝飾品の業界における市場占有率は3%であり、平成19年の「ジュエリーブランドの売上げランキング(日本国内)」は、第5位であると述べるが、本願商標と同一の構成に係る商標の使用がされた以後の事情は、立証されておらず、市場占有率と売上げランキングに大きな変動がないものとしても、競業他社に対して驚異的な売上げがあり、市場占有率においても他社を断然引き離す程のものではない。
(オ)請求人は、第三者の証明書を証拠方法として提出する(甲11ないし甲19)。
しかしながら、内容の形式的な差異はあるものの、いずれの証明書も定型の文章に記名押印されているものであって、本願商標が本願の指定商品及び指定役務について、需要者間に広く認識されていることを証明者がいかなる根拠に基づき証明をなしたのか、その証明の判断の客観的な過程が明らかでないことに照らし、これらの証明書の証拠価値を高く評価することはできないといわざるを得ない。
(カ)請求人は、自身の創業以来の沿革、事業内容、事業規模、全国真珠品評会における農水大臣賞の受賞、「ダイヤモンド・インターナショナル賞」の受賞、「ミス・ユニバース日本代表選出大会」への協賛、国際的なイベントへの出店、スポーツの協議会への協賛、女子サッカーチームの運営、芸術文化活動の主催・協賛、知名人の来社等を縷々述べるが、前記の事情は、本願商標が採択された前記(イ)の時点以前のものであるから、当該事情が本件の判断を左右するものではない。
(キ)以上のとおり(ア)ないし(カ)を総合考慮するならば、本願商標が使用された結果、審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められない。
なお、請求人は本願商標の周知著名性について「御庁においても顕著な事実」とも述べるが、本願商標が商標法第3条第2項に該当する程の周知著名性を有することが当庁において顕著な事実であるとは、到底いえない。
よって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものということはできない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標が「普通に用いられる方法で」表示されたものではないから商標法第3条第1項第4号に該当しない旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する文字が統一感のあるデザインが施されているとしても、本願商標に接した取引者、需要者が、本願商標を請求人の述べるような「独特な優美性の認められた『特殊な欧文字』からなる商標」と看取するものとは言い難く、本願商標の表記は、商標法第3条第1項第4号にいう「普通に用いられる方法」の域を出ないものというのが相当である。
なお、本願商標が請求人の刷新されたシンボルマークであるとしても、また、そのデザインに巨費が投じられたとしても、そのような商標採択の理由
により、本願商標の表記方法が「普通に用いられる方法」であるか否かの判断が左右されるものではない。
イ 請求人は、商標登録の事例を具体的に挙げて、それらの事例を分析し本願商標も、それらの登録商標と同様に、ありふれた氏の一つである「田崎」に通じる「TASAKI」でないと判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するものであるか否かについては、商標の具体的な構成から個別かつ具体的に判断をなすべきものであって、他の商標登録の事例により本件の判断が左右されるものではなく、本件については、前記(1)のとおり判断するものである。
しかして、裁判例においても日本人の氏姓を日常表現する手段として、漢字、片仮名、平仮名、ローマ字等種々の文字を使用することは顕著な事実である旨判示されているところである(東京高等裁判所昭和48年2月23日判決、昭和41年(行ケ)第49号)。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。また、本願商標は商標法第3条第2項の要件を満たすものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-05-13 
結審通知日 2011-05-20 
審決日 2011-05-31 
出願番号 商願2009-46305(T2009-46305) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X1435)
T 1 8・ 14- Z (X1435)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 竹内 耕平山田 忠司手塚 義明 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 タサキ 
代理人 川崎 仁 
代理人 三嶋 景治 
代理人 中里 浩一 
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