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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X30
審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) X30
管理番号 1240006 
異議申立番号 異議2010-900214 
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-07-23 
確定日 2011-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5316964号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5316964号商標の指定商品中,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5316964号商標(以下「本件商標」という。)は,「エファージュ」の片仮名と「F.A.G.E.」の欧文字を二段に併記してなり,平成21年8月4日に登録出願,第20類「プラスチック製の包装用容器,クッション,せんす,買物かご,家具」,第29類「動物性エキスまたは植物性エキスを主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・棒状の加工食品」,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」及び第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,平成22年3月23日に登録査定,同年4月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の(1)ないし(5)のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5086597号商標(以下「引用商標1」という。)は,「FAGE」の文字を標準文字により表してなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として,平成19年10月26日に設定登録されたものである。(2)登録第5086596号商標(以下「引用商標2」という。)は,後掲1のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として,平成19年10月26日に設定登録されたものである。
(3)登録第5203373号商標(以下「引用商標3」という。)は,後掲2のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「ヨーグルト」を指定商品として,平成21年2月6日に設定登録されたものである。
(4)登録第5105890号商標(以下「引用商標4」という。)は,後掲3のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「チーズ」を指定商品として,平成20年1月18日に設定登録されたものである。
(5)登録第5105889号商標(以下「引用商標5」という。)は,後掲4のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「ニンニクで風味を付けたヨーグルト」を指定商品として,平成20年1月18日に設定登録されたものである。(以下,引用商標1ないし5を一括して,単に「引用商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は,本件商標の登録は,その指定商品中の第29類及び第30類の全指定商品について取り消されるべきである旨申立て,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証及び上申書に添付した参考資料を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,引用商標に類似する商標である。また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。したがって,本件商標は,引用商標と類似関係にある。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と相紛らわしい商標である。また,本件商標の指定商品は,引用商標の所有者(申立人)の業務に係る商品と密接に関連する商品である。したがって,本件商標がその指定商品に使用された場合,商品の出所について混同するおそれがある。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は,他人の名称の著名な略称を含む商標である。そして,該他人の承諾を得ているものではない。したがって,本件商標は,該他人の人格権を毀損するおそれのある商標である。

4 本件商標に対する取消理由の要旨
(1)本件商標と引用商標1及び3ないし5との類否について
ア 本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,下段の「F.A.G.E.」の文字部分が,ローマ字の一字一字にピリオドが付されているところから,これを一文字ずつ区切って「エフ,エー,ジー,イー」と称呼される場合があることは否定できないものの,該称呼は,8音とやや冗長にわたることから,簡易迅速を旨とする商取引の実際においては,その構成文字中の「ピリオド」部分を省略した「FAGE」を一語とし,英語読み風に「ファージ」又は「フェージ」と称呼する場合もあるものとみるのが相当である。
また,上段の「エファージュ」の文字からは,該文字に相応して「エファージュ」の称呼を生ずること明らかである。
そうすると,本件商標は,必ずしも上段の片仮名文字部分が下段の欧文字部分の読みを特定したものとはいえないから,両文字部分がそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
してみれば,本件商標は,その構成中の「F.A.G.E.」の文字部分に相応して「ファージ」又は「フェージ」の称呼を生ずるものであり,また,同「エファージュ」の文字部分に相応して「エファージュ」の称呼を生ずるものというべきである。
そして,上段の片仮名文字と下段の欧文字は,いずれも特定の観念を想起させない造語からなるものと認められる。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1は,前記2(1)のとおり,「FAGE」の文字からなるところ,該文字は,我が国で親しまれている外国語ではないから,これに接する需要者は,これを英語読み風に称呼して取引に資する場合が多いというのが相当である。そうすれば,引用商標1から生ずる称呼は,「ファージ」又は「フェージ」ということができる。
(イ)引用商標3ないし5は,後掲2ないし4のとおりの構成からなるものであるところ,その構成中「FAGE」の文字部分が,その構成態様からみて,独立して自他商品の識別機能を有するものと認めることができるから,引用商標3ないし5から生ずる称呼は,上記(ア)で認定した引用商標1から生ずる称呼と同一の称呼が生ずるものといえ,「ファージ」又は「フェージ」の称呼を生ずるものである。
(ウ)なお,引用商標2については,これを構成する文字(記号)が,我が国において親しまれたものとはいえないことから,特定の称呼,観念は生じ得ないものというべきである。
ウ 本件商標と引用商標1及び3ないし5との対比
前記ア及びイによれば,本件商標と引用商標1及び3ないし5とは,「ファージ」又は「フェージ」の称呼を同じくする場合がある称呼上類似の商標というべきである。
また,本件商標中,独立して自他商品の識別機能を有する「F.A.G.E.」の文字部分は,引用商標1及び3ないし5中,独立して自他商品の識別機能を有する「FAGE」の文字部分と,ローマ字の綴りを同じくするものである。
そうすると,本件商標と引用商標1及び3ないし5とは,時と所を異にして離隔的に観察した場合には,外観上,相紛らわしい類似の商標というべきである。
したがって,本件商標と引用商標1及び3ないし5とは,称呼及び外観において,互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。(2)本件商標の指定商品と引用商標1及び3ないし5の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」の商品は,引用商標1の指定商品中,第30類の指定商品に全て含まれるものであり,また,上記商品中の「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」は,引用商標1の指定商品中,第29類「乳製品」及び引用商標3ないし5の指定商品と製造者,取引系統等を同じくする場合が多い類似の商品である。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見
商標権者は,前記4の取消理由について,指定した期間内に意見を述べていない。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものと判断し,平成23年2月18日付けで,商標権者に対し前記4の取消理由を通知し,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者からは何らの応答もなかった。そして,前記4の取消理由は妥当なものであるから,本件商標は,その指定商品中の第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」については,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
する。
(2)商標法第4条第1項第15号及び同第8号について
申立人は,「FAGE」が申立人の業務に係る乳製品を表示するものとしてわが国における需要者の間に広く認識されているものであり,かつ,申立人の略称としても著名である旨主張し,その主張を立証するものとして,甲第3号証ないし甲第7号証及び上申書に添付した参考資料を提出した。
しかしながら,これらの証拠により申立人が「FAGE」を乳製品について使用していることは確認できるものの,その証拠のほとんどは,英文(一部にギリシャ語を含む)で記載された新聞記事,雑誌等であり,それらの日本における頒布の状況等も確認できない。そして,日本語で記載されているものは,甲第6号証及び甲第7号証のみであって,しかも,甲第7号証のgoogleにおいて「fage ヨーグルト」をキーとしてウエブ全体を検索した結果は,約3050件にすぎない。
そうすると,申立人の提出した証拠からは,「FAGE」が申立人製品を表示するものとして,本件商標の登録査定時において,わが国の需要者の間に広く認識されているものであって,かつ,申立人の略称として著名であるということはできない。
してみれば,本件商標は,これを登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても,該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできず,また,他人の名称の著名な略称を含む商標ともいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号及び同第15号には該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の指定商品中,第30類「茶,コーヒー及びココア,菓子及びパン,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,アーモンドペースト」についての登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。
しかし,その余の指定商品についての登録は,取り消すべき理由はないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 後掲1(引用商標2)




後掲2(引用商標3)


(色彩については原本参照のこと)


後掲3(引用商標4)


(色彩については原本参照のこと)


後掲4(引用商標5)


(色彩については原本参照のこと)


異議決定日 2011-05-06 
出願番号 商願2009-59237(T2009-59237) 
審決分類 T 1 652・ 261- ZC (X30)
T 1 652・ 262- ZC (X30)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 武谷 逸平早川 真規子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2010-04-16 
登録番号 商標登録第5316964号(T5316964) 
権利者 サントリーホールディングス株式会社
商標の称呼 エファージュ、エフアージュ、エフエージ、フェージ、エフエイジイイイ 
代理人 鈴木 博久 
代理人 高柴 忠夫 

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